ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典 作:ミストラル0
ご協力ありがとうございました。
という訳で事件の顚末と次の事件の始まりです。
あの後の後始末の話をしよう。
あの後リリはロキファミリアに用意してもらった変装用の服に着替えた上に変装魔法を使わせてダンジョンを離脱させ、そのまま八雲達のホームで新人の住み込みウエイトレスとして匿う事となった。
そして、ソーマファミリアとのアレコレが片付くまでは“リディナ・マーカル”という偽名の犬人族として活動しなくてはならない。
これに関してはリリ本人も「演じるのは慣れてますから」と了承している。
また、リリがドワーフの貸金庫に預けていたものやカヌゥ達から取り返したものは八雲が引き取り別名義の金庫を借りて預けたり、リリに了承を取ってから売却したりしてリリが生きている事を悟られ難くした。
ベルの方は偶々通り掛かったアイズに助けられて生還した事にして、リディナを八雲がサポーターとして紹介した事にして予定通り今後も一緒に活動するようだ。
一方、カヌゥ達はフィンの威圧をモロに受けたせいか小人族を見かける度にビクビクしているらしい。ざまあみろ。
順調に見えるこの作戦だったが、思わぬところでトラブルが発生してしまった。
「は?ベルの援護をした後からアイズがいなくなった?」
そう、帰り際になってアイズが行方を眩ませたのだ。
ただ、作戦を放ったらかしにしていなくなるような無責任な人柄で無いのは八雲も重々承知しているので、何かあったではないかと心配するも、その時は皆そこまで重く考えてなかったのだが………アイズの行方は割とあっさり判明した。
「………は?よくわからんやつから緊急の依頼受けて24層に行った?」
協力してくれたロキに礼を言おうと黄昏の館を訪れた八雲を待っていたのはロキと偶々会合に訪れていたというデュオニュソス、その眷属のフィルヴィス・シャリアだった。
そしてアイズが行方を眩ませた事をロキに報告すると先程届いたという手紙の内容を知らされたのだ。
「………見直したと思ったらこれか?割と我慢強い八雲さんでもこれはちょっと我慢の限界かなぁ」
ロキファミリアにとっては先日の豊穣の女主人の時以来の、ベルやリリ、デュオニュソスとフィルヴィスからしたら初めてとなる黒いオーラ全開の八雲に一同は思わず後退る。
そんな中、八雲はロキに問う。
「………で、神ロキ」
「は、はい!」
「これから
「フィン達はやる事があるもんでベートとレフィーヤを送るつもりやったんやけど………」
「わ、私からもフィルヴィスを出そうと思ってたんだ………」
「俺もそこに加えろ」
「「えっ?」」
意外な申し出にロキとデュオニュソスが驚く。
「八雲も手伝ってくれるんか?」
「ああ、ちょっとあの馬鹿にお説教が必要だと思ってな………戻ってくるまで待つのも面倒だ。それにその受けた依頼とやらも少し気になる点がある」
八雲が言うにはいくらアイズとはいえ、こんな状況下で勝手に依頼を受けてそれを手紙だけで報告してきた事に何か違和感を感じていると言う。
「それと、これは俺の“スキル”に関する事だから詳しくは説明出来ないが、嫌な“予感”がしてな」
という訳で八雲もアイズ捜索隊に加わる事になったのだが………
「コイツが着いてくんならそこのエルフ共は必要か?」
「わ、私だってアイズさんが心配なんです!」
「私はデュオニュソス様の命に従っているだけだ。気に食わないのであればお前が抜ける事だな」
「………絶対人選ミスだろ、これ」
あまりの凸凹パーティーに八雲はただでさえ痛む胃が更に痛くなった気がした。
尚、リヴェリアからはアイズへのお説教は一切加減しなくても良いと許可(という名の代行依頼)をもらった。
