以下主な改変点
◯カナタさん女体化(ついでにエルフ化)。
···以上。
因みにこんなとち狂った設定になったのは私が読
み専だった時代に某日本国召喚二次創作で何故か
カナタさん=女性で読み進めていて後に気付いた
けど「あれ?違和感無くね?」とか考えたからで
す。だったらエルフにしとけばロウリアの亜人根
絶主義と絶対対立するしありじゃね?などと考え
た次第です。尚クイラ王国の国王もドワーフの設
定ですのでこちらもロウリアの主義と対立してま
す。
追記)タイトルを変更しました。
没のやつのままだった·····
其ノ壱 公国と帝国と遭遇
中央暦1639年1月24日午前8時
クワ·トイネ公国軍第六飛竜隊
その日は雲一つ無い快晴であった。
ワイバーンと呼ばれる飛竜に跨がり、竜騎士のマ
ールパティマは公国北東部の上空哨戒任務につい
ていた。
公国の北東方向には国は存在しない。
東に行っても何処までも海が続くだけで、本来任
務とは無縁そうに見えるマールパティマが哨戒任
務を行っているのは、隣国のロウリア王国が原因
だった。
クワ·トイネ公国が存在するロデニウス大陸には
三つの国が存在した。
◯豊かな土地を持ち、豊富な食料を産出する農業
立国クワ·トイネ公国
◯険しい山脈に囲まれ、不毛な土地にドワーフや
獣人等が暮らすクイラ王国
◯人間至上主義を掲げ、ロデニウス大陸からの亜
人の撲滅を宣言するロウリア王国
亜人を多数国民として抱えているクワ·トイネや
クイラと亜人撲滅を掲げるロウリアはどうやって
も相容れない関係であり、尚且つ3800万人もの人
口を擁するロウリア王国に比べてクワ·トイネ公
国とクイラ王国の人口は合計しても1000万人にも
満たない上、領土面積でもロウリア王国が優位だ
った。
故にクワ·トイネ公国とクイラ王国は互いに力を
合わせる事でロウリア王国に長年対抗していたの
だが、ここ数ヶ月、ロウリア王国が盛んに軍事行
動を起こそうとする気配を醸し出していた。
その為、万が一ロウリア王国が宣戦布告と同時
に軍船による迂回及び奇襲が行った場合、これ
をいち早く察知·迎撃するべく、彼は相棒のワイ
バーンを公国北東部へ飛ばしていた。
「あーあ、何処まで行っても海、海、海。こん
な任務に何の意味·····ん?」
竜騎士の主任務に上空からの偵察がある事からも
分かる様に、竜騎士は大概目が良く、マールパテ
ィマもその例外では無かった。
彼が前方に何かを見つけたのと、彼の耳に聞き覚
えのない甲高い音が響いて来たのはほぼ同時だっ
た。
彼は最初友軍のワイバーンかと思ったが、任務前
に自分以外にこちらで任務につく予定の者はおら
ず、非常事態であれば魔信という通信手段がある
以上、連絡の一つでもあって良さそうなものだ。
ならばロウリア王国軍のワイバーンかとも考えた
が距離が遠すぎるし、第三文明圏で運用されてい
ると言われる竜母等なら可能なようだが文明圏か
ら遠く離れたこの場所に来る筈がない。
そして、段々と大きくなっているこの甲高い音を
彼は聞いた記憶がない。
「何なんだあれは·····」
最初粒の様にしか見えなかったその飛行物体は、
響かせる音を増しつつこちらに近づいていた。
それが近づくにつれて、彼はワイバーンでない事
を確信するのに十分な情報を得た。
「羽ばたいていないのか?」
彼は気を落ち着かせて通信用魔信具を取り出して
司令部へ報告した。
「我、未確認騎を確認す。これより交差した後追
従し、要撃·確認を行う。我現在地···」
通信を行いつつも彼は相棒を操り未確認騎に接近
を続けていた。未確認騎との高度差が殆ど無かっ
た為、一度すれ違った後、距離を詰めようと考え
ていた。
すれ違った未確認騎は、彼の常識からすると途轍
も無く大きかった。羽ばたいていないのでどうや
って飛んでいるのか不明であったが、翼に付いて
いた何かが4つグルグルと回転していた。どうや
らこれで飛んでいるらしい。
その機体は白く、胴体には赤色の長方形に白い三
日月と一つ星が描かれていた。
「大きいな·····」
彼は反転し、相棒の翼をはためかせて、未確認騎
を追おうとした。だが、追い付けない。
ワイバーンの最高速度の235㎞/hで追従しようと
したが追い付ける気配がない。それどころかこち
らが追おうとしているのに気づいたらしく、更に
速度を上げ始めた。これまた第三文明圏にはワイ
バーンの上位種がいるらしいが、だとしても生物
の中でほぼ最速を誇る空の覇者がまるで追い付け
ないのは異常だろう。おそらくその上位種とやら
でも追い付けないのではなかろうか。
「くそっ···!司令部!司令部!我未確認騎追従
を試みるが速度が違いすぎる、追い付けない!
