ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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初めに断っておきます。
今回はロキファミリアに対してかなり辛辣な発言がありますが、ロキファミリア(ベート)アンチではありません。

でも、あのミノタウロスって一歩間違ったら相当ヤバイ事になってるはずですので、それをロキファミリアに自覚してもらいました。アニメだとあまり笑ってるヤツいないんですが、原作だとね。
ほんとあの話で笑ったり出来ないはずなんですけど………


三十五話 視線と酒場

トマト事件の翌日。

何故か機嫌が悪いヘスティアを余所に朝食を済ませた八雲とベルは共にバベルへと向かっていた。

 

「にしても昨日は運がなかった、ベル」

 

「まさかミノタウロスに遭遇するなんて思ってもみませんでしたよ………」

 

「確かに5層なんかにミノタウロスがいるなんてのは普通はありえないからな………(アイズが追ってきたって状況からして、ロキファミリアが遠征帰りに取り逃がしでもしたってとこか?)」

 

それでもあのメンバーから逃げて5層まで辿り着いたとすれば相当の健脚か遭遇直後に一斉に逃げ出したかしなければ即殲滅されているはずだと付き合いのある八雲は知っている。

そんな事を考えていると、ベルが突然足を止め、キョロキョロと周囲を見回し始めた。

 

「どうかしたか?」

 

「いえ………なんだかジッと視られているような気がして」

 

「視られて………ねぇ」

 

そんな時であった。

 

「あの………」

 

「!」

 

後ろから突然声を掛けられて反転して身構えるベルに対し、八雲は今自分達がいる場所が何処であるかを思い出す。

声を掛けてきたのは目の前にある豊穣の女主人の店員シル・フローヴァ。八雲の顔馴染みの1人であった。

 

「ご、ごめんなさいっ!ちょっとびっくりしちゃって………」

 

「い、いえ、こちらこそ驚かせてしまって………」

 

そうやって謝り合う2人。

 

「な、何か僕に?」

 

「あ………はい。これを落としましたよ」

 

そう言ってシルがベルに魔石を手渡す。ベルは「昨日全部換金したはずなんだけどなぁ」と首を傾げるが、一般人が魔石を持っているとは思えず、シルから魔石を受け取った。

 

「シル、お前また何か企んでないか?」

 

「た、企むなんて失礼な………というか居たんですね、八雲さん」

 

「お前、ワザと言ってるだろ?」

 

「はてさて何の事でしょうか?」

 

八雲はベルが魔石を落としていない事に気付いており、シルが何らかの目的でベルに接触したのでは?と疑っているのだ。

 

「師匠、お知り合いですか?」

 

「だから師匠言うな………こいつはシル・フローヴァ、そこの豊穣の女主人って酒場の店員だよ」

 

「八雲さんはウチの常連客さんなんですよ」

 

「へぇ〜」

 

「そういえば最近はあまりいらしてはいませんよね?」

 

「ここ1ヶ月は色々忙しかったからな」

 

「お店もあって忙しいみたいですけど、たまにはウチにも来て下さいよ?ミア母さんもたまには顔を見せに来いって言ってました」

 

「ミアさんの名前出されたらなぁ………ベル、今夜は外食でもいくか?もちろん俺の奢りだ」

 

「で、でも」

 

「昨日までの依頼で臨時収入があったからな、気にすんな」

 

突然の事に戸惑うベルであったが、八雲から常に「人の好意は黙って受け取れ」と言われており、結局は折れる事になった。

 

「では、お待ちしていますね」

 

こうして夕食を豊穣の女主人で食べる事を決めた八雲達は改めてバベルへと向かうのであった。

 

***********************

 

その日のベルは妙に張り切っていた。

時々変なニヤけ顔をしたと思ったらいつも以上の戦果を叩き出し、いつもより多くの魔石を獲得している。

 

「ベル、そろそろ戻るぞ」

 

「あっ、はい!」

 

今日はベルの成長を確認するのが目的の探索であったので長居せずにダンジョンを出てギルドで換金を済ませて一旦ホームに戻ったのだが………

 

「まさかヘスティア様がヘソ曲げるとはな」

 

「はい、僕も何がなんだか………」

 

