この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。
逢坂王我は仮面ライダーキバの力を取り戻すも、ワームとファンガイアの両方の力を持つ謎の敵に手も足も出ない装者。そこへ逢坂王我の父、逢坂一也は仮面ライダーイクサに変身。これを圧倒する。そして仲間との関係に悩む雪音クリスは少しだが自身の迷いを振り切り、装者達と本当の仲間として一歩進展しただろう。
しかし、逢坂一也が何故あそこまでの力を持つのかそれはこの先の未来に判明するのでしょうか?もしくは‥
あれから三日経った。ワームとファンガイアの能力を持つあの生物。不明な点が多いためとりあえず二課では『ヴィラン』と仮称することになった。そしてそのヴィランが出現して以降、父さんと母さんの不在の率が高くなった。家に帰れないことはしばしばあったが、いつもの仕事場にすらいない時が増えている。理由は本人達には聞くことは出来ないし、勝さん達に聞いてもはぐらかされてしまう。
そして、そんな不安の中太陽が真南に上がる頃にノイズが出現し、街では避難勧告がすぐさま出された。
「こちら王我。現場に到着しました」
人が多く早急な対処が求められた為、単独飛行が可能なⅡが先行された。
『他の装者はおよそ五分後には到着するだろう。それまで持ち堪えてくれ』
「了解」
『ゲイツ』
『ゲイツ』
「変身!」
『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』
『ジカンザックス! Oh!No!』
ジカンザックスを携え、先陣を切る
「昼だからこれだ‥」
エクスカリバーを分割し、その内の一本を太陽に向かって掲げる。刀身は先から白く光り、その光が根本まで達したとき
「はああぁッ!」
剣を振るとその光が刀身となり、そのままノイズの元へ落ちていく。
『ガラディーン』
ノイズ達を一刀両断する。
そして次の集団に正面を向けた直後、
「待たせた!」
翼を先頭に響、クリスの順に到着しこれで装者全員が揃った。
『ドライブ』
『アーマータイム!ドライブ!ドライブ!』
『You!Me!』
「飛ばすぜ!」
奏がドライブアーマーを纏い、そのスピードと弓状に変形させたジカンザックスで次々ノイズを撃退する。
「響、譲渡だ!」
「はい!」
『譲渡』
譲渡でガングニールにエクスカリバーが装着され、全体の能力が向上する。
『ジクウドライバー』
『ジオウ』
「変身!」
『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』
エクスカリバーが無くなった分をジオウに変身し戦闘力を補う。
「はっ!」
裏拳でノイズの体当たりを弾き、更に両腕に追加されたエクスカリバーのパーツを右腕に集中させる。
「てぇやッ!」
その一撃はノイズを殴った音よりも重く大きく力が格段に上がっている事を証拠付ける。それは衝撃波だけで攻撃が当たっていないノイズが消滅するほどだ。
「クリスちゃん!」
そのままⅡは響からクリスへと渡される。
「おら、こいや!」
打撃の威力を上げる為の形状だったⅡが空中でクリスの戦闘スタイルに合った形に変形する。
「行けッ、クリス!」
「おうよ!」
スコープを覗くクリス。口元はニヤリとしており、トリガーを引くと無数の銃弾が的確にノイズの元に行き、爆発する。
「こっちも全力だ!」
『エグゼイド』
『アーマータイム!レベルアップ!エグゼイド!』
エグゼイドアーマーを纏い、ガシャコンブレイカーブレイカーを装着した腕を振り回してノイズを薙ぎ払っていく。
『フィニッシュタイム!』
ジカンギレードをジュウモードにし、ビルドライドウォッチをセットする。
『ビルド!スレスレシューティング!』
百発もの弾丸がノイズの身体を無作法に打ち抜いていく。
『ゴースト!ギワギワシュート!』
