ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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やっと原作の冒頭です。
ここまで長かった………

八雲がレベル4になってる原因はフレイヤブートキャンプのせい。
そりゃあ、定期的にレベル5〜7と憑神使った模擬戦してりゃいくら経験値ダウンのデメリットあってもステータスはアホみたいに上がりますって………


三十四話 ベルとトマト事件

ベルがヘスティアファミリアに入って半月程が経った。

そんなベルに八雲は昔愛用していたナイフや防具等を渡した。

ベルは「そんなものを貰うわけには………」と言って断ろうとしたのだが、八雲は「人の好意は黙って受け取れ」と装備を押し付けてそれを使いこなせるように指導をしたりした結果、ベルは素人と思えない程に成長していた。

 

「えっ、それじゃあ今回は師匠は一緒じゃないんですか?」

 

「その師匠ってのはやめろって言ってるだろ?一緒に行けないのはガネーシャファミリアの依頼で数日少し深く潜んないといけないからでな」

 

「【怪物祭】でしたっけ?それの準備なんですよね」

 

「そういうこった。ウチの神様に弁当頼んでおいたから朝にちゃんと受け取ってけよ?」

 

「何から何まですみません」

 

そうしてベルと別れた八雲はハシャーナと合流し集合場所に向かう。

 

「そういやあの兎みたいな坊主は元気か?」

 

「ベルの事ですか?まだ半月のヒヨッコですから浅い層を回らせてますよ」

 

ハシャーナもベルの事を門で見かけた事があり、その際の問答で彼を気に入ったらしく、こうしてちょくちょく気に掛けてくれている。

 

「で、今回は何を捕獲するんです?」

 

「今回はシルバーパックとバグベアだ」

 

「結構な大物ですね………見栄えはするでしょうけど、調教するのはキッツいはず」

 

「お前なら苦もなくやれんだろ?」

 

そう言って合流場所に現れたのはかつて八雲がオラリオに来た当初に出会った人物。

 

「あっ、ザメル」

 

「相変わらず呼び捨てかよ。ってか、後から出て来といてあっさりレベル抜かすな!」

 

そう、あのザメルであった。彼もレベル3となり、ガネーシャファミリアでは十分戦力ではあるのだが、八雲にレベルを抜かれたのが相当悔しいらしい。

 

「レベルに関してはちょっと伝手*1があったってだけだよ」

 

「今回はこのメンバーでいく!リーダーは俺、ハシャーナだ」

 

こうして、ハシャーナ率いるガネーシャファミリアの面々と八雲によるモンスター捕獲作戦が始まった。

 

***********************

 

八雲不在の中、ここ数日1人でダンジョンを探索するベルは両手に(・・・)逆手持ちのナイフを持ち、ゴブリン達の弱点を正確に切り裂いていく。

 

「うん、ゴブリンには苦戦しなくなったかな」

 

これは八雲によるレクチャーの成果であり、手にしているナイフもとい双剣のおかげでもあった。

 

「こんなの本当に貰ってよかったのかな?」

 

ベルは知らぬ事だが、今ベルが手にしている双剣は八雲がレベル2の頃に使っていたもので、とある細工が施されたヘファイストスファミリアの団長の椿が作った武器だったりする。

細工の再現だけを目的に鉄で作られた為に武器としての性能は低く、細工の事を知らなければ単に少し切れ味が良いだけの双剣で、ヘファイストスファミリアの紋章も刻まれてはいないので目利きが効く者でなければその価値に気付く者はいないだろう。

 

「それにしても、変わった双剣だよね、これ………」

 