朝から不機嫌ではあったが、ベルがステータスを更新したところで一気に不機嫌さが増してミアハ達と飲みに行くと飛び出していき、アフロディーテはそのフォローにいくとヘスティアを追いかけていったので、結局豊穣の女主人へは八雲とベルの2人だけで向かう事になってしまった。

 

「にしてもステータスが一気に伸びた、ねぇ」

 

どうもそれがヘスティアの不機嫌の原因のようだが、眷属のステータスが伸びるのは喜ぶべき事なので、“一気に伸びた理由”が直接の原因なのだろう。

 

「(昨日のステータス更新から不機嫌だったよな?って事はステータス成長系のスキルでも生えたか)」

 

ベルがスキルの話をしていない事からヘスティアがベルに教えていないと判るし、ヘスティアにとってそのスキルが不本意なものだったのだろう。

 

「(と言う事は、アイズ関連か)」

 

最近ベルに起きた出来事となれば必然的に彼女に行き着く。

そうなればヘスティアがヘソを曲げた理由も納得である。

 

「ヘスティア様の事は仕方ないから、今夜は2人で食いに行こうぜ」

 

「はい」

 

「気にするならちょっと料理包んでもらってお土産にでもすればいい」

 

「そうですね」

 

そういう訳で豊穣の女主人へとやってきた。

 

「あっ、ベルさん!八雲さんもいらっしゃいませ〜」

 

「俺はついでか」

 

丁度店先にいたシルの案内で店に入ると2人はカウンター席へと案内された。

 

「アンタがシルの知り合いかい?それと随分ご無沙汰だったじゃないか、八雲」

 

「アハハ………お久しぶりです、ミアさん」

 

カウンター越しにミアが声を掛けてくる。

 

「それにしても………とうとうアンタのとこにも新人が入ったって事かい?」

 

「いえ、彼は別のファミリアの子ですよ。訳あって俺が指導はしていますが」

 

「そうかい」

 

そして、八雲が注文した料理が来るとベルと一緒に食べ始める。

 

「美味しい!」

 

「そりゃミアさんの料理は絶品だからな」

 

「はは、嬉しい事言ってくれるじゃないか!これはオマケだよ」

 

そう言ってミアは2人の前に魚丸々1匹を使った本日のオススメ料理を置く。

 

「この魚って、さっき………」

 

「そうさ、そこの八雲がさっき卸してくれた魚さ」

 

そう、その魚は八雲の【宝物庫】から出したロログ湖産の魚なのだ。

 

「材料持ち込みだからオマケさ」

 

そんなこんなでベルはシルの話を聞いたりしていると、何やら入口の方が騒がしくなる。

 

「にゃ〜、ご予約のお客様、ご来店にゃ〜」

 

店員の猫人、アーニャの案内で店に入ってきたのはロキファミリアの面々。その一団は店の真ん中にある複数のテーブル席に着く。

そして、人数分の飲み物が行き渡るとその主神であるロキがジョッキを片手に立ち上がった。

 

「よっしゃあ、ダンジョン遠征みんなごくろうさん!今日は宴や!飲めぇ!!」

 

そんな音頭と共に彼らの宴が始まる。

そんな中、八雲がふと隣にいるベルを見ればアイズの事を見て顔を真っ赤にしながら固まっていた。

 

「(あっ、うん、これは確定だな)」

 

それを見てヘスティアが秘匿しているスキルに関する予測がほぼほぼ正しいと八雲は確信する。

 

「そうだ、アイズ!お前のあの話を聞かせてやれよ!」

 

「あの話………?」

 

すると、酔いが程よく回ってきたように見えるベートが、アイズに何かを話せと言い始めた。

 

「あれだって、帰る途中で何匹か逃がしたミノタウロス!最後の一匹、お前が5階層で始末しただろ!?そんで、ほれ、あん時にいたトマト野郎の!」

 

この時、シルはふと隣にいた八雲とベルを見てしまい顔が固まってしまう。何故なら………ベートの話を聞いてベルは先程まで真っ赤に染めていた顔を真っ青にし、八雲はその顔から一切の感情が読み取れなくなっていたからだ。

 

「ミノタウロスって、17階層で襲いかかってきて返り討ちにしたらすぐに集団で逃げ出していった?」

 

