ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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GW中は手術とかあって入院していて書けずに申し訳ない。

なんとか定期更新に戻れるよう頑張ります。


という訳で今回はベルの魔法発現回です。


四十五話 魔法発現

リヴィラの復興が一段落した頃。アイズとリヴェリアはまだダンジョンに残るとのことだったので一足早くフィン達とオラリオに戻った八雲。

そんな八雲が不在だった間の事を訊ねると、なんとベルが魔法を発現させたという。

しかも通常の詠唱を必要としないこれまたレアな魔法なのだとか。

 

「早く使ってみたいです!」

 

「術名だけで発動する魔法とか色々検証が必要だな」

 

とりあえずその日はもう遅いという事で翌日に八雲の付き添いで検証する事になったのだが………

 

「あんのバカ弟子が!」

 

なんと、ベルは早く魔法が使ってみたくて夜遅くにダンジョンへと単身向かってしまったのだ。

しかも、魔法の試し撃ちだけのつもりだったようで装備も着けずその身そのままで、である。

偶々それに気付いた八雲は素早く準備を整えるとベルを追ってダンジョンへと向かった。

 

***********************

 

一方、ダンジョンで魔法の試し撃ちをしているベルは八雲の心配を他所に遭遇したモンスターに手当たり次第魔法(ファイアボルト)を連発していき、その爽快感に酔っていた。

 

「ファイアボルト!ファイアボルト!」

 

しかし、元がそんなに高くない精神(MP)で魔法を連発していれば………

 

「ファイアボルト!………って………あれ………」

 

あっという間に精神疲弊(マインドダウン)に陥りその場に倒れてしまう。

不幸中の幸いにもその場のモンスターは先程の魔法で倒し終えていたのですぐにモンスターに襲われる事はなかった。

それでも次にモンスターが発生するまでにベルが回復するとも限らない。

精神疲弊自体は多くの術士(マジックユーザー)が経験する事ではあるが、ソロの術士が何より気を付けねばならないのが安全地帯の確保が出来ない状態での精神疲弊である。

というか、素人の術士の死因の多くはこの精神疲弊によって行動不能になったところを襲われる事だったりする。

本来なら明日の試し撃ちで八雲がその辺りについて説明したりするつもりだったのでベルはそれを知らなかったのだ。

 

「ん?あれは………精神疲弊か」

 

「あっ」

 

ベルの幸運はまだ続く。フィン達と別れてまだダンジョンにいたアイズとリヴェリアが帰り道に偶々その場を通り掛かったのだ。

ベルに外傷が無い事から精神疲弊だろうとリヴェリアは察し、その倒れている少年がベルだと気付いたアイズはすぐさまベルを保護する。

 

「彼は確か八雲の………八雲の姿が見えないところを見るに魔法を覚えたてでこっそり試し撃ちにきて調子に乗ったというところだろう」

 

リヴェリアさん、大正解です。

 

「これがアイツにバレたらカンカンだろうな」

 

「………怒った彼は怖かった」

 

「あの時か」

 

まだそう日は経っていない遠征帰りの宴の時、ベートが八雲の逆鱗に触れた時の事や先日の赤毛の女と対峙していた時の八雲を思い出すアイズ。

普段は温厚な部類に入る八雲だが、本気でキレた時はあの妙なオーラも相まってレベルは上のはずのアイズですら悪寒を感じてしまった程だ。

 

「おそらくあの時の禍々しい武器とも関係がありそうだが、アイツが秘匿するようなものだ。余計な詮索はしないでおこう」

 

「うん………ところでリヴェリアーー」

 

その後、ベルに謝罪したいというアイズにリヴェリアはとある教えを授けるのであった。

 

***********************

 

八雲がダンジョンを駆け回りベルの元へと辿り着くと、そこにはベルを膝枕するアイズとそれを見守るリヴェリアという奇妙な光景に出会した。

 

「やっぱ精神疲弊してやがったか………リヴェリアさんにアイズも保護してくれたみたいで感謝する」

 

「偶々通り掛かっただけだ」

 

「うん」

 

「で、何で膝枕?」

 

「それは………」

 

それからアイズ達がフィンと別れてから今までの経緯を聞き、頭を押さえる八雲。

 

「ウダイオス単身討伐って、何してんすか………」

 

「あの赤毛の調教師(テイマー)に及ばなかったのが相当堪えたようでな」

 

「八雲は彼女と互角に戦えていた」

 

「あれはある意味ズルみたいなもんだからな………単純な実力じゃレベル4の俺が生きてられた方がおかしいんだ」

 

「という事は例の大鎌のようなものという事か」

 

「あの時は手甲だった」

 

「………悪いがそいつは黙秘させてくれ。俺のスキルに関わる内容なんでな」

 

【宝物庫】に関しては既にオラリオで広まっているが、【憑神】に関してはまだ広めて良い内容では無い為、八雲は黙秘する。

 

「さて、このバカ弟子はいつになったら起きるやら」

 

未だに眠り続けているベルに呆れた眼差しを向ける八雲。もう少ししたら背負って連れ帰るかと思っていると、ようやく彼は目を覚ました。

 

「あっ、起きたかな………?」

 

「………」

 

目を覚ましたベルはアイズに膝枕をされて髪を梳いていたのだと知る。

 

「幻覚?」

 

「幻覚じゃないよ」

 

ありえないと思ったベルは死ぬ前に見た幻覚かと勘違いするも、すぐさまアイズに否定される。

つまり、幻覚ではない→実際に憧れのアイズに膝枕されていた、という訳で………

 

「だぁあああああああああああああああ!?」

 

思春期の少年には刺激が強過ぎたらしく、ベルは顔を真っ赤にして慌てて立ち上がるとそのままアイズから逃げるようにダンジョンから出ていってしまった。

 

「………何で、いつも逃げちゃうの?」

 

「リヴェリアさん?ちとあの2人にはアレはまだ早かったのでは?」

 

「くく、そのようだな」

 

「む〜」

 

逃げてしまったベルを寂しそうに見つめるアイズにリヴェリアは笑いを堪え切れないとばかりに笑っているが、当のアイズはそれを見て御立腹のようだ。

 

「そう怒るな」

 

「とりあえず俺達も地上に戻ろうぜ。ほら、これは弟子の迷惑料だ」

 

そう言って八雲が【宝物庫】からジャガ丸くん(小豆クリーム)を取り出すと素早くアイズがそれを奪取し、さっきの腹いせかリヴェリアの分も食べてしまう。

 

「………まだあるけど、いる?」

 

「いる」

 

結局、地上に戻るまでに八雲は20個程のジャガ丸くんをアイズに献上する事になるのであった。




久しぶりの出番がこんなので済まない、ベル君………
でも、次回はお説教からなんだ………ごめんよ

次は八雲とリリの顔合わせまで行けるといいなぁ………
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