ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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今回はソード・オラトリアのシナリオからです。
八雲があのモンスターと再戦となります。

そして、八雲の隠し玉の1つが解禁します。


三十九話 因縁と八つ当たり

オッタルと別れた八雲は見つけたモンスターを手当たり次第に撃滅していた。今回集められたモンスターのほとんどは深いところで19〜24層辺りのモンスター。レベル4となった八雲からすれば大した強さではない。

しかし、いつもなら首を刎ねて一発で仕留める八雲らしくなく、モンスターは徹底的にバラバラにされて消滅していく。

 

「ちっ、あの女神、何体モンスター逃がしやがった!」

 

他にもガネーシャファミリアが援軍を要請したようで、物凄い勢いで逃げ出したモンスターが狩られているが、それでもまだ多くのモンスターがオラリオに散っていこうとしている。

 

「テメエは何処に逃げるつもりだ?」

 

そのうちの一体であるソードスタッグが屋根に飛び乗って逃走しようとするとその首に取り出した鎖鎌の分銅を投げつけて拘束し、そのまま地面へと叩き落とす。

そして、身動きが取れないソードスタッグを今度は2本のカトラスを取り出して切り刻み消滅させる。

 

「あっ、八雲………」

 

すると、そこへ援軍としてモンスターを追っていたアイズと遭遇する。

 

「アイズって事は他のファミリアにも援軍を要請したか」

 

「………うん、ギルドからの要請」

 

アイズとしては合わせる顔が無いと思っていた人物との不意の遭遇に気不味さを感じていたアイズだったが、対して八雲は特に気にした様子は見せていない。むしろアイズが気に病んでいる事の方を気にしているくらいだ。

なので彼女の気が晴れるかは判らないが、八雲は口を開く。

 

「はぁ………最近、どっかの誰かさんが買いに来ないから多めに揚げてるジャガ丸くんが余り気味だってアフロディーテが言ってたな」

 

「!?」

 

その八雲の言葉にアイズはハッと顔を上げる。

 

「で、でも、ロキファミリアの団員は追い返されるって………」

 

「そりゃあ、何も買わずに勝手な事を言うだけの奴は追い返すが、客なら客として扱うぞ?」

 

当たり前と言えば当たり前の事である。

 

「………じゃあ、また買いに行っても?」

 

「そもそも俺はアンタには怒ってねぇよ」

 

「そうなの?」

 

「だってそもそもアンタはベルを助けてくれた恩人だし、あの時も怒ってくれたろ?」

 

そう、八雲はあの時アイズがベートの言葉に怒っていた事やベルが飛び出していった時も心配していたのをちゃんと見ていたのだ。

 

「さてと、10は片付けたが、あと何体だ?」

 

「私も9体倒したからあと2体のはず」

 

「となると近場に1体いるはずだ」

 

「きゃああああああああああっ!?」

 

その時、広場の方から悲鳴が響く。

 

「行こう」

 

「ああ!」

 

***********************

 

2人が向かった先では既にティオナ、ティオネ、レフィーヤの3人がとあるモンスターと交戦しており、そのモンスターによってレフィーヤは大怪我を負わされ、今にもトドメを刺されようとしていた。

 

「あのモンスターは!?」

 

「先に行くっ!」

 

仲間のピンチにアイズはそのモンスターとレフィーヤの間に割り込むが、八雲はそのモンスターを見て足が止まってしまっていた。

 

「アイズ!」

 

「それに八雲………アンタも一緒だったの!?」

 

アイズがそのモンスターの首を刎ねた事でアマゾネス姉妹は油断しているが、そのモンスターを知る八雲からしたらまだ目を離す事が出来ない状況だ。

 

「まだだ!」

 

「えっ?」

 

八雲が叫ぶと同時に地面が揺れ、そこから3本の蔓が伸び凶悪な口を持った花が開く。

 

「何でこのモンスターが地上にいやがる!?」

 

それは、八雲が4年前に遭遇した植物型のイレギュラーモンスター・食人花だった。

 

「八雲、このモンスターを知ってるの!?」

 

「悠長に話してる暇はねぇぞ!」

 

3体の食人花がまず狙ったのはアイズだった。アイズはそれを咄嗟に迎撃しようと普段のデスペレートではなく借り物の細剣を振るうも、いつものデスペレートと同じ扱いで使っていた無理がここで細剣の耐久値を超えてしまい、食人花に触れる前に根本からポッキリと折れてしまったのだ。

 

「あっ」

 

それを見てアイズの表情が強張るも、食人花は待ってはくれず、仕方無しにアイズは柄の金属部分で食人花を殴り、風を纏って後退する。

しかし、それは逆効果で、食人花は余計にアイズを執拗に狙う。

 

「今度はアイズ!?」

 

「あのモンスターは魔法や魔石に反応する習性がある!」

 

「それを早く言いなさいよ!」

 

「ともかく!これをレフィーヤに飲ませて下がってくれ!」

 

「でも!」

 

「いくらアンタらでも素手じゃどうにもならんだろ!」

 

そう言って八雲が【宝物庫】から取り出してティオネに手渡したのはエリクサーであった。

 

「ちょっ!?これエリクサー!?」

 

「明らかに重傷なんだ!それくらい遠慮なく使え!」

 