「それそれ!奇跡みてぇにどんどん上層に上っていきやがってよっ、俺達が泡食って追いかけていったやつ!こっちは帰りの途中で疲れていたってのによ〜」

 

ベートの声が響く度にシルはどんどんその表情を強張らせていく。何故なら、その度に八雲からドス黒いオーラが視認出来そうなくらいに殺気立っていくからだ。

 

「それでよ、いたんだよ、いかにも駆け出しっていうようなひょろくせぇ冒険者(ガキ)が!」

 

それと比例してベルの表情も青褪めていく事からシルは大体の事情を察してしまった。誰がその冒険者であったかを………

 

「抱腹もんだったぜ、兎みたいに行き止まりに追い込まれちまってよぉ!可哀相なくらい震え上がっちまって、顔引つらせてやんの!」

 

シルは思う。もうやめてくれと。店に来た当初は目を輝かせてくれたベルが今ではもうそんなのが見る影もなく震えている………そして、シルにははっきりと視認出来るレベルでブチギレかけている八雲の姿があったからだ。更にはその背後に黒い大鎌を構えた影まで幻視できる。

だが、皮肉にもその願いは叶わなかった。

 

「ふむぅ?それで、その冒険者はどうしたん?助かったん?」

 

「アイズが間一髪ってところでミノを細切れにしてやったんだよ、なっ?」

 

ベートがそうアイズに問いかけると、アイズは眉をひそめて普段は表情のわかりにく顔を精一杯「私、不機嫌です」と言わんばかりの表情に変えていた。しかし、酔っているせいかベートの口は止まらない。

 

「それでそいつ、あのくっせー牛の血を全身に浴びて………真っ赤なトマトになっちまったんだよ!くくくっ、ひーっ、腹痛えぇ………!」

 

ベートのその言葉にシルは内心こう思っていた「こっちは別の意味でお腹が痛いです!」と。

 

「うわぁ………」

 

「アイズ、あれ狙ったんだよな?そうだよな?頼むからそう言ってくれ………!」

 

「………そんなこと、ないです」

 

アマゾネス姉妹が失笑し、ベートが笑いを堪えながらアイズに問うが、アイズは不機嫌さを増すばかり。

ベートの饒舌な口はまだ止まらない。

 

「それにだぜ?そのトマト野郎、叫びながらどっか行っちまってっ………ぶくくっ!うちのお姫様、助けた相手に逃げられてやんのおっ!」

 

「………くっ」

 

「アハハハハハッ!そりゃ傑作やぁー!冒険者怖がらせてまうアイズたんマジ萌え〜!!」

 

「ふ、ふふっ………ご、ごめんなさい、アイズっ、流石に我慢できない………!」

 

そうして次第にロキファミリアに笑いが広がっていく光景を見て今度はシルが表情を青褪めさせていく。「早く気付いて!その冒険者とその関係者がここにいるよ!」と声が震えて口に出せないが、そう叫びたい気持ちで一杯であった。

笑いに満ちたロキファミリアの面々に対して、シルの隣は絶対零度もかくやという温度差。今にもその場を離れたかったが、声にだけでなく足まで震え始めてしまいもう動くことすら叶わない。

 

「ほんとざまぁねえよな。ったく、泣き喚くくらいだったら最初から冒険者になんかなるんじゃねぇっての。ドン引きだぜ、なぁアイズ?」

 

そのシルの心の叫びが届いたのか、険しい顔をしている者がいた。それは先程から疼く親指から嫌な予感を感じ取ったフィンである。ふとフィンが周囲を見渡すと、ロキファミリアとそれ以外の客の温度差に気付く。そして、とある一角を見てフィンも八雲の存在に気付き固まった。

八雲の隣にいる今にも倒れてしまいそうな青い顔をした少年とドス黒いオーラ全開の八雲。今までの話から察するにその少年ことベルがベートの言う“トマト野郎”だとフィンも察してしまったのだ。

 

「ああいうヤツがいるから俺達の品位が下がるっていうかよ、勘弁して欲しいぜ」

 

