ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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二話目です。
早速ダンジョン………ではなくサブタイトル通りあの神と接触します。
あと、感想にて「アフロディーテは既に降りてきてるはずでは?」と指摘があったので補足しますと、八雲が地上に来たのは原作の四年前くらいです。



※尚、作者は原作小説読んで、アニメ見た程度の歴の浅い読者なので特典小冊子とかで記載されてるもの等は全く知識がございません。ですので、指摘事項がありましたら記載されていた詳しい情報又は情報源等も教えていただけると幸いです。


二話 オラリオとガネーシャ

オラリオに到着した八雲達が真っ先に向かったのはダンジョンの管理を担っているギルドだった。まずはギルドにファミリアとしての登録、そして八雲のの冒険者登録をしてしまう為だ。

 

「はい、これでアフロディーテファミリアと八雲さんの冒険者登録が完了しました」

 

「ありがとうございます」

 

「それにしても君は変わってるね。普通の冒険者なら初心者講習なんてそこそこにダンジョンに行きたがるんだけどね」

 

「死にたいんですか?そいつら」

 

実は八雲は登録の合間にギルドの担当者から初心者講習を受けていたのだ。初心者講習とは、ダンジョンの基礎知識からダンジョンの上層のモンスターについて等を教わり、最後に筆記試験でその理解を深めるものだった。ダンジョンは常に生きるか死ぬかの場所。そんなところにろくな準備(装備や知識)をせずに挑む等、最早自殺願望者かと八雲は呆れる。尚、新興ファミリア等のファミリアからの支援等の無い冒険者にはギルドから装備の支給があるのだが、これがナイフ一本と最低限度のレザーアーマーだけというのだから、この初心者講習は馬鹿には出来ない。

 

「エイナ……同僚が『冒険者は冒険するべからず』ってよく言ってるんだ。この冒険っていうのは命を賭けるような事って意味だよ」

 

「安全マージンをとって堅実にやれってことか………」

 

「レベルアップには相応の試練が必要だけど、君はするべき無茶としなくてもいい無茶は履き違えちゃダメだよ?」

 

「わかりました………あっ、そうだ。ちょっと聞きたい事があるんですが」

 

******************

 

一方、アフロディーテは八雲が初心者講習を受けている間に旧知の神であり、ダンジョンの管理を任されている神・ウラノスと面会していた。

 

「お久しぶりです、ウラノス」

 

「アフロディーテ、まさかお前が下界に来ようとはな」

 

「ちょっと事情がありまして」

 

「あの眷属の事か?」

 

「はぁ………やはり貴方には隠し事は無理ですよね」

 

元よりウラノスには全てを話すつもりでいたアフロディーテは八雲を過って殺してしまい、眷属としてこちらに連れて来た事を説明する。

 

「よもや上位世界から人の子を連れて来るとは………まあよい、視たところ恩恵以上に過度な力は与えておらぬようだし、此度は不問としよう」

 

「ありがとうございます」

 

「こちらでは天界のような騒ぎは起こすで無いぞ?」

 

「それは大丈夫かと………だって、八雲を見てるだけで退屈はしなさそうですもの」

 

ウラノスの忠告にそう笑みを浮かべて返し、アフロディーテはウラノスの祭壇を去っていった。

 

「全く、あれも変わらぬな」

 

******************

 

ギルドでの用を済ませた八雲達が次に向かったのはとあるファミリアが管理する闘技場であった。何故こんなところに来たのかというと、先程八雲がギルドの職員に「何処か戦闘訓練が出来る場所はありますか?」と訊ねたところ、ここを紹介されたからだ。

 

「おっ、来たな!」

 

入口で八雲達を出迎えてくれたのは象の仮面を着けた筋肉質の男………いや、男神と呼んだ方が正しいだろう。

 

「お久しぶり、ガn「そう!俺がガネーシャだっ!」………相変わらずね、ガネーシャ」

 

アプロディーテの言葉に被せるように名乗ったこの男神こそ、この闘技場を管理するガネーシャファミリアの主神・ガネーシャである。

 

