我が名は豪鬼! メイドを極めし者なり!   作:とんこつラーメン

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まだまだ装者二人との本格的な共闘は無いですが、それでも少しずつ交流はしています。

戦闘シーン自体はあと少しの先の予定ですが。









メイド豪鬼の日常 その2

 私が毎日の日課である朝の道路掃除を行っていると、これまたすっかり見慣れた顔である二人組が。

 

「おはようございます、豪鬼さん」

「おはよ~ございま~す!」

「おはようございます、響さん。未来さん。響さんは今日も朝からお元気ですね」

「えへへ……それだけが取り柄ですから」

 

 まぁ、変に暗い顔を見せられるよりはずっとマシか。

 

「そうだ。お二人にお聞きしたい事があったんでした」

「「なんですか?」」

「あの例のコンサートの後から、お二人の周りで何か慌ただしい事などはありませんでしたか?」

「慌ただしいって……」

「例えばどんな事ですか?」

「それはですね……」

 

 う~ん……ここは素直に直球で言うべきか?

 どうしても、原作の前日譚のように、響さんがイジメに遭っていないか知りたかったのですが……。

 

「あまり、このような言い方は好きではないのですが……イジメとかです」

「イジメ……そんなの無いよね?」

「うん。少なくとも、私達が通っている学校では、そんな話は全く聞いた事は無いですし、万が一にでもそんな事があれば、間違いなく噂になってますから」

「そうですか……」

 

 あのコンサートにて犠牲者を一人も出さなかった事が功を奏したのだろうか?

 明らかな原作改変ではあるが、誰一人として傷つかない結末ならば問題は無いだろう。

 

「でも、なんでいきなりそんな事を聞くんですか?」

「いえ。なんとなくです。気にしないでください」

「「は~い」」

 

 うん。素直でよろしい。

 勘の鋭い未来さんはともかく、響さんは誰かを疑う事を知らないからなぁ~。

 適当な誤魔化しだったけど大丈夫……だよね?

 

「そうだ。実は私からも豪鬼さんに少し聞きたい事があったんですよ」

「なんですか?」

「豪鬼さん、ここ最近になってなんだか前以上に忙しそうにしてませんか?」

 

 なんと……いつも通りを装っていたつもりなのに、未来さんにはバレていたとは。

 やっぱり彼女は侮れませんね。

 

「未来さんには敵いませんね」

「それじゃあ……」

「はい。最近になって知り合った人たちから、少し自分達の仕事を手伝ってくれないかと頼まれたもので、手を貸す事にしたんです」

「そうだったんですか……」

「本当は自分達の職場に就職してくれるとありがたいと言われたんですが、流石にそれはお断りしました。今のバイト先にも愛着はありますし、あそこを離れるような事は可能な限りしたくは無かったんです」

「豪鬼さんらしいです」

「恐縮です」

 

 あ。思わず未来さんとの話に盛り上がって、響さんを空気にしてしまった。

 

「あの……もしかして、その仕事の手伝いって……ツヴァイウィング関係ですか!?」

 

 うぐ……鋭い……。

 響さんは天然だけど、時々こうして直観的な物を働かせて正解をいい当てるから怖い。

 

「……なんでそう思ったんですか?」

「これです!」

 

 目を輝かせながら私に自分のスマホの画面を見せてくる。

 そこには、この前のコンサートにて私が乱入した直後の写真と、それに対するコメントが記載されていた。

 

【ツヴァイウィングのコンサートに謎の超美人なメイドさんが乱入!?】

【いや、全く謎じゃねぇし。知らないのか?】

【あの人、最近になって何かと話題になってるメイド喫茶『地獄歌』の看板メイドの『ウキちゃん』だぞ】

【マジでっ!?】

【ぶりっ子が多くなったメイド喫茶業界にて、大人な年上お姉さん系メイドとして一世を風靡している有名人だ】

【あの人は、俺達を本当の意味で夢の世界へといざなってくれる……世の男達全員の『お姉さん』だ!】

【実は俺も大ファンだったり】

【でも、なんでそんな有名人がツヴァイウィングのコンサートにサプライズとして出てくるんだよ?】

【さぁ? もしかして、噂で聞いた通り、『ツヴァイウィングの三人目』として電撃デビューとか?】

【いやいや。それは無いだろ。確かにウキちゃんの魅力は俺も認めるけど、いきなり過ぎるだろ】

【もしや、地獄歌とツヴァイウィングのコラボが近い内に開催されるとか?】

【可能性としては、それが一番現実的だな】

【ツヴァイウィングの二人が地獄歌で一日限定でメイドさんをするとか?】

【もしもそうなったら、俺は何時間掛かろうとも行列に並んで店に行くね!】

【俺も。即行で予約券を買いに行くわ】

【俺……ツヴァイウィングとウキちゃんの三人にご奉仕されたら、実家に帰って店を継ぐんだ……】

【死亡フラグ乙】

 