「いい加減そのうるさい口を閉じろ、ベート。ミノタウロスを逃がしたのは我々の不手際だ。巻き込んでしまったその少年に謝罪することはあれ、酒の肴にする権利などない。恥を知れ」

 

一方でリヴェリアもベートの話にうんざりして口を挟むが、ベートはそれでも止まらない。

 

「おーおー、流石エルフ様、誇り高いこって。でもよ、そんな救えないヤツを擁護して何になるってんだ?それはてめえの失敗をてめえで誤魔化すための、ただの自己満足だろ?ゴミをゴミと言って何が悪い」

 

そこでふとフィンはある事を思い出してシルと同様に青褪める事となる。

 

「(あの様子からして八雲の関係者には違いないが………ひょろくさい冒険者?ちょっと待て!?)」

 

そう、少し前に八雲から聞いたファミリアへの入団希望者を門番『お前なんて“ヒョロヒョロしたガキ”がロキファミリアに入ろうなんておこがましいんだよ!』と門前払いしてしまった事を思い出したのだ。フィンは慌ててロキの方を向けば、ロキもロキでそれに気が付いたらしくあちらも酔いが吹っ飛び顔を真っ青にしていた。

だが、全て手遅れてであった。

 

「雑魚じゃあ、アイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねえ」

 

そのベートの一言でとうとう限界に達したベルが店を飛び出してしまったのだ。

 

「ベルさん!?」

 

それによって金縛りのように身動きが出来なくなっていたシルも開放され、慌ててベルを追うも、既にベルの姿は遠かった。また、ベルに見覚えのあったアイズもシルと同じタイミングで外に出たが、それ以上追いかける事が出来ない。

アイズが仕方なく店に戻ろうとしたその時、アイズはよくやくそれに気が付いた。

 

「ミアさん、これお勘定と………迷惑料」

 

「そうかい、構わないから………やっちまいな」

 

ベルを笑い話にされた事と店の空気を悪くされて八雲とミアが激怒を通り越してブチギレている事に………

 

「あっ」

 

ミアの許しを得た八雲がベートへと近付いていくと他の団員達もやっと八雲の存在に気付き、八雲の纏っている視認出来そうなくらいのヤバそうなオーラを感じて一気に酔いが覚めていく………ただ1人、ベートを除いて。

 

「あん?」

 

八雲がベートの前に来た事でベートもようやく八雲を認識するが、それはあまりにも遅過ぎた。

八雲がベートの頭上に手を翳すと、湯気を放つ大きな寸胴鍋が出現し、次の瞬間、八雲はそれの中身を勢いよくベートへぶちまけた。

 

「アッチャアアアアアアア!?テメエ!何しやがる!?」

 

「………酔いは覚めたか?犬ッコロ………いや、“トマト野郎2号”」

 

そう、八雲がぶちまけたのは香辛料等を煮込んだ真っ赤なスープ。それを頭から被ったベートは八雲の言う様に全身真っ赤のトマト野郎になっていた。

 

「や、八雲!落ち着い」

 

「お前らは黙ってろ」

 

「は、はいッス!」

 

側にいたラウルが静止しようとするも、八雲のドスの利いた声に席に座り込む。

 

「テメエ!何のつもりだって聞いてんだよぉっと!?」

 

そんな八雲に掴み掛かろうとするベートだが、全身に浴びた香辛料のスープのせいで鼻がおかしくなり、酔いも覚め切っていないベートはあっさりと避けられてバランスを崩し転倒する。

 

「何のつもり?それはこっちが聞きたいね。他人の不幸を………それも自分達の失態からくるミスで人殺しかけといてよく笑ってられるよな?お前ら」

 

それはベートだけにではなく、先程までベートの話で笑っていたロキファミリアの全員に対する言葉だった。

 

「なあ、自分達のミスで人殺しかけて何で笑ってられんだよ!?答えてみろよっ!」

 

その八雲の言葉に答えられる者はいなかった。先程ベートと口論したリヴェリアさえも答えられなかった………否、答える事など出来はしない。

 

「それとお前が、何の関係がありやがる!」

 

………何も知らぬベートを除いて。

 

「関係?あるに決まってんだろうが犬ッコロ!」

 

未だ起き上がっていないベートを絶対零度の視線で黙らせると八雲はロキファミリアに真実を告げる。

 

