「そいつも、命はあるみたいだな」
何か声が聞こえる。
「おい、大丈夫か!?」
まただ、少しうるさいな。
「ミリー……ナ」
「お前が、抱えていた女のことだな。そっちも無事だよ」
イクスは、目を覚ましまわりを見た。すると、自分と同じくベッドに横たわるミリーナの姿があった。
「さっき同じように目を開けて、イクスって——そのまま寝てしまったよ」
「よかっ……た」
「喋れるなら自分たちになにがあったかわかるか?」
「わからない」
「お前ら、『オーデンセ』から流れてきたんじゃないかと思うんだが」
「『オーデンセ』は……俺たちの故郷だ……」
すると、もう1人の赤髪の男が言った。
「……だよな」
「遠くだったけど、『救世軍』の船の上から見えたよ——『オーデンセ』に火の玉が降るのがな」
「何だ……それ」
「でもな、海に漂ってたお前らをマークさんが引き揚げてくれたんだ」
「マーク…さん……?」
「ああ!お前たちを助けるために、荒波の中に飛び込んでくれたんだ」
あぁ、まるで⬛️⬛️ ⬛️のようだ。
「ぐっ」
「どうした!?」
「少し頭が痛くて……」
何だったんだろ、あの既視感。マークさんを見ていると、名前も知らない筈の女の子を思い浮かべてしまう。一体なんだったのだろうか?まぁ、それは今どうでもいい。マークさんは、俺たちの命の恩人だ。だから………
「ありが……とう……」
「眠ってろよ、イクス。……あんなところでのたれ死ぬなんてさせねぇさ」
その言葉を聞いた後、イクス・ネーヴェは意識を手放した。
——数日後、救世軍アジト——
「よし……もう大丈夫だ。動けるようになったな」
「マークさんのおかげ、だよね。あの人が、回復するまで介抱をって言ってくれたんだって」
「ああ。出来れば、直接お礼を言いたかったな」
「『忙しい人で、あの後すぐに俺たちに任せて発っちゃった』って言ってたね」
「一体、何してる人なんだろう?」
「わからないね……でも、どこかでまた会えたらいいな」
「ああ。だけどまずは、『王都セールンド』に向かおう。『オーデンセ』に『災害』があったことを王様に伝えなきゃ」
「うん。それじゃあ、行こうか」
そのとき、声が聞こえてきた。
「よう、お前ら。出発か」
「はい。本当にお世話になりました」
「……『セールンド』に行くんだよな。道は、教えたよな?」
「近くの山道を抜ければ、見えてくるんですよね?」
「ああ。そうだ。だが気をつけろよ。この付近には『魔物』が出るからな。後、無いとは思うが……『ノイズ』にあったら必ず逃げろ。絶対に倒そうなんて思うな!」
「……え?まさか!凄く危険な道ってことですか?それじゃあ、色々と対策していかないと……!『ノイズ』の対策は逃げ一択として、『魔物』については……どんな攻撃特性を持っているかわからない。まずは、解毒薬の準備をして、それと麻痺対策に、睡眠対策、石化と——」
「おい、心配し過ぎだ。『魔物』は多少出るが、小物ばかりだよ」
「それだったら大丈夫。イクス、こう見えても漁師の仕事で鍛えてて逞しいんですよ!」
すると、恥ずかしいのかイクスは苦笑いしながらこう言った。
「……そうだけど。何でミリーナが、そんなに楽しそうに言うんだよ?」
「……??お前漁師だったのか?『魔鏡』をつけてるから、『鏡士』かと」
「……まぁ、ちょっと色々ありまして。これは両親の形見だから持っているだけなんです。俺には、『鏡士』の才能はなくって」
「何にせよ、海仕事で体力があるなら充分行けるだろうさ。こいつを持っていきな」
「これは?」
「この中には、ちょっとした旅道具を入れてある。これも、マークさんが渡してやれって」
「本当に、何から何まで……ありがとうございます」
「『セールンド』に行ったら、絶対に王様に会うんだぜ。……今は、王様が一番信じられる人なんだ」
「わかりました。それじゃあ!」
そして、2人は『セールンド』に向かった。
