サモンナイト4 本編後ライがフェア世界に逆行 作:ライフェア好き
都合上仕方ないんですけど、遺産は序盤にパパっと集められないと竜の子が戦えないんですよね。
「……うぅ」
(き、気まずい、すっごーく気まずい)
二人が見回りしてくれて、休めるのは有り難いけど……。
「ピィ……」
ミルリーフもオロオロとして、ふわふわ飛んでる。
間違いなく、わたしの事を睨んでる眼には敵意がある。
「あの、そんなに人間が信用ならない?」
「敵以外の何者でもない。
ニンゲンは傲慢で欲深く油断ならない、最低な連中だ」
「……ぅ」
取り付く島もない、アロエリさんが言ってることは分かる。
この前ミルリーフに教えられたばかりだ、召喚獣にとって、この世界は……。
「そうかもね」
アロエリの言葉は、このリィンバウムを取り巻く真実の一つだと思う。
「けど、それとこれとは話が別じゃないかな」
「なんだと?」
飛んでいたミルリーフを手招いて、抱きしめる。
「わたし達は、この子を守りたい。
あなたがどう思おうと、関係なしに」
この子が信じてくれるから。
「その気持ちだけは信じてほしい、
この子を助けるために、一緒にやらなくちゃ駄目だと思うから」
わたしは、アロエリさんを信じる。
「……一つ聞かせろ、何故貴様は戦える。
拾っただけ等という理由では、到底信じられん」
「……いや、まぁ。確かにあるけど」
あんまり言いたくないけど……。
「この戦い、わたしの駄目お……お父さんが関わってるみたいなの、
この子を狙ってる連中と戦ってるみたいで」
「父親、だと……?」
何かを考え込んでるのか、アロエリが俯く。
「うん、冒険者やってて………アロエリさん?」
その時、アロエリの気配が変わったことに気がついた。
「ピギァ?」
反応できたのは、ミルリーフのおかげだ。
「……っ!」
アロエリが腰から抜いたナイフを振り上げた手を、押さえつける。
そのままもつれ込み、地面を転がる。
「わたしが何をしたっていうのよ!」
怪我をしてるからか力がこもってない、亜人といえどわたしが抑えれる程度だ。
「黙れ、先代の仇ッ!」
今にも泣きそうな、アロエリの悲痛な顔が、
とても痛々しくて、胸を締め付ける。
そして足音が聞こえてくると、急に体が軽くなる、
ライがアロエリの腕を掴んで、引き剥がしてくれた。
「落ち着けアロエリ、なにか理由があったことくらい理解してんだろ!」
「離せッ!離せニンゲンがぁ!」
「大丈夫かフェア!?」
「う、うん……」
グラッドお兄ちゃんが起こしてくれて、心配そうにミルリーフがしがみついてくれる。
「正直、理解が追いつかないんだけど……仇って何?」
「オレは見た!里に来た冒険者が、先代の首へ剣を振り下ろすのを!
その娘というなら、貴様に償ってもらう!」
「だから落ち着けって言って……」
お父さんが、この子の親を……。
「親を、殺した……?」
ミルリーフと目が合う、あのダメ親父が、あの顔で、エリカと居るのに、殺した?
ライと目が合う、わたしはどんな顔をしてたんだろう。
「お前らいい加減に落ち着け!
アロエリ、先代はお前の言うニンゲンに殺されるようなやつじゃなかったんだろ!」
アロエリは悔しそうに唇を噛む。
「フェアもだ!確かにあのクソ親父は、どうしようもねえロクデナシだけどな……」
ライがわたしをまっすぐ見て。
「理由もなしにミルリーフの親を殺すような、ヒトデナシな訳ねぇだろ!
クソ親父がそれだけはしねぇ奴だって分かるだろ、フェア!」
何故だか……そのライの言葉だけはすんなり受け入れられた。
「くそぅ、くそーーっ!!」
「待てアロエリっ、兄貴フェアのこと任せた!」
「お、おいっ!?
