サモンナイト4 本編後ライがフェア世界に逆行   作:ライフェア好き

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初回ブレイブクリアを断念した軍団、とても強い……。


第27話 御使い、アロエリ

 オレ達は、日が暮れかけた薄暗い森の中に居た。

 

「ダメだなこりゃ、完全に分断されちまった……」

 

 グラッドの兄貴が、槍を片手に周囲を警戒している、

 

「アロエリさん、だよね。怪我は大丈夫?」

 

 フェアが木に寄りかかって、翼を持つ亜人の身を案じる。

 

「ニンゲンに心配されるほど、オレは落ちぶれちゃいない」

 

 その気遣いを拒絶するようにして、翼を持つセルファン族、

 そして御使いの一人でもある、アロエリはフェアの手を叩く。

 

「ピィ……」

 

 その間で、どちらも心配するように飛んでいる竜の姿のミルリーフ。

 

「おい、不本意なのは分かるけど。今は争ってる場合じゃないだろ」

 

 この状況をどうするかオレは必死に考える。

 

 今この場に居るのは、オレ、フェア、ミルリーフ、グラッドの兄貴。

 そしてアロエリの、たった5人しか居ない。

 

 アロエリの敵意に懐かしさと呆れを抱えながら、オレはこうなった経緯を振り返る。

 

 セイロンの持つ、守護竜の牙による、

 竜としての身体能力を司る継承は無事に終わった。

 

(結局、何で間が空いたのかはわからないままだけどな)

 

 継承の負担を軽減するため、ミルリーフは元の姿に戻り、

 力が定着するまで、变化が出来なくなった。

 

(その後、ミルリーフが遺産の魔力を感じ取ったまではよかったんだけど……)

 

 その後のことは、オレの記憶とは全く違った展開へと変わってしまった。

 

 ────────────────────────

 

 わたし達はミルリーフに付いていって、近くの森までやってきた。

 なんでも、リビエルの時みたいに感じ取ったらしい。

 

「見て! あそこ、誰か戦ってる!」

 

 森の中を進んでいくと、獣の咆哮と共に激しい戦闘に遭遇した、

 弓を持つ亜人が、亜人の集団に襲われている。

 

「む、あれはアロエリか?」

 

「アロエリ?」

 

「御使いの一人で、有翼の亜人セルファン族ですわ。

 弓の達人といえど、あれだけ囲まれてしまっては……」

 

 リビエルの説明でやっとわたし達も飲み込めてきた、

 ってことは、襲っている相手が……。

 

「つまり、あれが獣の軍団ってことね……、みんな行くよ!」

 

「うむ、行くぞ店主よ!」

 

 獣の軍団、セイロンの説明によって判明した第三の軍団。

 幻獣界メイトルパの獣や亜人によって構成されている、戦闘能力だけならば最強の軍団。

 それを率いる獣皇は、あのセイロンが出会ったら逃げろと言う程……らしい。

 

 わたし達はアロエリを助けるため、獣の軍団へと向かっていった。

 

 新手と思ったのか、こちらに向かってアロエリさんが弓を構えるが、御使いに気がついてすぐに下ろす。

 

「セイロン!?」

 

「これだけの敵を相手に、よくぞ一人で戦ったものだ。

 褒めてつかわすぞ、あっはっはっは!」

 

「相変わらずなヤツめ、リビエルも無事だったのか……」

 

「御子さまも無事ですわ、不本意ではありますけど、この方たちに助けてもらったの」

 

「互いを守り合うんだ、治療が済み次第一気に脱出するぞ!」

 

「気をつけて! 魔獣や亜人は人間より力が強いから!」

 

「わかった!」

 

 リビエルによる治療中、グラッドお兄ちゃんの指揮と、ミントお姉ちゃんのアドバイスに従って戦いを始める。

 

「まさか、ニンゲンに助けられただと……!」

 

「彼らは御子殿の味方だ、不本意であろうともな」

 

 後ろでもめてる気がするけど、正直亜人の相手がきつい……! 

