ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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サブタイで何となく察してる方もいるかと思いますが、今回アレが出ます。


十五話 目覚める力

「何だよ、アレ………」

 

メリエル達も初見の未知の植物型モンスターの出現に困惑し、足を止めてしまう。

その隙を逃さずユーリヤはメリエルから離れ、八雲をリークルか引き離す。しかし、メリエル達にそれを追う余裕はなく、触手のように伸びる蔦を相手にするので精一杯のようだ。

 

「大丈夫ですか!ヤクモさん!?」

 

「………ユーリヤ」

 

「今の内に離脱を」

 

そう言うとユーリヤは八雲に肩を貸して起き上がらせると食料庫の出口を目指す。

 

「させません!」

 

それに気付いたメリエルが邪魔をしようと詠唱を始めると、それまで前衛のヴェルガー達を狙っていた蔦が一斉にメリエルに向かっていく。

 

「なっ!?」

 

「姐さんに手出してんじゃねぇ!」

 

「………っ!」

 

「かってぇ〜………俺のショーテルはともかく、グロンでも切れねぇってどんな強度してんだよ!」

 

「つべこべ言ってないでヘイト稼ぎな!」

 

何とかリークルとグロンがカバーに入るが、他の3人がいくらヘイトを稼いでもメリエルが詠唱をしようとする度に蔦の向かう先はメリエルへと変わってしまう。そのおかげか【呪詛】を受けているユーリヤが狙われる事は少ない。

 

「ヤクモさん、もう少しです!」

 

「っ!?させるかよ!」

 

もう少しで出口という所でリークルが片方のショーテルを投げ、ユーリヤの足に傷を負わせる。その痛みでユーリヤは足を縺れさせ、肩を貸していた八雲ごとその場に転倒する。

 

「ーーっ!?」

 

「ユーリヤ!?」

 

しかも、そのショーテルの刃には毒が塗られており、傷口からユーリヤを毒が蝕む。それを見て八雲の内の何かが軋むような音がした。

 

「………私は大丈夫です、それより外へ」

 

それでもユーリヤは起き上がり八雲を抱え起こそうとしたのだが………その時、ユーリヤの腹部からブスリという音がし、背後の地面から生えた蔦がユーリヤを穿いた。それはいつの間にか出入口を塞ぐように現れた新手の植物モンスターの蔦であった。

 

「ユー……リヤ?ユーリヤっ!?」

 

蔦が抜け崩れ落ちるユーリヤを八雲は痛みを無視して抱きとめるが、穿かれたユーリヤの腹部からは夥しい血が流れ、口からも吐血した血が漏れ、誰がどう見ても致命傷であるのは明らかであった。

 

「ユーリヤ!今ポーションを!」

 

「ヤ、クモさん………ヤクモさんだけでも」

 

「ほら!これを!」

 

「い、え………私はもう」

 

「諦めんなよ!両親の墓参りに行くって約束してただろうが!」

 

必死にポーション等で治療を行おうとするが、ユーリヤの体温はどんどん冷たくなっていく。モンスターも黙ってそれを見過ごすはずがなく、再び蔦で2人を狙うが、八雲が取り出しだ双銃の刃で弾かれる。

 

「邪魔すんじゃねぇよ………このクソ植物がぁ!!」

 

次の瞬間、瞳を血のような深紅に変え、八雲はその蔦を目にも留まらぬ速さでズタズタに切り裂いた。

 

「ウソだろ!?俺達でも傷つけるのが精一杯のあの蔦をレベル1のガキが!?」

 

その光景にリークルは戦闘中という事も忘れて絶句する。それもそうだ。先程まで自分達が必死に攻撃しても浅い傷を着ける事しかできなかった蔦を自分達よりレベルの低い八雲が切り裂いたのだ。

しかし、その間にもユーリヤの命の灯火は消えようとしていた。

 

「ヤクモさん………」

 

「すまんユーリヤ、早くこれを」

 

改めて八雲はユーリヤにポーションを飲ませようとするが、ユーリヤはそれを首を横に振って拒否する。

 

「その……ポーションでは……部位…欠損までは…治せま…せん………」

 

つまり、この場でユーリヤを救う術は無いという事だ。

その事実に顔を歪ませる八雲にユーリヤは自身の着けていたペンダントを八雲に渡す。

 

「……ヤクモさん………これを」

 

「これは?」

 

「母の…形見です………これを……お墓に返し…て……おいて…下さい」

 

「わかった」

 

本当は自分で行きたかった。それがもう出来ないと悟ったユーリヤはせめて形見だけでもと、それを八雲に託したのだろう。それを八雲が受け取ったのを確認すると、ユーリヤは最後に笑みを浮かべた後に眠るように息を引き取った。

そしてその瞬間、八雲の中で何かを抑えていた鎖が引き千切られた。

 

「おい………いるんだろ(・・・・・)?だったら寄越せ、俺に力を寄越せっ!!」

 

ユーリヤの血で濡れた手を胸に当てながら八雲は叫ぶ。すると、八雲の全身に紅い紋様が浮かび、胎動するかのように点滅する。

 

「何なんだよ、それ………」

 

「何よ、それは!?」

 

その不気味な様子を見てメリエル達も八雲の様子がおかしい事に気付く。

 

「いいぜ………寄越せ、寄越せよ、その力を!」

 

次第に強く点滅する紋様が一際強い輝きを放ちそれは孵った(・・・)

 

「■■■■!!」

 

それは双銃をアフロディーテがデータの海から拾い上げた時から双銃に潜み、初めて触れた時から八雲の中で今この瞬間を待ちわびていた存在。それをあの世界(.hack)ではこう呼ぶ………憑神(アバター)と。




さて、ここで一言………
いつからユーリヤがヒロインだと錯覚していた?

実はこの作品のヒロインはまだ登場すらしていません。
ヒロインは後にちゃんと登場するので、それが誰なのか予想しながらお待ち下さい。

八雲が喚び出した憑神については次回で
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