ベルは八雲に説明された通りに双剣の柄の先同士を合わせてカチリと連結させる。そして、それを刃の方に向かって回るように回転させ次のゴブリンを切り裂く。

そう、この双剣に施された細工とは.hackに登場する双剣の中でも連結式というカテゴリーに入る武器で、柄を連結させる事で短い双刃剣へと変わるギミックを持つ。更に専用の延長用の柄を着ける事で本格的な双刃剣や片方だけ連結して薙刀の様な武器にする事もできるという。ベルはこれを連撃中に連結して短双刃剣にして使う他に、連結させてから勢いをつけてブーメランの様に投げ飛ばしている。最もブーメランの様とはいうが、戻っては来ないし、戻って来てもそれをキャッチ出来る程器用では無いので一方通行の投擲武器のようなものだ。無論、投げてしまって拾うまで得物が無い等というヘマはせず、予備の細工無しの双剣もちゃんと装備している。

 

「さて、魔石を回収してっと」

 

魔石を拾ってポーチにしまったベルがふと周りを見渡すと、そこには5層と降る通路があった。

4層にも慣れ、そろそろ5層まで足を伸ばそうかと考えていたベルは「ちょっと覗きに行くだけならいいよね?モンスターと遭遇したら直ぐに引き返せばいいし」と思い、八雲やエイナの言い付けを破って5層へと降りていく。

 

「ここが5層………といっても見た目は4層と変わらないな」

 

そうして5層を探索するベルだったが、ここで気が付くべきであった。ベルが5層に降りてからまだ1度も(・・・・・)モンスターと遭遇していないという事に………

 

「ブモォオオオオ!」

 

そして、ベルは出会ってしまった。

それは当然ベルが祖父に言われて求めている女の子との出会いでも、5層にいるモンスターでもなく、本来ならば5層にいるはずの無いモンスター………牛頭の人型モンスターミノタウロス(・・・・・・)

 

「なっ、何でミノタウロスが!?」

 

ベルにとってミノタウロスとは祖父から貰った英雄譚を纏めた本に登場するある英雄と因縁のあるモンスターで、それ故にベルはそのモンスターをよく知っていた。今の自分では万が一にも勝ち目が無いモンスターという事も。

 

「逃げなきゃ!」

 

ここでベルが取った行動は逃走である。だが、ただ闇雲に逃げているのではなく、曲がり角等を使ってミノタウロスの視界から逃れるようにルートを選んではいるが、何故かミノタウロスは諦める事なくベルを執拗に追い回す。

 

「(………このミノタウロス、焦ってる?)」

 

逃げ切る為にミノタウロスの様子をしっかり観察していたベルはミノタウロスの様子が普通では無い事に気付いた。

 

「(もしかして、このミノタウロス………下の層から追われてこの層まで上がってきた?)」

 

そう考えればこのミノタウロスの必死さにも、ミノタウロスがこの階層にいるのにも説明が付く。

 

「(なら、上の層に逃げるのはダメだ)」

 

もしベルを追ってこのミノタウロスが上の層に登ってしまえば他の冒険者達もこの階層に見合わないモンスターによって蹂躙されてしまう。そう思ったベルは進路を変え、上層へ向かうルートとは真逆の進路を取る。

 

「さあ!こっちだ、ミノタウロス!」

 

声を出してミノタウロスを誘導しようとするベルであったが、1つ失念している事があった。それは………

 

「あっ、行き止まり!?」

 

ベルは5層の地理を把握していないという事だ。行き止まりにミノタウロスを誘導してしまったベルは応戦するしかないと双剣を構える。そして、ベルとミノタウロスが接触するその直前。ミノタウロスは背後から現れた金色の髪の女性によって細切れにされ、その血がベルへと振りかかった。

 

「えっ?」

 

「………大丈夫ですか?」

 

その女性はアイズ・ヴァレンシュタイン。ロキファミリアのレベル5にして【剣姫】の2つ名を持つ冒険者だった。

 

「う………」

 

「う?」

 

「うわぁあああああ!!」

 

その容姿に先程までミノタウロスに追われていた事や自身がその血で真っ赤になっているのも忘れて見惚れていたが、ふと自身の置かれている状況を思い出してその場から逃げ出してしまう。それを曲がり角で覗き見て笑っていたベートがいるとは知らずに。

