ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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はい、ベートとの模擬戦です。
少し長くなりそうなので前後編になっております。


二十一話 狼と模擬戦

「八雲、何でこんな事を!」

 

「必要だったからだ」

 

模擬戦を行なうという事で移動する最中、八雲を咎めるアフロディーテに対し、八雲はこれは必要な事だったと主張する。

 

「あと、あのベートって人が危惧してる事も理解は出来るしな」

 

「どういう事?」

 

「俺の【宝物庫】で物資を預かるって事はそれだけ俺がその遠征隊の急所になるって事。その俺が万が一にも危険に晒されればって危惧してたんだよ、あの狼」

 

他の団員は「団長の言う事だから」と思考が停止していた中、ベートだけはその危険を認識していたのだ。

 

「だから【勇者(フィン)】も【重傑(ガレス)】も止めに来なかったろ?」

 

「そこまで見てたの?」

 

「まあ、これも兄貴と親友の教えからなんだけどな」

 

常々「周りを見ろ」「思考停止するな」と言われ続けていた八雲だからこそ気付けたと言っていい。現にこの事に気付いている団員は幹部や準幹部クラスの団員だけだろう。

 

「それに、他にも内心俺を歓迎してないのもいるだろうしな………少しは実力を見せとかないとな」

 

「でも、相手はレベル4だよ?」

 

「俺も何も考えずに格上相手に喧嘩売らねぇよ」

 

******************

 

一方、ベートの方はというと………

 

「フィン、どっからどこまでがお前の仕込みだ?」

 

外の演習場に向かいながらベートは隣を歩くフィンを睨みながら問う。

 

「何故そう思うんだい?」

 

「白々しい………俺が言い出さなきゃテメエが何かと理由を付けて1戦やらしてたろうが」

 

そう、ベートは気付いていた。フィンと八雲が何か企んだ上でこの模擬戦が行われるという事を。

 

「理由は大方アイツの実力を見せて他の不満に思ってる団員を黙らせる………もし、アイツが期待外れな実力なら俺にやらせて不満を解消させる………こんなとこだろ?」

 

「流石は元ヴィーザルファミリア団長様だね」

 

「嫌味かテメエ」

 

「そんなつもりは無いよ………でも、その“もし”は考えてなかったよ」

 

「それはいつもの“ソレ”か?」

 

「ああ、彼と対面した時に親指が疼いてね………せっかくだから彼の実力を見ておこうと思ったのさ」

 

「そしたら彼の方も僕の意図を汲んでくれてね」とフィンは何て事も無いように言うが、それをあの場のアイコンタクト1、2回でしていたというのだからベートからしたら面白く無い。

 

「(つまり、アイツはフィンと同程度に頭が回りやがるって事か)」

 

この会話だけでベートの八雲への警戒度が1段上がる。

 

「フィン、遠征に連れていけさえすればいいんだな?」

 

「加減は任せるよ、ベート」

 

この時、ベートは既に八雲をただの格下とは認識していなかった。そして、それを察したフィンはベートに見えないよう苦笑した。

 

******************

 

黄昏の館の敷地内には団員達が鍛錬する為の広場にて八雲とベートの2人が審判役のフィンを挟んで対峙する。

 

「ではこれより2人の模擬戦を始める。武器やスキルの制限は無いけど、これはあくまで模擬戦だ。危険だと思ったら容赦無く止めるよ?」

 

「ああ、それで構わねぇ」

 

「問題ありません」

 

「では………始め!」

 

フィンが腕を振り下ろすと同時にベートが距離を一気に詰めて蹴りを放つも、八雲は棍を宝物庫から取り出しそれを受け流し反撃の突きを繰り出すがベートもそれを身を捻って躱しながら再び蹴りを放ち棍を蹴り折る。すると八雲は折れた棍をベートに向かって投げ捨て、今度はロングソードを取り出し距離を取る。

 

「今、どっから武器出したんだ?」

 

「あんなの事前に持ってなかったよな?」

 

突如現れた棍や剣に驚く団員達だったが、すぐに種は明かされる。

 

「先に説明しただろう?あれがアイツのレアスキル【宝物庫】の能力だ」

 

「リヴェリア様、それはつまり彼は事前に用意さえしておけば必要な時に必要な武器や道具を取り出せると?」

 

「ああ、そういう事だ」

 

ロングソードで数度ベートの金属製のブーツ打ち合うが、そのブーツことフロスヴィルトはミスリル製の第2等級特殊武器(スペリオルズ)であるために通常の金属を鍛造したにすぎない八雲のロングソードでは打ち合いに耐え切れず既に刀身に罅が出来てしまっていた。それを見た八雲はロングソードをしまい、シミターを両手に取り出し2刀流で打ち合い出す。

 

「おいおい、アイツ何個武器持ってやがんだよ!?」

 

「それもだけどよ、手加減してるとはいえあのベートとこんなに長く打ち合ってるって………」

 

確かにベートはまだ本気にもなっておらず、それに対し八雲は既に肩で息をする程に疲弊し始めている。それでもまるで楽しそうに武器を振るう八雲にロキファミリアの団員達は驚きを隠せない。

 

「はぁ、はぁ………流石は第2級冒険者。全く攻撃が通りゃしねぇ」

 

その後も様々な武器を使うもやはり通用しない。

 

「何言ってやがる………お前、まだ手隠してやがるだろ?」

 

「何のことやら?」

 

「惚けんな!そんな数打ちの武器ばっか使いやがって。あんだろ?テメエのとっておきがよ!」

 

確かに今八雲が使っているのは数打ちの武器の中ではマシな方で、ダンジョンに籠もる関係上消耗品扱いで買い集めた武器達である。しかし、あの脇差等の主に使う武器達でもあのフロスヴィルトには通用するとは思えない。となれば使えるのは当然“アレ”だけになる。

 

「そんなに言うなら見せてやるよ!」

 

持っていた槍を宝物庫に格納し、八雲は双銃を取り出す。

 

「これが俺のとっておきだ!」

 




普通に考えてレベル2差で特殊武器持ち相手とかやってられませんよね………
という訳で次回模擬戦後編です。
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