ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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少し書き悩んでしまい遅くなってしまいました。

今回は赤毛の女ことレヴィス戦です。
都合上、原作とは少し異なる展開となります。


四十三話 リヴィラの長い夜

酒場を飛び出した八雲とハシャーナは赤毛の女を街の外にある広場まで誘導し戦っていた。

 

「フン!」

 

「くっ」

 

2人掛かりとはいえ、明らかに格上の力を持つ赤毛の女に八雲とハシャーナの方が劣勢。既に八雲は長剣を2本折られ、ハシャーナもサブウエポンだった長剣を失いメインの拳打に切り替えている。

折られた剣を【宝物庫】にしまい、次の剣を取り出す八雲を見て赤毛の女は眉をひそめ口を開く。

 

「妙な“手品”を使うな」

 

「俺のコレを見てそう言うって事は少なくともオラリオの冒険者じゃねぇな?お前」

 

八雲の【宝物庫】はその希少過ぎる能力故に今ではオラリオの各派閥でマークされている能力。

それを手品と称した事から八雲はこの女がオラリオの真当な冒険者では無いと察する。

だが、少なくともレベル5以上の実力がある事からラキアの人間という可能性も無い。

となれば暗黒期の闇派閥(イヴィルス)の残党というのが可能性としては高いだろう。

 

「冒険者?お前達と一緒にするな」

 

「冒険者じゃない、だと!?」

 

「冒険者になる以外で、恩恵を得る以外でそれだけの力を得たって事か………どう考えても普通じゃねぇよな、その力」

 

しかし、女は冒険者である事を否定する。

その直後、リヴィラの街の方でも騒ぎが起っていた。

 

「何だ!?街の方から音が」

 

「あれは!?」

 

ハシャーナがその騒ぎに気付き、八雲が街を見るとそこにはまたしてもあの食人花の姿があった。

 

食人花(ヴィオラス)を放ったか………余計な真似を」

 

「ヴィオ、ラス?」

 

それを見て女が食人花を見てその名を呟くのを八雲は聞き逃さなかった。

 

「………あのヴィオラスとかいうのはお前らのか?」

 

「ん?」

 

「………10層の食料庫、あそこにあのモンスターを運んだのはてめえらか?」

 

「ああ、そういえば前にせっかく運び込んだやつが全滅してもう一度運び直しになった事があったな」

 

女がそう答えた次の瞬間、八雲の周りの空気が変わる。

 

「………そうか、お前が………お前らが………」

 

手にしていた長剣をしまい、無手となった八雲は左右に両手を伸ばして念じる。

すると、ポーンという音と共に両手が【宝物庫】とは別の空間に入り込み、抜き出すとそこには突起の多い特徴的な形状をした緋色手甲が装備され、八雲は再び赤毛の女へと向かっていく。

 

「武器を変えたところで!」

 

赤毛の女は長剣を振り下ろす事で八雲を迎撃しようとするが、てっきり避けると思っていた八雲はその長剣を手甲で受け止め弾き飛ばされてしまう。

その後も何故か八雲は攻撃を避けようとはせず、致命傷だけは避けるような近接戦闘を続ける。

ハシャーナも最初は八雲がユーリヤの事件の事を思い出して乱心しているように見えたが、その眼は冷静に何かを見極めているように見える。

そして、何度目かの攻撃を受けて八雲の手甲の緋色の部分の色彩が濃くなり輝き出す。

 

「やっと溜まったか」

 

「何を狙っているかは知らんが、そのダメージではもうろくに動けまい!」

 

赤毛の女はボロボロになりつつある八雲にトドメを刺さんと剣を振るうが、それに合わせて剣に手甲をぶつける。すると、緋色の光が一際強くなり、女の長剣が砕ける。

 

「なっ!?貴様、何をした!」

 

「何をって、てめえから受けたダメージを全部“返して”やっただけさ」

 

八雲の手甲の正体は偽憑神武器の1つ、第七相タルヴォスの力を宿した【緋ニ染マル翼】。その能力は“復讐”。受けたダメージを自身の攻撃力に変換したり、受けたダメージのカウントをリセットする代わりにそれまで受けたダメージを一撃分の攻撃力に転換する武器だ。

八雲はこの能力を利用する為にわざとダメージを負い、ダメージカウントの上限(カンスト)*1まで溜め、それによる反撃を狙っていたのだ。

その威力は女の長剣を砕いただけに留まらず、剣を持っていた右腕が痺れて握っていた柄を離してしまう程であった。

 

「悪あがきを………」

 