「見えてきた!きっとあれが『セールンド』だ」
「凄い、大きい街!あの高い建物がお城だよね、きっと?」
「ああ。きっとそうだ。……?その横の丸い大きな建物は、一体何なんだ?」
「……う〜ん……なんだろう?」
そのとき、男の人が話かけてきた。
「あの、すみません。1つ聞きたいことがあるのですが、いいですか?」
「はい。何でしょうか?」
「この世界の名前は、『ティルナノーグ』でよろしいですか?」
「??そうですが」
「(この世界?まるで、他にも世界があるような言い方だな。……何なんだろう?)」
「ありがとうございます。次の質問ですが、『セールンド』は、あの見えている街ですよね?」
「はい。そうです」
「ありがとう」
そう言って、男の人は『セールンド』に向かっていった。
「そういえば、名前聞きそびれちゃったね」
「きっと、また会えると思うけど……」
「貴様ら!こんなところで何をしている!」
「え?」
2人はいきなり、重武装の兵隊たちに取り囲まれてしまった。
「わ、わ!?い、一体何!?」
「『救世軍』に暗謀の動きあり、警戒せよとの指令が出されていたこの折に『セールンド』を一望出来る場所にいるなど……」
「ええっ!?いや、俺たち別に何も悪いことなんてしてなくて……」
「それは、調べてみればわかることだ。我々と一緒に来てもらうぞ」
「イクスどうしよう?『セールンド』の兵士さんたちみたいだけど……」
「別に、こっちにやましいことはないし、大人しくついて行こう。そのまま『セールンド』につけるわけだし。——わかりました。一緒に行きます」
「うむ、賢明だな。……最近、奴らの活動が活発化していてな。悪く思わないでくれ」
「『救世軍』ってどうゆう集まり何ですか?」
「『救世軍』などと名乗っているが、『宰相ゲフィオン』様を魔女だのと騙り、討とうとする犯罪者どもの集まりだ」
「(『救世軍』って確か、マークさんがいたところじゃなかったっけ?そんなことをする人たちには見えなかったけど……それに、まあこれに関しては無関係だろうし今はいいかな?)」
「へえ………?イクス、どうしたの。考えこんで?」
「いや、何でもないよ。ミリーナ」
「そう」
「ふむ?しかし、お前たちそんなことも知らないのか?一体、どんな田舎から来たんだ?」
「俺たち、小さな島で暮らしてたから世情に疎くて………」
「(ん?小さな島…………ま、まさか!!?)」
「な、なあ。お前たちどこから来たんだ……?」
「私たちは、『オーデンセ』から………」
「『オーデンセ』!!それは『ゲフィオン』様がおっしゃっていた……」
「ゲフィオン様?(確か、宰相だったっけ?それにしても、なんで兵士たちはそんなに驚いているんだろ?)」
「ならば、君たち。詰所までと思っていたが、少々事情が変わった。このまま城まで一緒に来てもらうぞ」
「城!!!(『オーデンセ』の名前を兵士たちが聞いた後から何かおかしい……なんだ、何が始まろうとしているんだ!)」
イクスは、なぜか言いようのない不安を感じる。
ふふっ、今更気づいたの?おっそーい!!あんた、
「なんだ?誰だ?」
『概念世界』、『並行世界』、『異空間』、『α世界軸』、『β世界軸』ふふ、かわいい。もっとイジメちゃお❤️
「や、やめろ。何なんだいきなり!お前は何者だ?」
アヌンナキ即ち、『神』よ。はは、うふふふふ。
「『神』?アヌンナキ?知らない、知らない知らない知らない知らない知らない知らない!!!」
あらら、もうギブアップなのお。つまんねえやつ………じゃあ、充分楽しんだし
「やめろ、近づくな!やめろやめろやめろやめろやめろ!!誰か助けてくれ!ミリーナ!
「おう、まかせろ!」
どこかで聞いたことがある男の声が聞こえた。
『ノイズ』、『カストディアン(アヌンナキ)』が登場してしまいました。この世界『ティルナノーグ』に何があったのでしょうか?因みに『ゲフィオン』でさえこの謎はわかりません。