サモンナイト4 本編後ライがフェア世界に逆行 作:ライフェア好き
書いてて思ったんですが、本当にそっくりですねこの二人は。
この前の戦いから数日、継承の儀式が行われないまま過ぎていった。
(コーラルの時はすぐにやってたのにな、ミルリーフが女の子だから気を使ってんだろうか)
継承は負担が大きいから、間を開けるってのはいい事なんだろうけど。
そんな事を考えながら、いつもみたいに朝の市場を散歩していると、
何やら争う様な声が聞こえてきた。
「ん、なんか騒がしいな……」
騒動を見に集まった人混みの中へ割って入ると、
旅人向けに保存食を売ってる露店で店主と子供が口論している。
(見ない顔だな……)
「だーかーら! 悪かったって言ってるだろ!」
「悪かったで済むなら、駐在兵士はいらねぇんだよ坊主!
店先に出してた商品、片っ端から食いやがって!」
「しかたねーじゃん! 腹減ってたんだから!」
怒っている店主に対して、噛み付くように文句を言っている青い髪の子供、
いかにもナマイキ盛りって感じだ。
「こうなったら、駐在兵士を呼んでお前の親に払ってもらうとするか」
「なっ、保護者は関係ねぇだろ!」
(……あーくそ、何でかわからんがほっとけねぇ)
何故だかあの子供に自分でもわからないが、妙な親近感を感じて、無視できない。
「おっすおっちゃん、朝っぱらから何してんだ?」
「なんだお前さんか、この坊主が金持ってねぇのに朝の商品をたらふく食っちまったんだよ」
「お前なんだよ! 関係ないだろ!」
(こ、こいつ……)
何でオレにまで牙むいてんだか……。
「オレが出してやるよ。おっちゃんいくらだ?」
「そりゃ構わねぇが、いいのか?」
無理やり代金をおっさんに押し付けて、ガキの腕を引っ張る。
「ほら、こっちこい」
「てめっ、なんだよ!」
強引に市場から連れ出す、その間ずっと喚いていたが、
助けてもらったのだとわかったのか、バツが悪そうに黙り込む。
「ったく、食い逃げしてんじゃねーよ」
「う、うるせぇ! 知らなかったんだよ金がいるなんて!」
「えっ?」
「わ、悪いかよ……」
やけに睨んでくる子供の言葉に耳を疑う。
(また厄介なやつに関わっちまったかな)
あんまりいい予感はしないけど、一度助けちまったら見捨てるのも目覚めが悪い。
「まだ腹が減ってるなら、飯でも食いに行こうぜ」
「……金はないからな」
「ガキから取らねぇよ、かわりに事情は聞くからな」
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飯屋に行ったはいいものの、そこでひどい目にあった。
まずはじめに、メニューを開いたらいきなり破いた。
店員さんに謝罪し、もう一度用意してもらってから。
子供はおっかなびっくり、震える手でメニューを何とか持っていた。
(手先が不器用ってレベルじゃねーだろ……)
この子の奇妙な行動は、これだけで済むことはなかった。
「うめぇ!」
「肉を手で掴むやつがあるか! フォークを使え!」
料理が来たら手掴みで食おうとするので、慌てて止める。
「あっ、わわっ!?」
「何やってんだお前!? すみません、なにか拭くものを!」
木のコップを握りつぶす等、そりゃもう大騒ぎ、
食い終わり頃には、オレはもうぐったりしていた……。
「ふぃー、食った食った♪」
「つ、疲れた……」
満足そうに腹を叩く、どう見ても訳有の子供。
マジでグラッドの兄貴の所に連れて行ったほうがいいんじゃねぇかな……。
「お前、名前はなんて言うんだ?」
「リューム、いい名前だろ。母さんがつけてくれたんだぜ」
何故かすごく誇らしげに言いやがった、気に入ってんだろうな。
「母さん、か……」
(親に捨てられたって感じでもないしな、考え過ぎか?)