奏はジカンザックスにゴーストのウォッチを付け、技を放つ。ロビン魂時と似たアイコンがポインターのように浮かび上がり、そこに矢を正確に放った。しかし、これが全てではない。お互い武器を投げ捨て、ベルトに装填されているウォッチのボタンを押す。
『フィニッシュタイム!エグゼイド!』
『フィニッシュタイム!ドライブ!』
『クリティカル!タイムブレーク!』
自身の近くにいるノイズをガシャコンブレイカーブレイカーで打ち上げ、そのまま連続で拳を当て続ける。
『ヒッサツ!タイムバースト!』
俺が打ち上げれなかった残りを奏が回転しながらの高速移動で、確実に蹴散らしていった。
全てのノイズを倒し、おじ様からの通達で後は二課の方々の処置を待つだけとなった。
「はっ、話しになんねぇな。あの化け物の方がよっぽど手応えがあったな」
「クリスちゃんの射撃は本当に凄いよね〜」
「流石は長射程広域攻撃を得意とするシンフォギアなだけある」
「おいおい、凄いのはイチイバルじゃなくてアタシだからな。そこんとこ間違えるなよな!」
自身の実力に絶対的な自身があるかのよう。
「わかっているだが、譲渡の分はどうなのだ?」
「それもアタシの実力だ!」
「中々無理なことを言うな‥だが、雪音のおかけで私達が前線でノイズと切り結ぶことが本当だ。ありがとう」
「そうですよね。今じゃクリスちゃんの援護無しなんて考えられませんよね」
「‥わ、わかってるなら良いんだけどよ‥」
「あ〜クリスちゃん照れてる?」
そんなに意外だったのだろうか、雪音はこちらを真っ直ぐ見ようとはしてこない。
「照れてねぇよ!」
「そんなこと言って、顔赤いよ〜」
「‥一度上下関係ってぇのを教えなきゃならねぇようだな‥!」
「わぁ!クリスちゃん!銃で殴るのは反則だよぉ!」
「反則も何もねぇ!お前の頭でも分かるくらいにアタシの恐ろしさを教えてやる!」
「ふふ、ホントに仲が良いな、二人は」
「お前の目は節穴か⁉︎」
「そんなことはない。出会ったばかりの頃のことを考えればかなり良好ではないか。それに王我との息も合ってきている」
実際、戦闘時も状況によってはこちらの指揮に従うようになっている。
「出会ったころって‥」
荒い声をあげていた雪音が口を閉じたことでその場に静寂に包まれる。
「あ、あの頃は‥その‥悪かったな‥」
「‥本当にどうした、雪音?」
急に頭を下げてきたから、少々対応に困る。
「‥ほら、お前たちに色々言っちまっただろ‥?」
「あぁ確か、『のぼせ上がるな人気者ッ!』と言われたなぁ‥」
「うぐッ‥!」
黒歴史なのか、苦しそうに胸を抑えている。
「あの時のクリスちゃんは凄く尖ってたからねぇ〜」
「わ、若気の至りだ!」
「そんなに時間は経っていないだろう」
「う、うるせぇ!例え数ヶ月前だろうが一秒前だろうがアタシとっちゃ過去なんだよ!いいからアタシの謝罪を受けやがれ!」
「とても謝罪とはいえない態度なのだが‥」
「アタシが謝罪って言ってんだからそうなんだよ!」
「翼さん翼さん、これはクリスちゃんなりの‥」
「だああああッ!お前は黙れッ!」
「むぐッ‥⁉︎むぐぐぐ‥」
雪音が立花の口元を掴み、言葉を発さないようにしていた。
「仲が良いな、二人は‥」
ここまで酷くはないが、まるで以前の奏と王我のよう。
「?王我?」
そしてその王我だけは先程から会話に混ざらず、自身の手元をずっと見ている。
「ご、ごめん。考え事してた‥」
王我の表情から見て何か重いことなのがわかるが、その答えは直後に来た叔父様の伝達によって聴く機会を逃してしまった。
夏休みに入ってそこそこ日が経った。少し前までは半袖であれば何とかなったものの、今ではクーラーが無ければ苦しいほど暑い。夏休みの宿題も未来に手伝ってもらって、あと少しのところまでたどり着いた。最終日までに終わらないってことは無さそうだ。
「翼さん、お仕事ですか?」
