サモンナイト4 本編後ライがフェア世界に逆行 作:ライフェア好き
ライに頭を冷やせと言われてから、わたしは町をあてもなくふらついていった。
途中やけに偉そうな、ミルリーフを探してる人に出会ったけど無視して逃げたりもした。
今は誰にも会いたくなかった、ミルリーフに酷い事を言ってしまったことを、叱られそうで。
「おや、珍しい。フェアくんじゃないか?」
「あ……、セクター先生」
気がついたら、昔通っていた私塾の前まで来てしまっていた。
「君と顔をあわせるのは、ライくんを紹介してもらった時以来かな」
「そう、だね……」
(世話になった恩師に、こんな時に再会するなんて……どんな顔すればいいんだろう)
わたしの様子を見た先生が、心配そうにして。
「どうしたんだい、元気が取り柄の君にしては、
ちょっと顔が暗すぎやしないかい」
「べっ、べつに!?」
わたしは全力で誤魔化した、理由があまりにも情けないから。
先生にも、あんまり知られたくなくて……。
「ふむ、元教え子の相談を聞くには、私では頼りないかな?」
「そ、そんなこと無いっ!」
そんな事を言われてしまうと、わたしは弱い。
諦めて、全部吐き出すこと決める。
「実は……」
今まであったことを、包み隠さず話した。
先生はすべてを黙って聞いてくれた。
「なるほど」
「信じてもらえないよね、こんな無茶苦茶な話」
自分で話してて、始まりが竜の子を拾ったって何だろうとか思えてきちゃった。
「いや、信じるよ。君がウソで誤魔化したりしないと知っているからね」
君たちは本当に似ている、と先生は呟く。
(わたしが? 誰に似てるんだろう)
「君が気にしているのはその竜の子に対して、自分がとった態度だろう?」
「うん……」
わたしは本当に酷いことを言ってしまった。
あんなに嫌っている、ダメ親父だってわたしにあんな事言ったこともない。
「ついカッとなってあんな酷い事言っちゃったけど。
考えたら、全部わたしが決めてきた事なんだよね……」
あの子は何も悪くない、
わたしが拾って、守ろうと決めて、全部わたしのワガママなんだ。
「わたし、最低だ……」
押し付けてしまったのはわたしなんだ。
このままどっか消えちゃいたいくらいに落ち込み、泣きそうになるのを必死に堪える。
「別にそこまで自分を責めることはありませんよ、人は弱いものだからね」
「えっ……」
先生の言葉で顔を上げる。
「誰だって、つらいことからは逃げ出したいし、
失敗だって繰り返してしまう。私だってそうだからね」
どこか遠くを見る先生の目は、昔のことを思い出しているのかもしれない。
「けどね、君は間違いを改めようって思える人間で、
それを信じて待ってくれている人がいる」
「まって、くれてる……」
「彼が頭を冷やせ、そう言ったなら。
時間さえあれば、君はキチンと間違いを正す努力が出来る人だと信じているからだよ」
(そっか、ライは待っててくれてるんだ……)
ライは一度も、わたしを責めたりしてない、
わたしが勝手に自己嫌悪していただけだ。
思いっきり自分の顔を両手で叩く。
「……落ち込んでたって、
なんにも変わらないままだものね」
頬の痛みを我慢して、無理やり先生に笑ってみせる
「さぁ、元気が出たなら。待ってくれている人の元に行くといい」
「うん! ありがとう先生!」
わたしは宿へ向かって走り出した。
────────────────────────
町中で起こった乱闘騒ぎ、こっちは二人、相手は多数。
召喚術も使えない不利な状況だけど、まったく問題にならなかった。
「ふぉぅ…………、ホアッチャー!」
「あびばっ!?」
喧しい叫び声と共に繰り出され蹴りで、鎧を着た男がふっ飛ばされていく。
元々身体能力に優れた龍人、その上にストラによって強化されるんだからたまったもんじゃない。
「出鱈目な蹴りだぜ……」
「あっはっはっは! そう褒めるでない」
鎧を装備してる男が、どれだけ重いと思ってんだよ。
扇子を片手に涼しい顔してやっちまうんだから、セイロンの実力は本物だ。
「褒めてねぇよ……、オラァ!」
「へぼばだ!?」
不用心に近付いてきた敵の攻撃を避けて、すれ違いざまに柄で殴り飛ばす。
戦う場所がこう狭いと、大剣はちょっと使いづらい。
(昔みたいに色々ぶら下げたほうが良さそうだな……)
「ほぅ、やはりそなたも中々の使い手。
何処かで見た剣捌きにも思えるが……」
セイロンが何かに気が付いたようで、相変わらず怖いくらいに察しがいい。
「死ねぇ!」
「アタァ!」
「ひでぶっ!?」
また一人蹴り飛ばす、まさに一撃必殺。
相手がやられる時に変な声が出るのはなんなんだよ。
「詮索はまたの機会にしよう、降りかかる火の粉を払わねばならぬな」
「巻き込んでおいてよく言うぜ、
その火の粉も、だいたい逃げ出しちまってるぞ」
「おやおや、張り合いのない相手よなぁ」