リュームについて考え事を巡らせていると、リュームが指差してきた。
「アンタはなんて言うんだよ」
「あぁ、オレはライ。よろしくなリューム」
「おう!」
握手を求めると、元気よく応える辺り悪いやつではなさそうだ。
「っ、いででで!?」
すごい力で握りつぶされると思ったけど。
「わ、悪い……わざとじゃねぇかんな!」
「そのようだな……」
悪意がないのはわかるが、こいつはどうにも……。
「お前、体を動かすの苦手だったりするか?」
「えっ、な、何でそんな事思うんだよ」
「指の使い方、力の加減……他にもいろいろあるが、総じて言えば不器用すぎんだよ」
「うぐ……」
見てて不憫になるくらいだ、一体どういう生活してんだこいつ。
「なぁリューム、話したくないだろうけど、
どんな事情でこの町に来たのか聞いてもいいか?」
「……えー」
「もし話すなら、昼飯もおごってやるよ」
「わかったよ、話せばいいんだろ! 話せば!」
思ったより素直な所あるなコイツ、なんだかガキの頃の自分を思い出すな……。
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リュームの話を聞き終えたオレは、頭を抱えた。
「……つまり、お前の言うことをまとめると。
生まれてからずっと外に出たこともなく、スキを見て家出してきたと」
「家出じゃねぇ、勝手に外に出てるだけだよ」
「それを家出っていうんだよ、ったく」
説明が下手すぎてよくわからんが、とんでもない箱入りお坊ちゃんって事だけが伝わって来た。
「オレだったら絶対に逃げ出してるわ……」
「だろ、だから黙って出てきた♪」
なんかガキの頃のオレとリシェルを混ぜたみたいな奴だな……。
「でも夜には帰るぜ、じゃないと母さんが泣いちまうからさ」
「へぇ、お前ほんとに母さんが好きなんだな」
「う、うるせー! オレが居ないと寂しがって泣いちまうんだよ!」
母親想いのいい所あるじゃんか、
照れくさいのか、顔を真っ赤にして否定するけど。
「母さんはオレが守ってやる、そのためにも外の事を知って。
一日でも早く大人って奴になるんだ!」
母親の助けになりたくて、一日でも早く大人に……か。
「なぁリューム、オレにちょっと付き合え」
「えー、何でだよ。もっと町見てみてぇんだけど」
「お前、絶対に騒ぎを起こすから駄目だ。
それより色々教えてやるよ、つか無理やり教える」
「はぁ……?」
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町外れの森の近くに、文句を言うリュームを無理やり連れてきた。
「はっきり言うけどな、お前は馬鹿力すぎる。
体の使い方をちゃんと知らねぇと、いつか大事な母さんに怪我させるぞ」
「そ、そんなことするわけねぇだろ!」
「いーやするね、絶対する」
制御出来ない力ってのが、一番危ない。
「だから身体の動かし方を教えてやる、一日しかねぇから厳しく行くぞ」
「そりゃ助かるけど、何でそんな事してくれるんだよ」
リュームが不審そうに、オレを睨んでくる。
「生まれ持っちまった力に振り回された経験があるからな、
同じような子供に教えてやるのは当然だろ?」
「当然……」
「さて、とりあえず追いかけっこだ。
本気で逃げても、お前の脚なら追いつけるはずだから手加減はしねぇぞ」
身体能力に恵まれてるみたいだし、オレも訓練したかったから丁度いい。
「オレを捕まえられないくらいじゃ、母さんを守れないぜ」
「っ、やってやるよ!」
こうして、しばらくの間追いかけっこを続けた。
最初の方はすぐにオレを見失っていたが、
何度も繰り返すうちに、オレの動きを真似、走りやすい場所を理解していき。
昼頃には、すっかりオレと並走して森を駆け抜けられるまでなった。
(リュームの奴、思っていた以上にやるな……?!)
