サモンナイト4 本編後ライがフェア世界に逆行   作:ライフェア好き

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調子がいいのでさらにもう一本。


第5話 乙女達、秘密のお茶会 【本編前】

 良い香りの紅茶、色とりどりの甘い焼き菓子。

 町外れにある宿屋「忘れじの面影亭」、

 普段は町外れにある事を嘆くばかりだけど。

 こんなお茶会の時には素晴らしい立地に思えてくる。

 

「だーかーらっ! あたしが言いたいのはね、ライがただの旅人ってのがありえないってことよ!」

 

 目の前の破天荒なお嬢様、リシェルが大声で喚き立てて居なければ、だけど。

 

「はぁ……」

 

「ちょっと聞いてるのフェア、あんたの所の客なんだから真剣に聞いてくれたっていいじゃないの!」

 

 あのライが本気で悔しがる、ポムニットさん印の焼き菓子がどんどんリシェルの口に消えていくのを見て、何だか虚しくなってきた。

 

「そりゃ、わたしだって変だと思うよ。

 料理上手すぎるし、剣の腕もすごいと思う」

 

「そう、それよ! きっと貴族お抱えのシェフで護衛も兼ねてたとか! 

 それで貴族の娘と恋に落ち、こんな田舎街まで駆け落ちしたとか!」

 

「リシェル、また本の影響受けてるし……。

 それがあってたとしても、駆け落ちした娘が居ないじゃない」

 

「う……」

 

「おじょうさま、あまり人の事を詮索してはいけませんよ」

 

「ポムニットまでぇ……」

 

 お菓子のおかわりを持ってきたポムニットさんにたしなめられ、お嬢様はようやく止まってくれた。

 

「人には事情がありますから、わたくしとしましても殿方についてあれこれ考えるおじょうさまを見るのは複雑と言いますか……旦那様に知られたら、また叱られちゃいますぅ……」

 

 よよよ、と泣くポムニットさんをみてバツの悪そうな顔で今度はリシェルがいじける。

 

「な、なによ、別にパパに話すわけじゃないからいいでしょ」

 

「でも確かに、オーナーって旅人とかあんまり好きじゃなさそうだよね。

 うちのロクデナシの事毎回引き合いに出すし……」

(反応しちゃうわたしも、わたしだけどさ)

 

 ダメ親父へさらなる呆れを上乗せしながら焼き菓子を齧る、甘くてサクサク! もうサイコーっ! 

 

「じーっ」

 

「ふぉへ。ふへほへ?」

 

 お菓子を楽しんでると、リシェルが妙にわたしの顔を睨んでるのに気がついた。

 

「あんたってさ……確か妹いるわよね」

 

「うん、いるけど何で?」

 

「じゃあさ、お兄ちゃんがいたりしない?」

 

「……?」

 

 リシェルが何を言ってるのかわからずに首を傾げてると、ポムニットさんがポンっと手を叩いた。

 

「もしかして……おじょうさまは、フェアさんとライさんの事をおっしゃってるのでしょうか」

 

「そうそう、今ボケーッと見てたら似てるなーって」

 

「ぶ──ーっ!?」

 

 変なことを言われて紅茶を吹き出してしまった、わたしが? ライと!? 

 

「ないない! わたし長女だよ!?」

 

「生き別れの兄が、修行の果てに妹の店を助けに現れ、しかし妹は兄とは知らずに思い募らせを……きゃー!」

 

「なんでポムニットさんが話に乗っかってるの!?」

 

「さすがポムニット、話がわかるじゃない!」

 

 そんなこんなでワイワイ騒ぎ倒したわたし達は、ある事実に気がついてしまった。

 

「……ってことはあのダメ親父は、息子を放ったらかしにした後、今度は娘を放ったらかしにして旅をしてるってなるんだけど」

 

「うわぁ、あんたのパパだと妙に現実感があっていやね……」

 

「この話、あんまり良くないのかもしれません……」

 

 ダメ親父だと何でもありえそうに感じて楽しくない、こんな時まで呪縛から逃れられないなんて、とほほ。

 

「しっかし、あんたが器用なのは昔から知ってたけど、ライはそれを超えるわね」

 

「どういう事?」

 

「わたくしが町で色々噂を聞いておりますので、護衛のお仕事の際、剣から槍、はたまた銃まで使っていらしたとお聞きしました」

 

「その上料理も凄腕! あたしがパパだったら絶対雇ってるのに」

 

「へー……」

 

 いつか覗き見たライの鍛錬を思い出す、

 無駄なく自然体で楽々と剣を振り回す姿は、確かな強者の証に思えた。

 

「……わたしさ、あのダメ親父に無理やり仕込まれたのもあって。

 そんじょそこらの大人にも負けない! って思ってたんだけどさ」

 

 はぁ、とため息を漏らす。

 

「多分勝てないだろうなぁって、ちょっと思っちゃった」

 

「フェアさん……」

 

「……そういやあんたさ、召喚術も使えるじゃない。

 ショボいけど四属性全部」

 

「え、うん……一応」

 

 リシェルが名案とばかりに悪い顔になる。

 

「だったら召喚術を練習して、男たちをぎゃふんと言わせてやろうじゃない!」

 

「おお!」

 

「この金の派閥の幹部職、機界の召喚師ブロンクス家をしょって立つ、うるわしき紅一点リシェル様にまっかせなさい!!」

 

「おおーっ!」

 

 リシェルに乗せられるようしてわたしも一緒に盛り上がってきた。

 召喚術を真剣に学ぶのもいいかもしれない、万が一に備えてライに勝てるモノが必要になるかも! 

 

「ところでリシェル、その練習につかう召喚石はどうするの?」

 

「そんなの家からコッソリ持ち出すに決まってるじゃない!」

 

 盛り上がる私達を見つめるポムニットさんの冷たい眼差しに、この時気がついておくべきだったのだろう。

 

 この数日後、召喚石の持ち出しは当然オーナーにバレることとなり。

 わたしとリシェルはそりゃもうこっ酷くしかられ倒したのだから……。




この小説でライは戦士型、フェアは召喚型で進めていきます。
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