「久しぶりであるな!アフロディーテ!して、そこの男子が例の眷属か」

 

「は、はい………八雲といいます」

 

「ヤクモか!俺は!ガネーシャ!この闘技場を管理するガネーシャファミリアの主神をしている!」

 

言葉を発する度にマッスルポーズをとり、大声でアピールするガネーシャに八雲は苦笑しつつも握手を交わす。

 

「早速で悪いのだけど、闘技場を使わせてもらって構わないかしら?」

 

「うむ!ギルドより話は聞いている!ダンジョンに挑む前に自身の力量を正しく把握しておこうというヤクモの心掛けには感心した!」

 

「あっ、ガネーシャ様、模擬戦用の武器か何かがあれば貸していただきたいのですが」

 

「模擬戦用の武器?構わぬが何故だ?」

 

「ギルドではナイフを支給されましたが、せっかく機会ですので、今後使う武器を決めるためにも一通り使ってみたいと思いまして」

 

「ということはヤクモは複数の武器の心得があるという事だな?」

 

「はい、昔兄貴……兄に仕込まれまして」

 

「わかった!一通り用意させよう」

 

******************

 

「はっ!やっ!せいっ!」

 

その後、ガネーシャファミリアの団員に案内され闘技場の中に入った八雲はいくつかの武器を手に取り、実際に使ってその感覚を確めていた。恩恵を刻まれた事による身体能力の上昇に身体を慣らすのに少しかかったものの、感覚を掴んでからは模擬戦用の武器を次々と手足のように使い始めた。

 

「ほう、あれだけの武器を使いこなすか………良い眷属を見つけたな、アフロディーテ」

 

「でしょ?」

 

それを観客席で見ていたアフロディーテとガネーシャ。しかし、見ていたのは二神だけではなかった。

八雲が長槍と短槍のニ槍流という何処かの槍兵のような事をしていると一人の男が現れた。ガネーシャと似た象の仮面を着けていることからガネーシャファミリアの一員であるのは間違いない。

 

「よぉ、相手のいない演舞だけじゃ物足りないだろ?俺が相手になってやるぜ!」

 

そして、その男は手に持つ模擬戦用の大斧を八雲に振るう。

 

「おっと!」

 

その一撃を後ろに跳んで躱す。

 

「ザメル!何をやっている!?」

 

「だから相手がいた方がいいと思って名乗り出てあげたんじゃないですか!武器だってほら、ちゃんと模擬戦用の物ですって」

 

八雲に武器を向けた団員・ザメルにガネーシャから八雲に模擬戦用の武器を運んできたガネーシャファミリアの団長であるシャクティ・ヴァルマが叫ぶも、ザメルは聞き入れる様子が見えない。ところが………

 

「構いませんよシャクティさん、俺も丁度相手が欲しかったところですから」

 

八雲は丁度良かったとばかりにザメルに槍を向ける。

 

「しかし!」

 

「そいつの同意も得られたことだし、団長は黙っててもらおうか!」

 

実はこのザメルという男、近々レベルアップしてレベル2になれるのではないか?と噂されている男なのだが、最近は見ての通り調子に乗っており、自分より弱い(と思われる)者に対して傲慢に振る舞う姿がよく見られていた。

そんなザメルはたまたま闘技場で武器を振るう八雲の姿を見つけ、様々な武器を振るい調子に乗る(ザメルにはそう見えた)八雲に現実を教えてやろうと乱入してきたのだ。

 

「冒険者の先輩として現実ってやつを教えてやるよ!」

 

「そいつはありがたい事で‥………俺は今日冒険者登録したばっかりでね、色々教えてくれよ、セ・ン・パ・イ」

 

対する八雲はそんなザメルの思惑を察していながら挑発するような発言をする。

 

「舐めるな!」

 

八雲の挑発に乗ってしまったザメルは大斧を振り回し八雲を攻撃するも、長槍で大斧の柄を弾いて逸さしたり、紙一重で躱され続ける。

 

「おいおい、教えてくれるんじゃなかったのか?センパイさんよ?」

 

「き、貴様っ!」

 