 ……なんじゃこりゃ。

 しかも、コメントはこれだけに収まらず、まだ下の方に延々と続いている。

 ド派手にし過ぎたとは思ってたけど、よもやここまで凄い事になっていたとは……。

 

「豪鬼さんの事だから~……翼さんと奏さんの身の周りのお世話とか?」

「想像出来るような……出来ないような?」

 

 ある意味で大正解ですよ~! 響さ~ん!

 もうホントこの子、どこまでが天然で、どこまでがマジなのか分からない!

 

「でも、これってどういう事なんですか? なんでコンサートに豪鬼さんが?」

「それは……」

 

 ヤバい……全くいい言い訳が思いつかない!

 まさか、こんな形でピンチを迎えるとは!

 

「あ~! 未来! 時間時間!」

「やば……遅刻しちゃう! それじゃあ豪鬼さん、いってきます!」

「いってきま~す!」

「いってらっしゃいませ」

 

 た……助かったぁ~……。

 なんとかポーカーフェイスは貫けたけど、今後はそうはいかないな……。

 後でちゃんとした言い訳を考えておかないと。

 今後も似たような事が起きないとは限らないし。

 全く……家事全般と戦闘以外に関してはヘボヘボ星人ですな……トホホ。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 バイト終了後に二課の本部まで行き、私の新たな日常と化した奏さんと翼さんのトレーニングのコーチ。

 今日も今日とて、二人は汗水流して頑張っています。

 

「奏さん! もっと鋭く真っ直ぐに! 己自身を槍とするのです!」

「おう!」

 

 奏さんのトレーニングは前と変わらず、私との追いかけっこ。

 といっても、実際にやってる事は相当にハード。

 私は全力で回避に徹しているから、生半可な事じゃ触れない。

 いずれは私に阿修羅閃空ぐらいは使わせるようになってほしいと願う。

 

「翼さん! スピードが落ちてますよ! 線を超えるのではなく、踏む事を意識するように!」

「は…はい!」

 

 一方の翼さんは、反復横跳びをしている。

 足腰を鍛えつつも敏捷性を鍛えるには、これが一番だと判断したからだ。

 勿論、ずっとこれだけをさせ続けるつもりはない。

 もう少ししたら別のトレーニングに移行するつもりだ。

 

 装者になる為に様々な訓練を受けてきたのは分かるが、それでもまだまだ足りないものが多いのがすぐに判明した。

 自分の武器の特性を知る事。戦場における己に最も適した役目と戦闘方法。

 もっと細かい事を言っていけばキリがないが、一先ずはそれは置いておく。

 最強の殻を被っただけの私にも分かったのだから、弦十郎さんや緒川さんとかにもとっくにばれていたに違いない。

 それを言えなかったのは、彼等自身の立場があるが故か。

 彼女達にとって、私のような『生身でノイズを打倒できる圧倒的な力を持つ女性』という存在は別の意味で貴重なのかもしれない。

 

 そうして、小休止を挟みつつ二時間ぐらいトレーニングを続けた。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

「「ハァ……ハァ……ハァ……」」

「お疲れ様でした。ドリンクです」

「あ…ありがとうございます……」

「さんきゅー……」

 

 息も絶え絶えになりながら、二人は壁に寄りかかりながら座って体を休めている。

 はしたなく足を広げてはいるが、今だけは許してあげよう。

 

「反復横跳びなんて学校のスポーツテストでするぐらいだったけど……本格的に行うとここまで疲れるとは思わなかった……」

「こっちもだよ……。普通の追いかけっこだと思って舐めてたら駄目だわこりゃ……。翼にアドバイスを言いながらも、アタシの方にも意識を向けて回避しまくるって……凄すぎだろ……」