「お前が散々笑ってたそのトマト野郎ってのはなぁ………さっき店を飛び出していった俺のツレだ」

 

その瞬間、ロキファミリアの面々の顔が一気に青褪めた。無理も無い、先程まで散々馬鹿にして笑い者にした話の張本人がその場に居たと知ったからだ。

 

「あのトマト野郎がお前のツレだと!?」

 

これには流石のベートも驚いた。だが、この問いかけがいけなかった。

 

「アイツと俺が何で知り合いなのか気になるか?」

 

「ア、アカン!」

 

「待つんだ八雲!」

 

この瞬間、ロキとフィンは八雲が口にするであろう言葉を察して慌てて八雲を止めようとするが………

 

「ある意味でお前らが原因だよ、ロキファミリア」

 

完全にブチギレた八雲は止まりはしなかった。

 

「………どういうこと?」

 

おそらくこの中で1番ベルの事が気になっているアイズが代表して八雲に訊ねてしまう。

 

「アイツ、ベル・クラネルはなぁ、1ヶ月ぐらい前にオラリオに来たばっかりでな。たまたまメレンからの帰りに門のところで知りあったんだよ」

 

もう止められないと察したロキとフィンも静かに八雲の話に耳を傾ける。

 

「まあ、何処にでもいる冒険者志望でオラリオにやってきたガキさ………でもな、この犬ッコロが言うようにひょろくせぇガキで身寄りも伝手も無く、装備はおろか金も心許ない………そんな理由で何処のファミリアからも門前払いされてたんだよ、ベルは」

 

「ちょっと待って………それって確か」

 

そこでティオネも気付いた。八雲の言う“何処のファミリアからも”にロキファミリアも含まれている事に。

 

「そうだよ、アイツは、ベル・クラネルはお前達ロキファミリアからも門前払い食らってんだよ!」

 

絶句、そう言わざる得なかった。

 

「そんなの門番の独断だったとか言い訳するなよ?そんな独断をするに至ったのはお前らのトップファミリアだっていう驕りからなんだからな!」

 

何も言い返す事ができなかった。

 

「そんな門前払いばっか食らっても諦めないで入れてくれるファミリアをずっと探し続けて!それを見ていられなかった女神がアイツを拾って、ようやく冒険者になったんだ、他に眷属の居ない新興ファミリアだがな。装備を満足に整える金が!ダンジョンに挑むイロハを教えてくれる先達が!何もかも無い無い尽くし!………そんなヤツを殺しかけて笑う権利がお前らにはあるのか!?」

 

ベートもすっかり酔いが覚め、自身が惨めになった。ベルに比べて自身はどれだけ恵まれていたか、種族、経験、先達、ファミリア………その全てがベルより恵まれていた、そんなのベルにマウントを取って笑っていたのが恥ずかしくなったのだ。

 

「あとな、もう1つだけ教えてやるよ」

 

そして、八雲はトドメとなる言葉を口にした。

 

「ベルが行き止まりに追い詰められた理由はな………お前らが取り逃がしたミノタウロスが上に行かないように4階層へ向かうルートから遠ざけようとしたからだよ。そんなの気にしなきゃ逃げられたってのにな!」

 

最悪だった。もしベルが4階層に逃げてミノタウロスが上に上がってしまった場合、アイズが間に合わず他の冒険者が殺されていた可能性があった。

そう、ベルが5階層で足止めをしていたからこそアイズが間に合ったのだ。

つまり、ロキファミリアは結果的にとはいえミノタウロスを他ファミリアへ怪物進呈して被害を出すのを止めていたという事になるのだ。

 

「さっきそこの犬ッコロが品位がどうのとか言ってましたけど………テメエらの方がよっぽど品位下げてんだって、自覚しろ」

 

それだけ言い残し、八雲はロキファミリアのテーブルから離れ、自分達の席に残っていた食べかけの料理をミアに許可を取ってから【宝物庫】にしまうと店を出ていった。




やり過ぎた感はありますが、八雲が言ってる事の大半が最初にダンまちのアニメ見た時からの感想です。
アレ、原作でもベル君が追われてなかったらどうなってたことやら………
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