ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典 作:ミストラル0
中々上手くまとめられずこんなに経ってしまいました。
今回はタイトルにある通り武器回みたいな感じになります。
「おっ、来たか」
「『おっ、来たか』じゃねぇわ!忙しいのはわかるが伝言に詳しい用件ぐらい入れとけ!」
椿の工房を訪れるや否や八雲は工房の主である椿に怒鳴り散らす。
「スマンスマン、お主なら言わんでも用件は伝わると思っておったのでな」
「ほんと鍛冶とその出来た武器以外に無頓着過ぎるだろ………」
彼女の姿は直前まで武器を打っていた様でかなり着崩した格好をしており、普通の男性なら目のやり場に困るのだが、既に八雲は椿の性格を熟知しているせいか彼女に対して異性と認識するのをやめてしまっている。
「で、大体予想はつくが何の用だ?」
「うむ。フィンから八雲にも不壊属性武器を用意してやってくれと頼まれておったのでな」
「やっぱりか………俺に不壊属性とか支払える余裕………ない事もないか」
「これに関してはフィンから既に支払われておる。金銭の事は手前ではなくフィンに言うのだな」
「うっわ………あんましあの人に借り作りたくないんだけどなぁ」
フィンからしたら今回の遠征において不壊属性武器の所持は必須とも言えるので、それを同行させる八雲に持たせるのは当然という認識なのだが、八雲からしたらアイズの訓練参加という一件でアレコレあったのであまり借りを作りたくないというのが本音であった。
「それはさておき、俺には何を作ったんだ?」
アイズには既にデスペレートがある為、他の主力メンバーに合わせてフィンには槍、ガレスには両刃斧、ティオナには両刃剣、ティオネには双短剣、ベートにはサブウエポンとして双小剣が用意された。
彼らは使う武器種がハッキリしているので問題は無いのだが、八雲は使う武器の種類が多種多様である。
そんな中から椿が何を用意したのか八雲も気にはなっていたのだ。
「お主にはこれだ」
そう言って椿が八雲に手渡したのは鞘に納められた一本の太刀であった。
「太刀ときやがったか………抜いてみても?」
「構わん」
鞘から抜いて刀身を露わにすると、ミスリルを使用した特有の白みのある鋼の刀身。刃紋は一定の波ではなく大小様々な雲を並べたかのような紋様をしている。
鍔の部分もミスリルを混ぜ込んでいるのか白さがあり、雲のような模様が刻まれている。
柄巻は紫に染めた蜘蛛系魔物の糸を使用しており、柄頭はシンプルなもので白くなっている。
鞘も柄頭に合わせた白く塗られ、下緒も柄巻と同じものが使われており、全体的に白と紫の統一感のあるデザインだ。
「名は?」
「
おそらく八雲の“雲”とミスリルによる白みのある刀身から付けたのだろう。
「あの中脇差といい、こいつといい………ほんといい仕事してやがる」
「刀は手前の得意分野だからな」
「随分と気合入ってるが、ロキファミリアの負担になるような値段にはなってないよな?」
「………その事なんだがな」
値段の話になると椿の様子が一変する。
「刀だったからって気合入り過ぎて予算オーバーしたとかじゃないだろうな?」
「………オーバーしたにはしたのだが、フィンと色々交渉して“とある条件”で半額にしたからそこは問題無い」
「おい、その条件ってまさか!?」
「お主が持っているという妙に禍々しい武器とやらを見せてくれ!」
「偽憑神武器の情報売りやがったな!【勇者】ァアアア!!」
椿に知られると面倒だからと黙っておいてほしいと言っていた偽憑神武器についての情報を椿に売ったフィンにブチ切れる八雲。
「………それに関してはフィンから『お詫びとして
「フィンへの愚痴はここで言っても仕方ないな………今度直接言ってやる」
「ハハハハ!フィンにそこまで言える零細ファミリア等お主くらいよのぉ」
「言っとくがお前も同罪だからな?椿」
