「今日はどうするんだ?」
先日仲間を手に入れた俺達だが、それは元々の予定上一切無かったことで。というか俺が勝手に暴れただけであって……。
「今日は宿題でもやったらどうだ?」
勇気がそういうが、
「今日の奴はもう一週間も前に終わってるから、暇なんだよ。明日はプリントだし」
「えっ。それはすごい……」
勇気は何かぶつぶつ言ってるが、余計な事は気にしない。
辺りを見まわすと、貴公子は買い物(お気に入りの紅茶が切れたらしい)に行ったからいない。カズはオレの新しい機体を作っているためこもっており、直刃はそばにいるが、いつもどおりつんけんしているのでこちらから近づく事はまず無い。
「あ、おにいちゃん」
ドアを開けて現れたのは、唯一暇そうな小学三年生の少女、瑠璃だ。最初に会ったときはお兄さんと呼ばれていたが、仲間に入ってからはいきなりそう呼ばれた。その時のみんなの生易しい目は記憶に新しい。
「なあ、皆忙しいみたいだから、どうにか襲撃までに暇をつぶせないかな?」
そうオレが言うと、彼女は喜んで答える。
「じゃあ、抱っこして!」
一瞬思考が止まった。そして、ああ、小学生だからかな? と変な感じで自分を納得させ。彼女を胡坐を書いたオレの上に座らせる。
「不埒な奴だな」
直刃が文句を言ったが、何故そうなるのか……、ああ、この年の差だからか。
まあ、されてる本人がまんざらでもないからどかせるのは気が引ける。
「……………………………………」
ああ、あったかい、そして丁度良い重さだ。結構くつろげるぞ、この子。
ビーッ ビーッ
「あ、進入されたか」
勇気が準備をする。
「俺はどうしよっかな」
「このままがいい!」
じゃあそうしよっかな。と言おうとする前に、直刃がどっからか持ってきた木刀でオレの頬をズンと突く。
「将軍が出なくてどうする!」
呆れたように彼女は言う。
「しょうがない。行くぞ」 「はーい」
重い腰(瑠璃を抱きながらだから)を上げ、オレは自分のLBX(まだショウグン)をセットし、戦場に出る。
「で、今回の敵は?」
直刃は答え無い。勇気が替わりに答える。
「相手は技術国、グレートシュナイダー。俺たちは他のいろんな国から目をつけられているからな」
その理由はメンバーにあるらしい。直刃、貴公子、カズ、いつもは描写しない健二もそうらしいし、勇気までもが超が付くほど強いらしい。俺はそれをまとめる人として、色々いやな目を向けられている。
「まあいい。じゃあ敵は……」
グギャアアアアアアアッ!
辺りが竜のような機体の尾で一掃される。
「なんじゃありゃあ!」
LBXにしてはでかすぎるぞ。化け物かよこれは!
「それはキラードロイド。タイプY BARNだ。ゲーセンとかでたまにイベントとして出てるだろう」
あー。思い出した。でもちょっとディティールが細かいな。
グロオオオオオオオオッ!
