アナザーライダー2体同時の戦闘はキツく、一方に集中するともう一方からの攻撃がくる。しかし俺が注意するべきなのはそれだけではなかった。
「いやあぁぁ!」
アナザーファイズが近くをたまたまこのルートを逃げ道としていた女子生徒を青い魂のようにし、体内に取り込んだ。
「しまっ‥」
そちらに気を取られた隙に
『Chainsaw ON』
アナザーフォーゼが右脚に装備したチェンソーで切りつけられる。
「ぐあぁっ‥!」
今のはかなりのダメージがきた。立ち上がるのにとても苦労する。
「王我!」
司令は先から苦戦する王我を心配する。
「し、師匠‥私も‥行きます‥」
「響くん!君はまだ動けないだろう、今は我慢するんだ!」
「‥わかりました‥でも、せめてここで王我さんの戦いを見せてください!」
立花も自分の現状をしっかり把握しているのだろう。今までと違い無理に戦闘に出ようとはしない。
「司令、どうか許可を」
私も立花の意見を尊重した。
「‥わかった」
「もし王我に本当に危機が迫ったら一時撤収も検討する」
なんで自分はこんなことをしているのだろう。いやそもそも何故死んだ私がこの世にいるのだろう。
あれは2年前のこと、私は周りからは良くしてもらい、不自由ない生活をしていた。ただそんな私の成績と比べられ妹の蝶陽は苦しそうにしていた。そんな蝶陽が楽しそうにしている時があった。それが星を見ているときだ。いつも笑顔で私に星について教えてくれる。私はその時間がとても好きだった。
そんなある日蝶陽が山に行って天体観測がしたいと言い出した、受験勉強も控えあまり時間が取れるか分からないが蝶陽の楽しそうな顔を見てたら私も行きたくなった。そして当日一緒に山へ向かおうとした時、一台のトラックがこちらに突っ込んできた。
気づいた時には病院のベッド、しかも体は全然いうことを聞かない。体は重く、痛い。目蓋も重く、これが死だと感じた。
「(あぁ、私約束守れなかった‥蝶陽と一緒に流れ星を見るって約束したのに‥)」
海の底に落ちて行くような感じ、そのまま身を任せるかのよう目を瞑るが
「なら、その願い叶えてやろう‥」
謎の人物がそこにいた。ローブを羽織っていて顔が見えない。声も何重に重なって聞こえ男か女かも区別がつかない。
「(⁉︎誰⁉︎)」
「そんな事はどうでも良い。お前は妹との約束を果たしたいのだろ?」
「(ええ、私は蝶陽と一緒に流れ星を見るために生きたいの!)」
私はここで代償を聞くべきだったのだろう。だが蝶陽との約束のことで頭がいっぱいだった。
「ならこれを授けよう‥」
「何‥これ‥」
私の心臓付近に何かを埋められた。
「拒否権はない」
激痛が走り、埋め込まれた部分から紫色の光が私を包む。
『FAIZ』
「今日からお前が仮面ライダーファイズだ」
気がついた時には私はあの人のいう通りこの世に戻ることが出来た。初めは自分が生きているのだと思っていた。けど違った。今私のいる時間は私が死んでから2年後の2043年。さらに心音はないため完全に生き返ったとは言えない。何もわからない時間の中でもっと自由になりたい。そう思ったときあの力が爆発した。最初はまだ制御できた。だが段々とこの力が私の精神を乗ったり人を襲うようになった。最近ではもう抑えることが出来ない。
「はぁ‥はぁ‥」
段々と自分が自分でなくなるような感覚とはこの事を言うのだろう。既に何人か被害者を出してしまい、更に草加さんから蝶陽の現在の状況を聞き、私は草加さんに自分を始末してもらうよう頼んだ。ただそれを蝶陽は許さなかった。結局私もこの力に飲まれてしまい今に至る。
どうしてお姉ちゃんは止めてなんて言うのだろう。私は昔からお姉ちゃんのことを尊敬していた。何でも出来るお姉ちゃんを。私も見習い頑張るがお姉ちゃんほどの成績は出せずいつもお姉ちゃんと比べられる。比べられるのは嫌いだがお姉ちゃんことは好きだ。周りからあまり良い目で見てもらえない私も星を見てる時はそんなことどうでも良く感じられた。そしてお姉ちゃんと一緒に星を見ている時は一番楽しかった。
受験ムード本番に差し掛かろうとするとき、私はお姉ちゃんを天体観測に誘った。本来は行くべきではなかっただろうがその夜は特別星が綺麗に見える最高の天候が予測されていたので、どうしてもとお姉ちゃんにねだって一緒に行くことになった。
