サモンナイト4 本編後ライがフェア世界に逆行   作:ライフェア好き

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これにて第3話の終わりです。


第19話 乙女の大暴れ!

「たぁっ!」

 

 機械兵器の装甲と剣がぶつかる、鉄が鉄が嫌な音を立て弾かれてしまう。

 

「固ったぁ!」

 

 やっぱり剣だと無茶だなぁ、と改めて思う。

 さっきのお兄ちゃん達みたいにはいかないや。

 

「流石に無茶が過ぎますわよ!?」

 

「ちょっと試しただけだってば! 本番はこれからなんだって!」

 

 やり方を変える、鍛えてきた魔力を剣に込めて。

 

「今度はっ!」

 

 同じように斬りかかる、鉄が引き裂かれて、細かい部品が宙へ弾き出される。

 

(やっぱり、魔力には弱いんだ!)

 

 機械兵器の弱点を見つけ、一度下がる。

 これなら、一点突破で逃げ出すこともできるかも……。

 

(問題は、すっごくすごーく、わたしが疲れる事なんだけどさ)

 

 魔力を込めるんだから、消耗は通常とは比べ物にならない。

 普通に振るう分には問題ない体が、今にも休みたいと悲鳴を上げている。

 

「リビエルっ、今から走って突破を……」

 

「危ないっ!」

 

「きゃっ!?」

 

 さっさと抜け出しちゃおうと提案しようとした矢先、

 リビエルに引っ張られて水車小屋の中に転がるように入る。

 

「発射!」

 

 

 寸前までわたしがいた場所に、銃弾の雨が降った。

 

「あれ、もしかして銃……!?」

 

「ローレットの基本装備ですわ、物陰から出てはいけませんっ!」

 

 こっそり外を覗いてみると、ローレットが自慢げにメガネをクイッとしてる。

 なんか、すごくむかつく。

 

「教授やアプセットの手を借りるまでもありません、私一人で十分制圧可能です」

 

「くっそぅ、こっちにも何かあれば……」

 

 この小屋に閉じ込められてる間にも、機械兵器はどんどん迫ってくる。

 

(危険だけど、やるしか……)

 

 飛び出そうとしたわたしをリビエルが止める。

 

「お待ちなさい、今出ていってはローレットの思う壺、

 チョコレートパフェに蜂蜜と砂糖をかけるような、甘々な考えですわ」

 

 こっちのメガネもクイッってしてる、

 ちょっと、ムッとする。

 

「けど、このままじゃ……」

 

「私にお任せなさい、おいでなさい……ホーリーシープ!」

 

 紫の石、サプレスからの召喚で現れた、もこもこした可愛らしい羊。

 身体を震わせると、光りの星が降り注ぎ、機械兵器を機能停止まで追い込んでいく。

 

「すごい! そのままローレットを倒せたりは……」

 

「しませんわ、流石にここからでは届きませんもの」

 

 小屋にいる限り、ローレットには届かない。

 向こうは撃ち放題なのに! 

 

「卑怯だよ! 銃を置いて来なさいよね!」

 

「これは戦法の一つです、卑怯ではありません」

 

「むむぅ……」

 

 確かに、アプセットと教授って人は戦闘に加わる様子はない。

 あの人たちが来たら勝ち目は本当になくなってしまう。

 

 だから、卑怯ではない……うん、確かに。

 

(でもローレットをどうにかしないと、ここで立て籠もっていても押しつぶされて……)

 

「リビエル、あの光の攻撃、まだ出来そう?」

 

「可能ですけど、あまり乱発は出来ませんわ。

 このままだと、こちらの魔力が先に……」

 

「うん、だから案があるの」

 

 わたしの作戦を聞いたリビエルが「無茶苦茶すぎるわよっ!」と少し怒ったのは納得行かないけど。

 

 ────────────────────────

 

「行きますわよ……えいっ!」

 

 リビエルの召喚を合図に、小屋から飛び出す。

 

「その距離では届きません……、まさかっ!?」

 

 余裕ぶったローレットが慌てて顔を隠そうとするけど、もう遅い! 

 

(距離をどうにかして詰めればいい、だからちょっとだけ相手の気をそらす!)

 

 先程のアプセットの真似、光の目くらまし。

 星の光は、ローレットの目……目なのかな? を眩しくさせたはず! 

 

(この間に近づけば……っ!?)

