ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典 作:ミストラル0
ステータス等は次回に持ち越しになります。
エリクサーで回復こそしたが、疲労や精神的な疲れは残っていた為、八雲とオッタルは最短ルートで地上へと帰還した。
「………オッタルさん、色々とありがとうございました」
地上へ帰還して八雲が最初にしたのはオッタルへ礼を言う事だった。しかし、オッタルは特に礼を言われるような事では無いように何も言わない。
「………お前、名は?」
「えっ?」
その代わりに口にしたのは八雲の名を訊ねる言葉であった。
「あっ、八雲です………アフロディーテファミリアの八雲」
あちらで読んだ神話やオラリオに来てからの噂等からフレイヤファミリアにはあまり目を付けられたくなかったのだが、恩人であるオッタルに失礼だと思い、八雲はオッタルの問いに答えた。
「覚えておこう」
そうとだけ告げるとオッタルはもう用は済んだとその場を去っていった。
「あれがオラリオ最強の冒険者か」
結局、お礼というお礼も出来ず別れてしまったが、零細ファミリアのレベル1である八雲にトップファミリアのオッタルに出来る事等思い浮かばず、「いつかこの借りはちゃんと返そう」と心に誓い、背負っている包みの固定を確認し直し八雲もバベルを後にした。
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「只今戻りました、フレイヤ様」
「お帰りなさい、オッタル。アレンもありがとう、もういいわ」
「はっ」
八雲と別れたオッタルはギルドへの報告を済ませると直ぐに主であるフレイヤの元へと戻った。オッタル不在の間に傍役を任されていたアレンはフレイヤから労いの言葉を受けて下がるが、フレイヤからは見えない角度でオッタルを睨み舌打ちをして去っていく。元よりフレイヤのファンとも言える者達で構成され、お気に入りであるオッタル敵視する眷属も多いファミリアなので別段アレンが特別という訳でも無い為、オッタルは特に気にはしていない。
「それにしても珍しいわね、オッタル。貴方が私以外の何かに興味を持つだなんて」
「申し訳ありません」
「別に怒ってはいないわ。それにあの子………ヤクモと言ったかしら?あの子、面白い色をしているわ」
フレイヤから見た八雲の印象は面白いの一言であった。人間の魂を色で視る事が出来るフレイヤには明るいライム色、その周りを黒紫色の点が回っている様に視えた。
オッタルから聞くにその点の正体はアバターなる未知の力である可能性が高い。
「手を出すのはしばらくやめておきましょう。私も今は
アフロディーテはイシュタルと同じ金星を司る女神ではあれど、イシュタルの方がアフロディーテを嫌っており、同じくイシュタルに敵視されているフレイヤからしたら他神とは思えない存在と言える。その為か欲しいものは何でも手にしてきたフレイヤにしては珍しく敵対したいと思わない女神なのだ。
「あの子に関しては当面は繋がりを維持しておきなさい」
「はっ」
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オッタルと別れた八雲はユーリヤを背負ってガネーシャファミリアのホーム、アイアム・ガネーシャを訪れた。
「ん?ヤクモか」
「シャクティさん………」
そこで見廻りを終えホームへ帰還したシャクティと鉢合わせる。
「お前1人か?………ユーリヤはどうした?」
「………」
「そうか、ついて来い」
その沈黙が答えだと察したシャクティは八雲を連れてガネーシャの部屋へと案内する。部屋に入るとガネーシャがいつもの様に名乗ろうとするも、八雲の様子が変な事に気付き自重した。
「その背の包みはもしや」
「はい、ユーリヤの………遺体です」
ユーリヤの遺体をシャクティに渡し、八雲はダンジョンで何があったのかを説明した。
ユーリヤがとあるパーティーに狙われていた事。そのパーティーに怪物進呈とモンスター寄せの呪詛を使われた事。食料庫にて階層に見合わない未知のモンスターと遭遇し、ユーリヤが殺された事。その後、通りすがりの冒険者に助けられユーリヤの遺体を持ち帰った事。それらを話すと、ガネーシャは苦い顔を、シャクティも顔を歪ませていた。
「怪物進呈か」
「しかも呪詛まで使ってか」
そのやり口の卑劣さはオラリオの治安維持を受け持っているガネーシャファミリアとしては受け入れ難いものであったからだ。
「だが、遺体を持ち帰って来られたのは幸いだな」
「そうだな、感謝するぞ、ヤクモ!」
「………んで」
「ん?」
「何で俺を責めないんですか!?」
ユーリヤを死なせてしまった事を責められない事で不満を爆発させる。
「俺はユーリヤを死なせてしまったんですよ!?なのに何で責めないんですか!?」
「責める、か………」
「思い上がるなよ、ヤクモ」
「え?だって俺はーー」
「冒険者がダンジョンで死ぬのは決して珍しい事では無い。冒険者同士でのいざこざであろうともな」
シャクティの一喝で八雲は言葉の勢いを失う。
「ユーリヤとてその覚悟があってダンジョンへ潜っていたのだ。その覚悟まで侮辱する気か?」
「………」
「そもそもダンジョンで死んで遺体が無事に地上まで帰って来れる事が珍しいのだ。それを感謝せど、責める理由は俺には無い!」
シャクティとガネーシャの言葉を聞き、自身の思い上がりを自覚した八雲は安易に責めてもらおう等と考えた事を恥じる。
「ユーリヤからダンジョンに潜る理由も聞いているのだろう?」
「はい」
「ならばこれを持っていってやってくれ」
そう言ってシャクティは八雲にペンダントを手渡す。
「これは………ユーリヤが着けてたペンダント」
「そうだ。それはあの娘が母親に貰ったものなのだそうだ。それをあの娘の代わりに連れて行ってやれ」
「はい………」
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その後、ガネーシャとシャクティに礼を告げて八雲は自身のホームへと帰還した。
「あっ、八雲!お帰りなさい………あれ?ユーリヤちゃんは?」
それを一足早く帰っていたアフロディーテが迎えるが、ユーリヤがおらず、八雲の表情が暗い事から何かがあったのかを察する。
「八雲、何があったの?」
「実は………」
八雲からユーリヤの一件の話を聞くと、アフロディーテは無言で八雲を抱きしめた。
「そっか、ユーリヤちゃんが………」
「………俺がもっと強ければなんて思い上がりなのはわかってる………それはわかってるだけどさ」
シャクティに諭されて八雲もそこは頭では理解している。だが、気持ちの方はどうにもならない。
「強くなりたい………大事なものをもう二度と失わない為に」
両親に兄妹に親友、そしてユーリヤ………それらが失われた時、八雲は何をする事も出来なかった。だからこそ八雲は渇望した………それに抗う力を。
という訳で次回はステータス更新になります。
その次くらいから新章です………それでも原作スタートはまだ先なんですけどね。