向こう側からやってきた翼さんに声をかける
「あぁ、もう少ししたら緒川さんと共に現場に向かうところだ」
「そういえば王我さんは?」
トレーニングルームの使用だけでなく、受験勉強でもここを利用しているため、来れば顔を合わせることが多かった。しかし今日は一回も見かけていないので少し不思議だった。
「王我なら修行だ」
「でもシミュレーションルームにいなかったですよ?」
「そうではない。別の場所での特訓だ。本当に厳しい方の元でな‥」
翼さんは少し遠くを見るかのように答えた。
「立花こそ、修行はどうしたのだ?」
少し寂しそうな顔からいつものキリッとした表情に戻った翼さん。
「実は師匠が‥」
「なるほど、叔父様は急な仕事か‥」
ノイズの大量発生に加え、最近はキメラが出てきたりなどで師匠が顔を出さなければならないことが増えているらしい。
「はい‥少し手持ち無沙汰で‥」
修行が休みなら未来と遊びに行けば良いのだが、その未来は今日に限って別の予定が入っているので遊ぶことは出来ない。他のみんなも実家に帰ったりなどすぐには会えない状態である。
「‥少し待っていてくれ」
翼さんは携帯電話を取り出し、どこかへ連絡を取り始めた。
「風鳴だ。‥あぁ‥実は‥」
一分ほど通話した後、翼さんは私に言葉を発した。
「喜べ立花、修行の相手を確保できたぞ」
「ホントですか⁉︎」
「お待たせしました、翼さん」
「緒川さん、立花をここへ送ってあげられませんか?仕事場からそれほど距離は離れていませんので」
ちょうど追い付いてきた緒川さんに翼さんは先の件を伝える。
「えぇ、時間に余裕がありますので構いませんよ」
「ありがとうございます!」
緒川さんの車に乗せてもらい、到着したのは
「寺院‥ですか‥?」
修行を積むのには雰囲気はバッチリだが、問題はどんな修行が待っているかだ。
「今から会う者は二課の活動を知っている。我々のことを秘密にする必要はないからな」
「そうなんですか‥!」
そういえば王我さんの友達も知っている人は少ないというのを聞いた。意外と私達のことを知ってる人は多いのかも知れないと思った。
「来たか」
門の前を見るとそこに待っていたのは私と同じくらいの年の好青年だった。
「すまないな、朔田」
「話は聞いた。俺も二郎が今日は休みで練習相手がいなかったからな」
「そうか。では頼んだ」
翼さんが軽く挨拶を済ませ、二人とも車へと戻った。
「えっと‥こんにちは!今日はよろしくお願いします!」
「君が立花響か。話は風鳴と王我から聞いている。俺は朔田流星だ、よろしく頼む」
軽く自己紹介が済んだ後、すぐに訓練へと移行した。
「さっそくだが始めよう。全力でかかってきな!」
「お、お願いします!」
「はああぁッ!」
一発の威力が高い師匠とは違い、連発で打ってくる。ただ腕を交差させて防御するのに精一杯だ。
「(今だ!)」
「‥甘い‥!」
「えっ‥」
私の拳は届かず、空間を殴るだけ。そして朔田さんは私の背後をとっていた。さらにその後、背中を押され更に体勢を崩してしまった。とにかく背を向けないために身体を捻るも
「ホオォォォォ‥アタァァァッ!」
朔田さんの脚が私の顔の目の前にあった。
「ま、参りました‥」
勝敗が決して気が抜けてしまい、思わず尻もちをついてしまった。
「も、もう一度お願いします!」
「もちろんだ‥!」
鍛錬を始めてから三時間、ようやく長めの休憩を入れる。
「ほら」
「あ、ありがとうございます‥!」
朔也さんから飲み物を受け取り、喉を潤す。
「良い拳だが、連発攻撃を何度もくらい少し判断が鈍ったか。相手はわざと隙をつくって、相手を誘い込むことがある。そこを気をつけた方が良い」
「はい‥」
「ま、王我や風鳴と共に戦ってるだけあって、かなり良い相手だっだ。俺もかなり良い練習になった」
朔田さんはそのままペットボトルの水を飲み干し
「あの‥王我さんとはどのように知り合ったんですか?」
