サモンナイト4 本編後ライがフェア世界に逆行   作:ライフェア好き

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誤字修正、感想ありがとうございます。
4は主人公と竜の子、どちらも歩み寄って親子になる過程が好きです。
それを見守ってくれる仲間たちも、その日常を守ろうと協力してくれていて……、何人か親切心だけで仲間になる人いるの凄いですねこれ。


第23話 二人目の御使い

 泣きじゃくるミルリーフを抱っこしたまま、オレは宿に向かって歩いていた。

 

(オレが居れば、止められると思ったんだけどな……)  

 

 コーラルの言葉にキレちまったあの時、

 オレは何に怒っていたのか、もう覚えていない。

 

 情けなくて、どうしようもなくて、叫びながら走って逃げたことだけ覚えてる。

 

「ひっく、ぐすっ…………」

 

「よしよし、もうちょっとで宿だからな」

 

 思わず叱っちまった、フェアの顔が頭に焼き付いてる。

 なぜ叱られたのかホントはわかってる、けれど納得が出来ないあの顔。

 

(後で、フォローしなくちゃな……、こっちの泣き虫が先にだけど)

 

 泣くのに疲れてきて、だんだんと大人しくなった幼子の背中を叩きながら、オレは宿の扉を開ける。

 

「お帰りなさいませ、御子さ…………御子さまっ!?」

 

「悪いリビエル、タオルとって来てくれ。

 何があったか、あとで説明するから」

 

 宿で待っていてくれたリビエルに頼んでから、

 ミルリーフを食堂の椅子に座らせる。

 

 温かいものを用意しようとしたら、ミルリーフが服を掴んで離さない。

 

「大丈夫、どこにも行かないから。

 特別にすっげぇ甘くしたミルクを持ってくるからさ」

 

 何度か頭を撫でてやると、ようやく手を離してくれた。

 

 温かくした飲み物を持って戻る時には、リビエルがミルリーフの事を拭いてくれていた。

 

「助かるよリビエル、けど先にミルリーフと話させてくれ」

 

「後できちんと聞かせていただきますわよ」

 

 こちらへの怒りを隠さずに、怒りながら部屋に戻っていく。

 

 大切な御子さまは泣いていて、保護者の片割れがいないってのに後にしてくれるだけ優しいな。

 

「ほらミルリーフ、これ飲んで落ち着こう」

 

 ミルリーフへ飲み物を渡して、オレも席につく。

 

 暫くの間、鼻をすすって居るだけだったけど。

 香りで落ち着いてきたようで、少しずつ飲み始めた。

 

 オレは何も言わずに、じっとミルリーフが話し始めるのを待つ。

 

「……ママ、がね……ミルリーフ、いけないことしたって」

 

 ぽつり、ぽつりと水が溢れるように、少しずつミルリーフが話を始める。

 

「あのね、ミルリーフ……みんながかわいそうで、泣いてる子、助けたくてね……。

 だから、逃したくて……だから……わるくないって、ママに……」

 

 コーラルも守護竜になってからずっと悩んでる事だ。

 強制的に使役される召喚術の、悪しき方面。

 

 一方的に連れてこられ、帰れなくなった召喚獣は大勢いる。

 それがリィンバウムの顔の一つだ。

 

「でも、でもっ。ママに、迷惑だって……。

 ミルリーフ、いいこと、しようとしたのに……、ママには、悪くて……」

 

 召喚獣に対しては、様々な法が整備されている。

 願いは正しくとも、暮らしている世界にとって悪いこと。

 

「ママ……、ママぁ……」

 

 コーラルと違って、子供らしい性格をしているけれど、

 自分の行為の結果を考えられない訳じゃない。

 

 フェアの言葉から、この世界の仕組みを理解している。

 

 それでもコーラルと同じだ、悪いことをしたとは思っていない。

 でも、親に嫌われたくない……その板挟みで苦しんでる。

 

「大丈夫だ」

 

 だから安心させてやりたい。

 

「何がいけなかったのか、お前はちゃんとわかってる。

 だから大丈夫だよ、フェアも帰ってくるから」

 

 大丈夫と繰り返して、ミルリーフを落ち着かせる。

 

「それに、子供の失敗を叱るのも大人の仕事だ、ミルリーフはそのままでいい。

 自分でも、何が正しいのか考えてるのは悪くない」

 

 考え続けた結果、一つの結論に至った子供をオレは見ている。

 

「けど、フェアだってミルリーフの母さんになったばかりで、色々と戸惑っているんだ。

 そこは分かってやってくれ」

 

 それを支える為に、大人になろうとした。

 

「お前が母さんと認めた人なんだ、何があってもお前を捨てたりなんかしない」

 

 兄貴やねーちゃんはすり込み現象なんて言ってたけど、

 この子はもう自分で考えられる。

 

