ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典 作:ミストラル0
少し時間は遡り、八雲がダンジョンにてヘルハウンドと戦闘を繰り広げていた頃。彼の主神であるアフロディーテは悩みを抱えていた。
「………今日で11日だよ」
あのユーリヤが死に、宝物庫というレアスキルが発現してからというもの、八雲はその利便性を最大活用してダンジョンに籠もって戦闘を繰り返す日々を過ごしていた。
ちゃんと帰ってこれば会話もしてくれるし、任されている屋台についても気にはしてくれてはいる。だが、ソロでダンジョンに籠もるのだけはやめてくれないのだ。
「やっぱ誰かに相談するべきかなぁ………でも、ウラノスは当てにならないし、ガネーシャには頼み難いし………」
そんな事を思いつつもアフロディーテはいつもの場所で屋台の準備を始める。この屋台あの怪物祭の頃から続けているが元々は金策の一環として始めたもので、評判も良く割と常連客も多いので繁盛している。尤も今ではアフロディーテの趣味のようなものになっているのだが。
「あの、ジャガ丸くんをコーンとキントキとエダマメを5つずつ」
「いつもありがとね、アイズちゃん」
その日も常連の1人であるアイズ・ヴァレンシュタインがジャガ丸くんを買いに来ていた。
「ここがアイズたんのオススメ屋台か………って、ディーたんの屋台やん!?」
お供に主神のロキを伴って。
「ヤッホー、ロキ」
「ヤッホーやあらへんわ!降りて来たんわ知っとったが、こないなとこで屋台やっとるなんて思わへなんだわ………」
「………ロキ、知り合い?」
「あ〜、天界におった頃にちとな………というか、ホンマ何してんのや?」
「あはは、元々は降りて来てすぐの頃金策で始めた屋台なんだけど、やってたらすっかりハマっちゃって」
「まあ、地上じゃ神力使えへんし、ソーマみたく酒造っとるファミリアもあるしなぁ………そういや聞いたで、ウチのアイズたんに迫る勢いでレベルアップした眷属がおるそうやないか?」
「………」
降りて来ていたのはお互いに知っていても久しぶりに顔を合わせた2神が会話を弾ませる中、その話題がアフロディーテの眷属である八雲の話になった途端、アフロディーテの口が重くなる。
「ん?どないしたんや?ディーたん」
「………ロキ!相談に乗って!」
と思いきや、突然アフロディーテは屋台のカウンター越しにロキの手を握り懇願する。
「何やいきなり!?」
「お願い!今はロキだけが頼りなの!」
「ちょまっ」
「アイズちゃん、ロキをしっかり抑えてて………お礼に今度新作のジャガ丸くん試食させてあげるから」
「ロキ、聞いてあげよ?」
「ディーたん、ウチのアイズたんを買収するなんて卑怯やで!」
こうして、ロキはアフロディーテの相談に乗る羽目になった。
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「で、そのヤクモっちゅうディーたんの眷属が、発現させたレアスキルつこうてダンジョンに籠もりっぱで心配や、って事やな?」
昼間の屋台の営業時間を終えたアプロディーテはロキとアイズを伴い、ロキの(防諜等の意味で)行きつけの店にてアフロディーテの話を聞き、そうまとめた。
「うん」
「普通ならレベルアップしてレアスキル発現して調子乗っとる、って言うところやけど、ディーたんの話を聞く限りそうや無いんやな?」
「うん、その前にちょっとした事があってユーリヤちゃん………パーティーを組んでた他のファミリアの子を死なせちゃって」
「あ〜、そっちのパターンかいな」
自責の念で力を付けようと無茶をしているパターンだとロキは判断し、チラッと傍らに立つアイズを見やる。
「………」
アイズも似たような理由からダンジョンに通い詰めていた時期があった為、それを思い出したのだ。当のアイズは「そんな長期間潜ってられるスキルなんて羨ましい」等と思っていそうなのだが………
「で、初めての眷属でどうしていいかわからへん、って悩んどったとこにウチが来たってワケかい」
「ロキって今のオラリオのトップ2のファミリアの片割れでしょ?どうにかならない?」
「とは言え、別のファミリアの事やし、あんま口出しするのもアレなんやけどなぁ」
「なら、そのレアスキルに関して情報の開示でどう?」
渋るロキにアフロディーテは己の眷属のスキルの情報という
「そらまたエラいもんを………そこまでしてでも何とかしたいっちゅう事か」
「それもあるけど、この情報を聞けばロキも乗り気になると思うよ」
「ほう?そこまで言うんや、さぞかしエラいスキルなんやな?」
「うん、そのスキルはね………」
そして、アフロディーテがスキル【宝物庫】について話すと、ロキの表情が一変した。
