サモンナイト4 本編後ライがフェア世界に逆行 作:ライフェア好き
感想、誤字脱字報告ありがとうございます。
落ちてきた星は七色に光る卵でした。
その後は落ちてきた卵に皆でわーきゃー騒いだ後、
どうしても気になったわたしが、ルシアンが止めるのも聞かないで近づいて確かめると───。
卵にヒビが入っていき、光を纏った可愛らしい生き物が産まれ出た。
「ピギァ!」
その子と目が合うと、嬉しそうに鳴いて尻尾を振る。
姿と卵から産まれたことに一つ思い当たることがあった。
「もしかして、竜?」
「竜って……あの、すっごく強い召喚獣の?」
この世界、リィンバウムを取り巻くようにして四つの世界が存在していると言われる。
機界ロレイラル、鬼妖界シルターン、霊界サプレス、幻獣界メイトルパ。
ルシアンの言う通り、竜は幻獣界に住まうと言われる召喚獣の一種だ。
「多分そうだと思う、ダメ親父……というかライにも最近聞いたんだけど。
竜は卵から産まれてくるって」
いつかの雑談の時にライから聞いた竜のうんちくを思い出す、
あの人妙に詳しかったので、実は竜マニアなのかもしれない。
「なんだっていいじゃん、かわいければさ。おいで、おいでー♪」
リシェルが竜の子を猫みたいに呼ぶと、翼をはためかせて竜の子が飛び立つ。
「ピイッ♪」
「うわぁ、飛んだ!?」
光をまとった金色の竜が、わたし達の周りをぐるぐると飛び回る。
「かーわいーいーっ! この子オスかな、それともメス?」
「メスじゃないの? 何か顔つきおとなしいし、可愛いってことは」
わたしが第一印象で適当に答えると、竜の子はわたしの胸に飛び込んできた。
「わわっ!?」
慌てて抱きとめると光が霧散し、桃色の可愛らしい竜の姿が顕になる。
「へぇ、こうしてみるとますます竜っぽいね」
ルシアンが興味津々とばかりに竜の子へ手をのばすと、翼のような手を伸ばし返して触れ合う。
「そんなことよりこの子、どうしよう……」
心温まる光景だけど、わたしはこの子をどうするべきかばかり考えていた。
「決まってるじゃない、連れて帰るわよ」
このお嬢様はさも当然とばかりに答える、久々のリシェル理論にわたしはムッとして。
「無理だって、だいたいこの子は捨てられてた訳じゃないのよ!」
思わず大声で言い返し、口喧嘩が始まってしまった。
だから、周囲を囲むようにして迫ってきている奴らに気がつけなかった。
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走りながら、この日何があったかを思い出す。
三人で卵を見つけた後、産まれた竜の子を連れて帰るかどうか揉めたんだ。
その後武器をもった奴らが威圧してきて、オレはムキになって反発し、
結果的に剣を抜き合う戦いに発展する事となった。
(敵が「剣の軍団」や「鋼の軍団」なら命までは取らねぇだろうが、確かあの時は荒っぽい……多分ギアン配下の連中だったはず!)
敵はいくつかのグループに分けられる。
「姫」と呼ばれるエニシアに忠誠を誓う軍団。
鍛え抜かれた兵士達の「剣の軍団」を率いる"将軍"レンドラー、
修理・制作された機械達の「鋼の軍団」を率いる"教授"ゲック・ドワイト、
獣人や魔獣達の「獣の軍団」を率いる"獣皇"カサス。
(カサスは基本暴走させられちまうから、話は通じねぇけど……まだ、話が通じる姫の配下達)
そして、それらをまとめ上げる実質的リーダー
「無色の派閥」と呼ばれる、召喚師の犯罪集団を束ねる大家の一つ。
クラストフ家当主の、ギアン・クラストフ。
その手足は犯罪者、暗殺者で構成されており血も涙もない外道共なのだ。
(逆にこっちはどうしようもない、子供だろうが殺しにくる奴らだ)
今頃はそいつらと相対しているだろう子供たちが心配だ。
(オレの時は撃退出来たけど、この世界でもうまく行くとは限らねぇ。
頼むから、オレがつくまで怪我するんじゃねぇぞ!)
息を切らしながら夜空の下を走り続ける。
子供たちを信じることしか出来ないのが、情けなかった。
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竜の子を抱えたわたしは、妙な男達と対峙していた。
「あなた達誰」
鎧姿で武器をもった兵士らしき出で立ち。
(野盗って感じでもないけど、こいつらの感じの悪さは何……?)
「その竜の子を渡してもらおうか、それは我らの物だ」
威圧的な態度を崩さずに、頭ごなしに命令してくるから、
わたしは思わずカチンと来てしまった。
「説明もなしに渡せ、なんて言われても
はいそうですか、なんてうなずけると思ってるの!」
「そうですよ、僕達も何がなんだか……」
返答に奴らは剣を抜いて来る。
「けっ、剣なんて抜いてどうする気よ」
リシェルが強がるも、顔が強張っている。
だってわたし達はこんな事を経験したこともない、ただの子供だ。
「だからまず説明しなさいって!
理由さえ納得すればわたし達だって……」
「寄越せッ!」
だけど奴らはお構いなしに凶刃を振り下ろしてくる、
狙われたのリシェルだ。
(助けなきゃ……!)