そして当日。一緒に山に向かおうとした時一台のトラックが突っ込んできた。その交通事故で私達は重体を負った。気付いたら大量の包帯を体に巻き病院のベッドに横たわっていた。隣を見るとお姉ちゃんが眠っていた。意識は朦朧としていたが
「せめて友月さえ生きてくれれば‥」
「お医者様にも友月を優先的に治療するようお願いしよう」
その言葉に私は絶望した。皆は私のことを必要としていない。お姉ちゃんさえいれば私は不要なんだと。
「あなたは誰‥?」
全身をローブで包んだ謎の人物が目の前に現れる。
「まぁ‥時の魔術師とでも名乗ろう。それよりお前は何故そのような顔をする?」
「皆お姉ちゃんを必要としているんだ。私なんか‥友月お姉ちゃんさえいれば‥」
「何を言う、お前は佐久間友月だ」
一瞬何を言っているんだろうと思った。でもまるで眠気が急に襲い掛かってきた。
「お前は佐久間友月だ」
網羅する意識の中その言葉が何度も何度も繰り返される。
「私は、佐久間‥」
私の名前は‥
「友月だ‥」
それから目が覚めたら変わっていたことが2つ。一つはベッドが隣のと入れ替わっていたこと。最後は、隣の患者が亡くなったこと。
その後退院し学校へ復帰、なんとか大学受験をして地元を出て都内へ戻り今は世間的にレベルの高い大学に通っていた。
「あれ?友月じゃん?久しぶり!何してんの?こんなところで」
この人は‥
「(確かこの人達はあれ‥なんか思い出せない‥。でも反応しないと‥)」
「ええっと‥」
「あれ友月、その慌てた時に首振る癖まるで友月がよく話してた妹の蝶陽みたい!」
「(首を振る癖‥)」
「あっ‥ごめん‥蝶陽はもう‥」
「(いや‥違う‥)」
「ってこんなことしてる場合じゃない!急がなきゃ!本当にごめん!」
その時頭にかかっていたモヤが全てなくなったようだった。
「そうだ‥!私は蝶陽‥!友月お姉ちゃんじゃない!」
「じゃああの時亡くなったのは‥」
今まで信じていたものが全て嘘だったことに私は絶望した。
「お姉ちゃんは‥もうこの世にいない‥」
そこから気が狂いそうな毎日が続いた。勉強もお姉ちゃんだと思っていたあの時ほどの成果は全く出す、私は大学を休む日々が続いた。そんなある日
「何‥あれ‥?」
警戒警報が発令されノイズから逃げる私だったが黄色の鎧を纏った少女と宇宙飛行士のようなスーツに身を纏わせた人だった。彼らはあのノイズに立ち向かっていた。その戦いぶりに目を奪われかけた瞬間、周りの動きがピタリと止まった。
「あなたは‥?」
私はその止まった空間内で動く自分以外の人物に話しかける。
「貴方に特別な力を与える者よ。それによりあなたのお姉さんは生き返るわ」
「特別な力‥!お願い!それを私にちょうだい‼︎」
そんな力にはきっと代償がつくだろう。だが真実を思い出し、精神が不安定だった私には姉が生き返ると言う言葉しか興味なかった。
「聞き分けのいい子ね」
『FOURZE』
「今日から貴方が仮面ライダーフォーゼよ」
それから私はお姉ちゃんと同じ誕生日の天秤座生まれの女子生徒。その人達の魂を集め、お姉ちゃんを完全に現世に復活させる為に。でもお姉ちゃんはそれを拒んだ。どうして‥。
2体のアナザーライダーに袋叩きにされ体にも限界がきた。きっとこのままでは負けてしまうだろう。
「まだだ‥」
俺は立ち上がる為に拳に力を入れ気合いを入れる。
「俺は‥約束したんだ‥」
それは数年前、ツヴァイウィングの初ライブの前日だっただろうか。
「いよいよ明日‥なんか実感湧かないな、私がステージに立つなんて」
「でもまだそんなにデカイ舞台じゃないんだから気楽にいけばいいさ」
「大丈夫だよ翼、これまでみっちり練習したじゃないか。それを活かすだけだよ」
奏も俺も自信がない翼を励ましていた。
「ううん、それだけじゃなくて、もしライブ中にノイズが来たら私達はお客さんを守れるのかなって‥」
「安心してよ。俺が何とかするからお前たちは夢を叶えるために頑張って」
「大丈夫だ、俺は絶対王様になる。その前にお前たちがトップアーティストになって、いつか『王様も絶賛したツヴァイウィング』と呼ばせてあげるよ」
「あはは、やっぱり王我は変わってるね」
緊張していた翼にも笑顔が戻る。
「でも王様ってたまに暴君になったりするだろ?そん時はアタシが止めてやるよ」
奏は俺を心配してそんな発言をしたのだろう。
「うん、でも俺はそうならないように気をつけるよ。奏も自分の夢を叶えてね」
「あいよ!」
