ダンボール戦機 -イクサ-   作:幻宮 水希

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特攻

 ビーッ、ビーッ

 

「何だ!」

 

「皆、出撃だ」

 

勇気がそう言うや否、俺を除く全員が自分の部屋へ入り、準備する。

 

「なあ、一体なんなんだ今の警笛」

 

その質問に答えてくれたのは、意外な事に直刃だった。

 

「この警笛は敵が出撃した事を知らせるものだ。ぼうとしているとこの軍が消えるぞ! ……何故貴様などがこの軍の将軍になったのだ」

 

彼女はそう言い残して自分の部屋、いや、LBXの操縦室へと入っていく。

 

「といっても、あの巻物形説明書には書いてなかったんだよな」

 

穴が開くほど読んだので間違いなく書いてなかった。

 

「それより今は出撃するか」

 

軍の家臣が出ているのに将軍が出なかったら面子が丸つぶれだ。俺は自分の部屋へと入り、LBXを……、

 

「しまった! オレのショウグン、まだカズの部屋だった」

 

 

 

「遅いぞ! だから貴様など……」

 

「いや、今回は僕の責任だから。ごめんねリーダー」

 

「いや、いいんだ、あとリーダーはこそばゆいから、才人でいいよ」

 

「分かったよ才人」

 

戦場に、その中の自陣に来るまでに直刃が周りにいた全ての敵を殲滅してしまったらしく、今はあたりに歩兵(軍に一つ在る専用のコンピュータで一気に動かす兵、クノイチ、ムシャ、ウォーリアー、デクーの四タイプあるが、この軍はそんなに数が無いため、修理しやすいデクータイプを使っている)を配置させている事意外あまり警戒をしていない。

 

「そういえば……」

 

俺は直刃、勇気、カズ、健二、そして貴公子の順にLBXの体をまじまじと見る。直刃は、破廉恥だぞ、と言いオレに襲い掛かりそうになったが、貴公子が華麗にそれを止めた。

 

「みんなのLBXって、全部カッコイイオリジナルの物ばっかりじゃないか!」

 

俺のショウグンもカッコイイけど、皆のLBXを見ているとかすんで見えてくる。何だこの悲しい現実は。

 

「なあ、皆って最初からそんなにカッコイイLBXだったのか?」

 

俺は半泣き(といってもLBXに涙を流す機能は無い)状態で皆に問いかける。

 

「いや、俺らは元々ちがうLBXだったぜ、それこそクノイチとかウォーリアーとか」

 

そのことばに皆は頷く。そうだったんだ。

 

「もしLBXを変更したいなら、敵の将軍、もしくは家臣のLBXを倒すと、ソイツが仲間になるか機体の中にあるLBXや武器の設計図を手に入れるか選択できるんだ。俺たちの大半がそうして機体をてにいれたんだ。まあ、貴公子はこの時代風の機体が似合わないっていう理由でフルスクラッチで機体を作ってきたんだけどな」

 

フルスクラッチ! と驚いた後、カズや直刃ににさっきの事は本当か聞く。と、二人とも頷いた。

 

「………………………………」

 

「どうしたんだ?」

 

「よぉぉぉぉっしゃああああああああ!!!」

 

「どうしたんだ、急に」

 

「手に入れてやるぜ、カッコイイ機体」

 

俺はウィンドウの索敵機能を使い、ここから一番近い軍を探し、走る」

 

「おおおおおおおおおっ!」

 

 

 

走り去っていく才人を追いかけようとしたが、直刃が止める。

 

「勇気、別に行く事自体は構わないが、絶対に手助けはするな」

 

「え、なん……」

 

「分かったか!」

 

「はい……」

 

こういうのに抵抗したら即退場だから、気をつけたい。

 

「ここは私たちに任せておけ」

 

「おう」

 

そう言い残してから俺は才人の後を追いかけた。

 

 

 

「将軍、家臣、はいねがぁぁぁあああああ!」

 

なまはげ語になっているのに気付かず、俺は軍〈戦国RANSER〉の入り口に入り、歩兵を片っ端から切り倒し、殴り倒しながら進み、その途中で俺を倒そうと寄ってくる家臣たちを必殺ファンクションで一薙ぎにする。この将軍だけのオリジナル技、〈斬場の一閃〉である。ゲージを5も消費するくせに超技ではない。しかし一帯を地面ごと切り伏せることができるので、便利だと思っている。

 

「よっしゃああ! 武器データ3つゲットォォオオ!」

 

と、勢いに乗ったところで屈強な家臣が出てくる。

 

「家臣、豪三郎、参る」

 

LBX、ZX3二号機を改良した機体、ベンケイを駆使してくる家臣だという情報は、ナビである裕香から今聞いた。

 

「ふうんっ」

 

相手がとてつもない速さで三椏の槍を振り回したが、間合いから離れ、槍が向こうを向いた隙に接近し、武器の中間を切り、得物がなくなった相手の腹に一発お見舞いしようとしたとたん。ベンケイの豪腕がオレの機体を掴み、ギリギリと締め上げる。

 

「皆の物、我ごとこやつを撃て!」

 

