テイルズオブシンフォギアザレイズ   作:光三

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プロローグ②

 ——セールンド北部 デレク山——

 

「……どうしたイクス、コウスケ?早く構えろよ」

 

「……マーク……一体、どうして……!?何で、こんな風に戦う必要があるんだよ!?」

 

「もう、やめようぜこんな意味のねえ戦い……それとも何か理由があるのか?」

 

「俺とお前らは、敵同士。ずっと、そうだったろ?」

 

「だったらどうして、この間は一緒に戦ってくれたの?」

 

「ただ、気まぐれに道が重なっただけだ。——深い理由なんか、ないさ。構えねえならそれでもいいぜ。そのまま、死にな」

 

「嫌だね、俺は必ず『ティルナノーグ』を救って、ニーベルの元へ帰る!」

 

「ああ、そういうわけには、いかない。俺は、この世界を救ってみせるって誓ったんだ。だから、この先に進んでみせる!」

 

「うん……私も——イクスとコウスケが進む道を、信じてる!」

 

「(俺も、あの人たちみたいな強さが欲しい)」

 

「(俺も、あいつのように本当の意味で人助けをしてぇ)」

 

「「そうならなきゃ、いけないんだっ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——数ヶ月前。オーデンセ港——

 

「……クス。……イクスー?イクス聞こえてるー?」

 

「ああ、聞こえてるよ。どうかした?」

 

「積み荷。それで最後だよ。気を付けてね。急にぼーっとするからびっくりしたよ」

 

「ごめんな。ちょっと考え事をしてたんだ。なんでもないよ。よいしょ……これで全部か。手伝ってくれて、ありがとな。ミリーナ」

 

 イクス・ネーヴェは、ミリーナ・ヴァイスに手伝ってもらいながら荷物を船に積み込んだ。

 

「遠くの海への漁は初めてだから、どうも勝手がわからなくて。1人だったら時間通りに終わらなかったよ」

 

「ううん、全然!——帰ってくるのは4日後、だっけ」

 

「ああ、4日で帰って来られればいいな……みんなは何度も行った事があるって言うけど、どんなトラブルがあるかわからないもんな。まずはやっぱり天候か……大雨、嵐は、ずっと警戒しておくとして……逆に、日照りにも注意しないと。水を多く積みたいけど……過積載は船の転覆に繋がる……そこをクラーケンや『ノイズ(・・・)』にでも襲われたら全滅だ。『ノイズ』はともかく、クラーケン対策は何か用意していたっけ……そうだ、図鑑を持って行こう。生態を知れば、対策が立てられる。やっぱり、遠くの海は危ないな。こんなに沢山の危険を思いつく。——慎重に、漁に出ないと」

 

 どうやら、イクスは考え過ぎるところがあるようだ。

 

「ふふっ。イクスったら、相変わらず心配性なんだから。それに『ノイズ』は滅多に出現しないって王様も言ってたよ。でも、大丈夫。イクスが、それだけ考えて準備してるんだもの。自信持っていいんだよ。頑張って!」

 

「ミリーナ、もう子供じゃないんだぜ。手とか、繋がなくていいよ」

 

「ふふっ。——ごめんごめん。イクスが不安がってると、つい応援したくなっちゃうの。……それに4日も会えないと寂しいし……」

 

「4日なんてすぐだろ?」

 

「うーん。漁、心配だなぁ、ついていけたらいいのに」

 

「何の訓練もせずに乗るなんて、それこそ何が起こるかわからないからダメだよ。それにミリーナは、『鏡士』の修行もあるだろ?」

 

「そうだよね……残念。あ!だったら!ちょうどこの間、習った術があるの」

 

「術?」

 

 ミリーナは、術を発動させた。

 

「わっ!何だそれ?」

 

 突然、現れた妖精のようなものに驚いたイクスは、ミリーナに聞いた。

 

「『具現化の術』よ。『鏡士』にしか出来ない秘術——まだ小さいものしか出来ないけど」

 

「はじめまして、イクスさま。私、ミリーナさまの『鏡精』のカーリャだよ!」

 

「あ、ああ……」

 

「ねえ、カーリャ?私の代わりに、イクスについていってくれないかな?」

 

「ミリーナさま〜。カーリャは、ミリーナさまから離れすぎると力が出なくなっちゃうんだよ」

 

「そっか、そうだよね〜……」

 

「凄いな、ミリーナ。こんなことも出来るようになったのか」

 

「イクスだって、もう遠出に連れていってもらえるようになったなんて凄いじゃない。頑張ってる証拠だよ。お互い順調だね!」

 

「ははっ。そうだな。やっぱり俺は、こっちの方が合ってるんだろうな。さて、それじゃあ一度家に戻ろうかな。図鑑、取ってこなきゃ」

 

「それじゃあ、カーリャも一旦さようなら〜また、いつでも気軽にお呼び出しを。ばーい!」

 

 そう言うとカーリャは消えた。

 

「……なんだか騒がしいやつだな」

 

「ふふっ。元気な子なのよ」

 

 そして、イクスは家に戻ろうとした。その時、イクスは違和感を感じた。

 

「(——うん?何だ……?今の音)」

 

 イクスとミリーナが振り返ると空から火の球が大量に降り注いでいた。そして、イクスはミリーナを抱えて海に飛び込んだ。

 


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