ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典 作:ミストラル0
メリエル達がいなくなっても八雲の憑神は止まる事はなかった。食料庫内の食人花も全て根絶やしにし、迂闊にも食料庫に入ったモンスターも関係無くその大鎌で切り刻んだ。
『■■■■■■ッ!!』
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「ん?」
丁度その頃、1人の猪人の冒険者が10層を訪れていた。彼の名はオッタル………フレイヤファミリアに所属する現在オラリオで唯一のレベル7にして【
そのオッタルが何故此処にいるのかと言うと、先日彼の主神であるフレイヤが起こしたとある騒ぎのペナルティで下層への【強制依頼】を受け、その帰り道だったのだ。
「妙な気配がするな」
普段の彼ならば主神のフレイヤへの報告を優先し見過ごしているのだが、何故か今回はその気配が気になり、気配のする食料庫へと足を向けた。
そこで彼が目にしたのは4人の冒険者の死骸と返り血で白いボディを真紅に染めた異形の死神のような
「見ないモンスターだな………新種か?」
すると、オッタルを視界に入れた憑神は突然その手に持つ大鎌をオッタルへと振りかざした。
「ぬっ!?」
突然の攻撃ではあったものの、オラリオ最強の名は伊達ではなく、直ぐに背の大剣を手にして大鎌の一撃を防いだ。
「この力、この階層のモンスターではないな」
防ぎはしたが、その力は中層はおろか下層のモンスターと言われても違和感は無く、上層にいるはずが無いものであった。
「何にせよ放置する訳にはいかんか、ん?」
そう思いオッタルが大剣を構え直すと、憑神の姿にノイズが走り一瞬その
「人だと?」
その人の顔が憤怒の形相であった事や冒険者の死骸等からオッタルはこの
「………惜しいな」
それから数度打ち合いながらオッタルは呟く。おそらくこのまま放置しておけば彼は暴走により力を使い果たし死ぬであろう………それだけに思う。「これだけの力を御する事が出来ればこれは更に成長する」と。
フレイヤの傍役として常に傍に居ながら鍛錬は欠かしていなかったオッタルとここまで打ち合える者等レベル6にもそうはいまい。それはつまり自身が更なる高みへと至る可能性を広げる事にもなる。そう思うと、この冒険者を殺すのは惜しいとオッタルは考えた。
故に………
「死んでくれるなよ?」
背にあるもう一振りの大剣を手にし、全身に闘気を纏わせる。
『■■■■■ッ!』
「ふんっ!」
そして、憑神の大鎌とオッタルの双刃がぶつかり合い、力負けした憑神が食料庫の壁に叩きつけられその身体を粒子のように霧散させながら倒れ元の人の姿に戻った。
「………がっ」
「ほう、意識は残っていたか。手間が省けた」
てっきりそのまま意識を失うと思っていたオッタルだったが、驚く事に八雲は意識を保っていたのだ。
「アンタが、止めてくれ、たのか?」
「まずはコレを飲め」
そう言ってオッタルは持っていたエリクサーを八雲に投げ渡す。何とかそれを受け取った八雲はエリクサーを飲みながら訊ねる。
「コレは?」
「エリクサーだ」
「え、エリクサー!?【
通常の回復薬とは比べものにならないものに驚きつつも、そんなものをアッサリ手渡したオッタルが只者では無いのは八雲にも判る。
「俺の名はオッタル………そうか、先程のアレはアバターというのか」
「はっ?オッタルって【猛者】のオッタル!?」
予想以上のビックネームの登場に八雲も困惑する。
「(何でこんなとこにこんな大物がいんの!?しかも憑神見られた上に負けてるんですけど!?というか、あの人普通に憑神に生身で勝ってるとかバケモンだろ!)」
憑神になっていた時はユーリヤを殺された怒りで我を失ってはいたが、その時の記憶は憶えており、解除された時には不思議と八雲の怒りは鎮まっていた。そこにエリクサーでの回復とあって八雲は正常な思考を取り戻していたのだが………遭遇したのがまさかのオッタルであった事から困惑しているのだ。
「いいか?」
「あっ、はい」
だが、そこでオッタルに声をかけられ一度落ち着く。
「地上まで送ろう、ついて来い」
「わかり………あっ、すみません、1ついいですか?」
オッタルの申し出に頷きかけた八雲はある事を思い出す。
「何だ?」
「1人、仲間の遺体を持ち帰ってもいいですか?」
そう、ユーリヤの遺体だ。幸いな事にユーリヤの遺体は食人花から受けた傷以外に傷は無かった。
「………好きにしろ」
オッタルの許可が出たところで八雲は荷物の中にあった外套でユーリヤを包むとそれをロープで背に結びオッタルの後へ続いて地上へと帰還するのであった。
尚、帰り道ではモンスター達はオッタルの一睨みで逃げ出していった為、戦闘は一切起きなかった。
という訳でオッタルさん登場。
現状での憑神はレベル6相当のスペックがあります。
この作品における憑神の詳しい説明は次回かその次辺りでしようと思います。