ガンダムビルドファイターズ NEXT 作:よなみん/こなみん
こころたちの思わぬ再会があったものの、一翔はようやく自分のガンプラを完成させる。
次の舞台は学校。そこでは、彼を見つめる怪しい影があった。
「おはよーございますー」
「おはよう・・・一翔くん」
「おはよーです。白金先輩」
清々しいほど眠たい朝、久しぶりの学校に一翔は登校していた、登校すると真っ先に会うのはこのバンド、Roseliaのメンバー、キーボード担当のお嬢様、
燐子は一翔を見つけるなり最高の笑顔で挨拶を返すが一翔は眠たい顔のまま彼女に挨拶を返す。
「えっと・・・大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫。寝不足」
「もう・・・しっかり寝てくださいね?」
「善処しまーす」
燐子から丁寧な優しい注意を聞いたあと、一翔は紗夜がいるであろう風紀委員の集まりへと顔を出す。
「ちわです。紗夜さん」
「あら。今日は早いのね」
「ちょっと聞きたいことが・・・」
その時だった、一翔の入ってきた扉が開くと、そこに立っていたのは風紀委員のメンバーだった。紗夜はため息と共に頭を抱える。
「紗夜先輩!?どうして私たちの他に人が入ってるんですか!しかも男が!」
「落ち着きなさい」
「落ち着けません!さてはあらぬことをしようとしてましたね!なんて外道!」
・・・「酷い言いがかりだ」と、心の中で思いながら一翔は頭を抱える。紗夜がこの部屋で会いたくなかった理由はこれかもしれないと心の中で思い、一翔は言葉を紡ごうとするが、いい言葉が浮かばなかった。
もしここで言葉をかけたとしても責められるのは一翔なので、一翔は黙ることしか出来ないでいた。
「・・・このままでは埒が明きませんね!」
「なら決着を付けたらいいんじゃ?」
と、そこに現れたのは花園たえだった。彼女は香澄を連れ、紗夜に挨拶に来たようで、この現場にかち合ったのは偶然らしい。
「・・・決着とは」
「ガンプラバトルじゃよ」
と、おまけのように現れたのはラルさんだった、首から見学許可証をぶら下げ、部屋の端で腕を組んでいた。
(・・・げ。どっから来たんだ・・・この人は)
「なら決着よ!私が勝ったら先輩には近づかないでくださいね!」
(どうしてこうなった?)
自分の運命を呪いつつ、重い足でフィールドのある体育館まで歩いていった。
「・・・なるほど?彼がもう一人の・・・」
◇
体育館。そこでは今まさにバトルが始まろうとしていた。
〈Please set your GP base〉
GPベースをセットすると、プラフスキー粒子が放出され、仮想フィールドを構築していく。
〈Beginning plavsky particle dispersal〉
〈Field 9 canyon〉
激しく光り輝いた後に峡谷が形成される。体育館の隅では、燐子と紗夜、そしてPoppin’Partyのメンバーが集まって見ていた。
「始まる・・・」
「ごめんなさいね。私のせいで」
燐子と紗夜が悲痛にも聞こえる声を上げる。それを香澄達は「いえいえ!」と言って慰めるように声をかける。
「全部、一翔くんが悪いんですよ!気にしないでください!・・・(あのバカ。モテるんだから・・・)」
「俺が悪いの!?有咲!」
有咲の心のない一言に(最後は聞こえなかったようだが)一翔は空間から顔を出してしまう。
ラルさんが必死に静止し、一翔は再び空間の中に戻る。
〈Please set your Gun-Pla〉
「行くわよ!私のガンプラ!」
「・・・」
「ほう・・・ガンダムか」
相手側の女の子が出してきたのはガイアガンダム。シリーズ、ガンダムSEED Destinyに出てくる可変型ガンダムで陸上戦闘を目的としたMS、バクゥをベースに作られた機体だが、その変形機構は空間戦闘すらこなす、ザフト所属のセカンドステージガンダムだ。気をつけたいのは変形時の武装だ。
背中にある翼のようなもの、武装名〈グリフォン2ビームブレイド〉と言うらしい、アニメ本編でもグフイグナイテッド、ハイネ機を切り裂いたことがある。その切れ味は恐ろしいものがある。
(・・・変形時の機動性は速い。しかもスラスターを吹かないから余計にタチの悪い機体だ)
動物と同じ移動を可能にするから飛ぶ時もわざわざスラスターを吹かせる必要がある程度ないのがガイアの特徴でもある。
一翔は調整の終えたばかりのスローネを台に置く、肩のバスターソードをシールドで覆い、ビームライフルはアームビームガンに新調されていた。
バックパックにはGNキャノンが二丁、新たに配備されていた。
「見てなさい!私の実力を見せてあげるわ!」
「・・・下心前回の癖に」
「なっ!?し、下心なんてありませんわよ!?」
(あっ。口調変わったな)
操縦桿を握りしめ、カタパルトへと景色が変わる。
〈Battle Start!〉
「ガイアガンダム!出るわ!」
「スローネ ネクスト。行くぞ!」
峡谷に二機が吐き出され、スローネはそのまま飛翔する。空からしっかりと相手のガイアを探し出す。
その時、一翔の耳に警告を知らせるアラートが鳴り響く。機体のスラスターを逆に吹かせ、ギリギリで飛んできたビームをかわす。
「下から!?真正面から来ないタイプか!」
「やはりな」