「そうだな‥アイツとは中学のときからな…」
朔田さんが飲み終わったペットボトルを片付けながら話を続けた。
「俺は以前友達を助けることに夢中になり過ぎて、アイツとその仲間たちに取り返しのつかない事をしてしまった俺をアイツは【友達】として見てくれた。そしてアイツの仲間達も…」
「君も友達がいるんだろ?」
「はい、学校の寮で一緒の部屋なんですけど、少し前まで二課のことを黙っていて‥それで一度は喧嘩してしまったんですけど、今はお互いに色々話し合って楽しくやってます!」
「その友達との縁を無くさないようにな‥」
「はい!」
「さて、そろそろ…」
電話が鳴り出す。
「あ、すみません‥」
「はい‥え、未確認生命体ですか⁉︎」
「えっと‥はい!朔田さんも早く逃げてください!」
荷物を片しながら、避難勧告をしていると
「待ってくれ。この後王我に会うんだろ?これを渡しておいてくれ」
『メテオ』
「ライドウォッチ!」
「知らない奴に『逢坂王我に渡せ』と言われてな。俺にはわからないが、お前らのとこならコイツの処置も出来るはずだしな」
「ありがとうございます!必ず王我さんに渡します!」
ここは山の中の小屋。元々の持ち主が使っていた場所でもあり、今も俺のように他の人達が使用している。そしてその持ち主は
「ハッ!」
俺は両手に竹刀を構え、更に身体には重りをつけ付加をかける。
『王我!また左手が下がってきている!』
「はい、先生!」
『王我!次は脚の動きが遅い!それでは次の攻撃に影響が出る!』
「はい!」
「(早くあの人を超える為に‥!)」
『今回の鍛錬はここまでだ。後でそちらにメニューを送っておく。好きなタイミングで行ってくれ』
「先生、ご指導ありがとうございました!」
『すまないな、私の都合でこのような形にしてしまい』
現地には先生はいない。仕事が忙しい方なのでリモートの形で見てもらっている。それでも的確に問題点を見つけられるのだから先生はやはり凄い。
「とんでもありません!お忙しい中時間を頂いていますのに‥」
『それで王我‥アイツは上手くやっているのか‥?』
「‥はい、元気ですよ」
「お前のことはある程度一也から聞いた。くれぐれも力には溺れるな」
「はい‥」
そして、先生との会話中電話が鳴る。
「えっ、未確認生命体‥ノイズではなく‥」
「先生‥」
『わかっている。修行の成果、存分に発揮しなさい』
「はい!」
ライドストライカーに乗り、現場に着くととすぐ後に装者を乗せた車が到着する。
「何、あれ⁉︎」
「また変なのじゃねぇか」
「なんかワームともファンガイアとも違う気がするんですけど‥」
肉眼で確認できる目標は二体おり、日本の怪談に出てくる河童と化け猫のような見た目をしている。
「魔化魍だね。人間などを捕食する生命体さ」
「人間を‥食べる‥⁉︎」
「預言者、それマジで言ってんのか⁉︎」
「それは何としても阻止しなければならないとな‥」
『Balwisyall nescell gungnir tron』
『Killter Ichaival tron』
「我が魔王‥」
「わかってるよ」
相手は魔化魍。そしてそれに対抗する一番良い手は
『響鬼』
腰に携えた音叉を手に取りスナップを効かせ、角を立てる。木に音叉を当て、そのまま顔の前に持ってくる。
「はあぁぁぁ‥」
額に鬼の顔が紫炎に包まれた。やがてその炎は自身の体のシルエットすら移すことは無くなる。
「たあぁぁッ‼︎」
紫炎を振り払うと、頭部に二本の角を生やしたまさしく鬼の姿をした者がいる。
「これが本物の響鬼か‥」
「ディケイドが変身してたけど、あの時とホントそっくりだ‥」
『よし、アタシも鬼の力だ!』
『威吹鬼』
実体が現れた奏は音笛を吹き、小さな竜巻を纏った。
「はぁッ!」
取り巻く風を手刀で切り裂きその鬼、伊吹鬼の姿を現す。
響と奏が化け猫の魔化魍を相手にしている。
