ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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遅くなってすみません。
今回、グロ注意です。


十六話 憑神と末路

ギルドの奥にあるウラノスの祈祷の間。そこでダンジョンを鎮める祈祷を行なっていたウラノスが突然眼を開いた。

 

「ドウシタ、ウラノス?」

 

祈祷中に特に指示が無く眼を開くのが珍しいと全身を黒衣のローブに身を包んだ男女の判別がつかないくぐもった声でフェルズがウラノスに訊ねる。

 

「………これは【神の力(アルカナム)】か?いや、違う………これは【神の力】とは似て非なるものだ」

 

ウラノスが感じたのはダンジョンから【神の力】に似た異なる力を察知した。

 

「【神の力】デハナイ?デハナンダ?」

 

「………判らぬ。だが、ダンジョンが怯えているのは確かだ」

 

【神の力】であればダンジョンはその敵意を全開にしていただろう。だが、ウラノスが感じたのはダンジョンが怯えているという事だけだ。まるで未知の何かに恐れる子供のように。

 

「フェルズ、これの調査を命じる」

 

「バショハ?」

 

「十層だ」

 

******************

 

それはポーンという音*1と共に顕現する。

指先の鋭利な手、2足歩行を前提としない杭のように尖った脚、深紅の眼のような点が3つある頭部と側頭部から後ろへと内側に伸びる1対の角、そして、手に持つ錫杖のような柄をした大鎌、全身真っ白(・・・・・)な例えるなら死神のような異形が気付けばそこにいた。

 

「今度は何なんだよ!」

 

しかし、メリエル達にはノイズ混じりで八雲に視えたり、その異形のバケモノに視えたりと姿が定まらない。

 

「幻覚?いや、それにしては感じる重圧(プレッシャー)がリアル過ぎる………」

 

メリエル達が戸惑う中、最初に動いたのは植物型のモンスターだった。ダンジョンが感じる恐怖がモンスター達に伝達し、八雲が変じた憑神(ソレ)が最も脅威であると認識させたようで、蔦を勢いよく突き刺すように伸ばすも憑神は手にした大鎌で難無くそれを切り払う。それでもモンスターは幾度となく蔦を伸ばすが、蔦は1つとして憑神に触れる事は叶わなかった。

そして、モンスターの攻撃が止むと次は憑神の番であった。その一瞬の隙に憑神はモンスターとの距離を詰め、大鎌でモンスターを地面から刈り取り切り離すとそのまま一瞬の内に大鎌を幾度も振るいバラバラに切り刻んでしまった。

 

「嘘だろ………」

 

「これじゃどっちがバケモノかわかりゃしないよ」

 

その光景に彼らは唖然とするしかなかった。だが、彼らは一刻も早くそこから立ち去るべきだった。

バラバラにされた時にモンスターの中にあった魔石も一緒に破壊されたらしく、モンスターが霧散すると憑神はぐりんと頭だけを話し声がした方………メリエル達の方へと向けた。

 

「えっ?」

 

「何で私達をーー」

 

ヴェルガーが言い切る前にヒュンという音がして何か(・・)がドチャと落ちる。リークルが恐る恐る音がした場所………ヴェルガーがいた場所を見るといつの間にか距離を詰め大鎌を振り切った憑神と腹部を斜めに切られ棒立ちになったヴェルガーの下半身(・・・)と、何が起きたのか判らぬ表情のまま地面に落ちた上半身(・・・)がそこにあった。

 

「ヒ、ヒィイイイイ!?」

 

「待て!リークル!」

 

発狂したリークルが逃げ出す。それを珍しくグロンが大きな声で呼び止めようとしたが既に手遅れで次の瞬間にはリークルの首が宙を舞っていた。

 

「何よ、それ………」

 

次々に仲間が殺されていく光景に顔を青ざめさせるメリエル。

八雲はレベル1ではなかったのか?そもそもその力(憑神)は何なのか?等と考えはするが答えは出ない。ただわかるのはこのままでは自分も殺されるという点だけ。

 

「わ、私は何も悪く無いっ!」

 

「………っ!?」

 

だからメリエルはグロンを憑神の方へと押し出し、自分は逃走しようと駆け出す。

だが、それを許す憑神ではなかった。直ぐ様グロンを大鎌で弾き飛ばすと、メリエルに左腕を向ける。すると、左腕を光る紋様のようなパーツが覆い砲口が目玉のような紋様の大砲のような形へと変貌する。そして、砲口の部分に球状に凝縮したエネルギー弾をメリエルに発射した。

 

「がぁっ!?」

 

弾がメリエルに命中すると、メリエルから光の帯の様なものが抜け出し砲口へと吸われていく。光の帯が抜け切るとメリエルは無傷(・・)で開放されその場に膝をついた。一方、元に戻った憑神の左手には水晶玉のような何かが握られていた。

 

「な、何よ、コケ脅しじゃない」

 

傷1つ無い事に疑問を持たず、メリエルは憑神が何故か追って来ない事に気付かず逃走を再開する………自身の身に何が起きたのかも知らぬまま。

 

「ーーっ!」

 

そこへ先程の一撃は斧剣でガードしたおかげで無事であったグロンが憑神に斬りかかるも、先の一撃で耐久値を大幅に失っていた斧剣が大鎌によって砕かれ返す刃でグロンも胴を真っ二つに両断されて絶命する。

その後、憑神は何故かメリエルを追わなかった。

 

******************

 

「はぁ………はぁ………」

 

憑神が入口側にいた為に食料庫の奥に逃げざる得なかったメリエル。その身体は何故かいつもより疲弊しやすく、あまり走っていない筈なのに息切れを起こしていた。

 

「何よこれ、まるで全身に重りでも着けられたみたいだわ」

 

すると、地面が揺れ下からあの蔦が現れる。

 

「なっ!?まだいたの!?」

 

咄嗟に応戦しようと杖を構え詠唱をしようとするが、何も起こらない。

 

「えっ?そんなはずはっ!」

 

再び別の魔法を詠唱するも同じ様に何も起こらない。そこでメリエルは自身の身に何が起こったのかを察した。

 

「そんな………私の恩恵が失われた(・・・・・・・)とでも言うの!?」

 

そう、憑神がメリエルに行なったのはデータドレインという技で、それによりメリエルは自身の恩恵を改竄・搾取され失っていたのだ。

だが、モンスター達にそんな事は関係無い。むしろ目の前にいる獲物が無力であるのは好都合と言っても良い。

 

「いや………私はまだ死にたく無い!死にたく無いのよぉ!!」

 

伸ばされた蔦を杖で弾こうとするも筋力値が足らずに逆に自身が弾かれ壁に激突するメリエル。そこへ追撃とばかりに無数の蔦がメリエルを襲い、四肢を穿かれ嬲られていく。

 

「私は………私は!」

 

そして、本体の花の部分にある口へと引き寄せられ………

 

「イヤァアアアア!!」

 

そのままモンスターに捕食されその生涯を閉じた。

*1
ハ長調ラ音




メリエルが疲弊しやすくなったり魔法が使えなかったのはデータドレインで恩恵そのものを失った影響でアビリティやスキルが失われたからです。
八雲が変じた憑神はスケィス1stフォームの色違いのような姿のイメージ。
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