「クククッ………ダンジョンにそない長い間潜ってられるスキルなんてどんな絡繰りかと思えば、そらまた半端無いスキル獲得しとるやんけ」
「でしょ?だから今まで他には誰にも話してなかったんだから」
「ホンマこの店にして正解やったわ………こないな情報が外に漏れたらエラい事になっとったわ。というか、ディーたんの眷属やなかったらウチが欲しいくらいやわ!」
何処ぞの
「そこまでされたとあっちゃ断る訳にはいかへんな………そんなら今度その子連れてウチのホームにきぃ、話しは通しておくさかいに」
「ありがと、ロキ。試作品のジャガ丸くんはその時持っていくわね、アイズちゃん」
「楽しみにしてる」
こうしてアフロディーテとロキの会談は終わったのであった。
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「………という訳でロキのホームに行くわよ」
「はぁ………」
時は戻ってホームに帰還した八雲にアフロディーテはロキとの話し合いについて語り、アイズへの手土産の試作品ジャガ丸くんを八雲に持たせてロキファミリアのホームである黄昏の館を訪れた。
「にしても話して良かったのか?」
「今のロキなら信用は出来るしね」
何故、八雲があっさりついてきたのかと言うと、八雲の感覚からしたら便利なスキルが発現したのでそれを最大限に利用していた程度の感覚でしかなく、その認識の差で心配をかけさせていた事への贖罪と、ロキファミリアというフレイヤファミリアに並ぶトップファミリアとは一度ちゃんとした形で会ってみたかったからだ。
「すみませ〜ん、アフロディーテですが、ロキいます?」
「はっ、アフロディーテ様ですね?話は伺っております!」
門番の眷属に声を掛けると話は通っているらしく、すぐに案内人を寄こし中へと招き入れられ、そのまま執務室と思われる部屋へと案内された。
「ようこそ、黄昏の館へ。君の噂は色々と聞いているよ、【首狩り族】くん」
そこで待っていたのは整った顔立ちの
「ほぅ、それが例の【首狩り族】の坊主か」
「久しいなヤクモ」
「ご無沙汰してます、リヴェリアさん。ということはそこのお2人は【
ロキファミリアの【勇者】フィン、【
その後、執務室にあるソファーへと誘導され腰掛けるとフィンは早速話を切り出した。
「今回はロキから君を僕らの遠征に同行させてやって欲しいと聞いている」
「遠征、ですか?」
「君の持つレアスキル【宝物庫】についてはロキから事前に聞いている。それを使って物資輸送、つまりサポーターとして参加してもらいたい」
ロキからこのスキルについて聞かされたフィンが最初に思ったのは「遠征にはもってこいのスキル」という事だった。遠征には多くの団員や必要とあらば他のファミリアからも人員を集める事があり、その物資輸送は多くの場合ファミリアの下級・中級冒険者達が担当する。しかし、そのサポーターのレベルが低い分彼らを守りながらの遠征になる為、必然的に到達階層が伸び悩む事になる。
そこに八雲の【宝物庫】が加わるとどうなるか?それは物資輸送のサポーターを減らし、その護衛に回していた人員を前線に振り分ける事が可能になる。これによりローテーションでの戦力の温存も出来る。
「もちろん君のスキルについてはロキファミリア内で秘匿させると誓おう」
既にアフロディーテとロキで話がついている為、八雲はこれを了承した。なので次はロキファミリアの遠征メンバーとの顔合わせという事になったのだが………
「こんな雑魚を遠征に連れて行くだぁ?何考えやがるんだ、フィン!」
これに真っ向から反対する者がいた。その名はベート・ローガ。狼人族の青年で、ロキファミリアの中では実力はあるものの協調性に欠け、格下の者を見下す傾向にあるファミリアの問題児とも呼べる【
「ベート、それについては今説明した筈だ。今回の遠征には彼のスキルを活用した運用のテストも兼ねている」
「うるせぇババァ!そもそも他のファミリア、しかも吹けば飛ぶような雑魚ファミリアだろうが!そんな雑魚がいなくたってーー」
「なら試してみろよ」
リヴェリアがベートを抑えようとするも、ベートは止まらず文句を言い続けていたが、そこまで静観していた八雲が口を挟んだ。
「あ"あ"?」
「そんなデカイ耳して難聴か?」
八雲はベートの狼耳を指して呆れたような顔をすればベートの顔に青筋が浮かぶ。だが、八雲はそんな事知った事かと言葉を続ける。
「お前の言い分からすればこう言いたいんだろ?実力を見せろって………なら試してみろよって言ってんだよ」
「上等だ………構わねぇな?フィン。これはこいつが売った喧嘩だ」
「………仕方ない。次の遠征に支障が無いようにね」
こうして急遽
ベートのレベルですが、八雲とのレベル差を考えてレベル4としてます。外伝を集めきれてないのでベートのレベル変遷がわからぬ故、この時点でのレベルがわかる方がいればご一報お願いしてます。