サモンナイト4 本編後ライがフェア世界に逆行   作:ライフェア好き

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ゲーム中にとことん絶望したステージ、高低差がいやらしく。
オブジェクトを召喚しないと階段を使わないと行けないのがとにかく厳しい。


第29話 獣の軍団

「さてはて、一体どうしたものやら」

 

 森の中で、男は笑っていた。

 他の五人と逸れたあと、鋼の軍団に追われていた。

 

「何笑ってるのよセイロン! アンタ達だってあの子見つけられなきゃどうしようもないでしょ!」

 

 リシェルに背中を叩かれて、セイロンは肩をすくめる。

 

「お、落ち着いてよねえさん……」

 

「落ち着いてるわよっ!」

 

「でも、ちょっと妙な気はするよね」

 

 ミントが疑問を口にすると、リビエルが不思議そうに。

 

「妙な事、ですか?」

 

「うん、私達を分断してから、

 追いかけてきている鋼の軍団に動きが少ないと思うの」

 

「森の中だからではありませんの? 機界の住人にとっては、好ましくない環境と聞きますし」

 

 確かに追手の動きが鈍い、だからこうして足を止めて休めているのだから。

 

「壁、か」

 

「壁?」

 

 セイロンが何かに気が付き、推測を話し始める。

 

「獣の軍団の破壊力は絶大だ、

 我らを分断さえすれば、片方を必ず壊滅出来ると踏んだのだろう」

 

 分断し、救援に向かわせないための壁の役割、それが今の鋼の軍団とセイロンは考える。

 

「それって、ものすごく大変な状況じゃないの!?」

 

「うむ、捻りがない分実に困る一手であるな、あっはっはっは!」

 

「は、早く助けに行かないとダメじゃないですか!?」

 

 リシェルとポムニットさんの主従が、慌てふためく、

 今までと違って、本気で取りに来ていると感じた。

 

「その通り、しかし鋼の軍団も強敵なのは変わりない。

 我らの体力では一度突破するのが精々だろう」

 

「でも……」

 

「その一度で彼らの場所に辿り着けなければ、私達まで共倒れになりかねませんわ」

 

「……ってことは、相手が追い詰めていきそうな場所を考えなくちゃいけないんだね」

 

 しばらくの間沈黙が続いたが、ある気づきをきっかけに彼らは走り出した。

 

 ────────────────────────

 

 召喚術による攻撃で出来た、機械達の壁の穴をなだれ込む様に全員で駆け抜ける。

 

「抜けたーっ! ざまぁみなさい人形姉妹!」

 

「はしたないよねえさん!?」

 

 自分の機界召喚術が効かない相手に相当鬱憤が溜まっていたリシェルは、

 何処かにいるはずの機械人形に向かって悪態をつく。

 

「足を止めるな、このまま一気に向うぞ!」

 

「ミントさん、大丈夫?」

 

「うん、少し魔力を使いすぎただけだから……」

 

 鋼の軍団突破の立役者であるミントを、ルシアンが支えながらとにかく急ぐ。

 

「着いたっ、あれは……ライ!?」

 

「アロエリさんも居たっ! やっぱり共同墓地だったよ!」

 

「敵の機動力を活かすには、開けた場所で戦いを仕掛けてくる……予想が当たりましたわね」

 

 高台になっている場所に、二人の姿と退治する亜人を確認でき、一つの賭け勝った事に安堵する。

 

「ここからじゃ遠すぎる、亜人達が邪魔で近づけないし……」

 

 近付こうにも、上へ上がる階段には魔獣が集められている、すぐに突破するのは難しい。

 

 しかも、傷だらけのライが戦っているのは……。

 

「あれは、獣皇だと!?」

 

「御子さまが見当たらないですわ、もしかして、もう……」

 

 最悪の事態を想像した次の瞬間。

 

「ねえ、見てもっと上のところ!」

 

「あれは、フェアちゃんに、グラッドさん?」

 

 ライ達を挟むように、全員がこの場に集った。

 

 ────────────────────────

 

「見つけたっ、居たよグラッドお兄ちゃん!」

 

「あれは、亜人に囲まれているぞ!?」

 

 共同墓地にたどり着いてすぐ目に入ったのは、

 亜人に囲まれた状態で奮戦しているアロエリと、

 巨大な敵を相手に苦戦しているライの姿だった。

 

「じゃあ、亜人達を突破しないと助けにいけないのね」

 

 今にも飛び出そうとしてわたしの腕を、グラッドお兄ちゃんが掴んで止める。

 

「無策で飛び出すつもりか!? 数が多すぎるぞ!」

 

「下の方にみんながいるのが見えたっ! 今はライ達に加勢するのが先だよっ!」

 

 あんなに苦戦しているライは見たことがない、

 怪我をしてるのか、動きが鈍く、紙一重で攻撃を避け続けている。

 

(お願い間に合って……!)

