ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典 作:ミストラル0
他のところならクリスマスの話とか書くのでしょうけど、ここは平常通り本編を進めさせていただきます。
今回からは怪物祭のお話。
原作とは少し状況が変わっております。
怪物祭当日。その日は八雲とアフロディーテは毎年恒例の屋台での稼ぎ時ということで特訓はお休みとなり、ベルは1人お小遣いを渡され祭りを楽しめと自由時間を与えられてしまった。
最初はベルもミリスのように屋台を手伝おうかと申し出たが、八雲達から「初めてのお祭りなんだから」と却下されたのだ。
「楽しめと言われてもなぁ………」
村でのお祭りぐらいしか経験の無いベルはどうしていいやらと途方に暮れていた。
そして、フラフラと歩いているといつの間にか今ではすっかり顔馴染みの店となった豊穣の女主人の前に来ていた。
「お〜い、そこの白髪頭〜」
すると、店の中からアーニャが顔を出し、ベルを手招きする。
「アーニャさん、いい加減ちゃんと名前覚えて下さいよ………」
「そんニャのアイツに奢られてばっかじゃニャくて自分で一端に稼いでから言うニャ。それまでは白髪頭で十分ニャ」
「うぐっ」
呼び方について抗議すればアーニャに痛いところを突かれてしまうベル。
「そんにゃことよりこれニャ」
そう言うとアーニャはベルにガマ口財布を手渡す。
「はい?」
「白髪頭はシルのマブダチニャ。だからコレをあのおっちょこちょいに渡して欲しいニャ」
「は?」
全くもって意味が分からず困惑するベル。
「アーニャ。それでは説明不足です。クラネルさんも困っています」
そこに現れたのは店員の一人のリューだった。
「リューはアホニャー。店番サボって祭り見に行ったシルに、忘れていった財布を届けて欲しいニャんて、そんニャこと話さずともわかることニャ。ニャア、白髪頭?」
「いえ、全くわかりませんでした」
「ニャア!?」
「という訳です。言葉足らずで申し訳ありませんでした」
「いえ、訳は今ので大体わかりましたから」
詳しく聞けばシルはサボったのではなく、ちゃんと休みを取って怪物祭を見に行ったのだとか。
しかし、財布を忘れて行ってしまい、他の店員は店の手伝いで手が離せられないので、偶然通りかかったベルに声をかけたらしい。
「そういう事ならお引き受けします」
「祭りで混雑しているかと思いますのでお気をつけて」
「はい!」
こうしてベルはシルに財布を届けるべく、祭りの会場となっている闘技場へと向かうのであった。
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一方、その闘技場の周辺で屋台をしている八雲達はというと………
「はい、お好み焼き3つお待ち!」
「サカナ焼き5つに焼きそば5つだよ〜」
「はい、お団子10本ですね」
八雲とアフロディーテが作り、ミリスが会計を担当し、物凄いスピードで客を捌いていた。
まだ調教ショーが始まる前なので見ながら食べる物を求めて多くの客が並んでいるのだ。
「うぅ………相変わらず美味しい」
「タイミングも悪かったけど、まだ怒ってるわね、彼ら」
その近くでティオナ、ティオネ、レフィーヤの3人は焼きそばやサカナ焼きを手に浮かない顔をしていた。
その理由は先日の豊穣の女主人での一件を謝罪しようと訪れたのはいいが………
「まさか話すら聞いてもらえないなんて………」
実は先程「今は稼ぎ時なんだからそういうのは後にしろ、買わないなら邪魔だ」と追い返され、仕方なく食べ物を買って食べていたのだ。
ちなみに今日だけでなく、ここ数日店を訪れても同じ対応で全く話を聞いてはもらえず、訪問したロキファミリアの団員達はかなり精神的にダメージを負っていたのだ。
しかも、団員達を遣いとして送ったのに対しても「本当に謝る気があんのか?謝罪するならトップ自ら来いっての!」と余計に怒らせてしまった事もあってフィンの胃にかなりのダメージが発生している。
それでも客としては最低限の対応をしてくれるだけまだ温情ではあった。
「ほんとあのクソ狼め!余計な事してくれたわね!」
「アイズも行きつけの屋台なのに顔出し辛いって凹んでた」
「追い返される理由も正当なものなので何も言えませんし」
おかげで遠征の後始末が進んでおらず、先日はディアンケヒトファミリアからも素材の買取の際にかなり足元を見られる結果になってしまった。
「八雲と仲の良いラウルやアキはまだ普通に接してくれるそうだけど、例の話になるとだんまりだそうよ」
「早いとこ何とかしないとね」
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「ベル君!次はあっちに行こう!」
