ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典 作:ミストラル0
八雲がいるせいか若干原作と話が前後してしまっていますが、ミスではなく意図したものです。
アイズを連れ戻しに向かって厄介事に巻き込まれてから数日後。
リリが変装したリディナも既に店に馴染んでいた。
その日、八雲はベルと共にバベル内のヘファイストスファミリアの店を回っていた。
というのも先日の戦闘でベルのライトアーマーが破損してしまい、その代わりの装備を買いに来たのだ。
「う〜ん、ないな」
「何を探してるんだ?ベル」
「前に使っていた鎧を作ったヴェルフ・クロッゾさんもので、それと同じものが無いか探してたんです」
「あ〜、ヴェル坊のやつか」
「知り合いなんですか!?」
「あれ?前に言わなかったか?そういやリディナの一件があってそれどころじゃなかったか」
「あっ、確かに言ってましたね………」
そんな事を話していると………
「はぁ〜………また駄目か」
赤髪の男が大きな木箱を抱えて肩を落としていた。
「おっ、噂をすれば………よぉ、ヴェル坊」
「ゲッ!?八雲の旦那!?」
その人物こそ件のヴェルフ・クロッゾだった。
「ゲッとはなんだ、ゲッとは」
「いや、その、つい………」
「ついってことは普段から何かしら含むところがあるって事だよな?」
「いや!そういう意味じゃなくてだな!」
「あの〜」
八雲とヴェルフが話しているところにベルが声を掛ける。
「おっとベルがいたの忘れてた」
「師匠ェ………」
「師匠って事はそいつが例の弟子か」
「ベル・クラネルといいます!」
そこからベルがヴェルフの鎧を使っていた事を知ってヴェルフは感激する。
「そうかそうか!やっぱわかるやつにはわかるんだな!」
「お前の場合は自分の血筋に過剰に反応し過ぎなんだよ」
「とは言われてもなぁ」
「血筋?」
「こいつの実家がちょっと訳ありでな。それが嫌でオラリオに家出してきた家出少年なんだよ、こいつ」
「家出少年はやめてくれ!」
「そうなんですか………」
「こいつの実家は元々魔剣鍛冶の家系でな。その祖先がちょっとやらかしてその魔剣鍛冶の技能が失われて、ヴェルフはその先祖返りかなんかで魔剣が打ててな」
「………それで色々せっつかれて嫌になってな」
「家出してオラリオに来たと」
オラリオに来てもスキルや発展アビリティも無しに魔剣を打てる事でやっかみを受けてそれに反発して魔剣を打たなくなったのが原因でファミリアでもハブられているらしい。
「まあ、椿には可愛がられてるがな」
「椿さんって、確かヘファイストスファミリアの団長の………」
「まあ、こいつの生い立ちの話はこのくらいにしといて………今日はどうしたんだ?」
「ああ、こいつを店に置いてもらってたんだが、全然売れないから持って帰れと言われてな」
そう言ってヴェルフが木箱を開けると、そこには以前ベルが買ったものと似たライトアーマーが一式入っていた。
「あっ!これは」
「持って帰れと言われて落ち込んでたところで八雲の旦那に声を掛けられたって訳さ………まさか俺の鎧を買ってくれてたのが旦那の弟子だったとはな」
そう嬉しそうに語るヴェルフに装備を壊してしまった事で申し訳無い気持ちになるベル。
その事を素直に謝罪するベルだったが、ヴェルフは気にはしていないと語り、ならばとベルにある提案を持ち掛ける。
「ならベル、俺と専属契約を結ばないか?」
「専属契約?」
「簡単に言うと、今後もこいつの装備を使い続ける代わりに優先的に装備を提供するって契約だ」
「え〜っ!?駆け出しの僕にそんな契約を!?」
「旦那が目を掛けてるって事は近い将来有名になりそうだしな。今のうちに唾をつけておこうと思ったんだよ」
「まあ、こいつの腕は俺も保証できるし、いいんじゃないか?それと、本命は別にあんだろ?」
「うぐっ、やっぱ旦那にはバレバレか」
聞けばヴェルフはまだレベル1らしく、レベル2で習得可能な発展アビリティの【鍛冶】が欲しいとのこと。
なので、装備の提供とは別にベルのパーティーに加えて欲しいというのだ。
「そんな事で良ければ………よろしくお願いします、ヴェルフさん」
「さんは要らねぇよ、ヴェルフでいい」
「話がまとまってるところ悪いんだが………」
「「ん?」」
「ベル、リディナにちゃんと説明しとけよ?」
「リディナ?」
「ウチの従業員でベルのサポーターやってる娘がいるんだ。そいつに無断でパーティー増やしたって言ったら後で何言われるかって話」
「あ〜」
「ど、どど、どうしましょう!?」
「やっぱ何も考えてなかったか………後日いきなりパーティーに加えるよりは顔合わせくらいしといた方が良さそうだな。ヴェル坊、この後時間あるか?」
「俺はこれを引き取りに来ただけだから別に構わねぇが」
「リディナへの顔合わせも兼ねてウチで飯奢ってやるよ」
「マジか!?ラッキー」
という事でリディナとの顔合わせで一悶着あったものの、ヴェルフは無事にベルのパーティーへと加わる事になるのであった。
という訳でヴェルフ、フライング加入です。
次回もちょっと脇道に進みつつ原作3巻のシナリオに進もうと思います。
ヴェルフがフライングした事がどう影響するのかはお楽しみに。