 

***********************

 

「で、そんな格好で飛び込んできたって事か」

 

「………はい」

 

ミノタウロスの血塗れでギルドまですっ飛んできたベルを待っていたのは彼の担当アドバイザーのエイナと、捕獲依頼を済ませてギルドに報告に来ていた八雲であった。

今はエイナの指示で既に血塗れだった装備は外してシャワーを浴びたベルがソファーに座りながら八雲とエイナに事情を説明していた。

 

「というよりも5層に行ったってどう言う事かな?」

 

「あっ………」

 

ここでベルは自身のミスに気付く。目の前の2人から散々言われていた「見合わない階層への立ち入り」がバレたからだ。

 

「あれだけ冒険者は冒険してはいけないって私言ったよね?」

 

「す、すみません!」

 

「まあまあ、今回はそれ以上のイレギュラーもあったみたいだし、その辺で」

 

「しかし!」

 

「後で俺からキツく言っときますから」

 

という事でお説教は後回しとなった。

そして、話はベルの本題に。

 

「あの、それで、ヴァレンシュタインさんのことを………」

 

「う〜ん………ギルドとしては冒険者の情報を漏らすのはご法度なんだけど………」

 

といいつつも、アイズについて基本的な事をベルに教えるエイナ。

 

「あ、あの、冒険者としてじゃなくて………趣味とか好きな食べ物は」

 

「なぁに、ベル君もヴァレンシュタイン氏のこと好きになっちゃったの?」

 

「いや、その………ええ、はい………」

 

「はぁ………そういうのは村上氏の方が詳しいんじゃないかな?」

 

「えっ?師匠が?」

 

「だから師匠言うなっての………まあ、ウチの屋台の常連客だし、ロキファミリアとはそれなりに付き合いがあるからな」

 

そう言うとベルは瞳を輝かせて八雲を見つめる。

 

「わーったよ、喋っていい範囲なら教えてやる」

 

その瞳に負け、好物がジャガ丸くんである事と強さに並々ならぬ執念がある事だけを伝える。

 

「だけどな、ベル………お前は1つ忘れてる事があるぞ」

 

「忘れてる事?」

 

「お前、もうロキ様じゃなくてヘスティア様から恩恵貰ってるだろ?しかも2神の仲はお世辞にも良いとは言えない仲だ。その上で【剣姫】はあっちの幹部クラス………付き合うってのはかなり難しいと言わざる得ない」

 

「うっ………そうですよね」

 

八雲の言葉に目に見えて落胆するベル。その後、とりあえずその日獲得した魔石を換金し八雲とギルドを出ようとした時、ベルが可哀想になったエイナはベルに声を掛ける。

 

「ベル君」

 

「はい?」

 

「あのね、女性はやっぱり強くて頼りがいのある男性に魅力を感じるから………えっと、めげずに頑張っていれば、その、ね?」

 

そこまで言われてもピンとこないベルにエイナは続けてこう告げた。

 

「………ヴァレンシュタイン氏も、強くなったベル君に振り向いてくれるかもよ?」

 

その一言でベルの表情は先程までの暗いものからすっかり明るくなっていた………単純なものである。

 

「エイナさん!ありがとう!大好き!」

 

そして、割と問題な発言と八雲を残してベルはギルドから去っていった。

 

「………エイナ嬢、もしかして年下が好み?」

 

「そ、そういうんじゃありませんから!」

 

置いていかれた八雲がエイナをからかうと、エイナも先のベルの発言と合わせて顔を真っ赤にして奥へと戻っていった。

 

「はぁ………この半月で色々あったが、見てて飽きないな、ベルは」

 

そう呟くと、八雲もベルを追ってギルドを後にするのであった。

*1
フレイヤファミリアの皆さんとの特訓




という訳で原作通りベル君はトマトになりました。
次は豊穣の女主人のとこかな?
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