「待って下さいよ!神様」
シルを探していたベルはというと、途中でばったり再会したヘスティアに振り回され屋台巡りをしていた。
無論、ベルはシルに財布を届けなければならない事をヘスティアに伝えたのだが、「この人混みじゃ闇雲に探したって見つからないさ!だからボクと一緒に回りながら探そうじゃないか」とベルの手を引いて祭りを楽しんでいるのだ。
そして、多分もう財布の事は忘れている。
「ここが闘技場………」
「確かここらへんで八雲君とアフロディーテ達が屋台を出しているはずなんだが………」
「神様、あの屋台じゃないですか?」
あっという間に闘技場までやってきたベルとヘスティアは闘技場の傍という好立地に屋台を構えている八雲達の屋台を発見する。
「あら?ベル君にヘスティア様じゃないですか」
「あっ、ミリスさん」
「お〜、ミリス君!数日振りだね。ところで今は大丈夫かい?」
「はい。既に調教ショーも始まりましたので客脚は落ち着きましたから」
すると、屋台も一段落したのか八雲とアフロディーテもベル達のところへやってきた。
「おっ、来たかベル。それにヘスティア様も帰ってきたみたいだな」
「どう、楽しんでる?ヘスティアもお帰りなさい」
「ああ、やっとこれが完成してね!」
そう言ってヘスティアが背中の荷物を示す。
「さっきからずっと気になっていたんですが、それは何なんですか、神様?」
「フッフッフ、それはだね」
その時だった。
「うわぁああ!モンスターが逃げ出したぞ!」
ドゴォンという轟音と共に闘技場の外壁が弾け飛び、中から拘束具を着けたシルバーバックが飛び出してきたのだ。
「あれは、調教予定のシルバーバック!?」
そのシルバーバックはショーの目玉として八雲が捕獲を手伝ったシルバーパックだった。
「グォオオオオ!」
飛び出してきたそのシルバーバックはしばらく辺りをキョロキョロと見回していたが、ヘスティアを視界に入れた途端何故かヘスティアに向かって突撃してきた。
「神様!こっちに!」
突然の事に驚くヘスティアの腕を引き、ベルはその場から逃げ出し、シルバーバックもそれを追ってその場から走り去っていく。
「ベル!」
八雲もシルバーバックを追おうとするが、逃げ出したのはシルバーバックだけではなく、他にも野放しにするには危険なモンスターが十数体逃げ出しており、その対処の為に八雲は残らざるえなかった。
「チッ!無事でいろよ、ベル」
八雲が【宝物庫】からロングソードを取り出しモンスターと応戦していると、アフロディーテはある事に気付く。
「八雲!このモンスター達、【
「何だと!?」
つまり、この騒ぎは
「これだけの数を一斉に【魅了】とか人間技じゃ………」
「ええ、こんな事しでかすのは彼女くらいよ」
「やっぱ
何とかその場にいたモンスター数体は仕留めたものの、シャクティやハシャーナ、ザメルが現場に駆けつけるまでにシルバーバック以外にも何体かモンスターを取り逃がしてしまった。
「すまん、数体取り逃がした!」
「いや、迅速な対応に感謝する」
「今ギルドに他のファミリアにも応援を要請してもらっている。お前にも引き続き協力を頼みたい」
「ああ、俺の知り合いも逃げたモンスターに追われてるからそれを探すついでに見つけたやつは始末しておく」
「頼んだ」
そうしてシャクティ達と別れてシルバーバックを探そうと八雲は闘技場を離れようとしたが、その前に立ちはだかる者がいた。
「………オッタルさん、アンタがここにいるって事は、今回の騒動の発端はフレイヤ様って事でいいんだな?」
「そうだ。あのお方はあの少年に試練を課せられた」
「つまり、アンタは俺に邪魔をするなって伝えにきたメッセンジャーって訳か」
「思いの外冷静なのだな」
「腹ん中は煮えたぎっても頭は常に冷静に、ってな。兄貴と親友の教えだ」
アフロディーテから今回の騒動が美の女神の仕業と聞いてから八雲はこうなる事を半ば予測していた。
そして、八雲がその邪魔にならないようにフレイヤは恩のあるオッタルをメッセンジャーにしたのだ。
「アンタには恩があるから今回は邪魔はしない。だが、他の後始末はするなとは言わねぇよな?」
「それは構わん」
八雲が邪魔をしないと告げればオッタルは背を向けてその場から立ち去っていった。
「ベルのやつ、美の女神に目を付けられるとか何したんだか………」
八雲は頭を抱えながらもシルバーバック以外のモンスターを始末するべく駆け出すのであった。
ベル君は原作通りシルバーパックに追われる事になり、八雲は別のモンスターを狩る事に………
尚、八雲にシルバーパックを追わせない為に原作よりも多くモンスターを逃しています。
こちらは今回で本年の最後の投稿になります。
では、皆さん良いお年を