ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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今回は説明文多めです。
あと一話閑話入れてから原作に入ろうかと思います。


三十話 武器と鍛錬

八雲がオラリオにやってきて3年が過ぎた。

レベル3になった八雲は狩場を19層より下に移し、リヴィラに物資輸送で稼いだり、定期的に地上で屋台で稼いだり、ギルドで様々な依頼を受けて活動していた。

 

「八雲さん、また指名依頼が入ってますよ」

 

「はいよ」

 

最近では八雲の呼び名も極東出身という事でしっかりとした発音で呼ばれる様になった。

それはそうと、八雲に指名依頼を出すのは大抵3つのファミリアで、1つは薬草等の収集依頼を出すディアンケヒトファミリア。ここは既にお得意様である。

続いて2つ目はガネーシャファミリア。こちらは主に怪物祭で調教するモンスターを運ぶ為の檻の運搬や各イベントでの屋台の統括等が多い。

最後の3つ目はヘファイストスファミリア。これは団長の椿からの個人的な依頼がほとんどではある。

今回の指名依頼もその椿からのものであった。と言う訳で八雲は椿の工房を訪れた。

 

「椿、来たぞ」

 

「来たか、八雲」

 

「で、今回は何作ったんだ?」

 

椿の依頼とは彼女が作成した武器の運搬とテスト。椿の試作品のテストとしてダンジョンに同行して下層まで行き、2人で試作品の武器を使って戦闘してデータ取りをするだけのお仕事である。

尚、2人して試作武器を次々に持ち替えてモンスターをボコボコにしていく様は既に有名になっており、そのせいか新たな2つ名として【単眼鬼の武器庫(キュクロプスストレージ)】と呼ばれる始末である。

 

「今回はコレらだ」

 

そう言って椿が指差したのは山のように積まれた武器達であった。

 

「また大量に作ったなぁ」

 

その多さに呆れる八雲だったが、そのうちの1つを見て表情を変える。見た目は大型のランスだが、穂先のところに丸い穴が開いており、柄の近くに大型のシリンダーのようなモノが取り付けられている。

 

「とうとうコレも再現しやがったか」

 

そう、紛う事なき“ガンランス”であった。

 

「弾倉とやらの強度を実現するのに苦労したわ」

 

どうも八雲が伝えたスラッシュアックスやガンランスといった機械武器はボウガン等と同じように部品を組み立てるという工程が加わるせいか通常の武器のような付与がし辛いんだとか。

その為、【不壊属性】等を付与して強度を確保する等の方法が取れなかったらしい。

 

「それにしても不良品の小型の魔剣をあえて暴発させて穂先から放射させるとは………またえげつない発想をするなぁ」

 

「専用の魔剣………いや、“魔弾”を作れれば良かったんだが………そこは贅沢か」

 

「その話、詳しく!」

 

まあ、このように新しい武器を作ってはあーでもないこーでもないと議論を交わす2人。

最近では時々椿の元を訪れた新人鍛冶師も議論に加わる事がある。

 

「とりあえず今回はこれらのテストだ」

 

「了解。なら一旦【宝物庫】にしまうぞ」

 

そうして武器の山はまるで初めから無かったかのように消えて【宝物庫】へと格納された。

 

「本当に便利じゃな、そのスキルは」

 

「おかげで変な連中に絡まれたりしたけどな」

 

一時は八雲のスキル目当てで良からぬ輩が寄っては来たが、八雲は自身が持つ伝手を総動員してそのような輩を追い払った。そのせいでいくつかのファミリアに借りが出来てしまったが、今のところはその貸しに付け込んでくるようなファミリアは居ない。

 

「そんじゃ、行くとしますか」

 

「おう!」

 

***********************

 

それから数日後、八雲はフレイヤファミリアの本拠地である戦いの野(フォールクヴァング)を訪れていた。

以前通りすがりのオッタルに救われた事と【宝物庫】の関係で色々と世話になったフレイヤファミリアにはロキファミリアとの遠征以降月1ぐらいの頻度で呼び出されているのだ。何故フレイヤファミリアにレベル3の八雲が呼び出されているのかというと………

 

「始めるぞ」

 

「来い………来いよ、俺はここにいる!スケェェェィス!」

 

それは憑神を使ってオッタルと鍛錬をする(のサンドバッグになる)為だ。

どうもオッタルはスケィスとの一戦で思わぬ経験値を得たとの事で、借りを返す一貫として八雲はオッタルと憑神で戦わされているのだ。八雲としても憑神の制御を練習する良い機会でもあり、憑神でのデメリット(経験値の減少)を差し引いても格上との戦闘という事で莫大な経験値が入る為、八雲としても有り難い申し出だったのだ。