 

 ローレットの銃口が、こちらを向いている。

 

「生憎と、あなたの運動能力からルートを予測すれば問題ありません」

 

 今にも発射される、その瞬間。

 護りの腕輪が薄く光り、体が軽くなった。

 

「発射!」

 

「いっ……けーっ!」

 

 足に力を込めて、一気に接近する。

 ローレットの弾丸は遅れて、さっきまでの場所に着弾。

 

「なんですって?!」

 

 そのまま飛びついて、銃に変形しているローレットの腕を掴んで組み伏せる。

 

(この子、機械人形だけどあんまり力が強くない!)

 

 ギリギリだけど、わたしでも押さえつけられる。

 

「降参して、もう勝負はついたでしょ!」

 

「そういう訳には、いきません……っ!」

 

 機械人形だからといって、想定される以上に動いたりはできない、

 人間を模してる以上は、関節さえ押さえれば……! 

 

「フェア、避けてぇ!」

 

「え、はぁっ……!?」

 

 顔を上げると、アプセットが腕をドリルに変形させて突っ込んでくる。

 

 慌ててローレットをはなして、距離を取る。

 

「RESCUE……、オネエサマ確保」

 

 アプセットがローレットを庇い、前に立つ。

 これじゃ、さっきとまるっきり逆だ。

 

 そのまま睨み合いを続けていると、教授がゆっくりと近づいてきて。

 

「よくやったアプセット、もうよいローレット。急ぎ撤退の準備をせよ」

 

 ローレットが驚いて教授に振り向く。

 

「教授、ですがっ!」

 

「小娘の迎えが来おったわい、今から戦うにはちと骨が折れるのでな」

 

 教授の指差す方を見ると、機械兵器の群れに飛び込む仲間たちの姿。

 

(来てくれたんだ、みんな……!)

 

 リシェルがこっちに大声で文句を行ってる気がするけど、今は無視しよう。

 後が怖いけど……。

 

「小娘よ、お前中々やりおるな」

 

「戦ってる敵に言われたって、嬉しかないやい!」

 

 教授に向かって舌を出す。べーっだ。

 

「その小生意気な口といい、無茶なことを平然と行う所といい、あの男にそっくりじゃわい」

 

「そんなに似てるかなぁ、お父さんに……」

 

「光学兵器の集中砲火を、剣一本でぶった切って高笑いするのと、

 一瞬のめくらましを頼りに、銃に向かって走り出す。

 どっちも、忘れられんくらいには常識外れも良いところじゃ」

 

 ローレットとアプセットが武器を仕舞い、機械兵器の残骸などを集め始める。

 

 それを見てわたしも武器を仕舞い、教授に向き合う。

 

「今日はここで引いておこう、小娘。

 お前のその、無茶苦茶な戦いに免じてな」

 

「どーも、そのまま諦めたりしてくれないの?」

 

 わたしの返しがそんなに面白かったのか、教授は大笑いして。

 

「はっはっは! 敵に諦めろとはなかなか言うでないか、

 じゃがワシは諦めんぞ、あのお方の……"姫様"の願いの為にもな」

 

「姫様……? あ、ちょっと!」

 

 背を向けて去る教授を追おうとして、足が動かないことに気がついた。

 

 想像以上に、体が限界みたいで、

 そのまま、座り込んで動けなくなった。

 

 ────────────────────────

 

「よっ、無事か?」

 

「大丈夫? ケガとかしてない?」

 

 オレがフェアへ駆け寄ってる間に、

 ルシアンはリビエルを助けに行っている。

 

「迎えに来てくれて……ありが、とぉ……」

 

「おっと」

 

 安心からか、糸が切れたように崩れるフェアを支える。

 

「ちょっと、フェア大丈夫なの?」 

 

 リシェルが心配そうにしているけど、寝てるだけだ。

 

「よっぽど疲れたんだろうな、ミルリーフちょっと背中からどいてくれ」

 

「ピィ……」 

 

「お前の母さんを運ぶからな、我慢するんだ」

 

 ミルリーフがしぶしぶ背中から離れてくれたから、気を失ったフェアを背負う。

 

(……やっぱり腕輪が反応してる、オレの時よりも強く)

 

 オレがいるせいなのか、フェアになにかあるのか、それは分からない。

 

「あのっ」

 

「ん?」

 

 声に振り得ると、リビエルが心配そうに見ていて。

 

「なぜ、フェアがここ居ると……それに、貴方達までなんで……」

 

「決まってんだろ」

 

 考え過ぎで、いらない事まで考えるのはリビエルの悪い癖だな。

 

「心配だったからだよ、オレも皆もな」

 

 宿に帰ろう、晩飯と宿の準備はやってやるか。

 だらしなく寝ている、妹みたいな店主に代わってさ。




次はやっぱり夜会話、この話では夜会話は主人公のフェアをメインにやっていく予定です。
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