サモンナイト4 本編後ライがフェア世界に逆行   作:ライフェア好き

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評価お気に入り、感想ありがとうございます。
気が付かなかった点など、楽しく読ませて頂いてます。
親父が不人気すぎて、あれはもう好きになりますね、逆に。


第15話 竜の子、ミルリーフ

 朝早くに「忘れじの面影亭」に集まったわたし達は、竜の子をどうするべきか話し合いを始めた。

 

「軍団と名乗るからには、いくつかのグループに別れてるのかも」

「この推測が正しいなら、連中の背後には間違いなく指示を出す組織が存在している」

「犯罪組織……ってことですか!?」

「だとすると正直な話、俺の手には余る。

 軍本部に連絡して、然るべき処置を取るべきだと思う」

「是非にそうしてくださいまし!」

 

 ミントお姉ちゃんや、グラッドお兄ちゃん、ポムニットさんは

「竜の子を狙っている危険な連中が居る以上、軍に任せるべき」と常識的な提案をするが。

 

「そんな事をしたら、あの子は一体どうなるの?!」

「帝国軍には、珍しい召喚獣を研究している施設があるって本で読んだんだ。あの子はきっとそこに連れて行かれちゃうんだ!」

「そんなの嫌よ! それじゃ、悪者に捕まるのと変わらないじゃない!」

 

 ブロンクス姉弟は

「軍に任せたら、この子がどうなるかわからない」と竜の子を優先して反発している。

 

「ピィ……」

 

 竜の子は、その間に挟まれて不安そうにきょろきょろしていた。

 

 どちらが正しいのか……。

 (きっと、どっちも正しいんだと思う)

 もしも犯罪集団がこの子を狙うなら、わたし達は力不足で、

 軍を頼るには、至竜はあまりにも貴重な存在。

 

「フェアちゃん、あなたはどうしたい?」

 

「えっ?」

 

「大人に任せたほうがいいって思う? 

 それとも、自分たちでなんとか面倒をみてあげたい?」

 

 ミントお姉ちゃんは、わたしの答えを待っていてくれている。

 グラッドお兄ちゃんも、ポムニットさんも、わたし達を本当に心配して厳しい事を言っているのだ。

 

(わたしの……正直な気持ち)

 

 昨日話したライの言葉を思い浮かべ。

 

「……わたしは、責任を取らなきゃって、思ってる」

 

 わたしは、無責任になりたくなかった。

 

「相手が犯罪組織じゃなくても、この子が至竜じゃなくても。

 わたし達は自分の意思で、あの子を連れてきて、

 無理やり奪おうとする人たちから、護ったから」

 

 自分の行動の責任は、ちゃんと取らなくちゃいけない。

 無責任なダメ親父から教わったら、数少ない教えの一つ。

 

「だったら、その責任を最後までとるのが当然じゃない! 

 都合が悪くなったから、関わるのをやめるなんて。

 そんなやり方、わたしは納得できないよ!」

 

 間で怯えていた、竜の子を抱きしめる、

 こんなにも震えていて、不安そうにしてる。

 

(この子はちゃんと分かってるんだ、自分がどうなるのか分からないって事が)

 

「どうやら、答えは最初から決まってたみたいだね」

 

 わたしに抱きしめられると、安心したように震えが止まった

 竜の子を見た、ミントお姉ちゃんがそう締めくくり。

 

「ズルいですよ、こんなの……これじゃまるで、わたくし達が悪者じゃないですか」

 

 ポムニットさんは不満そうに、だけど認めてくれた。

 

「ありがとう! だからポムニットだーいすき!」

 

 リシェルがポムニットさんに抱きつく、

 それで満更でもない表情になるんだから、似たもの主従だなぁ。

 

「そういえば、そのライはどこに行ってるんだ?」

 

 グラッドお兄ちゃんの疑問に、わたしは「知らないもん」と答えるのでした。

 

 ───────────────────────

 

 朝の仕込みが終わったあと、オレはある所へ向かっていた。

 一人じゃ纏められない頭ん中を、あの人に相談したくなったから。

 

 扉をノックして待つ、この時間には起きてるはずだから。

 

「おや、ライ君じゃないですか」

 

 扉を開けたのは、私塾教師のセクター先生。

 朝食を作るときに、一緒に作った軽食を見せる。

 

「これ差し入れです、それでちょっと……なんていうか、相談に乗って欲しいことがありまして」

 