また、この経験から【憑神】についても色々と判明した事があった。

まず、八雲が変身出来るのはスケィスだけではなかった。より正確に言うならば八雲の憑神はスケィスそのものではなく、他の八相のどれでもなかったのだ。その番外の碑文とでも言うべき存在がその能力で他の八相因子を使って変化しているというのが八雲の推測である。そして、その元となった存在についても八雲はなんとなく正体を察している。

また各憑神毎で制御の難易度が違い、現在八雲が制御可能な憑神はスケィスを除いて3つだけ。他はまだ暴走するか条件が必要で変化そのものが不可能な状態だ。

次にある程度制御が出来るようになった事でスキル欄に増えた項目があった。

 

【憑神】

 

・強く願う事で憑神『■■■』の力を発現させる。

・発動中、発動時間に応じてステータス値、経験値を減衰させる。

・データドレインにより対象の恩恵又はステータスを吸収する。

・データドレインは心が折れた者、対象かその主神が認めた場合、もしくは障壁破壊プロテクトブレイクした者を対象に発動が可能。

・データドレインは使用すれば侵食率が上昇し、侵食率が高くなればデータドレイン時に自身にデバフか状態異常を付与。侵食率が100になれば使用者は死ぬ。

・侵食率は憑神を使用せず戦闘を繰り返す事で減衰する。尚、侵食率は左腕の刻印で判断する。

偽憑神武器(ロストウエポン)の開放。

 

そう、最後の項目にある偽憑神武器である。

これは各憑神の特性を持つ武器を召喚する能力らしく、偽とつくように本家の憑神武器には劣るものの、オラリオでは特殊武器レベルの破格の武装であった。

これも各憑神の8つの武器が喚び出せるのだが、今のところは変身できる4つの憑神に対応した武器のみである。

 

「がはっ」

 

「ここまでか」

 

スケィスが倒れ八雲へと戻ると、オッタルは手にしていた大剣を背に戻す。

 

「あ、ありがとう、ございました」

 

「これを飲んでおけ」

 

倒れたままではあるが、ちゃんと礼を言う八雲にオッタルは回復薬の入った小瓶を置いて去っていく。

 

「憑神相手にしてあれって………やっぱバケモンだわ、あの人」

 

何とか回復薬を飲んで体力を回復するが、八雲の鍛錬はまだ終わりではない。

 

「おい、次は俺達だぞ」

 

オッタルと入れ替わるように現れたのはアレンを含むフレイヤファミリアの幹部達。そう、オッタルだけが強くなるのを良しとしない彼らはオッタルのように1対1ではないとはいえ八雲の憑神と戦闘して経験値を得ているのだ。その見返りとして生身の方の鍛錬を手伝ってもらっているので否とは言えない。

 

「(この人数相手だとスケィスじゃキツイな………ならアイツでいくか)」

 

十分回復したところで八雲はスケィスの次に制御に成功した憑神へと変身する。

 

「来い!俺の“メイガス”!」

 

それは第三相【増殖】の能力を持つメイガスだった。

ちなみにもう1つ乱戦向けの能力を持つ憑神

もいたが、そちらを使うと色々問題になりかねない為メイガスの方を使用した。

 

***********************

 

「メイガス相手に複数人いたとはいえ勝てるって、やっぱレベル6もバケモンだわ」

 

帰り道、八雲は改めてフレイヤファミリアの上位陣の強さを実感していた。

 

「あら?八雲じゃない」

 

そこで屋台を引いて帰路についていたアフロディーテと合流する。

 

「もうすっかりその格好が違和感しなくなってきたな」

 

「そりゃ3年もやってるからね」

 

聞けば最近では別の屋台でバイトを始めた女神がいるのだとか………その女神に心当たりがあって八雲は苦笑する。

 

「なあ、今日は外食にしないか?ちょっと夕飯作る気力が無い」

 

「そうね、何処にする?」

 

「豊穣の女主人」

 

「即答ね………やっぱあの娘がお目当てかしら?」

 

「………否定はしないが、ミアさんの飯が食いたいってのもある」

 

「あら?否定しないのね」

 

「神に嘘ついても見破られるだけだろうが!」

 

「よくお分かりで」

 

「はぁ………屋台は【宝物庫】入れてやるからさっさと行くぞ」

 

「は〜い」

 

こうしてその日も女神とその眷属の少年の1日は過ぎていくのであった。




>もう1つ乱戦向けの能力を持つ憑神
これは第六相マハの事です。
能力が魅了系の為、フレイヤファミリアの連中には地雷になりかねないという事で使いませんでした。
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