元々セイロン一人でも十分すぎる程度の相手、
二人で相手すりゃあっという間に逃げていった。
「ともあれ、助太刀ご苦労であったな! はっはっはっは」
「たがら巻き込んだのはテメェ……もういいや」
この態度にまともに相手してたらすっげー疲れる、出会った頃こんなだったなそういや。
「おい、一体何があったんだ!」
「あ、グラッドの兄貴」
乱闘騒ぎに駐在兵士の兄貴が駆けつけてきた。
「また例の奴らだよ、軍団じゃなかったけど」
「なんだって?! すぐにフェア達のところに行かないと……」
その兄貴を止めたのは、偉そうにしてるセイロンだ。
「いや、奴らは我を追ってきたもの共よ。
こうして目的地ついてしまった以上、無理に追撃もすまい」
「なぁ、ライ。この人は何なんだ?」
「話を聞く限り、御使い…………だろ」
(リビエルから聞いておけばよかった……ウソつかなくて済むし)
ほら見ろ、セイロンがオレの事すっげぇ見てるし。
「この人が、御使い……ねぇ」
逆に兄貴はセイロンを疑わしい目で見てる。
胡散臭いもんな、コイツ……。
「その口ぶりからするに、既に御使いがいると見た。
良ければ案内をしてもらえると助かるのだが」
「なぁ、本当に信用していいのか?」
「言うなって、オレも最初はそう思ったんだから」
止めようにも二人だけじゃ勝てる気がしねぇし……。
────────────────────────
わたしは宿の前まで来て、扉を開けるのに緊張していた。
自分の家に帰るのが、こんなに怖いなんて。
(がんばれ、がんばれフェア! わたしはあの子に謝るんだから!)
自分を奮い立たせ、思い切って扉を開けると。
「ママ……っ!」
「わわっ!?」
急に飛び出してきたミルリーフが、わたしに抱きついてきた。
「よかったフェアさん……」
「まったく、アンタのせいでこっちが大変だったわよ」
「ルシアン、リシェルも……」
泣きじゃくるミルリーフの背中を叩きながら、
疲れた顔の幼馴染が面倒を見てくれてたんだと分かった。
「ごめ、なさい……ごめんなさい……っ!
いい子に、するからぁ……ワガママぜったい、言わないからぁ……!」
「大丈夫ミルリーフ、あなたの事キライになったりなんてしてないよ」
「…………ぐすっ、ほんと……?」
こんなに泣いちゃうほど、心配をかけてしまった。
わたしはダメなお母さんだなぁ……。
「うん。謝らなくちゃいけないのは、わたしだもん」
この子は、わたしのことずっと待っててくれたのに。
「酷いことを言って、ゴメンね……許してくれる?」
「うん……っ、ママ大好き……」
「うん……」
それからミルリーフを抱っこして食堂に連れてって、一息ついた頃。
「……あの、ライは一緒ではありませんの?」
リビエルがあたりを見渡してライを探している。
「ライ? 宿にいるんじゃないの?」
「あのねっ、パパがねママを探しに行ってくれたの」
「あっちゃー、入れ違いになっちゃったかな……」
わたしも落ち込んでて、周りを見れてなかったし。
(みんなと一緒に町に行こうかな……)
「はっはっはっは!」
そう考えていると、外からやけに大きい笑い声が聞こえてきた。
「……っ! この、やたらと偉そうで胡散臭い笑い声は!」
リビエルが外に飛び出したのを、みんなで追うとそこには。
「ライ、グラッドお兄ちゃんと…………、誰?」
やけに疲れた顔をした二人と、先程あった胡散臭い人がそこにいた。
「いやぁ、出迎えご苦労」
「セイロン……、貴方って相変わらずですわね」
リビエルが見るからに肩を落とす、嬉しいのか嬉しくないのか……微妙な感じで。
「そう目くじらを立てるなリビエル、それに先程の童も一緒とは。いやぁ、善哉善哉」
「何なのこのいかにも胡散臭い人……」
「御使いの一人、セイロンですわ」
リシェルの正直な感想に、リビエルがメガネを抑えて答える。
ミルリーフに至っては、ちょっと怯えてるくらい。
「で、こちらにおわすのが御子殿なのだな?」
そんなミルリーフの前へセイロンが来たのだから、わたしの後ろに隠れてしまった。
「お初にお目にかかる御子殿よ、
我が名はセイロン、ゆえあって先代に客分として迎えられ、
御使いのはしくれとして、お世話になった者です」
「……」
先程までとうってかわった、真面目そうな自己紹介にミルリーフが顔を出す。
「先代の御遺志によって、御子殿の力となるべく推参いたしました。
微力を尽くしますので。以後、お見知りおき下さい」
「よ、よろしく……」
なんだ、意外と真面目そうで良い人……。
「というわけだ! 以後しばらくは我もおぬしの所に厄介になってやるのでな。
光栄に思うがいいぞ、あっはっはっは!」
………………そんな事はなさそう。
シンゲンさんいいですよね……白い米でずっと味方してくれる男、
次回からかなり物語に改変を入れていく予定です、よろしくお願いします。