ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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また期間が空いて申し訳ございませんでした。
エタってないですよ、ということで六十話目です。

今回から遠征とミノたんの話となります。


六十話 出発と遭遇

遠征当日。

アフロディーテ達に見送られて集合場所であるバベル前の広場へとやってきた八雲。途中まではベル達も一緒だったのだが、彼らはロキファミリアに露払いされる前にと先にダンジョンへと向かっていった。

八雲の方は今回の遠征が到達階層の更新という事もあって、途中での装備のメンテナンスを担うヘファイストスファミリアからの参加メンバーもいる為に黄昏の館ではなくこの場所に集合となっている。

すると早速八雲に気付き声を掛けてくる者がいた。

 

「あっ、八雲だ」

 

「お〜い」

 

「アキにラウルか」

 

それは初めてロキファミリアとの遠征に同行してからの付き合いであるアキとラウルだった。

彼ら以外にも2軍メンバーとは臨時パーティーを組む事があり、特に遠征で一緒だったメンバーやインファントドラゴンと戦ったメンバーとは仲が良く、偶に飲みに行ったりもしている。

 

「八雲が来るって事は今回は団長も本気の本気って事ね」

 

「八雲の運搬能力は反則っすもんね」

 

深層ともなれば下手にサポーターを同伴させられない程に過酷となるようで、八雲の【宝物庫】のようなスキルは八雲がやられてしまうと使えなくリスクはあれど有益なのだ。

 

「今回はほとんど荷物持ちみたいなもんだしな」

 

オラリオに来た当初に比べれば力をつけたとは思っているが、それが深層で通用するとは流石に自惚れてはいない。

 

「(いざとなればアレ(【憑神】)を使う覚悟はしてるが、出来れば温存しときたいんだよなぁ)」

 

強力なれどステータスアビリティ・経験値減少という特大のデメリットを持つ他、ロキファミリアにはまだ秘匿しているスキル故に八雲としては切りたくはない切札なのだ。

 

「八雲〜!荷物頼んでもいいかぁ」

 

「わかった!ってわけでまた後でな」

 

「はいっす」

 

「またね」

 

別の団員に呼ばれた八雲は二人と別れ荷物を【宝物庫】にしまいつつ全員が揃うのを待つ。

そして、全員揃ったところでフィンから今回の目的と意気込みに関する演説があり、そこからいつものように班に分かれてダンジョンへと入っていった。

 

***********************

 

今回八雲はフィン達ロキファミリアの主力メンバーやそのサポートとしてやってきた椿のいる班に配属されている。

この班が深層へのアタック班であり、八雲の役割は彼らの不壊属性武器の運搬やポーション等のアイテムピッチャーだ。

 

「今日はやけに静かだな」

 

9層にやってきたところで八雲が違和感を感じる。

 

「確かに、ある程度間引きはされているとはいえモンスターとここまで遭遇しないのはおかしい」

 

フィンもダンジョンの様子がおかしいと感じてはいるものの、親指の疼きが無いために確信を持てずにいる。

 

「ねぇ、あれって………」

 

ティオナが何かを見つけ一行が近付くと、そこには恐怖に染まった顔のまま事切れた同業者(冒険者)の遺体が転がっていた。

 

「うっ………」

 

「まだ血が乾ききってないな。それにこの傷………」

 

「ああ、“切り口が鋭利過ぎる”。この階層にいるモンスターにこのような傷は付けれまいて」

 

「それと鎧が一撃で粉砕されてるのを見るにオークじゃねぇな、これ」

 

馴れていないレフィーヤが口元を押さえる間に八雲と椿はその遺体を見ておかしな点を指摘する。

 

「となると、可能性として高いのは………」

 

「“ミノタウロス”だろうな」

 

「またあの牛かよ!」

 

またしてもミノタウロスの階層上がりにウンザリする八雲。

その時、彼らの前に見覚えのある人物が現れる。

 

「………あっ……八雲、様………」

 

「リディナ!?どうしたんだその怪我………それにベルとヴェルフは!?」

 

「……それが…ミノタウロスの、変異種に………」

 

どうも、変異種のミノタウロスに襲われていた冒険者達を逃がす為に囮となり、負傷したリディナを助けを呼ぶ様にと逃したらしい。

 

「あんの馬鹿弟子共が………フィン!」

 

「僕らも行こう」

 

フィンも変異種の事は気になるらしく、リディナの案内でベル達のところへと向かった。

 

***********************

 

その頃、ミノタウロスと対峙するベルとヴェルフは………

 

「ブモォオオオオオ!!」

 

「【強制停止(リストレイト)】!?」

 

「させっかよ!」

 

ベルに咆哮と共に相手の行動を停止(キャンセル)させる【強制停止】。

これはレベル1ではほぼ抵抗(レジスト)不可能という厄介な技なのだが、幸いにもミノタウロスから距離のあったヴェルフはそれを受けずに済み、すぐさまベルのカバーに入る。

 

「ありがとうヴェルフ!」

 

「この牛野郎、妙に戦い慣れてやがる」

 

「そうだね………僕もミノタウロスと遭遇するのは二回目だけど、動きが対人慣れしてる」

 

「それにあの大剣………天然武器じゃないぞ。数打ちっぽいが、確実に人の手が加わってやがる」

 

このところ八雲やアイズとの対人戦を繰り返していたせいか、ベルとヴェルフはこのミノタウロスが通常ではない事とその手に握られた大剣が天然武器でない事を見抜く。

しかし、だからと言って状況が改善するわけではない。

 

「リディスケが無事に助けを呼べてればいいんだが………」

 

「そうだね………それまで足止めしないと」

 

そこでふと二人の脳裏に八雲の姿が過ぎる。

 

「ねぇ、ヴェルフ」

 

「ん?」

 

「こんな時、師匠ならきっとこう言うと思うんだ」

 

「「足止めするのは構わないが、倒してしまってもいいのだろう?」」

 

何処ぞの赤い弓兵の真似をする八雲の姿を幻視して二人は同じ台詞を呟いて笑い出す。*1

 

「そんじゃま、“冒険”するとしますか、ベル」

 

「うん、僕らは“冒険者”だからね!」

 

きっと受付担当(エイナ)が聞いたら顔を真っ赤にして怒るだろう軽口を叩きながらベルとヴェルフはミノタウロスとの戦いを再開した。

*1
実際、似たような事は過去に言っている。→インファントドラゴン戦




原作と違いヴェルフが加わった状態でのミノタウロス戦ですが、その分ミノタウロスが微強化されています。

次回はミノタウロス戦②と八雲が彼と遭遇するお話となります。
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