更に挑発を重ねる事で八雲はザメルから判断力を奪っていく。

 

「そら、動きが単調になってんぞっと」

 

そうして生まれた隙を見逃さず、八雲はザメルの鳩尾に短槍を捻りを加えて突き入れる。

 

「ごはっ」

 

それでもレベルアップ間近と言われるだけはあり、何とか踏み留まるザメル。

 

「まだやれんだろ?センパイ?」

 

******************

 

一方、観客席でこれを見ていたニ神は八雲の奮闘ぶりに関心していた。

 

「ヤクモのやつ、やるではないか」

 

「元から人間離れしてるのは知ってたけど、ここまでとはね」

 

その後、八雲が長槍で大斧の柄を絡めとって手放させ、残った短槍を喉元に突き付けた事でザメルはようやく負けを認めた。

 

「ザメルのやつも最近少し調子に乗っていたからな!良い薬になっただろう!」

 

それを見てガネーシャはガハハと笑い、ふと気になった事をアプロディーテに訊ねる。

 

「ところで、お前達は住むところはどうするんだ?」

 

「あっ」

 

そう、アフロディーテはオラリオでは新参の神。当然オラリオに拠点等持っているはずも無い。

 

「当面は眷属はヤクモだけなのであれば場所は貸すが」

 

「お願いします!」

 

******************

 

片付けを終えて八雲がアフロディーテに合流すると、シャクティの案内でオラリオの北西区の片隅にあるボロボロの建物が並ぶ場所を訪れていた。

 

「まるで廃墟だな」

 

「冒険者達のいざこざ等でこのようになり放置された場所だ。この区域は我々ガネーシャファミリアとヘファイストスファミリアが管理を任されている土地の境界でな」

 

「ヘファイストス………鍛冶を司る神でしたよね?」

 

「ああ、オラリオでは街の中心にあるバベルに店を構えている」

 

バベルとはオラリオのダンジョンの上に作られた天にも届くような巨塔の事で、地下にはダンジョン、塔の下層にはヘファイストスファミリアを始めとした商業系ファミリアの店等があり、その上層には神々の居住区もあるのだと言う。まあ、大抵の神はファミリアの拠点を住処としているそうだが。

 

「着いたぞ、ここだ」

 

案内されたのは乱闘騒ぎでもあったかのようにボロボロになった一軒のバーのような建物だった。

 

「昔は酒場だったのだが、訳有って住人がいなくなり賊の溜まり場になっていたのを我々が接収した建物だ」

 

「なるほど、賊がまた来るかもってことで買い手が付かなかったんですね」

 

「それと街の中央への行き来も不便とあってな」

 

「外壁の方が近いもんね」

 

「一応、最低限の補修は済ませてはあるが、何か不都合があれば我々に連絡してくれ」

 

「何から何まですみません」

 

「なに、ザメルの鼻っ柱を折ってくれた礼だと思ってくれ」

 

そう言うとシャクティは他のファミリアの団員に運ばせた荷車から積荷を建物の中に降ろすとそのまま見回りがあると去っていった。

 

「ガネーシャに大きな借りが出来ちゃったね」

 

「ですね」

 

ガネーシャは「管理に困っていた土地だから気にするな!」と言っていたが、八雲とアフロディーテからすれば無駄に宿代を浪費しずに済んだのは僥倖と言えた。

 

「ここのローンに生活必需品を揃えたりとしばらく大変だと思うけど、頑張ろうね、八雲」

 

「ええ、道を覚えがてら明日は買い出しに行かないと」

 

そう言って財布を見るが、財布には最初にアフロディーテが売った宝石から得たお金(ヴァリス)が最低限の生活必需品と数日分の生活費ぐらいしか残っていなかった。

 

「こりゃ、ダンジョンでの稼ぎ以外にもギルドの依頼とか探した方が良さそうだな」

 

多くの冒険者が大手のファミリアに入団する気持ちが少しだけわかった八雲だが、しばらくはこんな生活も悪くは無いかな?と思うのであった。




次回はちゃんとダンジョンアタックします。
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