「あっははは! 置いていくぞライ!」
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「次はどんな遊びをするんだ?」
「次はこれだ」
動くのが楽しくて仕方ないって顔のリュームに、木の棒を渡す。
「何だこれ?」
「何って、武器の代わりだ」
オレも適当に棒を拾って、何度か振る。
「えー、ぶん殴った方が早いんじゃねぇの?」
「そう言うなら、お前は素手でかかってきな」
「へへっ、手加減しねぇかんな!」
元気よく拳を構えたリュームへ棒を向ける。
結局、リュームの拳がオレに当たることは一度もなかった。
「だーっ、何で当たんねぇんだよ!」
地団駄を踏むリューム、相当悔しいようで。
「そりゃリーチが違いすぎるからな、お前がいくら腕伸ばしても棒より長くならねぇだろ」
「ぐぬぬぬ……」
ふてくされるリュームに棒を手渡す。
「いいから使ってみろって、色々試してみりゃいい」
「……わかったよ」
その後、リュームはすぐに扱いを覚えていった。
運動のセンスが抜群で、教えるのが楽しいくらいだ。
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リュームへの訓練は休むこともなく、日が暮れるまで続けられた。
「もう日も暮れるな、そろそろ帰るんだったか?」
「おう、どうせ誰かが探しに来るだろうしな」
「そっか、遅くなるようなら泊まっていけ……ってのはいらなそうだな」
夕日に向かって背伸びをする、リュームも横で同じように背伸びしてるのが、なんだか面白い。
「なぁ、ライ」
「何だ?」
「アンタくらい強かったら……いや、もっと強かったら。何をしてもいいのかな」
「……」
リュームからの質問に少し考えて。
「昔、何でも力で解決しようとしたやつが居たんだ。
けどそいつは、最後の最後にある間違いに気がついた」
なんだと思う? と、リュームに問題を出す。
「えっと、自分より強いやつが居たとか?」
「大切な人を、泣かせちまってたんだよ」
「えっ……」
リュームが言葉を失う、大切な母さんが泣くのが一番キライな奴だからな。
「ある程度の力で解決するのもいいだろう、大切な人が最後に笑ってくれるなら」
オレ達だって、力で気に入らないやつを殴った、笑顔を守るために。
「けどな、大切な人を泣かせっぱなしにするような、暴力じゃダメなんだ」
ギアンは最後、後悔していたんだ。
「オレ達は、世界の全部を救えるわけじゃない。
けど、目の前に居る人なら救える……、オレはそう信じてる」
コーラルがそう信じた事を、親も信じなくちゃな。
「だからリューム、大切な人を笑わせるために頑張ってみろよ」
生意気なガキの頭をわしゃわしゃ撫でると、すんなりと受け入れられて拍子抜けする。
「……なぁ、また会えるか?」
「なんだよ急にしおらしくなって、似合わねぇぞリューム」
「う、うるせぇ! 別にいいだろ、楽しかったんだよ!」
顔を赤くしてそっぽを向く、こういう所は子供らしいな。
「オレはしばらくこの町にいるよ、あの外れた所に建物が見えるだろ?」
「あのしょぼい建物か?」
「うっせ、あそこに居るから。町に来ることがあったら寄っていけよ」
「……ああ、いくぜ。絶対」
拳をこちらへ向けてくる、期待に満ちた目をして。
「そん時は、オレが飯作ってやる。
今日食わせた店の100倍美味い飯を腹いっぱいな」
その拳に、拳を軽くぶつける。
「ホントかよ!? 約束したからな!」
「ああ、それと……これをやるよ」
訓練のために持ってきた槍を、リュームに渡す。
「お前は槍の筋がいいみたいだしな、子供にはデカイけどお前の怪力なら使えるだろ」
「……いいのか!?」
槍を嬉しそうに眺めるリュームに、オレは満足した。
「おう、うまく使ってやってくれよ。じゃあなリューム」
「っ、またな、ライ!」
こうして、奇妙な子供との出会いは終わった。
疲れたりしたけど、それ以上に楽しい一日の思い出を胸に。
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槍を大切に持ちながら、オレは町からどんどん遠ざかっていく。
「見つけたぞ、竜の子よ」
「リュームだって言ってんだろ、ヒゲのおっさん」
迎えに来たのは、トゲトゲしい鎧のおっさん。
「相変わらず……いや、ますます口が悪くなったか小僧」
「ふんっ、いいだろ別に」
文句は無視してやる。
「まぁいい、姫様がひどく心配している。さっさと城へ戻るぞ」
「……母さん、泣いてないよな」
「馬鹿者が、それを聞くなら最初から外に出るな」
「やだよ、一生閉じ込めておく気満々だろ、ギアンのやろーはさ」
母さんは好きだし、ヒゲのおっさんや、じーちゃん、獣の兄ちゃんは意外といい奴らだと思う。
けど、あの野郎の眼……あの眼だけは、好きになれない。
「なぁ、おっさん。今度剣の軍団の訓練に混ぜてくれよ」
「なんだと?」
「オレ、強くなりたいんだ。母さんを守れるくらい……」
……そして、あの男くらい強くて頼れる男に。
「……いいだろう、ギアンにはこちらで誤魔化してやる。
ただし、我らの訓練に混ざるならば特別扱いはしない」
「上等、オレの身体は丈夫なんだぜ、なんたって」
槍を天高く掲げる。
「至竜のリューム様だからな!」
青の竜は、強さを求めた。
段々と原作から外していっているので、書いてる方も緊張してきました。