未確認騎は本土マイハーク方面へ進行中、繰り
返す、未確認騎はマイハーク方面へ進行中!」
報告を受けた司令部は蜂の巣でもつついた様な騒
ぎになっていた。何せどの国の所属かも分からな
い未確認騎が経済の中枢都市たるマイハークへ進
んで来ていると言うし、もし本当なら速度から逆
算して既に公国の領空にも侵入している可能性が
高い。
もし攻撃など受けようものなら軍の威信·士気に
大きく関わる。
魔信から指示が流れる。
「第六飛竜隊は全騎発進せよ、未確認騎がマイハ
ークへ進行中、攻撃を受ければ軍の沽券に関わ
るぞ!」
司令部の命令を受け、滑走路から第六飛竜隊全12
騎が次々と飛び立って行く。待機中だったワイバ
ーン全騎という全力出撃だ。彼らは透き通る様な
青空にその翼を広げ上空へ舞い上がって行った。
第六飛竜隊の面々は運良く未確認騎の正面に相対
する事に成功した。どうやら報告通りかなり速度
が高いらしく、最初ゴマ粒程度にしか見えなかっ
た未確認騎はみるみる内に姿を大きくしていた。
相手が速すぎる場合、チャンスはすれ違う一瞬の
み。幸い未確認騎との間にはかなりの距離があっ
た為、導力火炎弾を準備し、発射するまでの時間
猶予があった。
「馬鹿みたいに早ぇが、これだけの導力火炎弾を
食らえば落ちねえ飛竜···は·····な、何!?」
彼らに更なる衝撃が走った。
口の中に徐々に火球が生成されていたその時、未
確認騎が突如上昇を始めた。それもワイバーンの
限界高度の4000mを越えてである。未確認騎は凄
まじい勢いで高度を増していき、第六飛竜隊は導
力火炎弾の射程に未確認騎を捉える事無く引き離
されていった。
「我未確認騎を発見、攻撃態勢に入るが未確認騎
は上昇、超高々度でマイハーク方面へ進行。繰
り返す·······」
マイハーク防衛騎士団の団長イーネは第六飛竜隊
の報告を受け、上空を見上げ、部下達に指示を飛
ばす。彼女はマイハーク城の片隅に位置する棟の
上から未確認騎がやって来ると予想される方角を
睨んだ。基本的にワイバーンの対地攻撃手段は口
から発射する導力火炎弾である。だが単発だし、
矢や投石等も過去の検討結果から考えても1騎な
らそれ程の被害になるとは思わない。恐らく敵の
目的は偵察と考えられる。だが何の為に?