「誰もが自分の夢を叶えるために生きている。蝶陽さん、あなたにも夢があるはず、昔から持っていたあなたの夢を!」
その言葉にアナザーフォーゼは体の動きが止まり、アナザーファイズもまるで力に抗おうともがき苦しんでいる。
「お姉さんは例えこの世にはいなくても必ずあなたの心の中にいる!」
「(俺や翼の心の中に奏がいるように‥)」
「きっとお姉さんもあなたが夢を叶えることを応援している」
「俺もあなたの夢を叶えることを応援する」
「そして王様として‥皆の夢を守る!」
『ファイズ』
ファイズライドウォッチをジクウドライバーに挿し込もうとした時
「変身!」
どこからか声が聞こえ
『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』
「何だアレは⁉︎」
そこにいたのはジオウとベルトは同じだが姿が異なるライダー。全身は赤く、顔には平仮名で『らいだー』と刻まれている。
「加戦する」
そして赤いライダーはアナザーファイズに向かい殴打を繰り返した。いや、俺はあの戦い方を知っている。俺達は背中を合わせ
「これを使ってくれ」
俺はゴーストとファイズのウォッチをあのライダーに渡す。ベルトの形状が同じなのできっと使えると思った。それを受け取ったあのライダーは俺から背中を離し、アナザーファイズに立ち向かっていった。アナザーファイズはノイズを生み出して陣形を固めた。
「ノイズが多いな‥」
『ゴースト』
俺が渡したゴーストライドウォッチを起動させる。
『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』
『アーマータイム!カイガン!ゴースト!』
ゴーストアーマーを纏ったライダー。パーカーをいくつか召喚し、ノイズにぶつける。
まだ絶唱の代償で身体の回復が不完全な私は指令室のモニターであの赤いライダーの戦いを見ていた。
「(あの戦い方‥間違いない‥アレは‥!)」
私は勢いよく指令室を出るが司令は何も止めず私を見守っていた。きっとあの人も気づいたのだろう。
周りのノイズが完全に片付きやっとアナザーライダーに集中出来る。
「あの怪物はこれで倒すんだな」
『ファイズ』
ファイズライドウォッチを起動させ、ベルトにセットし一回転。
『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!アーマータイム!Complete ファイズ!』
ファイズアーマーを纏ったライダー。
「俺も‥!」
『フォーゼ』
『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』
『アーマータイム!3!2!1!フォーゼ!』
俺もフォーゼアーマーを纏いアナザーフォーゼに大ダメージを与える。
ファイズフォンによく似た携帯、ファイズフォンXの【5】のボタンを3回押す。
『レディ!ショットオン!』
ファイズショットが赤いライダーに装備され、それでアナザーファイズを殴りにかかる。アナザーファイズは吹っ飛ばされ、それは落下地点にクレーターができるほどの威力だった。
「俺達が‥」
「「お前たちを救う!」」
『フィニッシュタイム!フォーゼ!』
俺は各ライドウォッチのボタンを押しドライバーを回転。
『リミット!タイムブレーク!』
きりもみキックをアナザーフォーゼにくらわせる。
『レディ!ポインターオン!』
右脚にファイズポインターが付く。
『フィニッシュタイム!ファイズ!』
同様に各ウォッチのボタンを押す。しかしアナザーファイズがファイズの必殺技、【クリムゾンスマッシュ】のような技を繰り出す。
『エクシード!タイムバースト!』
必殺技を出していたアナザーファイズをポインターで狙いを定め、キックを入れる。両アナザーライダーは同じ位置で爆発する。そして爆心地には佐久間姉妹がいた。
少し経ち2人は目を覚ます。しかし友月からは光の粒子が漏れている。もう現世に留まることが出来なくなったのだ。
「お姉ちゃん‥!」
「良いのよ、蝶陽。あなたが気にすることはないわ」
「でも皆が居て欲しいと思ってるのはお姉ちゃんの方で私は‥」
「それは違うよ」
「覚えてる?あの夜のこと」
お姉ちゃんが言っているのは私が子供の頃、私が星に凄く興味を持ち、天体観測者を目指すと言った夜のことだ。