「世にいる『格闘家』の人達は、皆が豪鬼さんと同じレベルの領域にいるのよね……」

「そう考えるとさ……今までずっとシンフォギアに頼りっきりだった自分が恥ずかしくなってくるよな……」

「うん……。本当に世の中は広い……豪鬼さんが世界に旅立ちたくなる気持ちも分かるかも……」

「全くだよ……」

 

 どうやら、トレーニングを通じて図らずも彼女達の意識改革も出来てるみたい。

 これはいい意味で予想外の効果が出たかも。

 

「はぁ~い♡ トレーニング頑張ってる~?」

「あ……櫻井女史……」

「お~っす……」

「あらら。これは相当に絞られてるみたいね、豪鬼ちゃん?」

「まだまだ、これからですけどね」

 

 私達が休憩をしていると、了子さんがいつものテンションでやって来た。

 が、流石にクタクタになっている二人を見て空気を読んだのか、少しだけ大人しくなった。あくまで少しだけ。

 

「ところで、何か御用ですか?」

「ちょっとね。そろそろ月一のメディカルチェックでもやろうかと思って来たんだけど……大丈夫?」

「なんとか……」

「少しでも疲れが取れれば大丈夫です」

「う~ん……出来れば万全の状態の時がいいんだけど、単純に疲れているだけなら問題無いかしらね? こっちも色々と準備が必要だし。そうだ、豪鬼ちゃん。この後も時間って大丈夫?」

「私ですか? もうバイトは終わってますから、時間的には余裕がありますが……」

「そう! それなら、ついでに豪鬼ちゃんもメディカルチェックを受けていかない?」

「私が……ですか? でも、私は装者ではありませんが……?」

「あ~……メディカルチェックと言っても、そこまで仰々しいものじゃないのよ。文字通りの単純な健康診断で、そのついでに装者の子達だけのチェックしなくちゃいけない項目があるってだけで。実際、他のメンバーも定期的に診断は受けてるし」

 

 これが本当に単純な善意から出ているのならば、私は二つ返事でOKをしていただろう。

 だが、私の目の前にいるのは、あの『櫻井了子』なのだ。

 警戒に警戒を重ねても損は無いと思うが、だからと言ってここで変に断れば、それはそれで怪しまれそうな気がする。

 何をするのかは分からないが、二課の本部の中ならば、彼女もそう簡単に変な事は出来ないか……?

 

「では、お言葉に甘えさせて頂きます」

「そうこなくっちゃ! んじゃ、一時間後にメディカルルームに来て頂戴」

 

 言う事だけを言ってから、彼女はそそくさとトレーニングルームを出ていった。

 

「メディカルチェックか~……もうそんな時期か~」

「別に気にするような事は無いけど、それでもなんでか緊張してしまうのよね」

「健康診断なんて、往々にしてそんなものです。規則正しい生活とバランスの良い食生活をしていれば、何も恐れる必要はありません」

「言いたい事は分かるんだけどな……」

「それが実際に実行出来れば苦労はしません……」

 

 そんなに難しい事なのでしょうか?

 私なんて普通に毎日やってるんですけど。

 

(つーか……)

(私達以上に動いているにも関わらず……)

((息一つ乱れてない、この人が普通に凄すぎる……))

 

 あら。よく見たらトレーニングルームの床が二人の落とした汗だらけに。

 これは後でちゃんと拭いていかないといけませんね。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 転生してから初めての健康診断。

 それがまさか、二課の本部のメディカルルームになろうとは、誰が想像しただろうか。

 少なくとも、私は想像もしていなかった。

 

 まずは私の前に奏さんが行い、その後に翼さん。最後に私って流れになっている

 どんな事をするのかと内心ドキドキしていると、本当に私が知っている通りの健康診断そのものだった。

 最新の機器を使ってはいるが、特に怪しい所は見受けられない。

 

「うん。健康状態は問題無し。後は適合係数だけね」

「適合係数?」

「そ。簡単に言っちゃえば、シンフォギアと装者との相性の良さを表す数値の事よ。これが高ければ高い程、ギアのポテンシャルを高く発揮出来るの」

「成る程」

「ちょっとした裏技で、低い係数を底上げする薬なんかもあったりするんだけどね」

「了子さん」

「あらら。ごめんなさいね。すぐに始めるわ」

 

