ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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今回はサブタイトル通りあのファミリアが登場します。


三十一話 剣神との邂逅

ある日、八雲はバベルの前で見慣れぬ一団を目撃する。

 

「では、行って参ります!タケミカヅチ様」

 

「うむ、気を付けるのだぞ」

 

そう言ってバベルへ向かう一団は揃いの菫色の服に赤い具足のような防具を一部だけ身に着けた和装の冒険者。

一方、それを送り出したのは弥生時代〜古墳時代にいそうな豪族のような出立ちをした男神であった。

 

「(タケミカヅチって、あの建御雷神様?)」

 

それは日本でも有名どころの神で、鹿島神宮にて祀られる鹿島神としても有名で、軍神や剣の神とも呼ばれる神であった事を思い出す。

 

「そういや、極東から来た一団がいるって噂があったが、彼らがか………」

 

そんな事を思っていると、八雲の視線に気付いたのか、タケミカヅチと呼ばれた男神が八雲に近付いてきた。

 

「そこの君、ちょっといいかな?」

 

「あっ、すみません、視線が気になりましたか?」

 

「いや、俺達はここ(オラリオ)では珍しい服装だからな。気になるのは無理も無い」

 

余程人が、神がいいのか、タケミカヅチは笑って八雲の謝罪を受け入れた。

 

「先の眷属達の声からタケミカヅチ様と聞こえましたが」

 

「いかにも、俺はタケミカヅチという。君は何と?」

 

「これは失礼しました。自分は村上八雲。アフロディーテファミリアに属しています」

 

「ほう、名の響きからして極東の出か?」

 

「まあ、そのようなものです」

 

八雲の名を聞き、同じ極東の出身者と知ると、タケミカヅチは「少し話がしたい」と八雲を本拠へと招いた。

 

「まだ来て日が浅い故に何も持てなしはできんが」

 

「いえ、うちのファミリアも最初はそうでしたので」

 

そうしてファミリアあるあるで少し盛り上がったところでタケミカヅチは本題に入った。

 

「八雲と言ったな。君は先程極東の出かと訊ねた際に“そのようなもの”と答えたな?」

 

「はい」

 

「ずばり、君はこの世界の出では無いな?」

 

「あれだけの問答でそこまで見抜きますか………」

 

決して侮っていた訳では無いが、タケミカヅチのその洞察力に八雲は感心する。

 

「公には出来ませんが、ちょっとした理由で異界の極東からこの世界に招かれました」

 

「なるほど………君がそう言うなら俺も口外しないと誓おう」

 

「ありがとうございます」

 

そこからは八雲の故郷がどのようなところかと訊ねられ、八雲はタケミカヅチに日本の事を語った。

 

「なるほど」

 

「そういえばタケミカヅチ様は軍神とも呼ばれていましたね」

 

「はは、こちらではその力もほとんど使えんがな」

 

「神としての力は使えずとも、技は問題無いのでは?」

 

「ほう」

 

そこまで言われてタケミカヅチも八雲が何を望んでいるかを察して笑みを浮かべる。

 

「一手御指南頂きたい」

 

「得物は?」

 

「こちらを」

 

そう言って八雲は【宝物庫】から木刀を2本取り出し、片方をタケミカヅチに手渡した。

 

「表へ出ようか」

 

***********************

 

「(やっべ、話の勢いとはいえあの建御雷神様とやれるとかラッキー!)」

 

昔から武器や神話についてよく調べていた八雲はタケミカヅチに手合わせが出来るとあって内心興奮していた。一方のタケミカヅチは木刀を振るいながら使い心地を確かめていた。

 

「うむ、これなら問題あるまい」

 

「それは良かった」

 

「では始めるとしよう」

 

そう言うと、タケミカヅチは正眼の構えをとり、八雲は切っ先を右下後方に向けるように木刀を構えた。

 

「ほう、面白い構えをする」

 

「ちょっとした流派の真似事ですがね」

 

