ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典 作:ミストラル0
遠征編もそろそろ終盤………
色々と原作と変更点がありますが大まかな流れは変わってないと思います。
ヤツが出てくるまでは………
59階層………深層の中でも嘗て辿り着いたのはゼウス・ヘラの過去のトップファミリアだけとされ、当時の記録では【氷河の領域】とも呼ばれた極寒地帯の階層であった言われている。
その為、例の強酸対策の装備に加えてサラマンダーウールなどの防寒対策もしてきていたのだが、八雲達が訪れた59階層は記録とは異なる地形となっていた。
「こりゃあ、氷河の領域というより熱帯雨林だな………」
そう、見渡す限り極彩色の植物に覆われた熱帯雨林のジャングル。
それが現在の59階層の姿であった。
その蒸し暑さから早々にサラマンダーウールは脱ぎ捨てられ八雲の【宝物庫】行きになっている。
「ちっ、にしても嫌な事を思い出す色だな………」
かつて10階層の食料庫で起きた一件を思い出す極彩色………これまでロキファミリアと関わってきた一連の事件とも縁の深い色だ。
聞けばフィン達が通ってきたルートではかつて24層で宝珠を持ち去っていったあのローブの人物が仕掛けてきたそうで、やはりこことも関係があるようだ。
そして、前に進むこと数分………開けた視界に飛び込んできたのは灰色の地面に話に聞いた芋虫型のモンスターと食人花の群れ。
それも尋常ではない数であり、その中央には以前18層で見た下半身が植物の女性型モンスター………但し、眼の前のそれは前に見た個体とは比べ物にならないサイズである。
「寄生したのは【タイタン・アルム】なのか?」
タイタン・アルムとは【死体の王花】とも呼ばれる周囲にいるモンスターや冒険者を手当たり次第喰らうと言われる深層の植物型モンスター。
となれば食人花に寄生していた時とは比べ物にならない強さであろう。
そんな寄生されたタイタン・アルムに芋虫や食人花達は自らの魔石を捧げ、タイタン・アルムはそれを喰らっていく。
「ここだけやけに灰色だと思っていたが、全部アイツの喰ったモンスターの成れの果てかよ………」
更に、そのタイタン・アルムが魔石を喰らい続けた結果、その身を振るわせ始め、蹲ったかと思えばその背が膨れ上がり、まるで蛹が羽化するかの如くより人間の女性らしい上半身と花弁と触手に覆われた下半身という姿へと変化………“進化”する。
「アアアアアアァ!」
「おいおいおい!何だよあの明らかにヤバそうなのは!?」
そんな八雲の疑問に答えたのは信じられないといった表情でそれを見上げるアイズだった。
『アリアーーアリア!!』
「【精霊】………!?」
「精霊って、遥か昔に神々に代わって人に加護を与えてたってあの精霊か!?」
だが眼の前にいるのはどう見てもそんな人類に味方していた存在とは思えない異形。
しかも、『会イタカッタ』『一緒ニナリマショウ』『食ベサセテ』と明らかに人語を介しながらもアイズをアリアと呼び喰らおうとしている。
「(クッソ!さっきから嫌な予感が止まらねぇ………最悪
「八雲!君は持てる全てを使ってくれて構わない!リヴェリアやレフィーヤのフォローを!」
フィンの戦闘開始の号令と共に様々な指示が飛び、八雲には後衛のフォローを命じられる。
「それならこいつを使わせてもらう!」
そう言って白雲を【宝物庫】にしまい、双銃へと持ち換えた八雲はアイズを狙う触手を迎撃するフィオナとフィオネの援護を行う。
距離が遠すぎるせいか触手を撃ち落とすには至らぬものの、勢いを削ぐ事には成功し、2人が触手を切り払う。
「ありがと!八雲」
それでも本体に前衛組は中々近寄れず、フィンも親指の疼きから嫌な予感がしてならない。
その嫌な予感は精霊の………【穢れた精霊】(仮称)の笑みによって現実のものとなる
『【火ヨ来タレ】』
「詠唱だと!?」
本来ならばモンスターが行なう事があり得ない筈の詠唱*1を行なう穢れた精霊に一同は驚愕する。
「リヴェリア!結界を張れ!他は砲撃!詠唱を止めろ!」
その指示に既に発動態勢だったレフィーヤの魔法やラウルに持たされていた魔剣、八雲のチャージショット等が放たれるも穢れた精霊は無傷で詠唱は止まらないどころか、穢れた精霊のそれは超長文詠唱で詠唱速度も尋常ではない速さであった。
「超長文詠唱で詠唱速度も速くて
「全員、リヴェリアの結界まで下がれ!!」