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この臨時パーティーはレフィーヤ以外が素早さに秀でており、迅速に18層までやってきた。
「さて、まずは
「
「八雲さんですからね〜」
「どういう事だ?」
「すぐにわかりますよ」
ベートとレフィーヤの言う事についていけないフィルヴィスだったが、リヴィラに着けばその意味をすぐに理解する事となる。
「おう!八雲じゃねぇか!また厄介事か?」
「まあな………ちと【剣姫】を探してるんだが知らねぇか?」
八雲が訪ねたのはボールスの店。
そこでアイズの行方を訊ねると、やはりアイズはリヴィラに来たそうで、フードで正体を隠した一団と
「………だが、お前さんロキファミリアはまだしも、なんで【死妖精】と一緒にいるんだ?お前さんだって噂くらい知ってんだろ?」
「聞いちゃいるが、噂は噂だろ?冒険者が験担ぎに五月蝿いのは知ってるが、ガチの呪いでもない限り大丈夫だよ」
「俺も他の連中みたいに信じてる訳じゃねぇがなぁ………」
「それにガチの呪いであれば逆に対処できるから」
「………お前、ほんと無茶苦茶だな」
ボールスからはフィルヴィスといる事を心配されるが、八雲は大丈夫だと言い切り情報収集を終える。
「どうもアイズはここで同じ依頼を受けた他の冒険者と合流して下に向かったらしい………って、また揉め事か?」
八雲がベート達の元に戻ると何やらベートとフィルヴィスが険悪な雰囲気になってとり、その間でレフィーヤがオロオロとしていた。
「あっ!八雲さん!実は………」
聞けばベートがフィルヴィスの手を掴もうとした際に「私に触れるなっ!」とフィルヴィスがエルフによくある接触アレルギーを起こしたらしく、それを切っ掛けに言い合いに発展したらしい。
更には【死妖精】の話もしてしまったようだ。
「ところで情報は?」
「血肉と隠蔽布を買ったフードの一団と下に向かったって目撃証言があった。大方【食料庫】だろう」
「そうですか………」
血肉はリリがベルを嵌めた際に使ったアイテムと同種のもので、モンスターを引き寄せる際に使用するもの。
隠蔽布は各階層に合わせた色の布で、モンスターから姿を隠蔽するのに使うものだ。
この2つを買っている事からアイズ達の目的が【食料庫】であると推測出来る。
「戻っていたか………お前も私の噂は知っているのだろう?ならばあまり私に近づかない事だ」
「くっだらねぇ」
「なんだと?」
「八雲さん!?」
八雲に気付いたフィルヴィスがそう告げるが、八雲はそれを一蹴する。
「呪い如きで俺がくたばるかよ。それにその呪いとやらもほんとに【呪詛】食らった訳じゃねぇんだろ?」
「それはそうだが………」
「なら俺は問題ねぇよ」
「わ、私だって!」
「しかし、現に私は汚れている。私は同胞を穢したくはないんだ」
「フィルヴィスさんは汚れてなんかいません!私なんかよりずっと美しくて、優しい人です!」
「何故そんな事がわかるっ!いい加減な事を言うなっ。私とお前はまだ会って間もないだろう!」
「そ、それはこれから一杯見つけていきます!!」
フィルヴィスが自身は穢れていると告げるも、レフィーヤは反射的にそれを否定し、その根拠の無さをフィルヴィスが指摘するが、返ってきたのは答えになってない返事だった。
「なんなんだ、それは。結局答えになってないではないか………」
そんなレフィーヤにフィルヴィスも根負けしたのか苦笑を漏らす。
「やっぱエルフってよくわからねぇ………」
「それに関しては俺も同感だ」
その後、なんだかんだで少し仲良くなったレフィーヤとフィルヴィスを連れ、八雲とベートは24層の【食料庫】を目指して移動を再開するのであった。
呪いと食料庫というまたしても八雲の地雷めいたワードが………
長くなりそうなのでアイズ視点はほぼカットでいきます。