ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典   作:ミストラル0

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長らくお待たせいたしました
仕事の配置変更やらで時間が取れなかったり、モチベーション不足になったりして投稿が遅れてしまいましたが、ロキファミリアの遠征編は今回で一区切りとなります


六十四話 憑神VS穢れた精霊

『うぉらぁ!』

 

『アアアア!?!?』

 

スケィスとなった八雲はその巨大に見合わぬスピードで穢れた精霊へと接敵すると手にした大鎌を振るう。

初めて有効な攻撃を受けて怯む穢れた精霊だったが、すぐさま触手を伸ばして反撃するも、大鎌を数度振るうだけで伸ばした触手は斬り刻まれてしまう。

 

「………何、あれ………」

 

「レベル1であの極彩色の魔石の魔物を倒したと言っていたが………なるほど、あれだけの力ならばそれも可能か」

 

その間にコンテナから取り出された回復薬等で回復した面々はその圧倒的な力に驚愕する。

 

「だが、八雲は時間を稼ぐと言った………ということは、八雲1人ではアレを倒し切れないという事だ」

 

「それにリスクがあると言っておった以上長時間は使えぬのだろう」

 

「それに、本来は控えであった八雲に全て任せるのかい?それとも、君達にベル・クラネルの真似事は出来ないかい?」

 

そのフィンの一言でアイズらの表情は覚悟が定まったように引き締まった。

そうだ、八雲はこのメンバーからすれば最後発の後輩であるはずだ。

そんな彼に全て任せる(持っていかれる)というのは彼らからしたらあり得ない事だ。

更にベル・クラネルの奮戦を見ていた面々は彼に出来て自分達には出来ないと思われるのはかなり屈辱だったようだ。

 

「巫山戯んな!俺達があの兎野郎に負けるなんざあり得ねぇ!!」

 

「そうだよ!私達だって!」

 

「団長にそこまで言われて引っ込んでられますかっ!」

 

まずはベート、ティオネ、ティオナが奮起し

 

「全く、ドワーフ使いの粗い小人よな」

 

「全くだ………それに八雲からはあの時のアイテムについて色々聞かねばならないしな」

 

「それは手前もだ」

 

続いてガレス、リヴェリア、椿もそれぞれの武器を手に取る。

 

「私だって………」

 

「アイズさん………」

 

アイズとレフィーヤも立ち上がり穢れた精霊へと視線を向ける。

 

『【火ヨ来タレ】』

 

『させるかっての!』

 

触手ではスケィスを止められないと悟った穢れた精霊が再び詠唱を開始するが、スケィスの左腕から光弾が三連射され、それがヒットすると穢れた精霊は動きを止めてしまい、詠唱も中断されて集まった魔力はそのまま穢れた精霊の傍で弾け自爆してしまう。

先程の光弾にはスタン効果が有り、複数回ヒットするとスタンしてしまうのだ。

その隙を逃さずスケィスは穢れた精霊へと接敵し、大鎌の三連撃を叩き込む。

 

「八雲に続けっ!」

 

「おう!」

 

「いっくよ!」

 

最初に前に踊り出たのはガレスとティオナの重量級装備コンビ。

その手に握られているのはいつもの重斧や双刃剣ではなく、先程のコンテナに積めてあった八雲と椿が作成した試作武器である風重斧ゲイルザックスと可変双刃剣ツイングレイト。

ゲイルザックスは片刃にした代わりに刃の反対側に風の魔剣の短剣をつけており、それを発動させた反動でスイングを加速させるという代物。

受け止められた際のゴリ押しに使う事もできる為、ガレスのようなパワーファイターが使えばどうなるか等は言わずもがな。

欠点は戦闘中に魔剣を取り替えるのが面倒なので普段使いには向かないという点だが、これは魔剣を弾丸状にしてリボルバー型のシリンダーである程度継戦性と整備性の改善が進められている次世代品が製造中だったりする。