 

 ────────────────────────

 

 全身が痛む、一撃受け流すたびに、骨が軋む。

 避け損なっては、肉が切り裂かれ、気が飛びそうになる。

 

(子供の時、こんなにキツかったっけ……、

 あの時は、皆で戦えたからだっけ……?)

 

 獣皇カサス、普段は優しい好青年だってのに、

 狂乱の呪いのせいでこんなにも恐ろしい敵にされちまってる。

 

 避けた拳が墓を破壊する、飛び散る破片が身体を殴るように痛めつけてくる。

 

(まずい、腕が上がらなくなってきた……、せめてアロエリだけでも……)

 

 朦朧とする意識を引き戻したのは、少女の声だった。

 

「こっちよ!」

 

(あれは、フェア……?)

 

 いつの間にこっちへ来たのか、獣皇の後ろにフェアとミルリーフが見える。

 

(これでヤツの気がフェアに逸れて、スキも……)

 

 そう思って、一瞬気を抜いたのがいけなかった。

 

 奴らの目標であるはずの、ミルリーフ。

 それに一切目もくれずに、ヤツはオレとアロエリだけを見ていた。

 

(こいつ、目的は……ミルリーフじゃ、ない)

 

 振り落とされた拳を剣でまともに受け止めてしまい、

 剣が砕け、拳はオレを吹き飛ばす。

 骨が折れる嫌な音が響き、そこで意識を失った。

 

 ────────────────────────

 

「嘘、でしょ……」

 

 亜人達の相手をグラッドお兄ちゃんに任せて、

 わたしとミルリーフはとにかく急いだ。

 

 あの大きい奴の気を引けば、ライと二人で……そう思ったのに。

 

「ライっ!?」

 

「ピィィ──ーッ!」

 

 ライは吹き飛ばされたら墓に叩きつけられて、動かなくなった。

 しかも、相手は尚もライとアロエリの方を向いてる。

 

「こっちみなさいよっ! ライから離れてよっ!」

 

 危険を承知で背中に斬りかかるも、強靭な肉体に刃がほぼ通らず。

 こちらの事を気にも止めない。

 

「お願いだから、やめて……」

 

 ライに向かっていく姿を見ているしか出来ないわたしは……。

 

「まだですわよっ!」

 

 上から聞こえてきた天使の声に、顔をあげる。

 

「応急処置はわたしが! フェアはこれで獣皇をっ!」

 

 飛んでいるリビエルが、わたしに向かって袋を投げてきた。

 受け取って中を見ると。

 

「これは、守護竜の遺産……?」

 

「セイロンからの贈り物ですわ、大事に使いなさい!」

 

 間違いない、継承に使ったウロコと牙だ。

 これを使って、何を………………。

 

「え……?」

 

 あれだけこちらを気にもしなかった、獣皇が。

 こちらへ向かってきた。

 

「ミルリーフ下がって!」

 

「ピギッ?!」

 

 獣皇の攻撃を避けながら距離を取ると、やはりライ達から離れてこちらへ向かってくる。

 

(よくわかんないけど、このまま離れていけば……!)

 

 離れたのを確認して、リビエルはライの元へ降り立った。

 これで、ライとアロエリはきっと大丈夫だ。

 

(みんなは下からこっちに来られない、リビエルは飛べたから例外だし。

 グラッドお兄ちゃんは、後ろの亜人たちを一人で足止めしてくれてる)

 

「……ミルリーフ、お願い」

 

 だからわたし、信じる。

 

「ライを助けるために、力を貸してくれる?」 

 

 遺産の力を、引き継いだ竜の子を、

 今一番パパを助けたいはずの、娘を。

 

「…………ピギャァァァァッ!」

 

 応えるように、ミルリーフが光り輝き。

 再び、人の姿へと変化する。

 

「怖いけど……パパとママの事、絶対助けるもん!」

 

「ありがとミルリーフ、無理はしないでね」

 

「うんっ!」

 

 二人なら、きっと何とかなる。

 剣を握りしめて、わたしは獣皇に向かっていった。

 

 祈りが通じているのか、護りの腕輪が淡く光った気がした。




ここでようやく竜の子がユニットになるのは感動しましたね、変身の使い分けで機動力がすごい。
あとかわいい、すごく可愛い、とても可愛い。
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