エクスドライブへと至った装者達はフィーネとの戦闘を開始する。ただそれをまるで分かっていたかのようにフィーネは対策をとり、自身の窮地を脱した。その最中、逢坂王我はエクスカリバーⅡを覚醒させ、更に状況を逆転させた。そして真の姿を見せたエクスカリバーとデュランダル、更には人々の絆を込めた立花響達の一撃でフィーネを倒すことに成功した。
夕焼けが綺麗な空の下、フィーネを倒した俺達は集まり、戦いの勝利を噛み締めていた。そしてその中響は敵であったフィーネに肩を貸していた。
「お前、何を馬鹿なことを‥」
「もう終わりにしましょう、了子さん」
響はもういないはずの彼女の名を呼ぶ。
「私はフィーネだ‥」
相手もその名を頑なに否定する。
「でも了子さんは了子さんですから。きっと私達は分かり合えます」
「ノイズを生み出したのは先史文明の人間。統一言語を失った我々は、手を繋ぐことよりも相手を殺すことを選んだ。そんな人間が分かり合えるものか」
「だから私は‥こうするしかなかったのだ!」
フィーネが腕を払い、響が離れる。
「人が言葉よりも強く繋がれることを分からない私達ではありません!」
「ふぅ‥でやあぁ!」
フィーネは響にムチを振るった。響はその攻撃を避けるも、相手が自由に行動出来るほどの距離が出来てしまった。
「了子さん、もう止めて‥」
「私の勝ちだぁぁぁ!」
「あっ⁉︎」
今度の狙いは響ではなく、ムチを更に長く伸ばし、あるものに突き刺した。
「了子さん、まさか⁉︎」
「もう遅い!でえあぁぁぁ!」
フィーネはムチを思い切り引っ張る。その反動は大きく、地面が割れるほどの力であった。
「月の欠片を落とす!」
「なっ、なんだと⁉︎」
その証拠か、少しずつ砕けた月の一部が大きく見えてくる。
「お、おい、なんてデタラメだ‥月を引っ張りやがったのか!」
「私の悲願を邪魔する禍根は、ここでまとめて叩き砕く!ここで果てようと魂まで絶えはしないのだからな!」
再び自身が有利になったことを確信したのかフィーネが笑い出した。
「アウフヴァッヘン波形が存在する限り、私は何度でも蘇る!私は永遠に存在し続ける巫女、フィーネなのだ。ハハハ‥」
そんな高笑いをするフィーネに対し
「あ‥」
響の拳がフィーネの胸に触れる。ただそれは殴る拳ではなく、思いを伝える優しい拳だ。
「そうですよね。どこかの場所、いつかの時代、蘇る時に何度でも。私達の代わりに伝えてください」
「世界を一つにするのに力は必要ないってこと。言葉を超えて私達は通じ合えるってこと。私達は未来にきっと手を繋げられるってこと!」
俺は響の言葉を聞き彼女の元へ足を運ぶ。
「私達には伝えられないから、了子さんにしか出来ないから!」
「お前、まさか‥」
「了子さんに未来を託す為にも私達が今を守ります!王我さんも‥」
響は俺の手を取った。
「あぁ、この時代は任せてください、了子さん」
その言葉を聞いたフィーネは
「ふぅ‥本当にもう。放っておけないんだから」
そして指を響の胸に当て
「胸の歌を信じなさい‥」
そう言い残し、フィーネは灰となり消えていった。最後の顔、それは敵であったフィーネの顔ではなく俺達のよく知る櫻井了子さんの顔だった。
了子さんが消えてしまった。いくら敵だったとはいえ、友里さんもクリスも目から涙をこぼしている。それだけ思い入れがあったんだろう。
「‥藤尭、月の欠片の軌道を計算するんだ」
少し涙混じりの声で弦十郎さんが藤尭さんに言う。
「あっ‥は、はい!」
「‥計算出来ました。直撃は‥避けられません」
「あんなものがここに落ちたら‥」
「私達はもう‥」
もう全員諦めかけている。それもそうだ。あんな大きな物を止めるなんて不可能だ。でも
「響‥」
その少女は諦めていなかった。
「ちょ〜っと行ってくるから、生きるのを諦めないで!」
響は笑顔という命を掛ける人間とは思えない表情をとっていた。
「響‥!」
そして響はその光の翼で空へと飛び立った。
『Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl』
「この歌は‥まさか‥」
「絶唱‥だと。響くん‥!」
私も弦十郎さんから絶唱については聞いている。絶唱は身体への負担が激しいものだと。それで翼さんが入院したことも聞いた。もし響がそれを使ったら‥
「あ、あ‥あぁ‥」
また響が遠くに行ってしまう。いやもしかしたら二度と‥。私はそう感じた。
私はもう地球が見えるくらい高く飛んでいた。自分の命がどうとかは余り実感がなく、また私は未来を置いていってしまった。そのことで頭がいっぱいだ。
「(ごめん、未来。けどこれは私にしかできないから‥)」
「そんなにヒーローになりたいのか?」
「あ‥」