彼がそう言うと、回りの歩兵が一斉にこちらに撃って来る。が、残念だったな。俺は彼を軸にして180度回転し、攻撃が多い方を食らわせる。少ない方は食らっても装甲が少し傷つくだけなので大丈夫だ。

 

「ぬおおおおおおっ」

 

彼は銃撃を耐え抜いたのだが、ダメージはでかい。

 

「ライフだけ削ってやるから安心しろ」

 

俺は相手の装甲を上手い事急所を外して切り裂き、ライフを0にさせる。

 

「よおおおおおおおおし、機体データだああああああ!」

 

その調子で場外へと出る。そこに家臣の反応があったからだ。

 

「この森の中にいるんだよな」

 

姿は見えない。しかし、第六感で感じる。

 

「ありゃりゃ、こんなとこにたんどくでくるなんて、とんだおばかさんだね」

 

「そこかッ!」

 

ザクッ、と剣が刺したのは木だ。声のした場所には誰もいない。

 

「そんなこうどう、みえみえだよ」

 

相手が後ろからいきなり現れ、クナイ形の武器でオレの背中を切り裂こうとした。しかし、こんなのでやられてはカッコイイ気体が手に入らない。と反射的に思った俺は、クナイをジャンプで回避し、剣を木から抜き取り、その木を蹴って相手に飛びつく。

 

「だりゃあ!」

 

「おっと」

 

相手は攻撃を軽業師のようなバック転でよけ、、ささっと逃げる。

 

「待ちやがれぇぇぇっ」

 

俺は相手が逃げた方向へ駆けると、開けた土地になる、その周りを、クノイチタイプの歩兵が8体と、リーダー機い一体が、全員マシンガンを構え、今にも撃とうとしていた。

 

「きみはやばんだから、こうするのもかんたんだよ。えっときみは………………、! …………へえ、あのじゃくしょうぐんのしんりーだーか」

 

相手がウィンドウでオレの事を調べると同時に、俺は脳からの命令でウィンドウを開く。あいつは、三番目に大規模な軍の家臣、その中でも上の方にいるやつか。名前は公表されないが、その代わり顔写真が出てくるのでそれを確認する。

 

「幼女か」

 

うちのカズより年下だな。

 

「ねえ」

 

「んん」

 

相手はオレの事を見上げるように(人間ならば上目遣いだろう)して言う。

 

「とりひきをしない? そのないようはね、あなたがわたしにぐんのすべてのしきけんをわたしてくれたらみのがして、わたしのいちばんのけらいにしてあげる」

 

「もし断ったら蜂の巣なんだろうな」

 

そう言うと彼女は嬉しそうに跳ねる。

 

「せーいかーい。おにいさん、かしこいんだね」

 

「それはどうも」

 

「で、こうしょうは、のむ?」

 

「そんなの決まってるだろう」

 

俺がそう言うと、彼女は期待するような感じで(しかしLBXなので分かりづらいと思いがちだが、相手はわくわく、と何回も声に出していっているから)答えを聞き入る。

 

「断る! さあ蜂の巣にでもして見せろ!」

 

そう言うと、彼女の期待は目に分かるほど壊れたようで、これもまた目で見て分かるような怒りのオーラが沸き立ち、あたりが震撼する。

 

「もうおにいさんのことなんてしらない! はちのすだー!」

 

彼女がマシンガンを撃つのと合わせて、他の機体も銃を撃つ。がしかし!俺はそれを剣を使い、勘を頼りに弾きながらクノイチタイプを片っ端から切り伏せ、相手の機体だけを残し、その首筋に剣を突きつける。

 

「降参してくれ、到底君を傷つけようとは思えない」

 

その言葉を聞くと、最初はうわああああ、という壊れた気合が、うわああああ、という泣き声に変わった。

 

「どうぞすきにしてください」

 

そう言うと、彼女はメニューの降参ボタンを押し、そこのイエスを選択する。

 

「そうだな、じゃあ、君の方を貰おう」

 

この子、というか今はLBXだが、そいつを見ると、何故だかデータを奪う気が失せた。

 

彼女は、ぱああ、と明るい感じになった。そして機体の接続が切れる。

 

「もしかして、追放されたのか?」

 

そういえば新しい軍に入る前、どうやって変わるのかは気になってはいたけど、まさかこんな感じだったなんて。

 

俺は彼女の機体を抱えると、自陣へと走った。

 

 

 

「はじめまして、みやの るり(宮野 瑠璃)です。これからよろしくおねがいします」

 

元の体に戻り、オレの軍のリビングで彼女を向迎え入れた。

 

「という訳で新しく仲間になったから、この子の事をよろしく」

 

勇気をはじめ、ほとんどの団員が歓迎してくれた。人員が増えたからだろう。

 

「で、カズ、機体や武器のデータ、復元お願い」

 

あいよ。と了承し、カズは部屋に入った。

 

「一人ながらも、よくやったな」

 

お、珍しく直刃が俺を良い方向で見た。そして表情がやさしい。さらに可愛い!

 

「む」

 

瑠璃が直刃を見る。

 

「なんだ」

 

直刃が睨む。

 

オレの目には彼女達の間で火花が散った幻覚が見えた。

 

 

 




一日一話って結構疲れますね。文は簡単な気がするけど。

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