「これもオマケだ!」
リヴェリアの結界だけではマズイと判断した八雲はレベル3へのレベルアップ時に習得していた【神秘】の発展アビリティを使い作成していた【占星術師の護符】*2を砕き発動させる。
「【ヴィア・シルヘイム】!」
『【ファイアストーム】』
リヴェリアの結界も穢れた精霊の魔法の直前に何とか間に合い、集まった八雲達の周囲を翡翠色の魔法円とその上に展開された半球型の結界が包む。
それと同時に一面を紅蓮の炎が覆う。
フィンの判断とリヴェリアの結界魔法が無ければ即全滅していたであろう。
しかし、その結界も長くは保たず、既に罅だらけとなったそれはいつ砕けてもおかしくはない。
「ガレス!」
ガレスはラウルや椿に預けていた大盾を手にし、八雲も【宝物庫】にストックしていたタワーシールドをリヴェリアの前に展開しその時に備える。
そして、結界が砕け散るとその名の通り炎の嵐が一同を襲う。
この時点でアイズ達の盾となったガレスの防具は半壊しており、ガレス本人もその場に倒れ付してしまい、リヴェリアの前に展開したタワーシールドも耐え切れずに焼け崩れ、それを構え咄嗟にサラマンダーウールを纏っていた八雲もボロボロとなって倒れてしまっている。
「ガレス!?八雲!?リヴェリアは無事か!?」
「ああ………八雲が庇ってくれたからな………だが、このざまだ」
その甲斐あってかリヴェリアこそ無事ではあるが、杖の魔宝石は結界と共に砕けてしまっている。
周囲にいた芋虫と食人花や密林も灰となって残ってはおらず、穢れた精霊の放った魔法の先からの景色はたった一撃で姿を変えてしまった。
そこに追い打ちをかけるように響いてきたのは穢れた精霊の紡ぐ声ーー
『【地ヨ、唸レ】』
否、詠唱だった。
「連続で、だと!?」
再び紡がれる超高速の超長文詠唱を止める術をロキファミリアの面々は持たず、その魔法は放たれる。
『【メテオスウォーム】』
今度は魔法によって現れた隕石の雨が彼らに向かって降り注ぐ。
その巨大な質量による攻撃は防ぐものではなく避けねばならぬもの。
幸いにも八雲の切った【占星術師の護符】により炎の嵐を乗り切れた面々は動きが遅い面々を連れてその場離脱するも、落石による余波で倒れ伏したガレスと八雲諸共吹き飛ばす。
この魔法でラウルが重傷、椿もアマゾネス姉妹を庇ったダメージで右腕の表面を焼かれ、退避が遅れたリヴェリアも装備が半壊して倒れた。
アイズもレフィーヤを庇ったことで負傷しており、無事の者は誰1人としていない。
また穢れた精霊は2連続の超長文詠唱で失った魔力を大気中にあった魔力を吸い上げる事で回復しようとしており、その間の守りとして下の階層から芋虫と食人花達を再び呼び集めている。
そんな全滅の危機の中、誰よりも先に立ち上がったのは意外にも八雲であった。
「八雲!」
彼が何故立ち上がれたのかと言えば、結界が破られる直前にリヴェリアに手渡していた
リヴェリアの退避が遅れたのもこれが理由である。
「………フィン、俺が時間を稼ぐ………その間に態勢を立て直せ」
そう言って八雲は【宝物庫】から回復薬や予備の装備等が入ったコンテナを取り出す。
「時間を稼ぐって、そんなボロボロな状態で何を言ってーー」
「【勇者】!後は任せたからなっ!!」
ーポーンー*3
すると、八雲の全身を赤い紋様が覆う。
「その紋様は………」
それは先のオッタルとの一件で見せた“デメリットを伴うとっておき”と称した八雲の切札を発動する前段階の証。
八雲はその切札をこの場で切ると宣言したのだ。
「いいぜ………来い………」
その呟きと共に紋様は力強く点滅を繰り返す。
穢れた精霊はその本能かダンジョンがかつて感じ取った
「来い………来いよ………」
紋様を点滅させながら少しずつ近付いてくる八雲に穢れた精霊は慌てて触手を放つがもう遅い。
「………俺は………ここにいる………っ!!」
紋様の点滅が止まり、輝きが最高潮に達したその時………それは顕現する。
「スケェェェェィス!!」
衝撃で触手を弾き飛ばして現れたのは白と銀の装飾を纏った黒き三つ目の巨人。
「………あれが、八雲の切札………」
死の恐怖
スケィス2nd
という訳でスケィス2nd顕現………
これまで発現出来るようになった憑神の数が増えた事と、今回の覚悟ガンギマリモードに合わせて2ndが解禁されました。
次回の戦闘は原作から大分変わると思います。
今回、特殊タグをいくつか使ってみました