ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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今回は遠征前の閑話のようなものなので短めです。


二十五話 採取依頼と魚

椿と再会した翌日。八雲はディアンケヒトファミリアの店を訪れていた。

 

「ほい、今回の収穫分」

 

「確かに………相変わらず品質が良いですね」

 

それは恒例となりつつあるアミッドからの薬草採取依頼の報告と納品が目的であった。

 

「それに最近は鮮度も良い気が………」

 

「そこは企業もといファミリア機密って事で」

 

「まあ、品質の良い薬草が手に入るのならば別に構いませんが」

 

アミッドにはまだ【宝物庫】の事は話していない為、八雲はそう誤魔化し、アミッドも誤魔化されているのは分かっていても品質が悪くなる訳では無いし、他のファミリアの事を詮索するのはマナー違反なので黙認する他無い。

 

「そういえば今度ロキファミリアの遠征に同行すると聞きました」

 

「何でそれをアミッドが?」

 

「ロキファミリアもウチのお得意様ですので」

 

「だよなぁ〜………で?何が御所望で?」

 

「大樹の迷宮で採れる薬草の採取をお願いいたします。これがギルドを通じて発行された依頼書になります」

 

「キッチリ個人依頼にしてやがる………」

 

ロキファミリアに直接依頼するのに比べて零細ファミリアたる八雲に個人依頼をした方が安上がりだというディアンケヒトの入れ知恵であろうと八雲は察し、溜め息をつく。

 

「まあ、不当に低額って訳でもねぇし受けるけどさ」

 

「よろしくお願いします」

 

******************

 

ディアンケヒトファミリアのホームを出た八雲が次に訪れたのはオラリオの共用墓地。その中のとある場所………ユーリヤの墓であった。

 

「よっ、ユーリヤ。また来たよ」

 

実は八雲はダンジョンに籠もる傍らここにもよく通っており、「今回は○層まで行けたよ」等と成果を報告しに来ていたのだ。

 

「今度、ロキファミリアの遠征に参加する事になっちまったよ………途中でリヴェラにも寄るだろうけど、こいつを両親の墓に持ってくのはちゃんと自分の力で到達した時に持ってくよ」

 

そして、墓石をキレイに掃除すると、その墓前に木で出来た皿を置き、そこにユーリヤの好きだったサカナ焼きを供える。

 

「これな、ここに寄るって言ったらアフロディーテが持ってけって五月蝿くてな………それじゃ、次は遠征から帰った後に寄るよ」

 

そう言って墓を離れ墓地を後にしようとすると、別の墓参りと思われる者達とすれ違う。

 

「今のは………確か神ディオニソスとその眷属か」

 

ディオニソスについては女性人気の高い神としてオラリオではそれなりに有名だが、彼の神話を知る八雲からすればどうにも胡散臭い印象を受ける。そして、それに付き添っていた黒髪のエルフと思われる眷属も噂だけなら八雲も知っている。

 

「【白巫女(マイナデス)】、もしくは【死妖精(バンシー)】だったか?いや、【死妖精】は差別呼びだったな」

 

屋台をやっていた関係か、人の噂はよく聞くのでそういう噂もそれなりに詳しくなっている。

 

「俺もあんま人の事言えないか」

 

八雲の【首狩り族】も元々は他の冒険者から呼ばれていたものがそのまま2つ名になったパターンだからだ。

 

「生き残った相手につける名じゃねぇよな、アレ」

 

【死妖精】、かつてあった27層の悲劇の生き残りで、その後も別のパーティーと一緒にダンジョンに潜る度にパーティーが彼女以外全滅したことから呼ばれた冒険者が2つ名とは別に呼ぶ呼び名だ。

 

「まあ、余所のファミリアの事だし、気にする事ねぇか」

 

******************

 

ユーリヤの墓参りを終えた八雲が次にやってきたのは市場だった。

 

「今日は魚が安いのか」

 

安いとは言ってもそういう魚は主にオラリオ近郊の川や湖で採れたもので生の海の魚はあまり多くはない。というか、魚は基本的に日持ちしない為、焼くか煮るぐらいしか調理法も無いのだろう。鮮度の関係で生食など以ての外と言う事を思うと日本人としては悲しくなる。

 

「港街のメレンならそういうのもあるのかもな………」

 

それに八雲には【宝物庫】というスキルがあるのでそれを使えば鮮度の良い魚を長期保存可能なのだ。それだけでもこのスキルを得た甲斐があると八雲は思っている。

 

「遠征から帰ったら1度行ってみるか」

 

その後、遠征用にいくつか買い物をしてその日を終えるのであった。




オラリオでは良い神っぽいディオニソスですが、彼の神話を知る八雲からしたら胡散臭い事この上ないようです。

次回から遠征編に入りたいと思います。
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