ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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ちょっと難航しつつも書けたので投稿です


五十二話 闇派閥と怪人

【白髪鬼】ことオリヴァス・アクトはオラリオにて闇派閥(イヴィルス)と呼ばれる者達が最も力を持っていた暗黒期から27層の悲劇の間に冒険者を恐怖に陥れた人物で、6年前に死亡したと思われていた。

 

「死んだはずの人間が生きてる、か………十中八九その再生能力の元が理由だろ?そして、それをアンタに与えたのが“彼女”って訳か」

 

「その通りっ!あの日私は“彼女”に救われた!故に私“達”は彼女の願いを叶えるべく行動しているのだ!」

 

「願い?」

 

迷宮都市(オラリオ)を滅ぼすことだ」

 

「正気か?オラリオが滅べば闇派閥だって」

 

「私をそんな過去の残り滓と同じにしないでもらおう。私は神に踊らされる人形ではない」

 

どうもこのオリヴァスという男は闇派閥とは別口の勢力のようで、先程倒した連中こそが闇派閥の残党らしい。

 

「だが同志がどうとか言ってたな。ということはあの赤髪の女もお前の同類か」

 

「なるほど、貴様がレヴィスの言っていた複数の武器を持ち妙な武器を使う冒険者か」

 

「だったら?」

 

「お前は彼女の障害になりうるのでな、ここで排除する!」

 

「やれるもんならやってみろよ!」

 

そう言って戦闘が再開されると、オリヴァスのメタルガントレットと八雲の死ヲ刻ム影が激突する。

 

「むっ、その武器は特殊武器か」

 

「さてな、普通の武器じゃないとだけ言っておくよ」

 

それから数度打ち合うが、オリヴァスに与えた傷は直ぐに再生してしまいダメージにならない。

それでも再生にはエネルギーを使うようで少しずつオリヴァスの動きは悪くなっていく。

 

「す、すげぇ………あんな扱い難い武器で【白髪鬼】の野郎を間合いに入れさせねぇなんて」

 

「それにあの大鎌で傷を付ける度に【白髪鬼】の動きが鈍くなってるような………」

 

その原因は【死ヲ刻ム影】の能力にある。

この大鎌の能力は“搾取”。

これは相手に与えたダメージの3割の体力と魔力を奪い使い手を回復させるというもの。

なので傷は再生で塞がってもその度に体力と魔力は奪われているのだ。

ヴィオラスをハイペースで仕留めていた八雲に余力があるのは倒したヴィオラスから“搾取”で体力と魔力を奪いながら戦っていたからだ。

 

「(持久戦なら勝ち目はあるかもだが、時間はあんまし掛けられそうにないな)」

 

そもそもオリヴァスはレヴィスには劣るものの八雲からしてみれば格上の相手である。

そんな相手に時間を与えてしまえば【死ヲ刻ム影】の能力も見破られてしまう可能性も高い。

 

「(となると………ちと賭けになるが、試してみるか)」

 

八雲は隙を見てオリヴァスに仕掛けようとするベートを見つけ、一度大鎌を大きく振って下がらせると大鎌から魔剣へと武器を取り替え、ベートに向かって魔剣の雷撃を放つ。

 

「少しの間頼む」

 

「はっ!その間に倒しちまっても文句言うんじゃねぇぞ!」

 

フロスヴィルト改に雷撃を纏わせたベートがオリヴァスと交戦に入る中、八雲は新たな偽憑神武器を喚び出す。

 

「こい、【静カナル翠ノ園】」

 

お馴染みの波紋から現れたのは黄緑色の重槍(ランス)

一般的な円錐状の重槍ではあるが、ヴァンプレイト()の3ヶ所から3枚の刃が伸びており、中腹から穂先の部分がドリルのように回転するというかなり特殊な造りになっている。

その重槍を構えると、八雲はオリヴァスに向かって走り出す。

 

「セイヤッ!」

 

「武器を変えたところで!」

 

その攻撃をオリヴァスはガントレットで受けるも、大きく後ろに仰け反ってしまう。

 

「ぐっ………彼女に与えられたこの身体がこうも傷付けられようとは」

 

「傷を負ったな?」

 

「ん?」

 

「能力開放」

 

すると、オリヴァスの傷が急速に再生し始めた。

 

「何かと思えばただの虚仮威しか」

 

「それは自分の身体をよく見て言うんだな」

 

「何?………これは!?」

 

八雲に言われて傷があった箇所を見れば、その部分が異常に膨れ上がり続けている。

 

「き、貴様!何をした!?」

 

「お前の再生能力、いや細胞分裂を“増殖”させた」

 

