ガンダムビルドファイターズ NEXT   作:よなみん/こなみん

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半強制の連行。
彩たちは一体何がしたいのか。


今日は何の日?残念!笑顔の日!

「一翔くん連行してきたよー!」

 

とある楽屋の扉が「バァァァン!」と勢いよく開かれる。メンバーはあるものは驚愕し、あるものはニコニコしている。そして当の本人は

 

「ムゴッ!ン!ムー!」

 

袋詰めにされて最早監禁に近い形で連行されていた。理由はお察しいただければと思う。

部屋の入り口を閉めて、彩が「ご開帳!」と叫ぶとそのまま一翔を覆っている袋を取ってしまう。余程苦しかったのか、袋から出されると一翔は安堵したかのように大きく息を吸い込む。

 

「あー!あー!!死ぬかと思った・・・」

「一翔ちゃんじゃん!どうしたの!?」

「日菜ちゃん聞いてないの?今日来るって彩ちゃん言ってたよ?」

「てへ♪」

 

土下座姿勢で落ち込む一翔を真ん中にぞろぞろとpastel*Palettesのメンバーが取り囲む形で集まっている。どうも逃がすつもりは無いようだ。

 

「ハッ!?ここはどこ!?俺は何を!?」

「えーっと、今日は残りの時間私たちといてもらいます!収録が終わったら帰ってもいいよー?」

「ほんとに・・・?」

「まぁいつ終わるか分からないけど」

「・・・クソっ・・・分かってたよ・・・(イジイジ」

「あー。一翔くんいじけちゃった」

 

とうとう部屋の端でいじけ出す一翔。それに付きまとう少女、氷川 日菜は本人にお構い無しに質問を続けていく。残ったメンバーは真面目にも予定の確認をしていた。

ちなみに学校なんてものはなかったのである。

 

「今日はでも収録だけなんでしょ?一翔くん連れてくる必要あった?」

「なんか落ち込んでたから、元気出してもらおうと思ったんだけど・・・」

「空回りしてるわけですね」

「そうなんです!なのでみんなにも協力をお願いします!」

「「「はーい♪」」」

 

みんなノリノリである。一方、一翔の心はまだ曇っていた。

 

 

―――

 

 

「はい!Pastel*Palettesの皆さんです!」

「「「おー!」」」

 

スタジオで歓声が上がる中、一翔は一人、端っこで作業に没頭していた。

 

スタジオに入る数分前。

 

「一翔さん、これどうぞ」

「ん?仕事表・・・?」

 

楽屋で一翔が立ち直って数分、パスパレのベース、白鷺 千聖(しらさぎ ちさと)が一翔にひとつの紙を手渡す。そこにはびっしりとした文字でメモが書かれていた。

 

「はい。と言うのも今日は簡単な仕事だけなので特に一翔さんには何かしてもらう訳では無いのですが・・・」

「・・・じゃあ暇な時間の間はこっちの仕事してるよ。だからいつも通り・・・でいいんでしょ?」

「それと今日はありがとうございます、彩ちゃんのわがままに付き合ってもらって・・・」

 

申し訳なさそうに千聖が頭を下げようとするが一翔は「いやいやいや!」と彼女の肩を抑えて制止に入る。

 

「元といえばあの人に反論できなかった自分も悪いですよ・・・」

「でも、貴重な時間が・・・」

「大丈夫ですよ、時間なんてのは気分次第で作れますから、ね?」

 

そう言ってやっている仕事がガンプラの制作である。スタジオ収録している際に、向こうに迷惑が行かない程度で一翔は仕事をしていた。

持っているキットは簡単なものだが、組み立てるぐらいならここでもできる。

今回のチョイスしたガンプラはガンダムW Endless waltzのガンダムナタクそしてガンダムサンドロック改(EW)、クロスボーンガンダムX1をメインにサブパーツがいくつかあった。

 

(・・・本当はスローネ系統で組もうとしたけどな。真打は楽しみにするか)

 

そう思いながら、簡単にパーツを組んでいく。

ナタクの腕、肩、サンドロックの足と胴、X1の腕パーツ。ポリキャップを合わせ、丁寧に組み合わせていく。

 

「一翔くん!休憩入るよ!」

「ほーい。んじゃ適当に切り上げるか・・・」

 

 

―――

 

 

「お水どーぞー」

「ありがとー!今日は何だか一段と張り切っちゃった!」

「一翔さんを意識してたんですか?」

「なわけないでしょー!もー!」

 

バンドのドラム、大和 麻弥(やまと まや)が日菜をからかうように声をかける。そんな麻弥をポカポカと日菜は追いかけていく。何とも元気な姉妹みたいな・・・。

 

「羨ましいの?」

「・・・別に?」

 