行っちまいやがった、大丈夫かフェア?」
ライは逃げたアロエリを追って、二人共いなくなってしまった。
グラッドお兄ちゃんに心配されてるけど、わたしは腰が抜けて動けない。
「なんで、ライが……もしかして知ってたの?」
まるで知っているかのように話すライに驚いてしまった、
お父さんの事を話したことはない、仲が悪いってくらいで……。
「……フェア、お前に黙っていたことがある」
「グラッドお兄ちゃん……?」
「ライはお前の親父さんと知り合いらしい、初めてあった時に話してくれた」
耳を疑うような話だった。
「親父さんにお前のことを聞いて、手伝う為に来たんだとさ、
お前と親父さんの仲の悪さを考慮して、黙っといてくれと口止めされてたんだ」
(ライと、ダメ親父が知り合いで……ライは、助けに。
あの、ダメ親父が……わたしのために……?)
次の瞬間、わたしはいろいろと吹っ切れた。
「……なんて」
そう、相手はあのダメ親父なんだ。
「今更思ったりなんかしないわよっ、ばぁーーーかーーー!!!」
ヘラヘラと娘のことを喋るだけ喋ったあと、別に何も頼んでないのがアリアリと目に浮かぶ。
賭けてもいい、絶対にライが頼まれてもないのに来てくれただけだ、うん、絶対そう。
「はやく二人を追おう、グラッドお兄ちゃん!
ミルリーフもしっかり捕まってね!」
「へ?お、おう」
「ピギュゥ……」
わたしの豹変に驚いた二人を引っ張って後を追う、
ダメ親父の知り合いだからってなんだ、ライはライだし、
あいつがミルリーフの親を殺すような人ではない事くらい、わかってるんだから!
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「いい加減、止まれっ!」
アロエリをようやく捕まえられたのは、共同墓地まで走ったあとの事だった。
「離せニンゲンがぁ!」
「御使いがミルリーフから離れてんじゃねぇよバカ!」
コイツが使命を忘れるのも無理はないのかもしれない、
長く続いた逃走の果て、ミルリーフは大嫌いなニンゲンに保護されていて、
自分も助けられ、しかも共闘を余儀なくされた相手は先代を殺した冒険者の娘。
「うるさいっ!先代を殺した薄汚いニンゲン共めっ!」
「このっ………お前もわかってんだろ!」
けど、今はそれどころじゃないんだ。
「先代守護竜が、自害したってことは!」
その言葉で、やっと大人しくなった。
「……うるさい、あいつの父が殺したのは事実だ」
それが最後の意地のようで、消え入りそうな声で反論してくる。
「お前が怒りを感じてるのは、そこじゃないだろ。
もしそうだったら、逃げないでフェアを弓で殺しにいくだろお前は」
ふーっ、と深くため息をついて、服の汚れを払う。
「……それだけ走れるなら怪我は大丈夫だろ、
まだ戦ってる最中だ、はやく合流しに行こう」
「なっ……、それだけ、か?」
「なんだよ、もっと怒り散らして欲しいのか?」
驚いた顔で見るなよ、少し傷つく。
「お前が謝るべきなのはフェアで、怒るべきなのはアイツだ。
ま、アイツもそんなに怒っちゃいないだろうけどさ」
オレよりも優しいアイツなら、尚の事だ。
頭を掻きながら、アロエリへ手を差し伸べる。
「今はミルリーフを助けるために、手を貸してくれ。
弓の名手、御使いアロエリ」
アロエリは何度か葛藤したようで、長い間沈黙したあと。
「……」
その手を取り合う瞬間、剣を抜いて構える。
アロエリもすばやく反応し、弓に矢をつがえる。
「……わかるか?」
「当然だ、信じられないが……奴がこっちに来ている」
睨みつけるは、共闘墓地の周りに広がる林の中。
「獣の軍団、それを率いる最強の長」
聞こえてくる、巨大な足音。
「獣皇だ」
獣の息遣いと共に現れる、
理性を封じられた状態の獣皇カサス。
「ミルリーフはいねぇってのに、何でこっちに来るんだよ!
後ろから援護頼む!」
「オレに聞くな!
不本意だが、前は任せるぞニンゲン!」
たった二人で、最強の敵との戦い。
この世界に来て、初めて明確な死の恐怖を感じていた。
たまに話題に出るダメ親父、本当に話のキーマンではあるんですよね。