「はあぁッ!」
響が魔化魍に拳を喰らわせ、怯ませたかと思ったが
「うわっ!」
魔化魍に力負けしてしまった響は吹き飛ばされ、体は木に撃突する。更にそこに再突進しようとするものの
「はッ!」
奏が放った弾が魔化魍を怯ませ、響が体勢を立て直した。
「た、助かりました‥!」
「立てるよな?」
鬼石を撃ちながら、奏は響に声をかける。
「はい!」
立ち上がった反動を生かし、
「ホアタァ!」
カンフーを思わせる蹴りで、後退させることに成功する。
「やるなぁ!トドメはアタシがやる!」
魔化魍に対して数発打ち込んでその箇所が赤く光る。
「これで決める‥!」
バックル部である鳴風を上空へ放り投げ、その間に音撃管:烈風をトランペット型に変形する。
「うわ、あっという間に形が変わった」
深く息を吐き、トランペットのマウスピースに口をつけ演奏を始める。すると撃ち込まれた鬼石が、清めの音によって増幅していき魔化魍の肉体は爆散し跡形もなく消え、立っていた場所に生えていた草も舞い上がった。
こっちは俺と翼そしてクリス三人で河童の魔化魍を相手にする。
「ちくしょう!ヌメヌメしてて銃弾があんま効かねえ!」
身体の粘液で滑ってしまっているのか、ダメージはいつもより少なくなってしまってる。
「ヤバっ‥」
攻撃で全然怯まず、魔化魍の攻撃範囲にクリスが入ってしまったが
「な、なんだコイツら」
「俺のディスクアニマル。頼もしいだろ?」
放ったディスクが狼、猿の形に変わり魔化魍の動きを妨害する。
「っぶねぇ…」
その隙にクリスが距離を取り、安全に射撃を行える位置に着いた。
「はぁッ!」
翼が受け止め、蹴りで距離を離す。
「王我!」
翼と入れ替わるように魔化魍に近づき、バックルに付属している音撃鼓:火炎鼓を取り外し叩きつける。すると大きくなった火炎鼓の形をしたオーラが現れる。
「爆裂強打の型!」
ドンッと大きな音を立て、身体の内側まで清めの音を響かせられた魔化魍は破裂し、その形状を崩壊させた。
魔化魍が全て清められ、辺りに敵対反応がないことを本部から伝達される。
「ふぅ‥お疲れさん」
「顔だけ戻せんのかよ‥」
身体はまだ響鬼のままなのに顔だけいつもの
しばらく経ち、二課の方たちが現場に到達した。魔化魍という新しい敵の情報を得るためにウォズさんの知識をふまえながら調査を開始していた。今回の件はあまり一般人が来ない山で起こったため被害者はおらず、装者はそこで解散となった。
「とにかく山から下ろさずに済んで良かったですね」
「あぁ。しかし、魔化魍か‥中々手強い相手だったな」
「じゃ俺はまだ修行が残ってっから、戻るわ」
「まだやんのかよ‥」
「知らなかったのか?王我はかなり努力派だぞ」
いつも私達以上の訓練をしているとはいえ、実戦後に再開するのは
私とクリスちゃんは意外と王我さんの事を知らないかも知れない。
魔化魍が現れて2日後、俺はこの前修行とは別に先生から課せられた課題をこなしている。父さんはクロックアップした相手にも、ついていけるほどの強さを持っている。多分カブトに変身した俺よりも早く倒したかもしれない。父さんが昔、エクスカリバーを使って戦っていたことは聞いたことがある。しかし、実際目にしてみると想像以上の腕だった。まるで次、相手がどう動くのかが分かるかのように。
「ふぅ‥今日はここまでかな。日も短くなって来たし帰ろう」
荷物をまとめて、その場を去ろうとすると
「ん?何だろ?」
何か物音がする。この辺はあまり人がいないからかそういう物音はよく聞こえる。
「こんなとこで逆上がりか‥」
小学生くらいの男の子が都会では数を減らしつつある錆のついた鉄棒を握り、少年は脚を高く上げるもそのまま重量に従って落ちていってしまう。
「ちょっと見てて」
落ち込んでいる少年に声をかける。
「でもこの鉄棒小さ‥」
確かにここにある鉄棒は俺には小さい。だが
