ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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模擬戦の決着編です。


二十二話 とっておきと決着

八雲の取り出した双銃を目にしたロキファミリアの面々の表情は様々だった。そもそも銃という概念の無いオラリオにて双銃は異質な武器である。類似するのは銃身の下に付いた刃から変わった形の小双刃(ツインダガー)に見えなくもないが、その刃が半透明な黄色と明らかに普通の武器で無い。

 

「………特殊武器(スペリオルズ)、かな?」

 

オラリオ(ここ)ではそういうカテゴリーになるかな?」

 

隣でアフロディーテの持ってきたジャガ丸くんを食べながらそう呟いたアイズにアフロディーテは曖昧にそうとだけ答えた。

 

「それがテメエのとっておきか」

 

「ちぃとばかし特殊なモンでな、普段使い用(メインウェポン)じゃねぇがな」

 

休憩(お喋り)はそれまでと、2人が再び動き出す。

 

「オラァ!」

 

「くっ」

 

最初に仕掛けたのはベート。どうやらギアを1つ上げてきたようで、咄嗟に双銃の刃で防いだにも関わらずベートの蹴りは八雲を大きく仰け反らさせる。

 

「やはり不壊属性(デュランダル)か」

 

フロスヴィルトの一撃をまともに受けたというのに双銃の刃が砕けるどころか罅が無いのを見てベートはそう確信する。確かにそんな特殊武器をレベル2の冒険者が持っていれば悪目立ちするのは必然と言える。だが、驚くのはまだ早かった。

 

「なっ!?」

 

“ソレ”に気付いたベートは素早くサイドステップで回避したが、その想定外の攻撃に驚きを隠せない。それはギャラリーになっているロキファミリアの面々も同じであった。“ソレ”は八雲の双銃から放たれた魔力弾だ。

 

「今のは!?」

 

「魔剣!?でもそんなの使ったようには………」

 

「………いや、今のはただの魔力の塊だ」

 

そう答えたのは魔剣に良い感情を持たないハイエルフにして魔術師のリヴェリアだった。彼女には八雲が放ったのが魔剣による魔法ではなく、双銃を使って放った魔力弾だとすぐに気付いたのである。

 

「何だ、それは?」

 

「そんな簡単に種明かしするかよ!」

 

不意打ちの一撃を躱させた事で秘匿する意味も無くなったと判断した八雲はそこから容赦無く双銃から魔力弾を連射してベートを近付けないようにする。だが、武器の性能を隠していたのは八雲だけでは無い。

 

「しゃらくせぇ!」

 

なんとベートはその魔力弾をフロスヴィルトで蹴り、その特性で魔力弾を魔力として吸収してしまった。

 

「はっ!?魔力吸収!?術士の天敵じゃねぇか!」

 

「呆けてる暇なんざねぇぞ!」

 

「ちっ!」

 

吸収した魔力をそのままフロスヴィルトに纏わせて他の魔力弾を蹴り弾く。しかし、魔力弾一発の魔力が少ないせいかその蹴り一発で吸収した魔力が尽きてしまう。

 

「なら、これでどうだ!」

 

それを見た八雲は左で魔力弾を連射しつつ、右の双銃に魔力を溜め、ベートが吸収した魔力を使い切る前にフロスヴィルト目掛けて溜めた魔力を弾丸ではなく放射状の魔力砲として撃ち込む。

 

「甘え!」

 

しかし、ベートは器用に身体を捻り、反対の脚のフロスヴィルトに魔力砲を当てて魔力を吸収させる。当然、魔力弾とは比べものにならない魔力を得たフロスヴィルトのブーストにより一気に八雲との距離を縮めたベート蹴りが八雲に直撃し上空へと打ち上げられる。

 

「これで終いだ!」

 

空中で身動きが取れないであろう八雲へベートが追撃を仕掛けようとしたが、審判と言うことで近くにいたフィンは見逃さなかった………窮地のはずの八雲の眼がまだ何も諦めた色をしていないのを。

 

「まだだ!」

 

「なっ!?」

 

すると、八雲は片方の双銃をベートではなく横に向けて短く放射し、その反動の勢いを使い横へ飛んでベートの一撃を逃れた。

 

「うっそ!?」

 

「空中で進路変更した!?」

 

「まあ、あれ見たら驚くよね、普通」

 

「なるほど、空中で踏ん張りが効かないからこそあのような事をすれば反動の影響をモロに受ける。それを逆に利用したのか」

 

「………でも、あれ詠唱が必要無いからこそ出来る技術で、私達には難しいわね」

 

魔術師達はその八雲のとった奇策をそう分析する。

 

「ちっ!小細工を!」

 

追撃が空振りに終わったベートに対し八雲は何かを確かめるように双銃を放つ。

 

「………やっぱアレと同じか。なら攻略法は………」

 

そして、確信を得ると双銃のチャージを開始する。

 

「そんなのいくらやったとこで無駄だぁ!」

 

それでも何かあると察したベートが終わらせようと攻めるが、八雲はフロスヴィルトを双銃で受ける。

 

「そう来ると思ってたよ!」

 

それこそ八雲の狙いだった。八雲は双銃の銃口をフロスヴィルトに向け………

 

「何を」

 

「それ、魔法や魔力を吸収出来るそうだけど………それも限界あるよな?」

 

「てめえ!」

 

「たらふく持ってけっ!!」

 

チャージした魔力を零距離で開放した。しかも精神疲弊(マインドダウン)スレスレの魔力を1度に叩き込んだ事でフロスヴィルトに着けられた宝珠にピシリッと罅が入る。

 

「フロスヴィルトに罅が!」

 

「吸収許容量なんて誰も気になんてなかったよ」

 

「まさか彼は最初からこれを!?」

 

吸収限界を超えたフロスヴィルトの罅はそのまま全体に広がり吸収機能が破損してしまう。

 

「ちっ!だが吸収出来なくなった程度でぇ!」

 

「このままっ!」

 

その衝撃で1度距離が開くが、それでも2人はまだ止める気は無いようで、再び距離詰めて激突しようとするが………

 

「そこまでだよ、2人共」

 

そこで審判をしていたフィンが間に入り止めた。




次は模擬戦の事後処理です。
あのキャラも再登場します。

フロスヴィルトの攻略法はとあるゲームに登場した魔力を吸収する篭手の攻略法をそのまま採用しました。八雲もそれを知っていたのでそれを試した形になります。
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