 …………

 

「すまないねライくん、朝の支度を手伝わせてしまって」

 

「気にしないでください、オレがやりたかったんで」

 

 足が不自由な先生に代わって、一通りの作業を終える。

 古傷のせいってことになってるが、本当は脚の駆動系が駄目になってるらしい。

 

 人を融機強化兵へと改造してしまう、禁断の技術の被害者。

 

 機界ロレイラルの技術には詳しくないが、壊れる寸前ってのはわかる。

 

(先生、本当に命がけだったんだな……)

 

 決死の覚悟で復讐に走り、そして消えていったあっちの先生の事をどうしても考えてしまう。

 

「さて、それで相談事だったかな。

 時間はあるし、ゆっくりと話してみなさい」

 

 軽食を机に並べて、向かい合って座る。

 

(まるで、昔授業を受けてた時みたいだな……)

 

 オレはこの一年間考えていた事を話し始める、

 言えない所は省いて、なんとか要点だけを話していく。

 守りたい人、敵がいること、その敵と和解したいこと、

 暴力で物事を解決したら、ソイツのやり方を認めてしまうことになることも……全部。

 

「……さすがに、突拍子もないですよね」

 

「確かに信じがたい話ではあるね、だけど」

 

 先生は懐かしむような顔をして。

 

「君はフェア君によく似ている、あの子と同じで嘘をつくくらいなら、本当の事を全て話すだろう」

 

 フェアと似ている、それだけじゃないかもしれないけど、

 この人は、オレの話をちゃんと聞いてくれていた。

 

「その君が話そうとしないなら、それは話せない事なんだろうね。

 ライ君が考えを重ねた結果、それでも私に相談がしたいと思ったなら、それに乗ってあげるのが私の務めさ」

 

「セクター先生……」

 

「私が思うに、君はその相手を信じているのではないだろうか」

 

 これは私の推測でしかないが、とセクター先生は続けた。

 

「時間をかけて話せば必ずわかってもらえる、こちらとあちらの要求には妥協点があるはずだ。

 今戦ってしまっているのは、互いに話をしていないから……等とね」

 

 オレは息を呑んだ。

 

 あの戦いの時も、話し合いで終わる可能性はあった。

 エニシアが危険を顧みずにこっちに来た時。

 ギアンの登場により、その芽は潰えてしまったけれど。

 

「だからこそ、その相手と話す機会が作れない自分を責めてしまっているんじゃないだろうか」

 

 騙されてたとはいえ、エニシアは勇気を振り絞ったんだ。

 絶対的な敵と信じ込まされた相手に、無防備にその身を差し出して。

 

「……ありがとう先生、なんとなく見えてきた気がする」

 

「気にすることはない、私にとっては君もまだ子供みたいなものだ」

 

「それは結構キツイな……、自分では大人のつもりなんだけど」

 

 ははは、と笑ってから席を立つ。

 

「失礼します、セクター先生」

 

 私塾から出て、近所の子どもたちに軽く挨拶しながら宿への道を歩く。

 

(一度くらいの失敗が何だ、何回でもやりゃいい)

 

 幸いにも向こうから何度だってやってくるんだ。

 

(次は鋼の軍団だ、気合入れて行くぞ!)

 

 気を引き締めながら宿への到着すると、やけに騒がしい。

 

(何かあったのか? 今は話し合い中だと思ってたけど……)

 

 扉を開けると、こっちに向かってくるフェアと桃色の影が───。

 

「待ってよ、どこいくのミルリーフ!?」

 

「ピギャァ!」

 

 その桃色の影が腹に全速力で突っ込んできた。

 

 体を駆け巡る衝撃と、遅れてやってくる激痛に膝から崩れ落ちる。

 

「ライーーーっ!?」

 

 この世界に来てから、一番痛かった攻撃かもしれない。

 

「ピイィ……?」

 

 悪意なき犯人が、可愛らしく首を傾げた。

 

 ───────────────────────

 

「まぁ、軍と蒼の派閥への報告はとりあえず置いておくとしてだ。

 これから先、どうするんだ?」

 

 今までの話を一度まとめて、グラッドお兄ちゃんが仕切り直した。

 

「そのことなんだけど、提案があって……」

 

(提案ってか、ライに聞いたことなんだけど)

 

 抱きしめてる竜の子の頭をなでながら。

 