「ほッ!」
近くに生えている少し太めの木の枝タオルを巻き、そこを掴んで一回転。
「す、凄ぇ‥」
「それで、なんでこんなところで練習してんの?」
「‥恥ずかしいから‥」
「逆上がりが出来ないのが?」
「それもだけど‥公園にクラスの奴らがいてさ‥バカにしてくるんだよ‥」
自分で話していて落ち込んでしまったのか近くのベンチに座った後、頭もそのまま下がってしまった。
「何かに必死になる。良いことじゃないか」
俺はその子の後を追うようにベンチに腰掛けた。
「子供ってなんでも涼しい顔でこなせるのがカッコいいって思ってるよね」
「でもね、努力はカッコ悪いことじゃない。寧ろ必要なことだぞ」
「でも出来なきゃ意味ねぇよ。テストもそうだ。いくら勉強しても良い点数を取らなきゃ怒られる‥」
「まぁ、そうだな‥」
少年の言葉に肯定してしまっため、少年はさらに悲しそうな表情をする。
「俺もさ、昔ズルしようとしたことがあってさ」
年上が似たような経験を話し始めたからか少年は食いついてきた。
「君ぐらいのときかな。詳しいことは説明出来ないんだが、一度大人の話が話してるとこを聞いてさ『これがあれば肉体的に強くなれる』って」
「当時早く強くなりたかった俺はそれに手を出そうとした。そしたら先生に止められてさ。いつもは鍛錬がこなせなくても叱られるくらいだったのが、その時は本気で怒られたからな」
少年は俺の話に更に食いついてくる。
「その時言われたんだ『努力も結果も大事だが、それよりも大事なのは目標へ向かっていく自分の気持ちだ。それが無くては前に進むことが出来ない』って」
「目標に向かって‥」
「確かに世の中は結果論だ。最終的にダメなら今までどんなに頑張ってもダメだし、どれだけサボろうと結果が良ければ一応は褒められる。でも、結果だけ見てると後々何をしたいかが見失いやすくなる」
「自分の道は自分の力で切り開くしかない。その時気持ちがしっかりしてなきゃ心が折れる。俺はそう思うな」
「でも努力する気持ちはあるみたいだね」
そこには体育の教科書が。逆上がりのやり方が書いてある箇所に赤線や先生に聞いたであろうポイントが記されていた。
「まぁとりあえずがむしゃらに練習してもダメだ。もう日も暮れるし今日は帰りな」
そう少年は先ほどよりも明るい顔になり、街の方へ戻っていった。
「さてと、俺も戻ろっかな」
ライドストライカーを出し、跨った直後だった。
『王我、街中にノイズが現れた!』
ノイズ発生時、仕事がなかった私たちは三人で現場へと向かっていった。
『王我はその位置から遠い。今そちらに向かってはいるが、なんとか三人で持ち堪えてくれ!』
「ったくよ!なんでこんなに来んだよ!頻度高すぎんだよ!」
「雪音、文句を言うのは殲滅からだ!」
「わーってるよ!」
「でも王我さんがいないから譲渡も使えない。一気には無理みたいですね‥」
どのように対処するか考えている最中、私の影の上に何やら別物の影が重なった。
「これは…王我のディスクアニマル‥」
タカが私の頭上に到達した時、脚で掴んでいた何かを落として行った。
「これは奏のウォッチ‥!」
王我が持っていたゲイツライドウォッチを戦力としてこちらへ届けてくれたのだ。
『ゲイツ』
ウォッチを押すと、奏の姿が現れる。
『ジクウドライバー』
『ゲイツ』
「変身!」
『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』
「奏‥」
ゲイツに変身すると、奏はすぐさま別のウォッチを取り出す。
『クローズ』
ジクウドライバーを外し、代わりにビルドドライバーを巻き直した。
『Wake up!クローズドラゴン!』
奏はクローズドラゴンにドラゴンフルボトルを装填し、ビルドドライバーに挿す。そしてレバーを回し、
『Are you ready?』
「変身!」
『Wakeup burning!