「あのー・・・おじさん。一翔くんはどうして上から探したりしたんですか?バレないようにしたらいいのに・・・」
予想通りの展開にラルさんは頷く。そこに隣にいたりみから恐る恐る質問が飛んでくる。他のメンバーも不思議には思っているようだ。
「ふむ。・・・なら一翔くんの機体から説明しなければならんな。一翔くんの機体はどちらかと言えば地上戦を意識して作られたものではない」
「どうしてそう言いきれるんです?」
「武装を見ればわかるよ。彼はビーム兵装を中心に積んでいる。しかも今回は入り組んだ峡谷のステージ。彼の機体武装と性能を活かすには嫌でも空中戦をするしかないということだ」
「・・・なるほど」
ラルさんの指摘はご最もだった。ビーム兵装の利点は射程が長いこと。そして殺傷能力のある事だった。
なら一瞬で至近距離まで持っていかれる地上戦よりは、自分の距離を保ちやすい空中戦を挑む方が一翔には似合っていた。
さらにスローネアインと言うガンプラの特性が地上戦を否定していた。アニメ本編でも地上戦を挑む方より、空中から遠距離戦を挑んでいたのがこの機体の戦い方だった。GN粒子のおかげで長時間の空中滞在ができるようになっている。
「故に一翔くんの戦い方は王道の空中戦。遠距離戦を行っているのだよ」
「でもじゃあ・・・一翔くんが有利ってことですか?」
恐る恐る尋ねてきた紗綾にラルさんは首を振って答える。
「いや、そういうことでは無いな、ガイアもガイアでしっかりと利点を理解している。変形時の機体身長の低さを利用して隠れているな」
「・・・視界から外れて気を伺ってるのね」
「その通りだな。どれ、しばらく黙って見てみよう」
◇
開幕の狼煙は突然上がった。
下からガイアがMS形態でビームライフルを構えていた。
「見つけたっ!逃がさないからな!」
GNビームキャノンを展開し、エネルギーを収束、短時間で集めたエネルギーを一気にガイアに向け放つ。
しかし、ガイアはそれをかわし、放たれたビームは大地に直撃し大きな爆発となる。
(煙幕で隠れたのかっ!?流石、慣れてるな!)
「スキありっ!」
「っ!」
ガイアを索敵していたが、突然後ろからビームを撃たれる。案の定、ガイアが峡谷の影に隠れながら接近していたらしい。振り向けば既にその姿はなかった。
ガイアは次の射撃地点まで移動する。その間も一翔はガイアを探し続ける。
峡谷の上に降りて、索敵を続けるが、上手いこと尻尾を出すことは無い。
(・・・戦い方は向こうの方が強い。なら!)
スローネは場所を峡谷の高所から、峡谷の谷間へと降りる。そこでGNキャノンをバレルごと展開する。
高出力の粒子が集まり、一翔の目にはエネルギー出力を計算する画面が出ていた。チャージは、あっという間に100%まで溜まっていく。
「フルチャージ!GNロングキャノン!フルバーストっ!」
その言葉と共に放たれたGNキャノンのビームは峡谷の間を通って遠くまで届いた。そこに大きな爆発が生じる。
その中で一翔が見たのは・・・
(・・・なるほど。あれか)
一翔は機体のスラスターを吹かせ、その爆煙の中へと入っていった。
◇
爆煙の中、ガイアはゆうゆうと移動していた。
スラスターを吹かせることなく、ただゆっくりと歩いていく。
「・・・慎重に慎重に。あの男は焦ってるんです・・・!だから背後に行けば・・・」
彼女は汗を隠しながら、ゆっくり機体を進めていく。彼女の予想している一翔の動きはこうだった。
恐らく粒子を放出しきったスローネはそのまま空中から探すだろう。地上に降りれば、彼女のガイアに搭載していたセンサーに引っかかり、居場所が分かってしまうからだ。手品を見切ってるか知らないが、それでも地上に降りてこないのは彼女としても惜しいところであった。
だが、粒子を嫌でも放出させてしまう空中移動は、地上からはよく見える光景だからそれもありだと彼女は考えていた。
「だけど!これで終わり!私のいた場所には何も無いからね!」
その時だった。変形しようとしたガイアのヘッドすれすれに赤いビームが飛んでくる。何が起こったのか理解できなかったガイアは少し遅れてスラスターを吹かせて飛んできた場所から距離をとる。
「何!?何があったの!?」
「見つけた・・・!」
しばらくして煙が晴れる。そこには彼女の疑問に答えるかのように一翔のスローネがGNアームビームガンを構えながら立っていた。
「なんで!?どうして私の位置がわかったの!?」
「簡単な芸もわからんのか・・・だから初心者は」
ガイアがヴァジュラ・ビームサーベルを抜いたのを見て、一翔は肩のGNバスターソードを構える。
ガイアが盾を前に突撃してくるが、スローネはそれを悠々とかわす。そして横に大きく一閃する。
「ぐっ!?わ、私はまだ・・・!」
「もういいだろ?やめてくれよ」
その後、腰に付いていたGNビームサーベルで容赦なく背中の翼のようなものを切り裂く。ステップ回避で後ろへ後退するも、スローネから放たれたGNビームキャノンがガイアの腕を溶かす。
「これで・・・っ!終わりだ!」
「待ってくれよ。結城 一翔くん。こっからは僕が相手しよう」
ガイアにGNアームビームガンを向けた時、その背後から新たな影が現れる。
「フォビドゥン・・・ガンダム!?」
鉄鎌を肩に背負ったその機体は、まるで新たな戦場へ降り立つ死神のようにも感じた。
「ゲームを始めよう。僕と君のね」