サモンナイト4 本編後ライがフェア世界に逆行   作:ライフェア好き

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PSPから正面絵が復活してくれた夜会話、リシェルのラフすぎる格好に驚いたあの頃。


第14話 夜会話 ライ/???

 夜遅くの自室で、眠れずにいた。

 

「はぁ……」

 

 眠ってる竜の子を撫でながらため息をつく、もう会えなくなるのかもしれないから。

 

(みんなに知られちゃったからね、ルシアンの言う通り、取り上げられちゃったり……)

 

 明日、改めて話し合おうとみんなと別れたあと、ずっと部屋に閉じこもってる。

 あのヒゲの人……将軍が言っていたダメ親父のこともあって、とにかく一人になりたかった。

 

(エリカも一緒なのに、何やってんのよあの人は)

 

 妹の病気を治すために旅をして、わたしを置いていった癖にやってる事が悪者退治なんて……。

 

 どうせまた、好き勝手に剣を片手に大暴れしてるんだろう。

 

 わたしはそのとばっちりを受けたんだし、絶対心配なんてしてやらないんだから。

 

(……明日からが、嫌だな)

 

 ダメ親父の事を考えて、気を紛らわせようとしても駄目だった。

 夜の静けさも合わさって気分が沈んでいると、部屋の扉がノックされた。

 

「フェア、起きてるか?」

 

「ライ?」

 

 扉を開けると、コップを2つ持ったライが立っている。

 

「あんな事の後じゃ、眠れないだろうと思ってな、ほら」

 

 湯気が立ち、甘い香りがするコップを渡してくる。

 

「温めたミルク? それとこの匂い、蜜かな」

 

「当たり、疲れてるときはこういうのに限るだろ」

 

「お前甘いモン好きだろ?」と手を振って出ようとするライの背中を見て。

 

 服の裾を、思わず掴んでいた。

 

「ん、どうした?」

 

「あ、いや、なんでもないっ」

 

(わたし何やってるんだろう!?)

 

 慌てて手を離し笑って誤魔化す。

 無意識にとはいえ、服の裾を掴んじゃうなんてまるで子供みたいな……。

 

 ライは少しの間考え込む素振りを見せてから。

 

「少し部屋に入るぞ」

 

「え、えっ?」

 

 部屋に入ってくると、わたしをベッドに座らせて、

 自分は椅子を持ってきて、向かい合って座る。

 

「おつかれさん」

 

「お、お疲れ様でした……?」

 

 コップ掲げてから一口飲んでみる。

 温かいミルクに、甘い味がじんわりと染み込んでてホッとする。

 

 甘い香りに混じってお酒の匂いがして、ライが飲んでいる物をじっと睨む。

 

「ねぇ、それまさかお酒?」

 

「いいだろ別に、オレだってたまには飲むさ」

 

「おじさんみたいでやだなー」

 

 その時「うげぇ」って言ったライの顔が面白くて少し笑ってしまう。

 

 ……けれど、何を話せばいいか分からなくなって、黙り込んでしまう。

 

「…………」

 

「明日のこと、考えてるんだろ」

 

「えっ……」

 

 たまにだけど、この人は怖いくらいわたしの心の内を当ててくる。

 

「……うん」

 

「お前たちの素直な気持ちをぶつけりゃいいさ、

 グラッドの兄貴も、ミントねーちゃんも、ポムニットさんだって。

 お前たちの意見を蔑ろになんて、したりしない」

 

「……それは、わかってるんだけど」

 

 ちゃんと話せばきっと分かってもらえると思ってる、

 けど、わたしが一番気にしてるのは……。

 

「……親父のことだろ」

 

 驚いて思わず顔をあげる、どこかお父さんに似てるライが困ったように頭を掻いてる。

 

「すごいや、なんでも分かっちゃうんだね」

 

 本当にこの人は不思議な人だ。

 

「たまたまだよ、オレも似たような経験があるしな」

 

「ライが?」

 

 ライが深くため息をつく、ここまで嫌そうに話すのも珍しい。

 

「イヤになっちまうよな、自分で決めたはずなのに。

 結局親父の思うとおり、いいように使われてるんじゃないかって不安になる」

 

 お父さんとよっぽど仲が悪いのだろうか、ちょっとした共通点に少し嬉しくなる。

 

「オレの親父もそんな感じだったんだよ、昔の話だけどな」

 

「そういえば、ライの話って全然聞いたことないかも」

 

 一年くらい前に突然現れた旅人で、凄腕の料理人で剣の腕も立つ。

 あたしが知ってるのは、結局それくらいでしかない。

 

「良い子にしてたらいつか話してやるよ、なんてな」

 