その為、試作品だったこれは八雲の【宝物庫】に死蔵していたのだ。

続いてツイングレイトは八雲やベルが使っていた柄尻が連結可能な双剣のサイズを大剣にしたバージョンというべきもので、分離させる事で大剣二刀流にしたり、くの字に連結してブーメランのように投擲したりできる。

これは短剣でやっていた双剣のものを長剣や大剣でやったらどうなるか?という実験で造られたもので、長剣版は八雲も普段使いするくらいには気に入っていたが、大剣版は強度確保の為にアダマンタイトをそれなりに使用したせいか重量がかなりのものになってしまい、八雲では使い熟せないものとなってしまったが故にこれまた死蔵していた武器だった。

 

『やっときたか、ロキファミリア』

 

「ジジイ共だけじゃねぇぞ!」

 

「私達もいる」

 

続けてベートとアイズが共に風を纏って追撃を放つ。

ベートはアイズから風を借りたのだろう。

ロキファミリアの反撃はまだまだ続く。

 

「ティオネ!」

 

「はいっ!」

 

次はティオネが組んだ手に乗り打ち出されたフィンが穂先が使用者の魔力を糧に回転する円錐ドリル状になったペネトレイターという槍を穢れた精霊にお見舞いする。

 

「これは中々魔力を持っていかれるね………」

 

「魔石を使った仕様も試作中じゃ!ラウル!」

 

「はいっ!」

 

そう言って椿は自身が持ち込んでいた魔剣をラウルと共にぶっ放す。

 

「レフィーヤ、合わせろ!」

 

「はい!」

 

その間に呪文の詠唱を開始するリヴェリアとレフィーヤのエルフ師弟。

流石にそれは見過ごせないと触手を放とうする穢れた精霊だったが………

 

『お前の相手は俺だろうが!』

 

『アァアアアァァ!?』

 

八雲がそれを許すはずもなく、触手を刈り取りながら本体も斬りつける。

そうして戦況は八雲達に傾きつつあったのだが………

 

『ぐっ………!?』

 

突如スケィスの身体に大きなノイズが走り、八雲が苦悶の声を漏らす。

 

「八雲!?」

 

「タイムリミットが近いというわけか!」

 

そう、八雲の憑神の顕現限界が近付いていたのだ。

穢れた精霊もそれを知りニヤリと笑みを浮かべ、リヴェリア達に再び触手を放つが、八雲は2人の前に壁として立ち塞がり大鎌で触手を薙ぎ払う。

しかし、それはアイズを狙う為に八雲をそこに誘導する為の囮だった。

本命の触手をアイズに放ち拘束しようとする穢れた精霊だったが………

 

「アイズさん!?」

 

『させるかっての!』

 

八雲が大鎌から斬撃を飛ばして触手を斬り落とし、そのまま本体へとダメージを与えると、穢れた精霊の身体にもノイズが走り、光の障壁のようなものが砕けちる。

 

障壁破壊(プロテクトブレイク)!ならっ!』

 

そこで八雲は最後の力を振り絞り、左腕に光の砲身を展開する。

 

『喰らいやがれ!』

 

そしてデータドレイン弾を射出し、その場を動く事ができない穢れた精霊に命中させる。

 

『アァアアアアア!?』

 

それにより穢れた精霊は力をスケィスにドレインされていく。

 

『今だ!』

 

「「【焼きつくせ、スルトの剣--我が名はアールヴ】!【レア・ラーヴァテイン】!!」」

 

そこにエルフ師弟の同時発動のレア・ラーヴァテインが炸裂。

 

『………ア、リア………』

 

その身を黒く焼き焦がしながらも穢れた精霊は未だにアイズへと手を伸ばす。

だが、アイズはミノタウロスにトドメを刺したベルのように右腕を大きく後ろに引き絞り、剣の先端にこれまでにない風を圧縮させ、穢れた精霊へと飛び出す。

 

「私はアリアじゃない………アイズ・ヴァレンシュタインだ!【リル・ラファーガ】!!」

 

その伸ばされた手を貫き、穢れた精霊の胸部………おそらく魔石があった位置を穿つ。

 

『…アリ……ア………』

 