それでも女は武器を失っただけでまだ戦えた。

だが、女は時間を掛け過ぎた。

 

「そこまでだ!」

 

女が素手での戦闘に移行する前に騒ぎを聞きつけたフィンとアイズがやってきてしまったのだ。

 

「フィンさん、街の方は?」

 

「リヴェリア達に任せてきた。それよりも随分とボロボロだね?」

 

「あのモンスターはこの女の仲間が利用もしくは使役してるようです。女も恩恵は持っていないそうですが、レベル5か6相当の実力かと」

 

「わかった………ハシャーナは八雲を連れて下がってくれ」

 

「ああ!」

 

「させん!」

 

「それはこちらのセリフだよ!」

 

八雲から情報を得たフィンはハシャーナに八雲を下がらせるように指示するも、女がそれを黙って見過ごす筈もなく、素手のまま仕掛けるが、逆にフィンの槍に阻まれてしまう。

 

「ちっ!」

 

「アイズ!」

 

「【目覚めよ(テンペスト)】!」

 

そこへアイズがエアリアルを発動して突撃するが、女は咄嗟に後ろに跳ぶ事でそれを回避する。

 

「その風………なるほど、お前が“アリア”か」

 

「「ッ!?」」

 

女の言葉にフィンとアイズは信じられ無いものを見たかのような顔を見せる。

 

「素手ではレベル6とアリアの相手はキツいか………それに“宝玉(タネ)”は既に………ここは退かせてもらおう」

 

そして、女は自身の不利を悟り、街の方で起こった異変を察知するとそのまま逃走。

勿論フィンとアイズは追おうとしたが、途中で崖から飛び降り湖に潜られてしまったせいで女を見失ってしまう。

 

「くっ、逃した」

 

「色々と聞きたい事はあったけれども………どうやらそれどころじゃないみたいだ」

 

女が街の方を気にしていたのを思い出して街の方を見れば食人花が変異して上半身が女性、下半身が蔦で出来た触手のようなスキュラに似た何かへと変貌しており、それが街の広場でリヴェリア達やリヴィラの街の住人と交戦しているようであった。

 

「あれは、50層で見た」

 

「アレの同種のようだね」

 

「50層!?何でそんなモンスターがここ(18層)に!?」

 

フィン達の言葉にハシャーナが驚く。

そんな中、【宝物庫】にしまってあった虎の子のエリクサーを飲み干した八雲が立ち上がり街へと向かおうとする。

 

「八雲!そんな身体でどうするつもりだ!?」

 

「一応エリクサーは飲んである程度は回復しました………それにあの街は“アイツ”の故郷ですから」

 

呼び止めたハシャーナだったが、八雲の言う“アイツ”がユーリヤだと知るハシャーナはそれ以上八雲を引き留める事が出来なくなってしまう。

 

「行くのは構わないけど、僕らの指示には従ってもらうよ?」

 

「わかりました」

 

「なら行くとしようか」

 

リヴィラの長い夜はまだ終わらない。

*1
自身の生命力と耐久値から計算される許容ダメージ量




宝玉が原作と同じく食人花と融合している事については次回で。


偽憑神武器の1つ緋ニ染マル翼と憑神タルヴォスの情報解禁

緋ニ染マル翼
第七相タルヴォスの憑神武器。
“復讐者”の異名を持つタルヴォスの能力が付与されており、受けたダメージによって攻撃力を上昇させる能力と上昇値をリセットする代わりにそれまで受けたダメージ量をそのまま一撃の攻撃力に転換する能力を有する緋色の手甲。
ダメージを受ける事を前提とする武器であり、ダメージ計算は装備してからのダメージ量のみで、途中で回復薬等を使って回復しても上昇値がリセットされてしまう為使い勝手は悪い。

第七相“復讐者”タルヴォス
憑神の解禁条件は復讐心を抱く事で、八雲はユーリヤを失った際に既にこの条件を満たしており、2番目に解禁した憑神。
憑神として発動した場合は相手から受けた今までの累計ダメージ量を攻撃力に転換した攻撃力を得るとかいうえげつない能力を持つが、初対面の相手だと攻撃力がほぼ0になってしまうという極端過ぎる憑神。
本来の使用者であるパイの憑神とは姿が異なり、十字架に張り付けられた男性が後ろから十字架越しに巨大な杭で穿かれたような痛々しい姿をしている。
データドレインはその杭の先端から放たれる。

劇場版のオリオンの矢について、八雲を参戦させるかどうか

  • 八雲参戦
  • オラリオでお留守番
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