「あなたは私よりずっと星に詳しかった。おばさん達はあなたには何も言わなかったけど、死んだお父さんお母さんはあなたのこと凄いっていつも言ってたのよ」
「あなたの夢は天体観測者でしょ?今からでも遅くない、自分のために生きなさい」
「ほら上を見て‥」
空を見上げると、一つ流れ星がもうすぐ夜が明けようとする空を流れた。
「あの時の約束を果たした‥2年越しだけどね‥」
「お姉ちゃん‥ごめんなさい‥」
「謝ることはないわ。今までありがとう」
「お姉ちゃん‥」
そして佐久間友月は光となり消えた。
「はぁ‥はぁ‥」
翼がバイクから降り、多少無理矢理ヘルメットを外す。髪が乱れている。普段絶対に外でこんな姿を見せないが今はそんなことはどうでもいいのだろう。俺も戦いの中で気付いた。あの戦い方をする人物を。そしてあのライダーは変身を解除する。
「よっ、翼、王我」
もう二度と聞けないと思っていた声‥
「奏‥!」
翼はその人物の名を口にし、その胸に飛びつく。奏の服は翼の涙で濡れていた。
「奏だ‥私達の知っている奏だ‥」
「お前‥どうして‥」
俺も嬉しさがあるがまずは奏がここにいる理由が知りたい。
「うーんと、何て言うか‥」
奏が腕を組み、悩んでいると
「おっと、時間か。じゃ、またな」
奏は光となって消えていってしまった。その光は俺のポケットにあるオーマジオウ戦で手に入れたウォッチに注がれた。
『ゲイツ』
色が霞んでいたウォッチが鮮やかな色を取り戻す。
「さっきのライダーのウォッチ‥」
ウォッチを眺めていると先、避難した草加さんがいた。
「草加さん、どうしてあなたが戸籍の改変に気づいたんだ?」
「‥実を言うと俺も少し前まで知らなかった‥いや忘れていたと言う方がいいな」
「忘れていた‥?」
「あぁ、だがある日ある男に出会って思い出した、これがその時渡された物だ」
ポケットからあるものを出す。
「ライドウォッチ!」
「先の戦いをみて分かった。これはお前らに必要な物だとな」
半ば強引にウォッチを渡される。しかも以前龍我や飛彩さんにもらったウォッチとは違い既に力が宿っている
『カイザ』
そして草加さんは多少よろめきながらその場からいなくなった。
その後、襲われた生徒は全員元に戻り、佐久間蝶陽さんは現在事情聴取を進めている。
現在俺と翼は俺の自宅で奏の帰還について考えていた。
「しかし、奏が仮面ライダーになるなんて‥」
『まぁまだ全然分からないことだらけだけどな』
「そうだな。奏がライダーに変身したり‥って翼、何か言った?」
「いや、何も‥」
『だからこっちだって!』
「うわあ⁉︎奏⁉︎」
声の主は奏だった。ゲイツライドウォッチが点滅している。これが奏が喋っている印みたいなのだろう。
「奏の声が聞こえるの⁉︎」
翼は驚きながら俺に聞いてくる。
「うん、翼は聞こえない?」
「えぇ、全く」
『どうやら、王我にしか聞こえないみたいだな。じゃあ中継頼むわ』
「う、うん、わかった」
『アタシは別に生き返った訳じゃない。どうやらアタシは戦うと決めた時にしか実体化出来ないし、しかも5分しかもたない』
「しかも、一度使ったら時間を置かなきゃいけない‥確かに生き帰ったとは言い難いな」
「でも奏の意識はここにある。私達の知ってる奏が‥」
翼はゲイツライドウォッチをギュっと握る。
「うん、どうであれ今奏はここにいる。また戻れたんだあの頃と同じで‥」
その手を俺も握ろうとするがテーブルに置いてある龍我と飛彩さんにもらったウォッチが光る。
「何だ‥!」
『クローズ』
『ブレイブ』
「またウォッチが‥」
先の事件と言いこのライドウォッチと言い、俺の知らないことが起こり始めている。その時俺はまだ歴史に変化が起こり始めていることを知らなかった。
「またしてもジオウにしてやられたわね‥」
フィーネはまたアナザーライダーがジオウによって倒され少し焦りが見えてきた。
「それにしてもあのライダー‥そしてあのアナザーライダー‥一体誰が‥」
「どうやらお困りのようだな。少しだけなら手伝ってやる」
「何者‥⁉︎」
「俺か‥?俺は‥」
次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「俺は皆を信じる!」
「アタシがやりたかったこと‥」
「お前は本当に運命を覆せるのか?」
「これが奏が見てきた世界なんだな‥」
「アタシ達が止める!」
「ここからは俺のステージだ!」
EP19 オウガ・オンパレード2013→2043