竜の子を抱えたわたしが動くよりも速く、盾を構えたルシアンが間に割り込んだ。
「ねえさんっ!」
片手でリシェルを後ろへ下がらせながら、相手の剣を横へ受け流す。
「ル、ルシアン……?」
「ねえさん、怪我はない?」
「だ、大丈夫よこのくらい! 許さないんだから!」
いつになく頼もしいルシアンに、リシェルは呆然とするも
すぐに持ち前の負けん気を発揮しはじめる。
「ごめんね、すぐに迎えに来るから待ってて」
「ピイッ! ピイッ!」
わたしは腕にしがみついている竜の子を、そっと下し。愛剣を抜いた。
許せない、親友に手を出したのもそうだけど何より許せないのは……
「力ずくで物事を押し通すやり方は最低だって思わないの!」
こんな大人達のやり方に、何より怒りを感じた。
「ちっ、始末しろ!」
男たちが広く散った、どうやら囲んで叩くつもりらしい。
「やれるもんならやってみなさい! リシェル、ルシアン!」
「うん、僕がねえさんと竜の子を守るから大丈夫!」
「まっかせなさい! 家からこっそり持ち出した召喚石を使う時がきたわね!」
わたしは二人を置いて敵の一人へと駆け出す。
狙うのは相手の斜め前、敵が反撃しづらい間合いを保って斬りつける!
「さすがに硬い……、でもっ!」
「これが専門家の召喚術よ! いっけードリトル!」
リシェルが召喚術を使い、大型ドリルを装備した機界の召喚獣を呼び出す。
敵の頭上に呼び出された召喚獣は、一気にドリルと重さで敵を押しつぶして気絶させる。
「あの小娘から叩くぞ!」
リシェルの召喚術の威力を警戒した男たちが、標的をリシェルへと定めるが。
「させないよっ!」
ルシアンの的確なブロッキングにより阻まれ、剣を弾いた後に反撃を的確に当てる。
「ルシアンうまいっ!」
わたしはそのスキを逃さずに、後ろからその男に襲いかかり確実に倒す。
「や、やった。ライさんより遅いからなんとか……」
「けど、流石に相手の方が多いから不味いかも」
連携でうまく減らしているが、それでも敵のほうが多い。
各個撃破を警戒した男たちが集まっている。
「ふふん、わかってないわねーこんな時こそあたしの出番よ」
リシェルが得意げに帽子のつばを指で弾き、杖を掲げる。
「あんた達の魔力借りるわよ!」
リシェルの合図に合わせて、わたしとルシアンがリシェルの召喚石に魔力を込める。
「召喚、チェンボル!」
解体用ハンマーを搭載した機体が現れ、男たちへと振り下ろす。
戦闘用に改造されたハンマーが爆発し皆まとめて吹き飛ばしていった。
「ま、ざっとこんなもんよね」
多少の不利すら強引に押し通す力、それが召喚術。
「ちっ! 出直すぞ!」
形勢逆転された事を悟り、怪しい連中はそそくさと逃げていった。
「いーっだ! 二度とくんな!」
リシェルはまだ腹を立てていて、逃げていく背中に罵声を浴びせる。
「今の人達、一体なんなんだったの?」
「わかんないわよ……」
「ふん、どうせロクデモナイ連中よ」
わたしは疲れてルシアンと一緒に地面に倒れる。
あんだけ魔力ぶっぱなして、まだ元気なリシェルが怖い。
「ピギィ……」
ぐったりしてるわたしへと、竜の子が飛んできてすり寄ってきて思わず抱きかかえる。
「ど、どうしたのかなこの子」
「フェアさんが守ってくれたって、きっと分かってるんだよ」
「ピィッ♪」
ルシアンに言葉を肯定するように、竜は可愛らしく鳴いた。
「ちょうどいいわ、その子はあんたが面倒見なさいよ」
「ふぇっ!?」
驚いて竜の子と目が合う、小さくクリクリしたつぶらな瞳が不安そうに見つめてくる。
「放っておいたら、また悪い奴らが来るかもしれないし……」
「それとも見捨てちゃう気? こんなにあんたに懐いてるのに?」
「ピイィ……」
捨てられちゃうの? と言わんばかりの眼が私の良心を突き刺してくる。
「……もぉ、しょうがないなぁ。ライが居ない今晩だけだよ」
竜の子の頭を撫でると、嬉しそうに鳴いた。
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「……あいつら、凄いな」
オレは星見の丘へたどり着くと、物陰から一部始終を見届けていた。
伏兵を警戒して、もしもの時は助けに行こうとしたがその必要もないみたいだ。
(しかし、あの竜の子……)
コーラルじゃない、アイツの幼生体の姿は碧色の子竜だった。
「桃色の竜だし、アイツじゃないんだな」
この世界に愛する家族が居ないことに落胆するのと同時に、少し安心するオレが居た。
「コーラルに知らない人扱いされたら、いよいよ立ち直れなさそうだしな……」
嬉しそうに三人と一匹で町に向かうのを見届けてから、物陰から出る。
(万が一後をつけられてたりしたら大変だからな、
すぐに襲ってこないとも限らないし……ガキの頃とは言え、オレ達運がよかったなぁ)
昔の幸運を噛み締めつつ、オレは剣を抜いて町の周辺の探索を始めることにした。
もし何があっても、守ってみせると改めて誓いながら。
こちらの世界のパートナーはミルリーフとなりました。
ライとコーラル、フェアとミルリーフの組み合わせですが
リュームも大好きなんですよね、戦闘で一番頼れるのは彼ですしライといつも並べています。