そして、両者の間を風が吹き抜けるのを合図に両者共に前へ出る。

 

「ふっ!」

 

「はっ!」

 

タケミカヅチの正眼から真正面に振り下ろすと見せかけて横薙に振られた一閃を下から掬い上げるように受け流す八雲。

 

「ほう、やるな」

 

「いえ、今のは受け流すのが手一杯で切り返せませんでしたよ」

 

「抜かせ、ウチの命ではあれを初見でいなせるかどうか」

 

「レベルあってのものですよ………今のレベルでなければ見切れてもいなせたかどうか」

 

なんでも、ファミリアの眷属達には色々な武を教えていたという。その中でも命という少女は優れた刀の使い手なのだとか。

そんな話をしつつも両者の剣は止まらない。無論、タケミカヅチが多少手加減してくれているのだろうが、タケミカヅチからしても未知の流派の剣に探り探りな面があるからなのだろう。

暫く打ち合っていると、タケミカヅチは一度八雲から距離を取り正眼に構え直す。

 

「なるほど………7つ、いや、8つの型からなる剣技か。面白い剣だ」

 

「うへぇ………たったあれだけの打ち合いでそこまで見抜きますか」

 

見様見真似の技とはいえ、それを僅かなやり取りで見抜かれた事に八雲は驚くも、本当に驚かされるのはこれからだった。

 

「こう、かな?」

 

「ちょっ!?」

 

直後にタケミカヅチから放たれた一刀は紛れもなく八雲が使っていた流派の技である“螺旋撃”であったのだ。

 

「あの短時間で盗んだんですか!?」

 

「これでも剣の神だからな」

 

そう、タケミカヅチは先程までの八雲との打ち合いでいくつか技を盗んでいたのだ。

 

「マジかよ………」

 

「せっかくだ、残りの型も学ばせてもらおうか?」

 

結局、両者の手合わせは八雲の技がほぼタケミカヅチに盗まれたところで八雲が降参する事となった。

 

「うん、舐めたつもりは全くなかったが、タケミカヅチ様ヤバすぎる」

 

「いい技を学ばせてもらった、礼を言うぞ、八雲」

 

清々しい笑顔のタケミカヅチに八雲はもう笑うしかなかった。

 

***********************

 

「タケミカヅチ様〜!ただいま帰りました!」

 

それからしばらくしてタケミカヅチの眷属達が帰ってきた。

 

「よく戻ったな」

 

「はい!………ところでそちら方は?」

 

「ああ、今朝お前達を見送った後に知り合った八雲だ」

 

「紹介に与った八雲だ。一応皆と同じ極東の出ということになる」

 

最初は警戒の色を見せた彼らもタケミカヅチからの紹介と同じ極東の出身という事もあってすぐに警戒は薄れた。一部警戒し続けている者もいたが。

 

「そうでしたか、八雲殿は別のファミリアの………」

 

「先程タケミカヅチ様に一手御指南頂いたが、流石は武神と呼ばれる方だったよ」

 

「えっ!?羨ましい!タケミカヅチ様!私にも今度御指南を!」

 

「わかったわかった、また今度な」

 

その後、まだまだ備蓄の少ないというタケミカヅチファミリアに八雲はアフロディーテを呼んで屋台で料理を振舞う事に。これが後にタケミカヅチファミリアの財政難を凌ぐ為のタケミカヅチの屋台バイトの始まりになるとはこの時は誰も想像していなかった。




タケミカヅチ様、ヤベーの回。
八雲の剣技は不完全ではありますが、英雄伝説シリーズの八葉一刀流です。八雲の兄がゲームの技をある程度再現したモノを教えてもらっていた技だったのですが、タケミカヅチ様は八雲の不完全版からほぼ原型に近い形の技としてコピーしております。
剣の神様だし、これくらいできるよね?

次回はようやく彼らが登場します。
とはいえ、いきなりあのミノさんのとこではありませんが………
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