 

(力だけなら、レンドラーくらい強い! 振りが雑だから何とかさばけるけど……)

 

 あたしとルシアンは、リシェルたちの召喚術を期待して防御するしかできない。

 身体能力が違いすぎて、正面から切り合うのは難しい。

 

「リビエル、治癒はまだ……うわぁっ!?」

 

 防戦一方の状況に集中力を切らして伏兵に気が付かなかった、

 突然足元を撃たれて、慌てて木の影に隠れる。

 

「今度は一体何だ!」

 

 銃声に全員が反応し、一旦下がる。

 

「この銃撃、まさか……」 

 

 心当たりはある、あいつらの中で銃を持ってるのは。

 

「TAGET確認、奪取ヲ試ミマス……」

 

「挟撃開始、一気に決めますわよ!」

 

「やっぱり! あの子達だ!」

 

 ローレットとアブセットの機械人形姉妹が、

 わたし達の後ろから挟むようにして襲ってきた。

 

「鋼の軍団だとっ!?」

 

 ライが珍しく慌ててるが、無理もない。

 身体能力で勝る獣の軍団、遠距離からの攻撃を得意とする鋼の軍団、

 容赦がない、じわじわと押しつぶされそうだ。

 

「あわわわわ、何で軍団が一緒に来てるんですかぁ!?」

 

「ポムニットさん、前に出ちゃ危ないよ!」

 

「ちょっとこれ、完全に囲まれちゃってない……って、召喚動作よアレ!」

 

 悲鳴を上げるメイドさんを守ってる二人、アブセットの動きにリシェルがいち早く気がついて……。

 

「デカイの来るぞ!? みんな散れっ!」

 

 ライがまだうまく動けないアロエリの腕を掴んで走り出す、

 釣られて、わたしも後を追って駆け出した。

 

 次の瞬間、さっきまでいた場所が巨大な機械で押しつぶされる。

 

 召喚獣の攻撃によって、わたし達はバラバラとなってしまった。

 

 ────────────────────────

 

(運良く合流出来たが、今襲われたらひとたまりもねぇな)

 

 正直、今はかなり危険だ。

 戦闘能力だけなら、包囲を突破することができるかも知れない、

 けど、アロエリとの関係性が今は恐ろしい。

 

(せめて、御使いの誰かが居てくれりゃな……)

 

 無い物ねだりしても仕方ねぇ、

 オレはグラッドの兄貴に、この先の事を相談する事にした。

 

「兄貴、ちょっと見回り手伝ってくれ」

 

「あ、ああ。フェア達は休んで体力を回復させておくんだぞ?」

 

 この中で怪我をしているアロエリと、子供のフェアを休ませることを兄貴は考えてたみたいだ。

 

「わかった、気をつけてね」

 

「ピィ!」

 

 ミルリーフの元気いい声を聞くと、沈んだ状況が少しだけマシに感じる。

 

 少し森を歩き、距離を離したところでオレは話し始めた。

 

「どうすっかな、獣の軍団と同時に鋼の軍団までアロエリを追っていたなんてな」

 

 正直、参ってる。

 

「考えもしなかった、何でアロエリの事をそこまでして追うんだ?」

 

 遺産奪取が目的だとしても、納得がいかない。

 

「何故って、遺産を持っているからじゃないのか?」

 

「向こうは遺産を奪っても、ミルリーフが居なけりゃ目的が達成しないって話だろ。

 だったら、ミルリーフを奪うために戦力を温存していると思ったんだけど……」

 

(つーか、オレの時はそうだったし) 

 

 しかしグラッドの兄貴は、別の考えを持っていた。

 

「俺は不思議じゃないと思うけどな、向こうは遺産の事を知っているんだろ? 

 なら、成竜になるのを阻止するために全力を尽くすのは間違ったことじゃない」

 

「……確かに、継承してない遺産を狙うのもアリか」

 

 向こうはミルリーフが大人になったら負け、まずはそれを阻止するってことか……。

 

「まぁ、今考えても答えは出ないさ。

 それより、これからどうするか考えないか?」

 

「だな、まずは今の位置を確認して……」

 

「ピィィィイイイイ!」

 

「うおっ!?」

 

 すっ飛んできたミルリーフがオレに突撃してきて、袖を噛んで引っ張ってくる。

 

「お、おいどうしたんだミルリーフ」

 

「ピィッ! ピィ!」

 

 こういう時言葉がわからないのは厄介だけど、

 何を伝えたいくらいはすぐに分かる。

 

「もしかして、フェア達に何かあったんだな!?」

 

 グラッドの兄貴の言葉に、ミルリーフは頷くと二人の元へ飛んでいく、

 それを急いで追いかけたオレたちが目にしたのは。

 

「わたしが何をしたっていうのよ!」

 

 ナイフを持ったアロエリの腕を押さえつけるフェアと。

 

「黙れ、先代の仇ッ!」

 

 フェアを殺さんと、殺意をぶつけるアロエリの姿だった。




アロエリさんは初登場刺々しいのに、ドラマCDではすっかりギャグ担当みたいになってていいですよね……。
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