ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典 作:ミストラル0
原作を未履修の方はご注意下さい。
結局、八雲がシルバーパック以外の全てのモンスターを倒した頃にはベルも何とかシルバーパックを倒した後であった。
追われていたヘスティアはヘファイストスの手伝いで疲労が蓄積していたらしく、ベルがシルバーパックを倒したのを見届けるとそのまま意識を失ったそうだ。
その後、“偶々近くにいた”シルが2人を豊穣の女主人へと連れていくのを提案し、ミアの好意で部屋を貸し与えて休ませている。
その貸し与えた部屋から出てきたシルに八雲は険しい顔を向けた。
「アンタ、一体何を企んでる?」
「た、企むなんて………一体何の事ですか?」
突然掛けられた言葉に怯えたように恍けるシル。
すると、八雲の瞳が紅く変わり眼光の鋭さが増す。
「恍ける必要は無いぞ、シル=フローヴァ………いや、あえて言うぞ。ベルに何をするつもりだ?“女神フレイヤ”」
「………他の神には隠し通せたんですけどね」
そう、シルの正体は女神フレイヤ。北欧神話にてシル=フローヴァというのはフレイヤの偽名である事を知っていた八雲は今回の騒動で暴れていたモンスターとシルから薫る魅了の残滓からシルがフレイヤに近しい者もしくは本神と当たりをつけ、カマをかけてみれば本当にフレイヤ本神だったのだ。
尚、フレイヤが八雲の言葉を完全に確信に至っていなかったのを見抜けなかったのは八雲がとある憑神のスキルを限定的に発動して神々の「嘘を見抜く眼」を無効化したからである。
「とりあえず、今の私はシル=フローヴァという事にしておいて下さい」
「質問に答えてくれるならな」
「ふふっ………質問にお答えするなら“我慢出来なくなってしまった”ですかね?」
「我慢出来なくなった?」
「ええ、ベルさんの魂は今まで見た事が無い輝きと純粋さがあります。最初はただそれを見守っていれば満足だったのですが、もっと輝くところが見たくなってしまいまして」
「………はぁ、美の女神ってホントロクな事しねぇわ」
「それを言うならアフロディーテも大概ですよ?」
「それは知ってる」
「そもそも俺がオラリオにいるのもアイツのせいだし」
「あ〜、それで八雲さんの魂にアフロディーテの残滓とゼウスの残滓………そして“その黒い何か”がくっついているんですね」
「ちょっと待て!ゼウスの残滓って何だよ!?スッゲー心当たりはあるけどさ!?」
「ふふっ、これ以上は私からは言えませんね………貴方がフレイヤファミリアに来るなら別ですけど」
「悪いが今のところ
「それは残念です」
「どうせ俺を入れれば弟子のベルともっと接し易くなるとかそんな算段だろ?」
「バレました?」
そう戯けてみせる
つまり、真剣な話はここまでという事だ。
「………あ〜、調子狂うわ」
「この姿でいる時はこれまで通りシルとして接して下さいね?」
「はいはい………オッタルさん達、思ったより苦労してんだなぁ」
今度、胃に優しいものを差し入れようと八雲はそう思った。
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結局、ヘスティアはただの過労だっただけで直ぐに回復したようで、翌日にはすっかり元気になっていた。
「八雲君にも心配をかけたね」
「まあ、あんなのに巻き込まれたからな」
「師匠はあの後ずっと他の逃げ出したモンスターと?」
「ああ、途中で【剣姫】も援軍として参加してくれたから逃げ出したモンスターは1匹残らず狩り尽くしたはずだ」
「アイズさんと………」
あの豊穣の女主人での一件以降顔を見ていない女性の事が話題となり、ベルが反応を見せる。
「とりあえず今日は昨日あんな事があったからダンジョン行くのは禁止な?」
「はい」
「それとバベルの中にある前に連れてった店にコイツらを預けてきてくれ。昨日の連戦で酷使しちまってな………俺の名前を出せば通じるはずだから」
そう言って八雲はいくつかの装備の入った荷物とその整備費用の入った袋をベルに渡す。
「余った金は自由に使っていいぞ。そろそろ防具も更新しといた方がいいし」
「えっ、でもこのナイフのお金も半分は師匠持ちだって………」
「ヘスティア様め、いらんことを………ゴホン、申し訳無いって思うならその金を返せるようにしっかり強くなれ」
「師匠………わかりました」
そう言うとベルは荷物を持って裏口からバベルへと駆け出していった。
「で、いつまでそこに隠れてるつもりです?【勇者】」
「やはりお見通しみたいだね」
ベルが見えなくなったのを見計らって八雲は入口の近くに隠れていたフィンに声を掛けた。
「わざわざ隠れてたって事は用はベルの一件じゃねぇんだろ?」
「そっちはまた後日改めて訪問させてもらうよ」
そうフィンが告げると、フィンに続いてロキ、リヴェリア、レフィーヤの1神と2人も店の中にやってきた。
「まずは昨日はレフィーヤを助けてくれた事に関して礼を言いたい………うちの団員を救ってくれてありがとう」
「ウチもお礼を言わせてもらうわ」
「私からも礼を言う。聞けばエリクサーを使ったと」
「あの傷じゃ他の回復薬じゃ間に合わないと思っただけだよ。それにあれはディアンケヒトファミリアから薬草採取の報酬として貰った試供品だし」
「やはりか………アミッドが言っていた通りか」
エリクサーで回復はしたものの、念の為にとアミッドに診てもらったそうで、もう大丈夫とのこと。
「うぅ、そんな貴重なものを………」
そんな中、1人俯いているレフィーヤ。どうも八雲が渡したエリクサーの代金をどうしようと悩んでいるようだ。
試供品といえどディアンケヒトファミリア製のもので、値段を付けるなら相応の値がするだろう。
「俺は気にしてねぇんだけどなぁ………」
「私が気にするんです!」
結局、現在の相場の8割の値段を支払うという事で決着したが、今のレフィーヤの手持ちでは足りないとの事なので支払いは必ず行うという誓約書を手渡されてしまったのであった。
ロキファミリアとの話し合いはもう少し続きます。