その様子を眺めていた一翔の横に彩が近づいてくる。照れたように答える一翔を見て彩の顔はニヤニヤしてしまう。

 

「一翔くんってさーくるで働いてるんだよね?音楽やバンドに興味無いの?」

「・・・前、ちょっと前まではあった。ていうのも蘭や薫が原因でさ。しょっちゅう練習に駆り出されてたからな」

「・・・ちょっと前まで?」

「親が原因でさ。お前はこれだけやってりゃいいって言われて一時期音楽から離れたんだ。それ以来、自分からやろうと思うと嫌な事を思い出しそうで・・・」

「・・・ごめんね?なんか・・・」

 

表情が曇った一翔を見て、申し訳無さそうに彩が謝るが、一翔から返事は返ってこなかった。

 

「彩ちゃーん!次のお仕事が・・・って、あれ?」

「ごめんごめん!すぐ行くよ!」

 

落ち込む一翔を残し、彩たちは先に次のスタジオへと向かう。

 

「・・・ごめん」

 

 

―――

 

 

「彩ちゃん一翔くんに何かした?」

「え!?い、いきなりどうしたの!?」

 

移動中の廊下で若宮 イヴ(わかみや イヴ)に話しかけられる。先程の光景のことを言っているのだろう、彩も少し動揺してしまう。

 

「なんか様子変だったから、ほら、なんか落ち込んでたからみたいだし・・・」

「いや!なんでもないよ!多分疲れてただけ・・・」

「だといいけど・・・」

 

Pastel*Palettesのメンバーは先にスタジオに入っていく。その後で、フラフラと一翔がゆっくり入ってくる。

 

「・・・一翔さん。調子悪いんでしょうか?」

「後で日菜が声かけようか?」

「いや。私が何とかします。ここは・・・色々経験してきた私の出番ですから」

 

 

―――

 

 

「・・・羨ましい、か」

「羨ましいんですか?」

 

スタジオの端で黄昏てる一翔のところに、休憩中の千聖がやってくる。「隣いいですか」と聞くものの、一翔の返答を待つ前に隣に居座ってくる。

 

「彩ちゃんと喧嘩でもしたんですか?」

「・・・違いますよ」

「でも顔は暗いですよ?」

 

この人には何もかも見透かされてる感じで嫌だ。どこか嫌いで、どこか嫌いになれない所がある。懐かしい・・・誰かに似てる感じが。

 

「・・・良かったらいつか、近いうちに私たちに話してくれないかしら」

「今とは言わないんですね」

「だって嫌がるでしょ?」

 

・・・嫌といえば嫌だ。この話は自分にとってあまりいい話ではないからだ。あまり自分の過去を掘り下げたくない。

千聖との気まずい空気が続く、他のメンバーはどこかへ行ったらしく。隣同士なだけにだいぶ気まずい。

 

この場に空気が読めない人がいないだけでマシ・・・そう思っていた時、こっちに思いっきり走ってくる人がいる。

 

「ねぇねぇ!一翔くん!今度遊ぼうよ!」

「・・・はぁ」

「だめ?お姉ちゃんもいないし!Pastel*Palettesのみんなとお泊まり会するから!」

「ご予定が空いていたら」

 

「やった!」ぴょんぴょん跳ねる日菜さんを他所に俺と千聖は「やれやれ」と言った感じだ。この人のこの元気の良さはどこから出で来るのだろう。そしてこの天然はどこから来るのだろう。俺は男やぞ。

 

もしかしたら俺女?って考えてしまうが俺の下にあるものをしっかりと確認してほっとする。この人は本当に何なんだ・・・。

 

「少し馬鹿らしくなった?」

「ええ。さっきまで考えてたことが馬鹿馬鹿しくなってきましたよ。そうでしたね、あなた方はそう言う人達でしたね」

「ほら一翔くん!行こ!」

 

日菜さんに腕を取られ俺はみんなの所へ、千聖も少し遅れて俺の後を着いてくる。

 

「一翔さん!日本のこともっと教えて欲しいです!」

「あーまた今度ね。ゆっくりいろいろ回ろうね」

「イヴちゃんはモデルの仕事がひと段落したらね!」

「ガーン・・・」

 

 

 

「一翔さん、一翔さん」

「ん?」

「このガンプラ、予選用っすか?」

 

ガンプラの制作が一通り終わり、片付けをしていた時、麻弥ちゃんがガンプラをまじまじを見ながら質問してくる。机には白い翼を纏った白いガンダムが置いてあった。

 

「あー・・・いや。まだコイツの出番じゃないよ。完成してないし」

「これで完成じゃないっすか」

「・・・うん。まだ、まだやることがある」

 

 

それはきっと・・・

 

「俺が俺を断ち切らないといけない。コイツで・・・こいつらと一緒に」

 

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