最後まで穢れた精霊はアイズをアリアという存在と誤認しつつ、その身を灰へと変えて消滅していく。

 

『……ぐ………やっぱり不純物が混じってると侵食がひでぇな………」

 

戦闘終了と同時に顕現が解け、元の姿に戻った八雲は左腕を押さえて蹲る。

 

「八雲!大丈夫ッスか!?」

 

「………あぁ、憑神(アレ)使うと、大体こうなる、からな………ある程度は、慣れたさ」

 

そこに比較的軽傷のラウルと椿がやってくる。

 

「全然大丈夫じゃなかろうに………それにあれだけの力を使ったのだ。それ相応の代償もあるのだろう?」

 

「代償!?」

 

「そこまで大したもんじゃねぇって………精々貯め込んでた経験値が消し飛んだぐらいだ」

 

「経験値が消し飛んだ!?十分とんでもないじゃないですか!?」

 

経験値が消し飛んだと聞いて魔法を放った後、へたり込んでいたレフィーヤも声をあげる。

 

「確かにそれは奥の手だな………つまり時間制限は貯め込んだ経験値が尽きた時という理由か」

 

「………いや、やろうと思えばもう少し使えたが、それやると今度はアビリティの数値を経験値に換算して減る」

 

「「はっ?」」

 

「スキルの説明にはそうあった………まあ、戦闘終了後に入る経験値の方が先に減るから余程の事が無いとアビリティまでは減らないようだが」

 

「本当に【宝物庫】といい、さっきのアレといい、君のスキルは規格外のものが多いね」

 

集まり出したロキファミリアの面々も八雲の話を聞いて呆れ返る。

 

「しかし、今回は八雲のそれに助けられたよ」

 

「この武器もありがとね!」

 

「いざという時の為に死蔵してたのを持ってきといただけだよ………ゲイルザックスの魔剣は………うん、あんだけぶちかませば砕けるよなぁ………本体も歪んでやがるし」

 

「柄と本体の接合部の強度も足りておらぬな………これは次の課題じゃな」

 

「ほんと君達は変わったものを作るよね………これもだけども」

 

「いや、他にも普通の入れてましたよね!?何でわざわざそれ選んだんですか!?」

 

「僕の勘がこれがいいとね」

 

そうこうしてる間に最後のアイズも合流する。

 

「アイズ!最後のあの技!」

 

そんなアイズにベートは問わねばならない事があった。

 

「うん、ベルが使ってた【ヴォーパルストライク】の応用………元々あれは八雲にベルと一緒に教えてもらったものだし」

 

「八雲、テメェ!」

 

「八雲さん!貴方って人は!」

 

アイズが八雲から教わったと言えばベートに加えてレフィーヤまで八雲に詰め寄ってくる。

 

「別に俺は悪くねぇだろ!?そもそもあれは片手剣でも使い勝手の良い技だから訓練の時に皆まとめて教えただけなんだしさ!」

 

「はいはい、それは一度キャンプに戻ってからにしようか。いつまでもここにいる理由にはいかないからね」

 

穢れた精霊によって階層の環境を変化させられていたようなものなので、穢れた精霊が倒れた今はどうなるのかわからないし、皆の消耗も激しいので今回の遠征はここまでのようだ。

 

「さあ、帰ろうか」

 

「「はい/おう/ああ」」

 

こうしてロキファミリアの到達階層更新の為の遠征は幕を降ろした………まあ、帰り着くまでが遠征なのでまだ終わりではないのだが………この帰り道にさらなる戦いが待っているとはこの時誰も予想してはいなかった。




データドレインを受けた穢れた精霊がランクダウンして退化しなかったのは精霊の融合が一種のウィルスバグのような扱いとなっていたので変異した肉体部分はランクダウンせず、強化種としての強化値が減衰したからです
また、八雲の出したコンテナには回復薬やら多数の武器が詰め込まれたもので、中には今回の遠征に参加するメンバーの使用武器種をとりあえずぶち込んでいました
なのでフィン達が使ったようなキワモノ装備なんかも多数あった理由です

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