「もうっ、こういう時ばっか子供扱いするんだから」

 

 はははっ、と笑ってからあたしの頭をぐしゃぐしゃに撫でてきて。

 

「今日ぐらいゆっくり寝とけ、朝の仕込みはしておくからさ」

 

 おやすみ、と部屋から出ていくから文句を言う暇もなかった。

 

(ライ……)

 

 気を使ってくれたんだろう、疲れてるならしっかり休めって。

 

(寝坊していいなんて言われたの、一体何時ぶりだろう)

 

 横になったあたしは竜の子を抱きしめる、

 温かい飲み物のおかげか、わたしはすぐに夢へ落ちていった。

 

 ────────────────────────

 

 静かな夜の宿を、一人歩きながら……今日の戦いを思い出す。

 

「やっぱ向いてねぇのかなオレ」

 

 フェアは大丈夫だと、思いこんでた。

 オレと同じなら……そう、思ってしまっていた。

 

 だからアイツが、レンドラーのオッサンにふっ飛ばされたとき、頭が真っ白になっちまった。

 

(まるっきり同じな訳ないのにな、この先が全部オレが覚えてる通りに行く、なんて保証はない)

 

 きっと頭の良いやつなら

 

 いい方法が浮かぶのかもしれないけど……。

 

「あーくそ、どうすりゃいいのか全然わからねぇんだよな」

 

 気に入らないやつをぶん殴ればいいなら、ギアンを殴りゃいい。

 けど、アイツはそれじゃ止まらない、止まれない。

 

 オレとアイツが戦った果てにあったのは、犠牲とエニシアの涙だった。

 

 フェアに差し入れに行ったのは、オレも誰かに相談したい気分になっていたからかも知れない。

 

「オレにできる事って、なんだろうな」

 

 譲れぬ想いをぶつけ合う戦い、その終え方をオレはまだ見つけられていない。

 

(そろそろ寝るか、フェアの代わりに朝の仕込みするって約束したし……)

 

「……ん?」

 

 胸元が淡く光った気がして、首飾りを取り出す。

 

(護りの腕輪が……反応した?)

 

 ────────────────────────

 

「って、えぇーっ!?」

 

 眠った次の瞬間、わたしは夢の中で落ち続けていた。

 どっちが上で、どっちが下なのか。

 落ちているのか浮いているのか、区別がつかない。

 

「なんなのこれぇーっ!?」

 

 巡りましく移り変わる景色、雪原、泉、天空の城、そして花園。

 

 おとぎ話に出てくる妖精の国のような、どこか儚い花園の空を落ちていき───。

 

「きゃん!?」

 

 花畑の中へそのまま落下した……。

 

「あいたた……痛くない?」

 

(もしかして夢だから?)

 

 お尻をさすりながらあたりを見回す、

 キレイなお花畑に圧倒されていると、何処からかすすり泣く声が聞こえてきた。

 

「ひっく……うぅ、ひっく…………」 

 

(泣いてる、近くで誰かが泣いているの?)

 

「おいてかないで……。ひとりぼっちだなんて、イヤだよぉ……あかあさ、ん……」

 

 親に置いていかれて、一人泣いている女の子の声。

 それは、まるで……。

 

(まるで、わたしと同じ……)

 

 思わずわたしは、大声で呼びかけた。

 

「……泣いてちゃダメだよっ!」

 

「だれ……あなたは、誰なの……。どこにいるの?」

 

 まるで花畑全体から聞こえてくるような声に、その子の場所がわからない。

 

「あなたこそ何処にいるの!?」

 

 泣いている子を放ってなんておけない、その一心で花畑を当てもなく走り続ける。

 

「ねぇ、いるのならおねがい……顔をちゃんと見せて! 

 ひとりはイヤ……。私だって、泣いてるだけはもうイヤなの……っ」

 

「待ってて、すぐに! すぐに見つけてあげるから!」 

 

 その時強風が吹き、花が散って巻き上がる。

 まるで花が雪のように降り注ぐ中に、お姫様が見えた。

 儚げで、今にも枯れてしまいそうなお花のような女の子。

 その子に手を伸ばし、伸ばして……。

 

(大丈夫だよって、言ってあげたいんだから!)

 

 ────────────────────────

 

 派手な音を立てながら、わたしはベッドから転がり落ちた。

 

「ピィ……?」

 

 窓からは光が差し込み、竜の子が心配そうにベッドから覗き込んでいる。

 

「……夢から、起きても……落ちるって何なのよぉ」

 

 今度はしっかりと痛かった。




これでようやく本編二話が終わりました、次はデコ天使&鋼の軍団へ
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