ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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すみません、体調がよくなかったり、仕事があったりして一週間空いてしまいました。
しばらくは隔週更新でいこうと思っています。

今後も本SSをよろしくお願いします。


………感想なんかもいただけるとモチベーション維持になるかもしれません。


五話 サポーターとお買い物

「サポーター?そりゃ確かにサポーターがいてくれりゃもう少し稼げるようにはなるが………いいのか?」

 

この「いいのか?」には「元々組んでいたパーティーは」や「他のファミリア、しかも零細ファミリアだが」という枕詞がつく。それでもユーリヤは承知の上と言わんばかりに首を縦に振る。

 

「元いたパーティーは私と他の皆さんのレベルが噛み合わなくなったのでそれぞれ別のパーティーを組んでます。なので、今私はフリーなんですよ」

 

別のファミリア同士でパーティーを組むのも決して珍しくはないそうなので構わないそうだ。

 

「なら、明日は俺とユーリヤの装備を整えねぇとな」

 

「わふ、私のもですか?けど、そんなお金は………」

 

「は?何言ってんだ。今日の稼ぎはユーリヤがいてくれたからなんだから還元するのは当然だろ?」

 

「いえ!それは当然とは言いませんよ!」

 

普通ならあり得ない八雲の発言にユーリヤが声を上げるも、八雲はユーリヤの頭をポンポンと撫でながらある言葉を口にする。

 

「“人の好意は黙って受け取れ”」

 

それは八雲が特典として貰った双銃の本来の持ち主である.hack/G.U.の主人公のハセヲの台詞であった。

 

「そこまで言われては仕方ありませんね」

 

結局、ユーリヤが折れることでその話は決着した。

 

******************

 

翌日、八雲とユーリヤの2人はバベル内の各生産系ファミリアの新人等が作った装備を取り扱うエリアにて掘り出し物がないかと漁っていた。

 

「玉石混交というか、ネタ武器に明らかに使いみちがなさそうなのまで多種多様というか」

 

「わふ、正直ピンキリですね」

 

そんな中、八雲は一本の剣を見つける。

 

「それって、東方の刀でしたっけ?」

 

「ああ、鍔が無いからドスに近いが刀身の長さから分類的には中脇差*1だろう………ドスなのに中脇差とか流石はファンタジー」

 

通常の長ドスと呼ばれるものは大脇差*2で、今八雲が手にしているものは中脇差というチグハグさ。そこに元いた世界との違いを感じて苦笑する八雲。

 

「店主、鞘から抜いてみてもいいか?」

 

「ああ、構わねぇよ」

 

「では………へぇ」

 

一応店主に断りを入れてから鞘から抜くと、綺麗な刃紋のついた刃が姿を現す。その後、すぐに刀身を鞘に戻すと八雲は店主に値段を訊ねる。

 

「店主、これいくらだ?」

 

「そいつかい?そいつは1万ヴァリスだ」

 

「買った」

 

その店ではその脇差の他にも数点買い、他の店でもメリケンサックのような持ち手のダガーやユーリヤ用のレザーアーマー等を買い揃えた。

 

「そういえば、ヤクモさんの防具はいいのですか?」

 

「うーん、しばらくは要らないかな?俺の戦闘スタイルだと今のところ攻撃食らわないし」

 

「えっ?」

 

後日、八雲に同行したユーリヤは八雲のアサシンスタイルに顔を引き攣らせたのであった。

 

******************

 

ユーリヤSide

 

「おし、今日はこんなとこにしとくか」

 

「何度見ても凄いですね………さっきすれ違ったパーティーもドン引きしてましたし」

 

その日も私はヤクモさんとダンジョンで魔石を集めていたのですが、いつものようにヤクモさんはモンスターを背後から忍び寄って組み付いて手に持ったダガーで首を掻き切って一撃で仕留めていく。

 

「そろそろこの階層だと効率悪いな」

 

「ですね」

 

ヤクモさんはあの暗殺者のような戦闘スタイルをよく使うのですが、別にそれしか出来ないのではなく、状況に応じて様々な武器を使います。あのザメルさんとの模擬戦の時に見せたニ槍流から判るように長柄の武器や先日買った刀の扱いにも長けています。聞けばそれらはヤクモさんのお兄さんから教わったそうで、やけに対人型戦に慣れているのはそれが理由のようです。

 

「にして、サポーターがいると色々楽だな」

 

どうも魔石を入れるリュックを背負わなくてよくなったおかげで動きが阻害されなくて楽に戦闘が続けられるとのこと。

 

「次の獲物は………ユーリヤ、槍を」

 

「はい」

 

少し離れた場所にいたコボルトを見つけると、ヤクモさんは先程の戦闘では私に預けていた槍を手にしてコボルトへと向かっていった。

 

******************

 

私がヤクモさんの事を知ったのはヤクモさんが初めて私達のホーム(ガネーシャ・ファミリア)を訪れた時だ。

その時、私は団長のシャクティさんと一緒に模擬戦用の武器を運んでいた。運ぶのはすぐに終わった為、ヤクモさんが他のファミリアの方と知り、興味本意で見学をしていた。

 

「よぉ、相手のいない演舞だけじゃ物足りないだろ?俺が相手になってやるぜ!」

 

そんな時、レベルアップが近いという事でファミリア中でも噂になっていたザメルさんが乱入してきた。

 

「冒険者の先輩として現実ってやつを教えてやるよ!」

 

「そいつはありがたい事で‥………俺は今日冒険者登録したばっかりでね、色々教えてくれよ、セ・ン・パ・イ」

 

そこからは圧巻の一言でした。ザメルさんが振るう大斧はヤクモさんに掠りもせず、2本の槍できれいに受け流され、最後は大斧を手から離させて喉元に槍先を突きつけていました。

本来レベルやアビリティは私達冒険者には絶対のもので、レベルアップ間近のザメルさんと恩恵を刻んだばかりのヤクモさんでは天と地程の差があります。なのに、ヤクモさんはその天地をあっさりひっくり返したのですから驚くのも無理もありません。結局その日はその光景が忘れられず中々眠れなくて翌日寝坊してしまいました。

 

******************

 

その後、怪物祭の準備であっさり再会し、その縁があって今は彼のサポーターをしています。

 

「ユーリヤ、ドロップアイテムが出たみたい」

 

「コボルトの爪ですね、回収しておきます」

 

その日は儲けが多かった為、帰りにサカナ焼きを奢ってもらえました。あんこもいいですが、カスタードクリームも美味しかったです。

 

SideOut

*1
1尺3寸以上1尺8寸未満(40cm〜54.5cm)

*2
1尺8寸以上2尺未満(54.5cm〜60.6cm)




次回は22日ぐらいに更新すると思います。
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