翼で辺りヲ切り裂いたかと思いきや、それを飛ばしてブーメランのようにする。
「ぐおおおお」 「はああああ」
二人とも飛んできた刃をそれぞれ止めようとする。
すると、相手の機体が、顔と上腕、胴体と前後の脚と武器を持っていたアーム、脚としっぽの三つに分裂する。それがそれぞれLBXとなり。
武器が元々持っていた二丁ライフルと、二丁バズーカ、そしてしっぽに使っていた二本の剣に分かれる。
上、下体の軽そうなのがバズーカを一個づつ持ち、中体のでかい奴が四本のアーム(ドロイドになってたときの剣持ってたの二本とライフル持ってた時の二本)で二丁バズーカを一気に持ち、俺に一斉砲撃をする。
「やばい! 勇気! 剣をオレに飛ばせ」
俺は勇気が何も言わず飛ばした剣を素手で振り落とし、地面に突き刺し固定する。
「これで防げる」
その剣は盾の替わりとなり、銃弾をことごとく防ぐ。
「勇気!」
「あいよ!」
その隙に勇気は相手の横から回りこみ、機体を狙うが、二機目が背中に有る補助アームを立てのように使い守る。そしてその腕を利用し勇気を弾き飛ばす。
「すまん、戻るのに三分は……ザザッ」
勇気が通信範囲外まですっ飛んでいった。
「たあっ」
直刃がやっと剣を落とし、加勢する。その機体のスピードは見とれるほどだ。
そして繰り出した攻撃は、相手の後ろ足とかを形成していたあの機体が、ドロイド本体を支えていた脚力で駆け、一直線にぶつかり、勇気のように直刃の機体が吹っ飛ばされる。
「クソッ あとは…… 、ザザッ」
また通信範囲外か。そろそろオレの番かな。と思ったところで、相手の機体から声だけ通信が入る。
「君がかっこいい物好きで有名な才人君だね?」
「え、才人は才人だけど、何でオレの事を?」
「君の先日の家臣連続撃破とその動機はこの世界中の有名な話さ」
このオッサン以外にも色々知っている人がいるって事か。
「さて、君に見てもらいたいものがある。これが私の最高傑作、合体だぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!」
オッサンの声と同時に、三対が上中下それぞれのフォーメーションを取り、合体シークエンスへと移行する。
「三体、こだわり、合体。見よ! これが私の、カッコイイ、だぁぁぁああああああああ!」
合体シークエンス、ワン。と言う機械音声と同時に上の機体の状態が上あご、両腕が下あご、腰が首元となり、脚が二の腕カバーとなる。それにバズーカが付く。
ツー。と言うと、中の機体が両腕で二丁ライフルを持ち、背中のアームが巨大な剣(ハンマーと剣が合体したもの)を二本握り、脚が合体時の太ももになる。
スリー。と言うと、下の機体の両腕が前に回り、しっぽの根元となり、しっぽの先端の剣を持つ。とそれらしくなる。下半身の脚は脚がスライド式で下がって、細い太ももと太いふくらはぎを作る。
フォー。と言うと、三体が合体し、ドロイド形態になる。
「これが私のロマンだ――――――――ッ!」
そして、さらに変形する。
二足歩行へと替わり、武器を全て落とす。剣を持っていた、中の機体の長いアーム元の腕ごと90度回転し腕となり、その上から上の機体の脚が細長い二の腕を守る。前に来た腕はそのまま前の鎧になり、固定される。
しっぽを構成していた下の機体の腕が横へ回り、腰の周りを補強する。
上の機体が構成している顔が、竜から微妙に変わり人に近いものへ、
その変形のすさまじさは、例えるならば、そう、街がクウォーターに変形するような圧倒的感動が有る。
そしてシルエットは、今にも暴走しそうな紫の機体のアレにそっくりである。
「これが私の……、ロマンだ」
さっきと同じセリフを言い、彼は満足そうになる。
「もしかして……、コレを見せるためだけに俺を?」
そう言うと、彼の機体は腕組みをしながら頷く。
「いかにも、だって、君しかフルで合体モーション見てくれないでしょ?」
確かに。だから二人を吹っ飛ばして俺だけを残したのか。
「アンタはすごいな。今は戦わないけど、今度生身で会った時に色々話し合おうぜ」
「ああ、もともと君と戦うつもりは無かったからね。」
今度の土曜、オレの通ってる学校の校門前で待ち合わせという約束をして、手を握り合った。
「才人! 大丈夫か」 「この化け物め、許さん!」
「じゃあ、また今度」
「ああ」
そういって分かれた。あの合体機の脚力は、恐ろしかった。それでもグレートシュタインは三位の軍なので、一体何故、二位や一位の軍は勝てるのかが知りたかった。