ダンボール戦機 -イクサ-   作:幻宮 水希

3 / 9
これは主人公のこの戦いにおける仲間たちを紹介するようなお話です。


仲間

「ああ~、まだ昨日の疲れが取れてないや」

 

昨日のLBXバトルのテスト、実際に経過した時間は30分程だったし、人体とLBXは疲れを共有しないらしいが、精神的疲れと、説明書的巻物を読むのにかなり時間がかかったことによって、朝起きた時には10時になっていた。今日が日曜日だというのが幸いし、体はいつも通りだ。でも、精神的疲れは取れていない。

 

「よし、ここだな」

 

昨日裕香につれて貰った場所に行き、LBXイクサの会のドア(壊れかけたマンションのドアに見えるが、顔認証によって特別な道に通じるシステムがある)を通り、巻物に書かれたとおりの、自分の軍の専用部屋へ入る。

 

「家臣たちよ、俺が将軍だ!」

 

昨日三秒で考え付いたかっこよさそうなセリフを言い中に入ると、目の前からいきなり昨日のパンチが飛び出してきた。

 

「うおうっ」

 

昨日が昨日だったので、今日は難なく避ける事が出来た。

 

「すごいね~その身体能力。今度解剖させてくれないかな~」

 

そのパンチの発射元から、ねばっとした感じの少年の声がした。そのを見てみると、分厚いコートを着ている小4ぐらいの少年が見えた。その目はかなり疲れた感じのたれ目だ。普通たれ目の人を見たときにに感じるやさしさは一切感じない。

 

よいしょっと、とこいつが言うと、パンチが一瞬にしてDキューブみたいな箱にしまわれた。

 

「すごい技術だな。もしかしてお前がここのメカニックなのか」

 

そう言うと、コイツはノンノンと気取ったように否定し、訂正する。

 

「僕はここの実験実行係、通称奇跡の科学者、の道、数有(みち かずあり)通称カズさ。メカニックはどちらかといえば副業のはずなんだけど、この軍は僕以外に着たい調整が上手いやつはいないからね。全部僕に一任さ」

 

他の同年代と比べ自信に満ち溢れ、狂ったような感じがするのが気味悪い。と思った。

 

「へえ、凄いんだな」

 

まあ、ここで嫌な顔して軍の連携が乱れたら困るな。と思ってほめた。

 

「ああすごいさ!」

 

ほめるとはしゃぐ。ここらへんの反応は年相応だな。と思った。

 

「じゃあ皆。どんどん自己紹介してって!」

 

カズが勝手に指揮しているが、ここは放っておこう。

 

「じゃあまずは私から」

 

奥で腕組みをしながら仏頂面で座っていたかなりモデル体形だが背が俺より低いので可愛さが残る少女(オレとたいして年は変わらないだろう)は、オレの近くまで来て、仁王立ちをした。

 

「ふうんっ」

 

ガツッとオレの鼻に頭突きをしてきた。

 

「痛いじゃないか!」

 

俺がそう論撃すると、彼女は俺のむなぐらを掴み、鋭い目で睨む。

 

「貴様がここの将軍になったことをよく思わない者がいるということもよく覚えておけ!」

 

そうまくし立てたあと、フン。と言い振り返る。と、彼女のポニーテールがバシンと当たる。かなり痛い。そして彼女は個人部屋兼LBXの操縦部屋へ入り、鍵を閉めた。

 

「まあ、気にしないでくれ才人。彼女、ちなみに名前は剣崎 直刃(けんざき すぐは)、はここの元リーダーだったんだ」

 

そう言い立ち上がったのは、

 

「勇気!」

 

オレの知り合い。というか勝手に俺が突っかかっていくだけだった存在。 高峰 勇気(たかみね ゆうき)だ。学校一のかっこいい奴だ。

 

「知り合いだったんだ」

 

カズが意外そうに俺達を見ている。

 

「ああ。といっても、コイツが勝手にこっちに突っかかってるだけなんだけどな」

 

「ありゃ。そうだったの」

 

「でも今日からはちゃんとした仲間だ。よろしく」

 

「ああ」

 

いま、ここに新たな友情が芽生えた。なんだかカッコイイシーンだよな。

 

「あと、椅子に座って紅茶飲んでいる金髪天パロングヘヤーの貴族風の奴がサヴァン、エリタック。通称貴公子で、もう一人、お前の後ろにいるいかにも亡霊っぽいのがのが三木 健二(みき けんじ)だ。

 

うわっ。と驚く。のは勇気の方だ。俺が彼の存在に気付いていたからだろう。

 

「じゃあまず、君のLBXを僕に預けてくれないかな~」

 

いきなりのセリフだが。メカニックだから当然か。と思い。ああいいぜ。と軽く了承し、ショウグンを渡す。と同時にカズはオレのLBXを高々と上げ他の家臣達に見せる。

 

「見てくれよ! 将軍がショウグン持ってきてやってきたぞ!」

 

そういうや否や、俺のショウグンを持ったまま床に倒れ。なぁ――っはっはっは。と大笑いする。

 

「マジかよ。これは傑作だ」

 

と勇気は腹を抱え、

 

「ぷくく……」

 

と健二はこらえ。

 

「ズズズ……」

 

貴公子は優雅に紅茶を飲んでいた。揺るがない精神ってやつか。

 

「なあ、直刃さんも、気になるんだったらこっちに来たらどう?」

 

そうオレが言うと、ドアを少しあけこちらを気にしていた彼女は、フン。と言いドアを閉めた。

 

ただし、ゆっくりと。

 

静かになり、勇気がピッキングをして彼女を部屋から引きずり出したあと、俺は貴公子から紅茶を貰い(彼なりの仲間の儀式らしい)、席に着く。

 

「それにしても、皆こんな感じの軍なのか? 特に人数」

 

そうオレが言うと。皆はだんまりする。どんな感じかと言うと、勇気はあはは、と作り笑いをし、カズは自分の部屋へ行き、(オレのLBXが!)貴公子は紅茶をじっと見る。健二は部屋の隅へ行き、直刃は奥歯をギリッと食いしばる。

 

「まあ、お前が初心者だからこういうのは教えておかないといけないよな」

 

言いかよく聞け。と勇気に言われたので、やばい事を言ってしまったと直感で分かった。

 

「この軍、武装神、いや、今は名無しだが、とにかくこの軍は、全部で9つある群のうち、一番小規模で少人数の軍なんだ…………、あと一番戦力が無い」

 

そうか、そりゃ軍の事を言われたらこうなるな。

 

「ごめんな。なんか」

 

「そんなの気に……」

 

といったところで直刃が勇気を睨んだので、だんまりする。この状況で、何かしたのか、とは言えない。勇気が何かの一撃を食らうだろう。

 

「だいじょうぶさ」

 

「「「え?」」」

 

「だから、この軍は大丈夫だって言ってるだろ。安心しろ。俺がこの状況をドバーンと変えてやるから」

 

そう、カッコイイ事が好きだから、絶対にかっこ悪く負ける事はさせない。

 

  パシーンッ

 

「そのような楽観的な事は二度と言うな!」

 

左頬をぶたれたのだが、最初は音にしか気付かなかった。彼女はそれからそっぽを向き、自分の部屋へ走り出した。

 

その頬に涙が流れているのを俺は確かに見た。




三話目はこれで終わりです、次はやっと軍での戦いなので、活目するかどうかはさておき、気には留めておいてください。あとできれば質問、感想をください、答えたり、悪いところを直したりするので。お願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。