もう聞くことはないと思っていた声が届いた。
「こんな大舞台で歌を披露することになるとは、立花には驚かされてばかりだ」
「それに人類を救うのに王様になる俺を置いていくのは見過ごせないな」
「クリスちゃん、翼さん、それに王我さんも‥」
「まぁ、一生分の歌を唄うには、丁度良いんじゃねぇか?」
クリスちゃんが笑って私に言ってくる。
「ふふ‥」
そして私達は全員で手を繋ぎ、翼をはためかせ飛んでいく。
「それでも私は立花と‥皆ともっと唄いたかった」
「‥ごめんなさい‥」
「響、その言葉は違うよ」
「‥ありがとう、皆!」
「開放!全開ッ!行っちゃえ!ハートの全部でぇぇ!」
私はトップスピードで、大気圏内で摩擦を受けて赤くなった月の破片に突入した。
『みんながみんな夢を叶えられないのは、分かっている。だけど夢を叶えるための未来は皆等しくなければいけないんだ!』
クリスちゃんが大量に携えたミサイルが
「命は尽きて終わりじゃない。その命が遺したものを受け取り、次代に託していくことが人の営み。だからこそ剣が守る意味がある!」
翼さんの巨大化した天羽々斬が
「人は未知の物を恐れてしまう。でもそこで立ち止まってしまっては全てが終わってしまう。だから皆が安心できるように俺達は前に進む!」
王我さんの二刀流となったエクスカリバーが
「例え声が枯れたって、この胸の歌だけは絶やさない!夜明けを告げる鐘の音奏で、鳴り響き渡れ!」
そして私はバンカーを最大まで伸ばし、その勢いを乗せた拳が月に届く。
「これが私達の絶唱だあああぁぁぁ‼︎」
「「「「ウオオオオオッ‼︎」」」」
響達が飛び立った後、大きな月の破片が砕かれ、地球に降り注いだ。響達は破片を壊すことに成功したのだろう。
「流れ星‥」
降り注いだ破片は流れ星のようだった。でも私が見たかったのはこれではない。私はその悲しみから声を出し、涙を流した。
あの事件から3週間が経った。今日は雨の日。黒い空と同じように私の心も暗かった。あれ以降まだ一度もノイズが現れていない。響達の活躍により私達に普段の生活が戻ってきた。ただ全てが元通りというわけではない。
響達の捜索は打ち切られたそうだ。弦十郎さんは作戦中の行方不明で死亡したことになるらしい。郊外にお墓も建てられたがそこには響もいない。名前も外国政府からの追及をかわす為彫られていない。もう何がなんだか分からない。
「会いたいよ‥もう会えないなんて、嫌だよ‥響‥」
私は響のお墓の前で泣くことしか出来なかった。ただお墓といってもただ響の写真を置いただけの寂しいものだ。それでも私は響の辿った軌跡の執着に通っている。
「私が見たかったのは‥響と見る流れ星だよ‥」
そんな過去に執着している私。だが
「きゃああぁぁぁぁ‼︎」
突然女性の叫び声が聞こえた。声の聞こえた方を見ると潰された車から女性が出てくる。そしてその近くにはしばらく現れていなかったノイズがいた。多分女性はノイズに驚き、ガードレールにぶつかったのだろう。
「こっちへ!」
考えるよりも先に動いていて、私は立ち尽くす女性の手を掴み、その場から立ち去る。なんだかどこかのお人好しがやりそうな行動だ。
『生きるのを諦めないで!』
あのお人好しが言った言葉を思い出す。
「私‥もう‥」
女性は体力の限界なのか地面に倒れる。
「お願い、諦めないで!」
その瞬間ノイズが私を囲むように集まる。私は手を広げて、倒れている女性を庇う。
「(ここで諦めたら、響に合わせる顔がない!)」
その瞬間目の前のノイズが粉々になった。でも一般兵器ではここまでにはならない。
「ごめん、色々機密を守らなきゃいけなくて、また未来に本当のこと言えなかっんだ‥」
その声は私の会いたかった人の声だ。
「えへへ‥」
世界を救った4人全員の姿がそこにあった。そしてその中でも私に声をかけてくれた少女の胸に私は飛びついた。
ノイズの脅威は尽きることなく人の闘争は終わること無く続いている。未だ危機は満ち溢れ、哀しみの連鎖は留まることを知らない。だけど俯かない。諦めない。
だってこの世界には、歌があるのだから。
「ここまでが、我が魔王と装者達の物語に一つの区切りとなる。しかしこれはまだ序章に過ぎない。我が魔王はこれからどのように成長していくのか。果たしてオーマジオウとなるのか。それはこれからのお話です」
次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「また未来に本当のことを言えなくて」
「しかし、一体誰なんだ‥」
「ずっと待ってるよ」
「仮面ライダーか‥」
「あぁ、お互い全力を尽くそう!」
「「超協力プレイでクリアしてやるぜ!」」
EP27 マルチウィニング2016→2043