Get CROSSーZ DRAGON!YEAH!』
先ほどまで仮面ライダーゲイツだった奏が仮面ライダークローズに姿を変えた。
「こちらは私と奏が引き受ける。お前たちはシェルター方向を守れ」
「さぁツヴァイウィングの力、見せつけてやろうぜ!」
『ビートクローザー』
ベルトから現れた剣を持ち、ノイズの軍団を突き進んでいく。
『スペシャルチューン!」
奏は南京錠が描かれたフルボトルを振り、ビートクローザーに装填する。
『ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!』
柄の部分を3回引っ張り、
『メガスラッシュ!』
ビートクローザーが鍵の形をしたオーラを纏い、ノイズを薙ぎ払っていく。
『スペシャルチューン!』
『ヒッパレー!』
「いけッ、翼!」
ドラゴンフルボトルを装填されたビートクローザーを受け取る。目線で伝えたいことはわかったので、それに答えるように頷く。
『スマッシュスラッシュ!』
天羽々斬の紅炎とビートクローザーの蒼炎と混ざり合い、周りのノイズを巻き込んで、燃やし尽くす。
「よっし!」
私の成功を奏は戦闘中であるにもかかわらず喜んでくれた。
「奏‥!」
今更ながらまたこうして奏と共に背中を任せあえることが出来ることを嬉しく思ってしまった。
翼さんと奏さんが次々とノイズを倒していく中、とにかく私達は数十体いるノイズの内一体でもシェルター方向へ行かせないだけで手一杯だった。
「これじゃキリがないよぉ‥」
今、私とクリスちゃんは車の影からどのタイミングで大打撃を与えるか探っているところだね
「‥おい、ちょっと耳貸せ」
クリスちゃんが耳打ちをする。
「‥‥なるほど‥!」
「じゃあ、いくぜ!」
「うん!」
クリスちゃんが立てた作戦を実行するため、ビルの非常階段を駆け上り、最上階を目指した。その間もクリスちゃんが銃弾でシェルターに近いノイズを優先的に倒している。
「せーので良いよね?」
「なんでも良い!さっさとやるぞ!」
脚のバンカーを引き伸ばし、
「じゃあ、いくよ!」
「おうよ!」
私は頭から地面に向かって飛び込んでいく。そこから一回転し、脚を抱え込む体勢をとり、足裏を天へと向ける。
「クリスちゃん!」
少し遅れてクリスちゃんもビルから飛び降りてくる。そして足の裏同士が合わさった瞬間
「せぇぇぇのッ!」
バンカーの反発を活かし、クリスちゃんを空中に吹き飛ばす。その勢いは十数メートルまで上昇し、身体が頂上に達した瞬間
「おらああああッ!」
ノイズを広範囲から見上げられる状態から蜂の巣状に撃ち抜いていく。
「ちっ‥」
殆どのノイズは倒す事ができたが、それでもまだノイズが残ったままだ。
「くらえええッ!」
王我さんたちが行うライダーキックようなポーズをとり、
ノイズの体に大きな穴が開き、形状崩壊していった。
「へっ、こんなもんよ」
「やったぁ!やったよ、クリスちゃん!」
作戦が上手くいき、消滅していくノイズを眺めるクリスちゃんに思わず飛びついた。
「だあぁぁッ!だからくっつくんじゃねぇ!」
「気を抜くな二人とも!まだ敵は残っている!」
三人でもノイズの軍団に優勢に立ち回れている。
「これなら王我が到着する前までに対処出来るだろう‥」
「どうした⁉︎」
安心した直後、アラート音が指令室に響き渡る。
「変です!郊外に高エネルギー反応!」
藤尭が異変に気づきこちらに報告する。
「この反応は‥先ほどと同じ‥魔化魍です!」
「何⁉︎」
その結果を友里から聞いた俺は驚きを隠せなかった。
師匠からの通達で私達は別置点で、魔化魍の出現を知った。
「マジかよ⁉︎」
「ここからだとそれなりに時間が掛かってしまうぞ‥」
本部に計算よると、魔化魍の個体が前回のと似ている場合およそ十五分後には街に出てくるらしい。でもこの都市のど真ん中から魔化魍の発生地点は急いでも二十分はかかる。
『魔化魍の方は俺がいく』
「王我さん⁉︎」
『相手が魔化魍なら、鬼の力がある俺がそっちを受け持つのが良い』
「‥大丈夫なのか‥?」