これこそ【静カナル翠ノ園】の能力で、この重槍で傷を与えたものに“増殖”の効果を与えるというもの。

これにより、オリヴァスは再生能力を増殖させられ暴走し、過回復状態になってしまったのだ。

 

「これでお前は動けないだろう」

 

「あぁ、“私は”な………やれ、巨大花(ヴィスクム)

 

すると、部屋の中心にあった石英の柱の中に寄生していたモンスターの1体がその姿を露わにする。

その巨体は巨大花の名に相応しい食人花の数倍から十数倍はあろう姿は圧巻の一言である。

 

「なるほど、こいつがあの食人花を生み出す苗花(プラント)って訳か」

 

「そんな!?モンスターはダンジョンから生み出されるはず!」

 

「何事にも例外はあるんだろうよ………もしくはこいつというか、あの極彩色の魔石持ちが何らかのイレギュラーって可能性もある」

 

「というか、なんでそんなに平気そうなんですか!?」

 

他のメンバーが巨大花の出現時の衝撃や振動でまともに動けない中、八雲とベートだけは既に臨戦態勢を取っている。

その事に対してフィルヴィスの手を借りて起き上がったレフィーヤが声をあげるも返ってきたのは非情な言葉だった。

 

「いや、食料庫があんなのになってる段階で食人花(アレ)の上位種ぐらいいると予想はしてたし」

 

そう、八雲はこの世界には無いRPG物の定番として巨大花の存在をなんとなく察していたのだ。

 

「(とは言ったものの、現状で巨大花を倒せる手札は………“アレ”しかねぇけど、ここで、他の連中がいるとこで使うのはなぁ………)」

 

そんな事を考えている間にフィルヴィスがオリヴァスと問答をしているが、八雲は聞いちゃいない。

 

「とりあえずやるだけやってみるか」

 

そう言うと八雲は【静カナル翠ノ園】をしまい、奇妙な大剣を取り出した。

それはとあるゲームに登場する大剣・大百足というものを再現したチェーンソーのような武器。

ただ、刃を回転させる機構がまだ未完成の品で使用可能時間を超えると鍔の部分に仕込んだ魔石による動力部がオーバーヒートして爆ぜてしまう。

そんな武器を手に巨大花に接近した八雲は襲い来る触手の一本に大百足を叩きつけ刃を回転させて切断するも刃が数本折れてしまっていた。

 

「やっぱ硬いな!こいつ」

 

「いやいやいや!なんつう武器使ってんのさ!?」

 

「椿工房試作兵装八式・大百足」

 

「誰が名前教えろって言ったぁ!?」

 

ルルネとの漫才をしていると大百足の魔石に反応してか巨大花が触手を何本も八雲に向けて放ってくる。

 

「性質は食人花とあんまし変わんねえか………なら!」

 

その向かってくる触手を切断しながら巨大花に接近した八雲は硬い相手を何本も切らせたせいか既に異音と熱を発している大百足を巨大花の口に向かって投擲する。

 

「お望み通り食らいやがれ!」

 

そして、巨大花の口に放り込まれた瞬間に臨界に達したらしく、大百足は内部の魔石のオーバーヒートによって爆発し、巨大花はそれを内部から食らってのたうち回る。

 

「巨大花!?」

 

「チッ、火力が足りなかったか」

 

「こいつ、おっかねぇ………」

 

そんな巨大花を見て驚愕するオリヴァス。

しかし、八雲はこれで仕留められなかった事に舌打ちをし、ルルネはそんな八雲にドン引きしていた。

そんな時、突如周りを覆っていた蔦の壁の一部が弾け飛んで2人の人影が現れる。

 

「「アイズ(さん)!?」」

 

「レヴィス!」

 

そう、それは分断されていたアイズと、その相手をしていたレヴィスであった。




あともう1話くらい続きます


偽憑神武器の1つ静カナル翠ノ園と憑神メイガスの情報解禁

静カナル翠ノ園
第三相メイガスの憑神武器。
“増殖”の能力を持つ重槍で、本来ならば銃剣のはずが小説版の憑神の重槍と混ざったのか特異な見た目の武器に変貌している。
その能力は突き刺したり傷を付けた相手に増殖の効果を付与することができるというもので、発動は任意ではあるが使い方次第で味方の回復や今回のような過回復ダメージを与える事が可能。
しかし、かなり使い所を選ぶ武器であるらしく、使用頻度は低い。

第三相“増殖”メイガス
八雲が3番目に解禁した憑神。
武器と違い刺したりしなくても増殖の効果対象を選べたり、やられても増殖の効果で身代わりを作ったり、全身からレーザーを発して範囲攻撃を行えたりとやれる事は多い。
憑神としての見た目は仮面の部分が黒くなり、黄緑色がオレンジ色に変化したぐらいで大きな変化はない。
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