それにワイバーンでも追い付けないものとは一体
何なのか。その疑問はすぐに氷解する事となる。
遠方からブーンという聞き慣れない音が聞こえ始
めた。暫くして奇妙な飛行物体が見えてきた。
大きく白い機体、羽ばたかない一対の翼、怪奇な
音、翼と胴体に赤の長方形に白い三日月と一つ星
が描かれている。
明らかな領空侵犯。ただ未確認騎は何をするでも
なく、暫く上空を飛び回った後、満足したのか北
東の方向へと飛び去って行った。
「速いな·····」
報告通りワイバーンを遥かに上回る速度で、ワイ
バーンがたどり着けない超高々度を飛んでいた。
「何故だろう、歴史が動く予感がする」
不意に口から出たその言葉が現実のものとなる事
を、当時の彼女は知るよしもなかった。
未確認騎飛来の翌日 クワ·トイネ公国 政治部会
クワ·トイネ公国の行く末を決めるこの会議で、
首相カナタ以下国の代表達は悩んでいた。
昨日、クワ·トイネ公国の国防·軍務を担当する軍
務卿から国籍不明の飛行物体がマイハークに空か
ら侵入し、町上空を旋回し、去って行ったという
報告があったのだ。
その飛行物体には赤色の長方形に白い三日月と一
つ星が描かれていたそうだが、そんな国旗を持つ
国などこの世界には存在しない。
西方のロウリア王国で手一杯というこの状況で降
って湧いて来たこの問題に政府首脳は大弱りだっ
た。
首相カナタが発言する。
「皆さん、この度の報告について、どのように思
い、どのように解釈するか、忌憚無く意見を言
って下さい」
情報分析部長が挙手し、発言する。
「情報分析部によりますと、同物体は三大文明圏
の一角である西方第二文明圏の列強、ムー国が
開発·運用している飛行機械に酷似していると
のことです。しかし、ムーにて運用されている
飛行機械は最新の物でも最高速度は350㎞/h程
度との事。今回の飛行物体は最低でも600㎞/h
を越えています」
政治部会の面々に緊張が走る。それではその飛行
物体がムー国の所属でなかった場合、端的にでも
ムーを超える国力を持つ国家が存在する事になっ
てしまう。
「ただ···」
「ただ、何です?」
「はい、どうやらムーから更に西方に第八帝国と
名乗る新興国家が誕生し、付近の国を攻撃し、
暴れ回っているという報告があります。彼らは
第二文明圏のもう一つの列強であるレイフォル
とパガンダ王国を始めとするレイフォル属国群
へ宣戦布告を通達しており、このまま行けば第
二文明圏の大陸国家群連合の全国に対して同様
の行動をとると、昨日諜報部から情報が入って
います。尚彼らの武器については全くもって不
明です」
会場に静かながら笑いが巻き起こる。文明圏から
外れたぽっと出の新興国家が三大文明圏五大列強
国の一角たるレイフォルとその属国群全てに対し
て宣戦布告しこのままなら第二文明圏の全てに対
しその愚行を行うという事実。
誰がどう見たって無謀以外の何物でもない。
「だがその第八帝国とやらはムーより遥か西に位
置しているのでしょう?ムーから我が国の距離
ですら、既に2万㎞以上離れている。なら今回
の飛行物体がそれの所属だとは考え難いわ。何
よりレイフォルらと戦争中ならわざわざこちら
に足を伸ばしている余裕も必要性も無い」
カナタの正論で再び会議は振り出しに戻る。
結局さっぱり分からないのだ。
だが、味方であれば普通に接触すれば良いのに領
空侵犯という敵対行為に出た以上、敵である可能
性が高い。只でさえロウリア王国とのいざこざで
準有事体制だというのに頭の痛くなって来るこの
情報は首脳部を悩ませた。
その時、政治部会に外交部の若手幹部が、息を切
らして入り込んで来た。
「何事か!まさか、このタイミングでロウリアが
動いたのか!?」
外務卿が声を張り上げる。
「報告します!!!」
外務卿のそれに勝るとも劣らぬ声で若手幹部が応
答し、報告を始める。
要約すると、下記の様な内容が判明した。
本日早朝、公国北方海上にて、全長250mクラス
の超大型船が現れた。付近を航行中だった第二艦
隊所属の軍船ピーマの艦長ミドリが臨検を行った
ところ、オスマン帝国と名乗る国の特使がおり、
敵対の意思は無いという旨を伝えて来たという。
又、捜査及び本人達の申し立てにより更に以下の
事項が新たに判明した。
◯オスマン帝国という国は、突如としてこの世界
に転移して来た転移国家である。
◯旧世界との全てが断絶された為、哨戒機を用い
て付近の地理的情報分析や哨戒を行っていた。
その際、陸地がある事を確認した。
尚哨戒活動の一環として貴国に進入し、領空を
侵犯した事については深く謝罪すると共に、貴
国の希望·規模によっては賠償も検討する。
◯クワ·トイネ公国と会談を行いたい。
あまりに突拍子もない話に、政治部会の誰もが信
じられない思いだった。
しかし、昨日マイハーク上空にあっさり進入され
たのは事実であり、250mという信じ難い大きさ
の船も飛行物体もそのオスマン帝国に所属する物
だとすればそれ程の国力があると辻褄が合う。
国ごと転移などとはムーの神話ぐらいで現実には
有り得ないとは思われるが、そのオスマン帝国と
いう国の国力は確かだと予想され、クワ·トイネ
政治部会はオスマン帝国特使と会う事にした。