ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典 作:ミストラル0
「はっはっは!驚いたようだな」
「そりゃ前に駄弁ってた相手が実は有名人でした、とか驚くだろ!」
相手が知り合いと判ると普段通りの口調で話す八雲に今度は椿が驚いた。
「ほう、手前が団長と知っても態度は変えんか」
「だって知り合って仲良くなったやつが肩書き知っていきなり余所余所しい態度になったらアンタも嫌だろ?」
椿の問いに八雲がそう返すと、椿は一瞬だけポカンとするもすぐに腹を抱えて笑い出す。
「ははははは!これは一本取られたわ!」
椿もヘファイストスファミリアの団長を務めてそれなりになるが、団長と知られれば萎縮する者が普通であり、八雲のような態度を取る方が珍しいのは言うまでもない。しかし、椿はそんな八雲の態度を嬉しく思っていた。
「椿!そんな事より元々の用件を済ませろ」
「おお、そうであったな」
そんな中、ベートが声をあげる。そう、八雲が呼び出された用件は破損したフロスヴィルトの説明である。という訳で八雲は椿にその破壊に至った経緯を説明した。
「なるほど、そのような武具が………それは是非現物を見てみたかったものだ」
「俺も知ってるだけで現物は持って無いからな」
それを聞いて残念そうにする椿。
「にしてもオラリオの武器ってシンプルだよなぁ」
「シンプルじゃと?」
「そ、フロスヴィルトみたいに魔法的なギミックはあれども、技術的なギミックの武器って見ないよなぁって」
「ふむ」
言われてみれば、と椿は考える。素材やアビリティなどで武器自体にフロスヴィルトの魔法吸収のようなギミックはあれど確かに技術的なギミックを持つ武器は少ない。これはオラリオの加工技術が職人による手作業であり、規格化や部品の大量生産に向いていない事が原因として挙げられる。特に武器職人はその傾向が強く、どうしても一点物が多くなってしまう事からメンテナンスや修理の手間を考えるとあまり冒険者受けしないのだ。
「ちなみにその技術的なギミックとはどんなものがあるんだ?」
だが、椿も一武器職人として興味はあった。更に言えば八雲はあのフロスヴィルトを思わぬ方法で破壊した者だ。彼が言うギミックに椿は何とも説明し難い引き寄せられる魅力を感じていた。
「ちょっと紙とペン借りていいか?」
「ほれ」
椿が普段思いついたアイデアを忘れぬように書き留めておくのに使ってたいた紙とペンを渡すと、八雲はスラスラと紙にイメージを描き出していく。
「例えばこんなのとか」
そう言って八雲が見せたのは、モンスターハンターで登場するスラッシュアックスのような構造の武器。
「なんだそりゃ」
軽装且つスピードを重視するベートからすれば意味不明な構造で、更に言えば武器自体が大き過ぎて明らかに使える者を選ぶ欠陥武器にしか見えない。だが、椿には違って見えた。
「一見無駄に見える機構だが、重心を変化させる事で武器の特性をも変化させる二面性のある武器………面白い!他にはどんなものがある!?」
「じゃあ、こんなのはどうよ」
「かぁ〜!そうきたか!」
そこからは八雲が説明可能な機構を持つ武器の説明を始め、それに椿が興味深そうに聞き始めた。
「なぁ、もう俺は帰っていいか?」
そんな2人について行けず、ベートが役割は果たしたとばかりに帰ろうとするが………
「ちょっと待て、ベート。おぬしにも少しばかり聞きたい事がある」
「なんだよ?」
「フロスヴィルトなのじゃがな………直すだけでなく、改良してしまっても構わんか?」
「はっ?」
「いやな、ヤクモの話を聞いていたら色々と創作意欲が湧いてきてな」
「それ、次の遠征に間に合うんだろうな?」
「………間に合わせてみよう」
「その間はなんだよ!?」
「まあまあ」
「そもそも壊したのはオメーだろうが!」
そんなこんなで椿と改めて知り合った八雲はフロスヴィルトの改造やその他の武器再現に付き合う事となるのであった。
短くてすみません。
あと数話挟んでから遠征の話になります。