 自分で考えて、この数日の出来事を通して、

 この人なら信頼できる……そう感じて、母さんと呼んだはずだから。

 

「信じてアイツを待ってやってくれ、な?」

 

「…………やだ」

 

「え?」

 

 耳を疑った。

 

「やだやだぁ! ミルリーフ、捜しに行くのーっ!」

 

「だからフェアは戻ってくるって……」

 

「イヤイヤーっ! ママに嫌われたまんまじゃイヤだよぅ……。

 いますぐあやまりたいんだもん……っ!」

 

 今にも飛び出していきそうなミルリーフを抑える、

 この暴走お転婆っぷり、フェアとリシェルを足したみたいな感じだなコイツ!? 

 

「わ。わかった! わかった! 

 オレが探しに行ってやるから!」

 

「パパが……?」

 

「お前は入れ違いにならないように、ここで待ってるんだ、約束だぞ?」

 

「やくそく……」

 

 ミルリーフがようやく大人しくなってくれて一息つく。

 

「そうだ、お前が約束を守ればフェアは帰ってくるから。

 その時に好きなだけ謝ってやれ」

 

「……うんっ!」

 

 小さな頭を撫でて宿を出ると、

 ちょうどリビエルと一緒に、ブロンクス姉弟がやってきた。

 

「あ、ライさん。リビエルちゃんに聞いて……」

 

「悪い三人共、ミルリーフのこと任せた!」

 

 その横を走り抜ける。

 三人はぽかーんと、一瞬呆けたあと騒ぎ出す。

 

「ちょっと、アンタは何処に行くのよ!?」

 

「泣き虫を捜しに行ってくる!」

 

「御子さまに何があったか説明していきなさいっ!」

 

「後でなー!」

 

 後ろから聞こえてくる言葉を全部無視して街へ駆け下りていった。

 

 ────────────────────────

 

 とりあえず、セクター先生のところに行ったあと、母さんの泉に行ってみて……なんて考えていたら。

 

 今最も会いたくない奴に会っちまった。

 

 奇妙なシルターンの格好に、赤い髪。

 そして特徴的な竜の角。

 

 御使いの一人、龍人のセイロン。

 

 御使いの中で最も冷静であり、御使いとしての使命を何に換えても果たそうとする。

 

 たとえ、オレ達と対立することになっても。

 

 いつもなら頼れる男だけど、言えないことが山程あるオレは正直関わりたくねぇ……。

 

「これ、そこな御仁」

 

(このエラっそうな態度も懐かしい……)

 

「なんだよ」

 

「何、我はこの街に疎く、先程童に尋ねたものの、逃げられてしまってな。

 今度はおぬしに尋ねてやろうと考えたわけだ」

 

 はっはっは、と笑った後。

 

「どうやら、おぬしは先の童と知らぬ仲ではなさそうであるからな」

 

(フェアともう会った後? いや、何でこいつは知っているんだ?)

 

 セイロンの気配が、ピリピリと肌を刺す。

 

「童と同じく、竜の魔力らしき気配をまとい。

 なおかつ童と酷似した風貌……関係が無い、とは言わぬよな?」

 

(これは、警戒されている……?)

 

 なぜか分からないが、セイロンか気配が鋭い。

 オレが敵だと思っているのか? 

 

(でも、コイツはこっちのクソ親父にフェアのことを聞いているはず……、オレをその仲間だと思っているなら、どうして?)

 

「竜の子の居場所を、答えてもらおうと思ったのだが……」

 

「ま、まてよ。オレはアンタの敵じゃ……」

 

 そう言いかけて、違和感に気が付いた。

 セイロン以外にも視線を感じる、しかも複数。

 

「……なるほど、ではあちらの客人は関係がないということか」

 

「客人……? まさか!?」

 

 辺りを見ると、武器を持った男たちが距離を詰めて来ている。

 荒っぽく、統率が取れてない動きから軍団の連中じゃない……ってことは。

 

「はっはっは、どうやら我の追手のようだ」

 

 この街まで追い続けてきた、セイロンの追手。

 

「お前っ、ずっと警戒してたのはコイツラかよ!」

 

「左様、おぬしは嘘はついておらぬと分かっている」

 

 不敵に笑い、扇子を広げて顔を仰ぐ。

 

「隠し事は、妹君と同じく苦手なようなのでな」

 

「フェアは妹じゃねぇっての! さっさと蹴散らして誤解を解いてやる!」

 

 武器を取り、呼吸を整える。

 隣に立つ男に教わった、ストラの息吹。

 

 同じ呼吸で息を合わせ、同時に敵へと飛び出した。




次回は若様と泊まり客が大暴れ、キャラも揃ってきてそろそろ本編外の出来事も書いていきたいですね。
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