師匠から心配に対して
『響鬼』
『鍛えてますから』
王我さんはそう言い残し、通信を切断した。
バイクをUターンさせ、再び山の中へ入っていくと魔化魍を肉眼で確認した。相手は一体だけだが、先に戦って奴とは別個体。その姿はまるで牛のよう。
『こちらが終わり次第、緒川が装者を連れそちらに向かう』
「了解」
音叉を腕に当て、
「はあぁぁぁ‥たあぁぁッ‼︎」
鬼の姿へと変わり、烈火を構え立ち向かっていく。
「はっ!だっ!とりゃあ!」
走りながら、音撃棒:烈火の先端から火炎球を放ち牽制するが
「ぐっ」
前戦った魔化魍に比べてスピードもパワーもあり、突撃してきた相手を受け止めるも、少し後退りしてしまう。一度距離をとり体勢を立て直し、烈火を一本だけ構える。すると烈火の先端から炎が刀身のようになり、
「はぁッ!」
そのまま振り下ろし、相手の角を切り落とした。
「ぐあっ!」
しかし、それだけではなんともないかのようにこちらに突進してきた。ら押さえつけるものの魔化魍の強力なパワーに負けしてしまい、身体を数メートル先まで放り投げられてしまう。
「っててて‥」
体勢を整えようとした瞬間、猛スピードでこちらに突進してくる。急な攻撃をギリギリ烈火を交えさせ防御するも、ほぼ役に立たずに突き飛ばされる。
「結構やるな‥」
同じパターンで魔化魍が体当たりを行うが
「大丈夫かい、我が魔王?」
突如現れたウォズのマフラーで弾き返される。
「ウォズ‥安心してくれ」
立てていた脚に力を入れ、再び立ち上がる。
「鍛えた甲斐を見してやる!」
烈火を一回転させ、身体中に力を溜める。
「はあぁぁぁ‥」
紅の炎に身体は包まれた。力を溜めている間はウォズが防御を行い、魔化魍によりチャージを妨害されずに済んでいる。
「らああぁぁッ!」
全身を覆う炎を振り払うと、紫色の身体から一変変わり、燃えるような赤い身体へと姿を変えた。
緒川さんの車に乗せてもらい、移動中の私達は
「赤い‥響鬼‥」
『これこそ、響鬼紅だ』
画面に映っているウォズさんが高らかにその姿の響鬼の名を言い放った。
「はっ!」
先ほどまでとパワーが段違いに上がっており、魔化魍の突進もそのまま受け止める。
「おりゃあ!」
その勢いを利用し今度は逆に投げ飛ばしてやった。しかし、あちらも諦めが悪く再び頭から突っ込んできた。
「ホッ!」
今度は空中で一回転し、その攻撃をかわす。そしてそれ同時に烈火を相手に叩きつけ、炎で形成されている火炎鼓が魔化魍の身体に浮かび上がらせる。
「爆裂真紅の型!」
背後に回られた魔化魍はこちら向いた瞬間。烈火の重い一撃を叩きつけられる。そしてその強烈な打撃により、体の内側から爆発する。
「ふぅ‥いっちょ上がり」
「すみません!遅れてしまって‥」
少ししてから装者達が現場に到着してきた。魔化魍を倒してから連絡するのは少し困難だったため、苦労をかけてしまった。
「おう、お疲れさん」
「結局来た意味0かよ」
「凄いですね、響鬼紅の力は‥」
「いや、それだけではない。王我の努力の成果もあってこその勝利だ」
「私も早く王我さんに追いつきたいなぁ‥」
努力に今回紅の力が使えた。努力は人を裏切らない。そして数日後、近くの小学校では逆上がりが出来ない生徒が減ったとか。
「一也‥」
「夜忍か‥」
「本当に現れたのね‥」
「あぁ、しかもワームとファンガイア。俺たちの時には無かった力も持っている」
「あの子達が相手すると考えると‥あんまりいい気はしないわね」
「思っているよりも深刻なのかもしれない。次郎や勝達にも警戒するよう伝えている。もう一度、蹴りをつけるために」
次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「今頃何してんのかな‥」
「また離れ離れになってしまうのね‥」
「言える訳ないよ、あんなこと‥」
「私達警察も全力で市民を守りましょう!」
「俺が戦うのは使命とかじゃない」
「人類を想っているからだ!」
EP34 トランプブレード2004→2043