 あまり知られたくない事なのか、珍しく奏さんが真顔になって急かした。

 その理由は知ってるんだけど、ここでは知らない振りを通そう。

 

 人間ドッグみたいな装置に体ごと入って検査をしていく奏さん。

 何が仰々しいものじゃないだ。立派に仰々しいじゃないか。

 検査自体はすぐに終了したが、その結果を見て了子さんが珍しく目を丸くして驚いていた。

 

「……あれ?」

「どうしたんだ了子さん?」

「いやね……その~……奏ちゃんの適合係数が僅かではあるけど、確実に上がってるのよね……」

「なんだってっ!?」

 

 お…おう? いきなり大声を出してどうした?

 そこまで驚くような事なのか?

 

「これが前回の結果。んで、こっちが今回の結果」

「本当だ……少しだけだけど、確かに数値が上がってる……」

「奏の数値が上がってる……そんな事が……」

「あの~……適合数値が上がる事は、それ程までに珍しいのですか?」

 

 純粋な疑問として聞いてみたが、翼さんと奏さんは凄い勢いで頭を縦に振り、了子さんも半ば信じられない様子で頷いた。

 

「一応ね、理論上は自然と上がる事もあるのよ。適合係数なんていっても、所詮は人間のステータスの一部なんだし。でも、だからと言ってこれは余りにもいきなり過ぎるのよね。なんでかしら? 奏ちゃん、何か心当たりとかある?」

「心当たりって言われてもな~……あ」

「あるの?」

「いや~……でも、これって心当たりって言っていいのかな?」

「なんでもいいから、兎に角言ってみて」

「分かったよ。豪鬼とトレーニングをするようになってからさ、昔とは違って凄く良い感じなんだよ」

「良い感じ?」

「そう。朝もスッキリと起きられるし、食欲は前にも増して増えたし、でも全く体重とかは増えないんだよな。気のせいか、肌艶も良くなったような感じもするし」

「要は……規則正しい生活をし始めて前以上の健康体になったって事?」

「かもしれない」

 

 ちゃんと私の言った事をきちんと守って生活をしていたのですね。

 道理で、最初に会った時以上に元気が有り余っているように見えた筈だ。

 

「もしかして……翼ちゃんも似たような感じだったり?」

「そうですね。豪鬼さんのトレーニングを受けてから、夜はぐっすりと熟睡が出来るようになり、どれだけ疲れていても次の日には確実に疲労が取れています。体もなんだか軽くなったような気がしますし」

「つ…翼ちゃんも計って見ましょ!」

 

 なんだか慌てた様子で翼さんの検査も行った了子さん。

 その結果は……。

 

「翼ちゃんも数値が上がってる……」

「やったじゃんか翼!」

「うん!」

 

 矢張り、健康こそが何にも勝る特効薬だったのですね。

 『貧乏よりも健康。生きてさえいれば明日は来る』とはよく言ったもんです。

 

「信じられない……規則正しい生活を送るだけで適合係数が上がるなんて……でも待てよ? お世辞にも装者となった以上はノイズとの戦いが強いられるから不規則な生活になるのは必然。だからこそ、そこで敢えて健康的な生活を送る事で体の本来のポテンシャルが発揮されて……」

 

 なにやらブツブツと独り言が始まって、了子さんが科学者モードに入ってしまった。

 こうなるともう、私達の話なんて耳にも入らない。

 

「どうしましょうか?」

「ほっとけばいいんじゃないか? すぐに元に戻るさ」

「そうですね。櫻井女史がこうなる事は今に始まった事じゃないですし」

「そうなんですか……」

 

 科学者って皆がこうなんだろうか?

 こればかりは私には全く分からない感覚だ。

 

 余談だが、彼女が我に返った後で行われた私のメディカルチェックも全く問題無く、私が何処に出しても恥ずかしくない健康優良児であることが判明した。

 流石に二人の目の前で『殺意の波動』について調べようとは思わなかったのか、その事については全く触れられなかった。

 それはそれでいいのだけれど、だからこそ先の事に少しだけ不安を感じてしまった。

 

 

 

 

 




奏さん、地味に魔改造フラグが。ついでに翼も。
もしかしたら、これから出てくる装者全員がメイド豪鬼によって魔改造されるかも?

次回こそは三人揃っての初めての戦闘シーンになるかも?
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