「この子が生まれたばかりなら、親が居るはずだし。

 親のところへ、連れて行ってあげればいいんじゃないかなって」

 

 迷子なら、送り届ければいい。

 単純明快で分かりやすい。

 

「あ、なるほど。この子にも家族がいるはずだもんね」

 

「それはいい考えかも、群れに戻れば安心だと思うし」

 

 ルシアンとリシェルも賛成してくれて、大人達も悪くない反応をしてくれた。

 

「じゃあそれまで、フェアちゃんがこの子のママだね」  

 

 素敵な提案と言わんばかりに、ミントお姉ちゃんが手を合わせて笑顔で言ってきた。

 

「アンタしかいないでしょ、今もしがみついてるし」

 

 リシェルが違いないと同意するが、わたしには一つ引っかかる事がある。

 

「いや、ライとかも居るし……」

 

「昨日はライさんにべったりで驚いたよね……」

 

 そう、昨日の戦いのあと。

 何故か竜の子は、ライの背中に飛びついたまま離れようとしなかった。

 

(結局ライがお風呂に入るまで、ずっとしがみついてたからなぁ……)

 

 何やってもこっちに来てくれなくて、わたしは少し泣いた。

 泣いてたら慰めに来てくれたので、やっぱりいい子だと思う。

 

「別にいいじゃない、フェアがママで、ライがパパになれば」

 

「ぶほっ!?」

 

「大丈夫フェアちゃん?」

 

(い、いやいや無い! それはない!)

 

 別にライにそういった感情は一切ないが、年頃の乙女的にそういう括りにされるのはノー! 絶対に駄目! 

 

「おやおやぁ〜? これは怪しい反応でございますね〜?」

 

 ほらぁ、ポムニットさんが悪魔みたいな顔で楽しんでるし! 

 こういう話になるとすぐに反応するんだから! 

 

「そ、そうだよ名前! この子の名前決めよう!」

 

 わたしはなりふり構わず、この子を盾に話題を変えた。

 顔が赤くなってないといいんだけど……。

 

「なら、アンタが決めてあげなさいよ」

 

「一番なついてるもの、この子も喜んでくれるよ」

 

 姉弟からのパスに、わたしはう〜んと悩み始める。

 

(う〜ん、リューム……は男の子っぽすぎるし、コーラル……も何か違う)

 

 じーっと、竜の子を見つめていると、ピーンと閃きました! 

 

「……ミルリーフ。

 今日からあなたはミルリーフよ!」

 

(我ながら、可愛い名前が浮かんだよね!)

 

 みんなも賛成してくれて、ミルリーフ、ミルリーフと騒いでたら、

 急にミルリーフが飛び出して入り口へ向かっていった。

 

 帰って来たライが崩れ落ち、ミルリーフは可愛く一鳴きする事件が起きてしまったものの、

 話し合いは無事にお開きとなった。

 

 ───────────────────────

 

「ああは言ったものの、やっぱりわたくしは心配です……」

 

 宿から出た所で、大人たちの緊急ミニ会議が始まった。

 オレも兄貴に「こっちには参加しろ」と捕まえられた、まだ腹が痛いが我慢する。

 

「とはいて、あいつらの喜びようを見たらなぁ」

 

 兄貴の言葉に、ですよねぇ……とポムニットさんがうなずく。

 

「ごめんなさい二人共、子供たちの真剣さを、

 理屈で曲げてしまいたくなかったんです」

 

「ミントさんが謝ることじゃないですよ!」

 

「そうですよ! こういう苦労は、もうなれっこですし」

 

(オレも昔、この人達にこうやって支えられてたんだな……)

 

 知らずに支えられていた事を改めて知り、今度はオレの番だとハッキリ言葉に出す。

 

「オレも全力で助けるよ、フェアの背中を押した責任は取らないとな」

 

 すると三人が、妙な顔でオレのことを見つめてきた。

 

「な、何だよ。オレ変な事言っちまった……?」

 

「いや、そういう訳じゃないんだが」

 

「何と、いいますか……」

 

「変なところでそっくりですよね、ライさんとフェアちゃんって」

 

「はぁ!?」

 

 妙な居心地の悪さ微妙に納得いかなかった……。




止まれなかった悪役って感じのテーマが意外と重いんですよね4も、
基本的重いサモンナイトシリーズでも、生々しさが強いという印象があります。
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