「へ?」
「そもそもお前が予算オーバーしなきゃこうなってねぇんだよ!」
そこから少しお小言が続き、終わる頃には椿は工房の床に正座させられていた。
「ったく………見せるのは1つだけだぞ」
「み、見せてくれるのか!?」
「ここで見せなかったら何されるかわかったもんじゃないからな」
そう言って八雲は1本の刀剣を取り出した。
それは第六相・マハの偽憑神武器である【誘惑スル薔薇ノ雫】。
刀身の先端側がショーテルのように弧を描いており、その内側に眼のようなパーツが浮かんでいる。
またその外側には4本の長い棘のようなエッジがあり、鍔の部分には薔薇の蕾の様な意匠が施された紫色をした妖艶な剣である。
「素晴らしい………こんな素晴らしい武器があるなら手前が
「俺のスキルに紐付けされた武器だから俺以外が持ってもただの武器だが、俺が使う場合は色々と取り扱い注意の剣でな」
「取り扱い注意?」
「斬った相手を
「………間違ってもフレイヤファミリア相手に使うなよ?」
「誰がそんな自殺行為するか!」
ちなみに以前にフレイヤファミリア相手に使うのが問題とされていた憑神というのがこの偽憑神武器に紐付けられた憑神・誘惑の恋人マハである。
これまでに見せてきた偽憑神武器は第一相スケィスの【死ヲ刻ム大鎌】、第三相メイガスの【静カナル翠ノ園】、第六相マハの【誘惑スル薔薇ノ雫】、第七相タルヴォスの【緋ニ染マル翼】の4種。
まだ第二相、第四相、第五相、第八相がいるのだが………この世界の仕様に変更されたせいかその内の第二相、第五相、第八相の3種が下手にオラリオで使うと問題になりかねない能力になっている。
特に第二相、第五相はこの世界の魔法の法則に喧嘩売ってるような代物で、その仕様を知った八雲は即座にそれを秘匿すると決めた程である。
「スキルに紐付けられた武器………まるであの方が打ったお主の弟子のナイフのようだな」
「あっちはステータスに紐付けされてるからな。そいつは所有者以外が手にしてもただの頑丈な武器で、しかも俺から一定距離離れると戻ってくる仕様みたいだ」
「それが無ければじっくり調べてみたかったのだが………」
「形も大分歪だから再現も無理だろうし、参考程度にしかならねぇだろうけどな」
何せ武器によってはどうして間に明らかな空間があるのに繋がっているのか解らない形状のものもあるし、実用的とは言い難い形状のものもある。
なのでオラリオの鍛冶師には参考程度にしかならないというのが八雲の見解である。
「うむ、インスピレーションは刺激される意匠ではあるが、確かに実用的ではないな」
「ってことでもういいか?」
「いや!もう少しだけ!」
結局、満足しなかった椿に【静カナル翠ノ園】も見せる羽目になり、観察を続ける椿のせいで1日拘束される事になる八雲なのであった。
次回で訓練パートは終わる………といいなぁ
偽憑神武器の1つ誘惑スル薔薇ノ雫と憑神マハの情報解禁
誘惑スル薔薇ノ雫
第六相“誘惑の恋人”マハの憑神武器。
分類上は刀剣なのだが、その特殊過ぎる形状から通常の刀剣のように使うのは難しい刀剣。
特性は“魅了”で、斬った相手を魅了状態にして同士討ち等を誘発する乱戦向けの武器。
フレイヤファミリアの面々に使用した場合、正気に戻った彼らから憤怒の形相で追われる事間違い無しというある意味危険な武器として現状は魔物相手以外には使用するつもりは無い。
第六相“誘惑の恋人”マハ
上半身が白黒の仮面を着けた白い猫人型で下半身がその倍の体積を持つ逆さの蒼い薔薇となっている憑神。
サイズはスケィスの倍近い高さがあり、薔薇の花弁を風で周囲に纏わせており、それを使った突進攻撃や爪での薙ぎ払い攻撃、薔薇状の子機を飛ばして攻撃する。
こちらも薔薇の花弁に混じって魅了効果のある粉を撒き散らす能力がある。
本来は紫の身体に紅い薔薇なのだが、■■■の影響で他の憑神同様カラーリングが変化している。