エリクサーを返そうとするティオネに無理矢理エリクサーを持たせてレフィーヤの方へと向かわせ、アイズの方へと視線を向ければ八雲はあるものを見つけてしまう。

それはアイズの進行方向に崩れた屋台に足を取られて動けない犬人族の少女がいたのだ。

 

「クソッ!」

 

八雲は直ぐ様その少女の方へと駆け出し瓦礫を蹴り飛ばして少女を抱えて跳ぶ。その直後、少女がいた場所をアイズに回避され勢い余った食人花が通過していく。

 

「アイズ!少しは周りを見ろ!」

 

「ごめん!」

 

抱えた少女は気を失っていたようだが、心音はちゃんとしておりまだ生きているとわかる。それを確認すると、八雲は助け起こされ駆けつけたギルド職員やアマゾネス姉妹に介抱されるレフィーヤのところまで少女を運ぶ。

 

「この娘も頼む!」

 

「はい!」

 

「八雲さん、私は」

 

「エリクサーで治るのは傷だけで血液は足りてねぇだろ………それにアイツらは魔力に反応する。今のアンタにアレを回避する体力も戻ってねぇはずだ」

 

「でも!アイズさんは剣を!」

 

「そうだ!アンタの【宝物庫】から武器をアイズに!」

 

そこでティオナが八雲にアイズへ武器を貸すように頼むが………

 

「悪いが断る」

 

「ちょっと!そんな事言ってる場合じゃ!」

 

「八雲さん、まさか」

 

「………アレは俺がやる」

 

そう宣言してレフィーヤ達から少し離れた所に立ち八雲は何も無いはずの右手側に虚空へと手を伸ばすと、その空間が歪み八雲の手に禍々しい黒い大鎌が出現した。

その大鎌は刃の付け根の部分に赤い瞳の眼のような球体が取り付けられ、刃も鉤爪のような2段になったどう見ても普通の大鎌ではないデザインをしており、明らかに【宝物庫】から取り出したのとは違う出現方法をしている点からもそれが明らかに異質だと感じさせる。

 

「な、何ですか、その鎌は………」

 

特に魔法を使うエルフであるレフィーヤにはその大鎌が纏うオーラを感じ取ってしまったようで、身体を震えさせていた。

 

「アイズ!その風を切って下がれ!」

 

アイズもその大鎌の異質さを感じたからか、八雲に言われた通りに風を消してその場を飛び退く。

すると、食人花はくるりと花をアイズから八雲に向け直す。

 

「こいつの事を感じるぐらいの知能はあったか」

 

レフィーヤ達を巻き込まぬようレフィーヤ達から距離を空けつつ、寄ってきた食人花に八雲も大鎌を地面と水平に後ろへ引きながら接近し勢いを付けて食人花の1体へ大鎌を円を描くかのように振るい、振り切ったところで刃を返しもう一閃、そして最後にもう一度斬りつけて輪切りへと変える。

 

環伐弐閃(ワギリニセン)

 

それが今の技の名前らしく、輪切りにされて消滅する食人花を見もせず、八雲は輪切りになるのを上に伸ばすことで避けてそのまま八雲を丸呑みにしようとしていた次の食人花を跳び上がって回避し、その後ろから接近してきたもう1体の食人花に大鎌を振り抜く。

 

蒼天大車輪(ソウテンダイシャリン)!」

 

その軌跡は真空波を発生させて食人花を斬り刻む。

3体目の食人花を倒した八雲はその落下のスピードを利用して八雲は先程回避して下にいた2体目の食人花をX字に斬りつけ最後に縦に一閃して地面に大鎌を突き刺す。

 

「これで終わりだ!環伐乱絶閃(ワギリランゼツセン)!」

 

すると、その突き刺した場所に黒い円陣が出現したかと思えば、地面から漆黒の爪が6本生えて食人花をズタズタにしてしまい、残ったのは通常の魔石とは異なる極彩色をした魔石が3つ。

 

「なに、これ………」

 

その常軌を逸した光景にその場にいたもの達は言葉を失う。

 

「………乱絶閃まではやる必要なかったな」

 

対して八雲はその大鎌をしまいながら極彩色の魔石の1つを拾い、先程の戦闘の反省をしていた。

 

「原因はやっぱさっきの犬人族の娘がアイツ(ユーリヤ)と被ったからだよなぁ………」

 

かつての仲間だったユーリヤ=トーリバ。その最後とレフィーヤの怪我や気を失っていた少女が重なってしまった事で八雲は少し過剰に攻撃を行ってしまったのだ。

  

「ってか、アレ(大鎌)も出しちまったしなぁ………絶対に椿に知られたら見せろって言われるよなぁ………」

 

「八雲、今のって………」

 

「あっ、まだ逃げたモンスターいたの忘れてた!?」

 

アイズが八雲に色々と訊ねようとしたが、八雲はまるで今思い出したかのようにそう告げるとその場から逃走してしまった。

 

「そうだ………コレ、どうしよう」

 

「私もエリクサーなんて使わせちゃいました………絶対に今の蓄えだと足りませんよぉ」

 

一方でアイズとレフィーヤは思わぬ形で借金をする事になり、頭を悩ませる事となるのであった。




八雲の隠し玉とは………偽憑神武器(ロストウエポン)の1つ、死ヲ刻ム影でした。

次回は怪物祭の後日談になるかな?
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